最小限しか削らない「MI治療」とは
虫歯治療はいま、「大きく削る」から「できるだけ残す」時代へと変わっています。このページでは『きょうの健康(2月17日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
番組では、歯を守る最新のMI治療に注目。精密な診断や高機能な詰め物を使い、健康な歯をできる限り残す考え方を紹介します。虫歯のイメージが変わる、新しい治療のかたちを解説します。
虫歯治療が変わってきた理由とMI治療の考え方
虫歯というと、悪いところを大きく削って、そこを埋めるイメージが強いかもしれません。
でも今は、歯をできるだけ長く残すために「削る量を最小限にする」方向へ考え方が大きく動いています。
番組が取り上げるのは、そうした流れの中心にあるMI治療です。
これは、できるだけ歯を削らず、歯の元の形を守りながら治す考え方で、精密な診断や材料の進化が支えになっています。
なお番組の講師は、東京科学大学大学院の島田康史教授です。東京科学大学は、東京医科歯科大学と東京工業大学の統合で生まれた大学として紹介されています。
(補足)MI治療は「ミニマル・インターベンション(最小の侵襲)」という考え方として、国際的にも広まってきた流れがあります。
「削る前」に精密に見分ける診断技術の進化
MI治療でいちばん大切なのは、いきなり歯を削るのではなく、「本当に削る必要がある場所はどこか」を正確に見極めることです。
虫歯は黒く見える部分だけが悪いとは限りません。表面は小さくても、中で広がっていることもありますし、逆に色がついていてもすぐ削らなくてよい場合もあります。
だからこそ、診断の精度がそのまま治療の大きさに直結します。
番組では、MI治療を支えている柱として「精密な診断技術」が紹介されています。
近年は、拡大して見る装置や、光を使って虫歯の進行度を測る機器などが歯科医療の現場で活用されるようになりました。
目で見るだけに頼らず、データとして状態を確認できるようになったことが、「削りすぎない治療」を後押ししています。
(補足)虫歯は、初期の段階では歯の表面のエナメル質が少し弱くなる程度のこともあります。この段階なら、生活習慣の見直しやフッ素の活用で進行を抑えられる場合もあります。すべてをすぐ削るのではなく、状態に合わせて選ぶという考え方が広がっています。
ここは視聴者にとっても大きなポイントです。
「削らない=何もしない」ではありません。
正しく見分けるからこそ、必要最小限だけを確実に治療することができるのです。
歯は一度削ると元に戻りません。
だからこそ、削る前の“見極め”こそが、いまの虫歯治療のいちばん重要な一歩になっています。
高機能の詰め物と接着の工夫で「小さく治す」
MI治療を支えているもう一つの大きな柱が、高機能の素材と接着技術の進化です。
番組でも、「高機能の素材・詰め物」がこの治療を可能にしている重要な要素として紹介されています。
昔の虫歯治療では、詰め物をしっかり固定するために、ある程度広く削って“はまりやすい形”を作る必要があると考えられてきました。
そのため、虫歯の部分よりも広めに削るケースも少なくありませんでした。
しかし現在は、歯に強く接着するレジン系の材料や、耐久性の高いセラミック系素材などが開発されています。
これらは歯と一体化するように密着しやすく、必要以上に削らなくても安定しやすいのが特徴です。
材料そのものの強さだけでなく、「どう接着させるか」という技術も進歩してきました。
(補足)歯はエナメル質や象牙質といった層でできていますが、一度削った部分は自然に元通りにはなりません。だからこそ、削る範囲を最小限に抑えることが、将来の歯の寿命を守ることにつながります。
MI治療では、虫歯の部分だけを的確に取り除き、その穴を高機能の素材で丁寧に埋めます。
削る量が少ないほど、自分の歯が多く残ります。
そして、自分の歯が多く残るほど、かみ合わせや強度のバランスも保ちやすくなります。
材料と接着の進化は、「小さく治す」ことを現実にした大きな力です。
見た目はささやかな変化に見えても、歯を長く守るという点では、とても大きな意味を持っています。
