股関節の痛みを救う“希望の保存療法”とは
このページでは『きょうの健康 股関節の痛み克服法「薬による保存療法!痛みを和らげて動かそう」(2026年1月20日)』の内容を分かりやすくまとめています。
股関節の痛みの多くを占める変形性股関節症。その苦しさに立ち向かうため、番組では“痛みを抑えて動く”という新しい考え方が大きくクローズアップされました。
薬で痛みをやわらげ、失われがちな筋力を運動で取り戻す。この二つを組み合わせた保存療法が、手術を避けるための大きな一歩になることが示されていました。
いちばん多い原因は変形性股関節症
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股関節の痛みで最も多く見られる原因が、変形性股関節症です。股関節を支える骨や軟骨が少しずつすり減り、本来クッションの役割を果たす部分が弱くなることで、骨どうしが近づき、動くたびに強い負担がかかります。その結果、痛みや炎症が起こりやすくなります。
この病気は急に悪くなるものではなく、時間をかけて進行することが多いため、初期には違和感程度で済む人もいます。ただし、進行のスピードや症状の出方には個人差があり、生活習慣や体の使い方によっても影響を受けます。
番組では、原因として加齢による筋力低下、体重の増加、骨の形状の特徴などが挙げられていました。特に患者の約8割が女性である点は重要で、ホルモンの変化や骨格の違いが関係している可能性も示されています。治療の基本は、まず保存療法から始め、状態に応じて手術を検討する流れになります。
保存療法の柱は「痛みを下げて動く」
保存療法で最も大切なのは、痛みを我慢して安静にし続けることではありません。目指すべきは、痛みを下げて、体を動かせる状態を作ることです。
股関節は動かさない期間が長くなるほど、周囲の筋肉が弱り、関節の動きも小さくなります。すると、立つ・歩く・階段を上るといった日常の動作そのものが負担となり、痛みがさらに出やすくなる悪循環に入ってしまいます。
そのため、番組では薬物療法と運動療法を組み合わせる考え方が強調されていました。薬で痛みを落ち着かせ、その間に筋力や動きを取り戻す。この流れが、保存療法の中心になります。ガイドラインでも、運動療法、内服薬、歩行補助具などを含めた多角的なアプローチが重要だと整理されています。
薬による保存療法で痛みをコントロール
薬は「病気を完全に治すため」のものではなく、痛みをコントロールして動ける土台を作るための手段として使われます。痛みが強いままでは運動療法を続けることが難しく、結果的に筋力低下が進んでしまうからです。
使われる薬は、症状の強さや体質、年齢、持病の有無によって選ばれます。代表的なのがNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)で、炎症と痛みの両方を抑える目的で使われます。ただし、胃腸や腎臓、心臓への影響が出ることもあるため、自己判断で量を増やすことは避け、医師の指示に従うことが前提です。
アセトアミノフェンは炎症を強く抑える薬ではありませんが、痛みの調整として使われることがあります。比較的使いやすい薬ですが、こちらも上限量の管理が欠かせません。
さらに痛みが強い場合には、オピオイド系鎮痛薬が検討されることもありますが、眠気や便秘など生活への影響が出ることがあるため、使用目的と期間を明確にしたうえで慎重に使われます。貼り薬などの外用薬を組み合わせるケースもあり、薬の選択は段階的に行われます。
番組のメッセージは一貫していて、薬で痛みを和らげ、運動につなげることが最大のポイントです。
痛みを和らげながら続ける運動療法
運動療法は、変形性股関節症に対して、短期から中期の身体機能を改善する効果が期待できるとされています。ただし、ここでいう運動は、息が切れるような激しいものではありません。
目的は、股関節を守る筋肉を育て、関節の動きを安定させることです。特に重要なのが、お尻の横にある中殿筋など、股関節の周囲の筋肉です。これらの筋肉が弱ると、歩くたびに関節への負担が増えてしまいます。
番組や専門資料では、自宅でもできる運動として、横向きに寝て上側の脚をまっすぐ持ち上げる動きなどが紹介されています。特別な道具がなくても始められる点が特徴です。
続け方の考え方も明確です。痛みを強く感じるほど無理をすると逆効果になるため、痛みが跳ね上がらない範囲で、毎日少しずつ続けることが大切です。動かしにくさや痛みが強い場合は、理学療法士や医師に相談しながら調整します。
生活改善で股関節の負担を減らす
生活改善は、運動療法と同じくらい大きな意味を持ちます。狙いはシンプルで、股関節への負担を減らすことです。
体重が増えるほど股関節にかかる荷重は大きくなるため、食事の見直しや日常の活動量の調整が基本になります。無理な減量ではなく、負担を増やさない体づくりが目的です。
歩行時の痛みが強い場合は、歩き方を変えるだけでも楽になることがあります。杖などの歩行補助具や、靴の補高、インソールの調整といった工夫も有効です。
さらに、温めて血行を良くする温熱療法は、痛みを和らげる方法として広く使われています。「痛いから何もしない」のではなく、「負担を減らす工夫を重ねて、動ける時間を増やす」ことが、保存療法を続ける現実的なポイントになります。
手術を避けるための受診の目安
番組では、保存療法で手術を回避する可能性が示されましたが、同時に大切なのは今の状態を正しく知ることです。
変形性股関節症は進行するケースが多く、進み方によっては関節を温存する手術が検討される場合もあります。一方、進行が進み、関節温存が難しい場合や高齢の場合には、人工股関節全置換術が選択肢になることもあります。
保存療法を続けるか、手術を含めて考えるかを分ける基準は、我慢の強さではありません。痛みの出方、日常生活での困りごと、画像検査の結果、筋力や可動域などを総合的に見て判断します。
痛み止めを使っても日常動作が成り立たない、夜間の痛みが続く、歩行能力が大きく落ちた、運動後の痛みが何日も引かない場合は、早めに整形外科で評価を受けることが、安全で確実な選択になります。
まとめ
今回の番組では、変形性股関節症による痛みに対して、薬と運動を組み合わせた保存療法の考え方が中心に紹介されました。痛みを我慢して動かなくなるのではなく、薬で痛みを和らげながら体を動かし、筋力や関節の働きを保つことが重要だと示されています。生活改善や運動療法を重ねることで、手術を避けられる可能性がある点も大きなポイントです。
なお、本記事の内容は放送前情報をもとにまとめているため、実際の放送内容と一部異なる場合があります。
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