股関節の痛みの“正体”に迫る
このページでは『きょうの健康 股関節の痛み克服法「痛みの正体“関節唇(しん)損傷”とは」』(2026年1月19日)の内容を分かりやすくまとめています。
股関節の奥で続く原因不明の痛み。その裏には、エックス線では映らない“隠れた異常” 関節唇損傷 が潜んでいます。
歩くたび、立ち上がるたびに走る鋭い痛み。見えないところで進む関節の損傷を、そのままにしてはいけません。番組では、その正体と治療の道筋が明らかにされました。
関節唇とは?股関節を支配する“縁の司令塔”
股関節の痛みの正体として、いま最前線で注目されているのが 関節唇損傷 です。股関節の痛みに悩む人は全国で約500万人。その中に、長年見逃され続けてきた「関節唇の異常」が確実に含まれています。
股関節は、太ももの骨である大腿骨の丸い骨頭と、骨盤側の受け皿である寛骨臼が組み合わさって成り立つ関節です。この寛骨臼の縁を、リング状に取り囲んでいる軟骨組織こそが 関節唇 です。
関節唇は単なるクッションではありません。股関節を吸盤のように密着させ、関節を安定させ、衝撃を分散し、関節内の圧力を一定に保つ役割を担っています。つまり、関節唇は股関節の「縁のガード」であり、「関節のフタ」であり、「動きを制御する司令塔」でもある存在です。
この関節唇がすり減ったり、裂けたりすると、股関節は一気に不安定になります。わずかなズレが積み重なり、引っかかり感や鋭い痛みとなって表面化します。原因不明とされがちな股関節痛の裏には、必ずと言っていいほど 関節唇損傷 が潜んでいるのです。
関節唇損傷で現れる股関節痛の決定的サイン
関節唇損傷 の最大の特徴は、「明確なケガの記憶がないのに痛い」ことです。転んだ覚えも、強くぶつけた覚えもない。それでも股関節の奥が確実に痛む。この違和感こそ、見逃してはいけない警告です。
典型的なサインは、足の付け根の奥に走る鋭い痛み、長く歩いたあとの痛みの増強、階段の上り下りでの不快感です。しゃがむ、靴下をはく、車に乗り込むといった日常動作で、股関節が引っかかるように感じる人も少なくありません。
さらに、股関節の中で「コキッ」と音がしたり、何かが挟まったような感覚が出ることもあります。初期段階では「疲れやすい」「なんとなくおかしい」程度で済むため、多くの人が放置します。
しかし、関節唇の裂け目が広がると状況は一変します。立ち上がる、歩き始めるといった一瞬の動作でも、強烈な痛みが走るようになります。痛みをかばうことで歩き方が崩れ、腰や膝、反対側の股関節にまで負担が連鎖します。これは生活の質が崩れ始める、明確な分岐点です。
なぜ関節唇は壊れるのか 原因とリスクの正体
関節唇損傷 は偶然起こるものではありません。必ず背景があります。最大の要因は、股関節の骨の形です。
寛骨臼形成不全のように受け皿が浅い場合、関節唇には常に過剰な力が集中します。また、大腿骨と寛骨臼がぶつかりやすい形をしている場合、動くたびに関節唇が削られていきます。これは静かに、確実に進行します。
サッカーやバレエ、ダンスなど、股関節を深く曲げたり強くひねったりする動作を繰り返す競技も、関節唇を確実に追い込みます。転倒や事故などの外傷が、一気に裂け目を作るケースもあります。
さらに見逃せないのが、長年の積み重ねです。若い世代にも起こりますが、40代、50代で突然症状が出るのは、関節唇が限界を迎えた結果です。
関節唇が傷つくと、股関節の安定性は失われ、関節軟骨へのダメージが加速します。その終着点が 変形性股関節症 です。早期に正体を見抜けるかどうかで、将来は決定的に変わります。
レントゲンで見えない痛みをMRIが暴く
関節唇損傷 が厄介なのは、レントゲンではほぼ見えない点です。レントゲンは骨を見る検査であり、軟骨組織である関節唇は写りません。
「骨に異常はありません」と言われたにもかかわらず痛みが続く。そのときこそ、MRIの出番です。MRIは関節唇の裂け目、周囲の炎症、関節軟骨の状態まで立体的に映し出します。
さらに、股関節内に局所麻酔を注射し、痛みが一時的に消えるかを確認する方法もあります。これで痛みが明らかに軽くなれば、原因が関節内、とくに関節唇にあることはほぼ確定です。
レントゲンで異常がないという言葉を、安心材料にしてはいけません。痛みが続く限り、関節唇損傷 を疑い、専門的な検査に進むことが唯一の近道です。
関節唇損傷を止める保存療法と生活の再設計
診断がついても、すぐに手術になるわけではありません。多くの場合、最初に行うのは保存療法です。
最優先は、股関節に負担をかける動作を徹底的に減らすことです。深くしゃがむ、あぐらをかく、低い椅子に沈み込む。こうした動作は、関節唇を確実に追い詰めます。動作そのものを変えることが、治療の第一歩です。
次に、薬物療法で炎症と痛みを抑えます。必要に応じて関節内注射を使い、痛みを軽減させた状態でリハビリを進めます。
リハビリでは、股関節周囲と体幹の筋力を鍛え、関節の安定性を取り戻します。歩き方や姿勢を修正することで、関節唇への負担は確実に減ります。
重要なのは、痛みをごまかすことではありません。痛みを生む動きを断ち、関節を守る体の使い方に切り替えることです。この段階で、日常生活を取り戻す人は確実に存在します。
手術が必要になる境界線と変形性股関節症の未来
それでも 関節唇損傷 が進行している場合、関節鏡手術が検討されます。小さな穴から内視鏡を入れ、裂けた関節唇を縫い合わせる。必要に応じて、傷んだ部分を整え、関節の環境を立て直します。
一方で、 変形性股関節症 が進んでいる場合は、骨切り術や人工股関節手術が選択されることもあります。ここで重要なのは、「どこまで自分の関節を残せるか」という視点です。
股関節の状態、年齢、生活スタイルによって最適解は変わります。だからこそ、早い段階で 関節唇損傷 を見抜くことが、将来を守る最大の武器になります。
Eテレ【きょうの健康】健康長寿!体と心をつくる「元気に動ける体を一生保つ!」姿勢改善×体操×骨盤傾きチェックで続く運動習慣|2026年1月8日
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