MI治療の流れ(削る量を最小にする手順とポイント)
ここでは、番組の内容に沿って、MI治療の流れを具体的にイメージできるように整理します。
大切なのは、「最初から削る」のではなく、「必要な分だけを正確に整える」という順番です。
まず最初に行うのは、状態の正確な把握です。
虫歯がどこにあり、どれくらい進んでいるのか。
表面だけなのか、内側まで広がっているのか。
ここでの見立てが、そのまま「どこまで削るか」の上限になります。
診断があいまいだと、削る範囲も広がりやすくなります。
だからこそ、MI治療ではこの段階をとても重視します。
次に、虫歯の部分だけを最小限に取り除きます。
ポイントは、「必要以上に広げない」ことです。
健康な歯の部分は、できるだけ残します。
昔は、詰め物を安定させるために広く削る方法が一般的でした。
しかし今は、接着技術や材料が進化し、小さな範囲でも安定しやすくなっています。
この進歩が、「小さく削る」という選択を可能にしています。
そして最後に、詰め物や高機能の材料で回復させます。
ここで重要なのは、見た目だけではありません。
かむ力に耐えられること、すき間ができにくいこと、長持ちすること。
歯と材料がしっかり一体化しているかどうかが、再発を防ぐ大きな鍵になります。
番組でも強調されている通り、診断技術と材料の進化がセットになってこそ、削りすぎない治療が実現するのです。
どちらか一方だけでは成立しません。
(補足)歯科医療では、「再治療の回数が増えるほど歯は弱くなる」といわれています。
だからこそ、最初の治療でいかに歯を残すかがとても大切です。
MI治療は、派手な治療ではありません。
ですが、「削る量を最小にする」という静かな工夫の積み重ねが、将来の歯を守る大きな差になります。
治療の流れを知ることで、不安は少しずつ具体的な理解へと変わります。
それが、この番組の大きな意義の一つです。
治療後に差が出るセルフケアと受診のコツ
MI治療は「削る量を減らす」ことが大きな特徴ですが、本当のゴールはそこではありません。
いちばん大切なのは、治療後に再び虫歯をつくらないことです。
ここからが、歯を守る本当のスタートになります。
虫歯は、歯の表面だけでなく、歯と歯の間や奥歯の溝など、見えにくい場所にできやすい特徴があります。
毎日の歯みがきでは、歯ブラシだけに頼らず、デンタルフロスや歯間ブラシを使い分けることが大切です。
特に、歯と歯の間は虫歯の再発が起こりやすい場所です。
そこをきちんと清潔に保てるかどうかで、将来の差が出ます。
(補足)虫歯は、口の中の細菌が糖を分解して酸をつくり、その酸が歯を溶かすことで進みます。
甘いものの回数が多いほど、口の中が酸性になる時間が長くなります。
「食べる量」よりも「回数」が影響することも知られています。
生活リズムを整えることも、実は大きな予防策です。
そしてもう一つ重要なのが、「小さいうちに見つける」ことです。
痛みが出てからでは、虫歯はある程度進んでいる可能性があります。
早めに気づけば、削る量も最小限で済む場合が多くなります。
これはMI治療の考え方と直結しています。
受診の場面では、遠慮せずに質問することも大切です。
たとえば、
・いまの虫歯は、削らずに経過観察できる段階かどうか
・削るなら、どの範囲を目標にしているのか
・使う詰め物の特徴や耐久性はどうか
こうした問いかけをすることで、自分の歯の状態を理解しやすくなります。
番組のテーマは、虫歯から歯を守るために「最小限しか削らない」という考え方にシフトしている、という点です。
ただ削らないのではなく、診断技術と材料の進化に裏打ちされた、理にかなった治療です。
見終わったあとに大切なのは、「自分の歯をどう守るか」という視点を持ち帰ることです。
MI治療は、その判断の軸を示してくれる治療法だといえます。
まとめ
今回の『きょうの健康』では、歯をできるだけ削らずに守る最新のMI治療について紹介されます。精密な診断や高機能な詰め物を活用し、健康な歯を残すという新しい考え方が中心です。なお、番組内容は変更となる場合があります。
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