肥大型心筋症の“知られざる危険”に迫る
このページでは『きょうの健康「まさかわたしが心不全? 遺伝子検査でわかる 肥大型心筋症」(2025年2月4日)』の内容を分かりやすくまとめています。
突然の息切れや胸の圧迫感を「疲れかな」と見過ごしてしまう人は少なくありません。しかし、その陰に 肥大型心筋症 が潜むことがあります。心臓の壁が静かに厚くなり、ある日、命を揺さぶる不整脈が襲うこともあります。
気づきにくいのに危険性は高い――そんな病気を理解することが、自分と家族を守る最初の一歩になります。
肥大型心筋症とは何か?見逃されやすい心不全のサイン
肥大型心筋症は、心臓の壁がゆっくり厚くなり、しなやかさを失ってしまう病気です。心臓は全身へ血液を送るポンプですが、壁が硬くなると十分に広がれず、送り出す力が弱まっていきます。症状が軽くて気づきにくい一方で、ある日突然、不整脈による重大なトラブルが起こることもあります。息切れや胸の圧迫感、動悸など、日常の小さな違和感がヒントになることもあるため、早い段階で病気に気づくことがとても大切です。
家族で共有したい遺伝子の情報
この病気の大きなポイントが、患者の半数以上でみられる“家族性”です。つまり、親やきょうだいに同じ病気が潜んでいる可能性があります。その背景には、心筋の収縮をつかさどるサルコメアという装置をつくる遺伝子の変化が関係しています。サルコメアに異常があると、心臓が常に過剰に力を入れ続け、結果的に筋肉が厚くなるという流れが生まれます。
現在は 遺伝子検査 で、どの遺伝子に変化があるかを確認できるようになりました。本人の病態を深く理解できるだけでなく、家族の中で将来発症リスクが高い人を早く見つけ、定期的な検査につなげる役割もあります。ただし、遺伝子の変化があっても発症しない人もいるため、家族全体での丁寧なフォローが必要になります。
突然死リスクを減らすためのチェックポイント
重い症状がなくても、肥大型心筋症は突然、不整脈を起こして倒れる危険があります。とくに注意したいのは、原因不明の失神や立ちくらみ、運動時の息切れが急に増えるケースです。
診断の中心となるのは心電図、心エコー、心臓MRIなどの画像検査です。これらにより、心筋の厚みや血液の通る道の狭さ、心臓のポンプ機能がどこまで保たれているかを詳しく評価できます。
突然死リスクが高いと判断された場合には、胸に植え込む除細動器(ICD)を使用する選択肢もあります。これは危険な不整脈を自動で察知し、電気ショックで命を守る装置で、まさに“保険となる盾”のような存在です。
新しい治療薬が切り開いた希望
これまでの治療では、β遮断薬やカルシウム拮抗薬などで症状を抑える方法が中心でした。しかし近年、治療の風向きが大きく変わりました。登場したのが 心筋ミオシン阻害薬 という新しいタイプの薬です。
代表的な薬であるマバカムテンは、心筋が「頑張りすぎないように」調整し、過剰な収縮を抑えて心臓の負担を取り除きます。従来の“対症療法”ではなく、病気の根本に働きかけるアプローチである点が大きな進歩です。ただし、効きすぎると逆に心臓の力が弱くなるため、定期的なエコー検査をしながら用量を調整する慎重な管理が必要です。
薬物だけでなく、状況によっては外科手術やカテーテル治療が組み合わされ、一人ひとりの状態に合わせた治療計画が立てられます。
高知大学の専門チームと患者さんの未来
番組で解説した高知大学の北岡裕章教授は、心筋症治療の第一線に立つ専門家です。臨床だけでなく遺伝子解析にも取り組み、家族性の背景をふまえた診療体制を整えています。患者さん向けの情報発信にも力を入れており、病気を理解しながら安心して治療を進められる環境づくりを続けています。
肥大型心筋症は「見つかったら終わり」ではなく、正しい知識と適切な治療によって、日常生活を守りながら長く付き合っていける病気です。小さな違和感を見逃さず、家族の健康もあわせて考えることが、未来のリスクを大きく減らす第一歩になります。
まとめ
肥大型心筋症は自覚しにくいのに危険性が高い病気で、家族性や 遺伝子検査、新しい 心筋ミオシン阻害薬 など、理解しておきたいポイントが多くあります。息切れや動悸など小さなサインも見逃さず、家族全体で健康を意識することが大切です。ここで紹介した内容は番組テーマをもとに構成しており、実際の放送内容と違う場合があります。
Eテレ【きょうの健康】まさかわたしが心不全?「早期発見!セルフチェックと対処法」心不全 初期症状と予防の核心をセルフチェック方法とステージA対策で読み解く|2025年2月2日
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