晩秋の古民家村に戻ると、まきストーブの季節が始まっていました
番組「カールさんとティーナさんの古民家村だより episode.28 2024晩秋(2026年3月5日放送)」は、空気がきゅっと冷えてくる晩秋の古民家村から始まります。
庭の冬支度をしながら、カールさんとティーナさんは、これから来る季節に体のリズムを合わせていきます。
この回の大きな軸は、古民家の暮らしが「家の中」だけで終わらないことです。
庭、畑、集落の人、そして音楽と食。
全部がつながって、季節のページがめくられていきます。
補足として知っておくと景色が深くなります。
新潟県十日町市松代地域の竹所集落は、雪の多い土地としても知られています。
こういう地域では、冬が来る前の準備が暮らしの土台になります。
庭の片づけや薪の用意は、趣味というより「冬を安心して越すための技」に近いのです。
カールさんの事務所は再生古民家、グランドピアノのための吹き抜け
番組の紹介文では、カールさんの事務所が再生した古民家であることが語られます。
そしてカールさんは、少年時代から憧れていたグランドピアノを置きたい思いがありました。
そのために、ピアノの音が通るように吹き抜けを造った。
古民家は、梁や柱が太く、木の量が多い家です。
木の家は音がやわらかく回りやすいと言われます。
吹き抜けがあると音は上下にのびます。
この「音の通り道」を家そのものの設計でつくるのが、いかにもカールさんらしい発想です。
カールさんはドイツ出身の建築デザイナーで、新潟県十日町市で古民家再生に取り組んできた人物として知られています。
取材記事では、竹所の古民家で暮らしながら集落の活性化に関わってきたこと、妻のクリスティーナさん(番組ではティーナさん)がアルゼンチン出身であることも紹介されています。
番組タイトルの「村だより」には、建物だけでなく、人の暮らしまで含めて残していく目線がにじみます。
念願の古民家コンサートが決定、音と空間の打ち合わせ
開催が決まったのは、カールさん念願の古民家コンサートです。
古民家でコンサートを開くときに大事なのは、ただ演奏するだけではありません。
人が座る位置、音が響く向き、出入口の動き、暖房の具合。
古い家は空間が生き物みたいで、当日の空気まで含めて出来上がります。
打ち合わせに訪れたのは、移住してきた料理人です。
番組紹介文の段階では、この料理人の名前は明記されていません。
でも、この回の物語では「音楽」と同じくらい「料理」が主役として置かれているのが分かります。
コンサートに料理が並ぶと、客席は一気にあたたかくなります。
古民家の木の香りに、食べ物の湯気が重なる。
それだけで、その場は特別な場所になります。
移住してきた料理人が登場、畑仕事を手伝いながら料理を組み立てる
移住料理人は、おばあちゃんたちの畑仕事を手伝いながら、地元の食材を生かした料理を工夫していると紹介されます。
ここが、この回のいちばんおもしろいところです。
料理は、台所だけで作られるものではありません。
畑で土に触れると、野菜の固さや水分、香りの強さが分かります。
この「触って分かる情報」が、そのまま味付けの判断につながります。
新潟は米どころとして有名ですが、野菜も季節で表情が大きく変わります。
晩秋の野菜は甘みが出やすい時期です。
寒さに当たると、植物は自分を守るために糖をためやすくなるからです。
だから、地元野菜たっぷりの料理は、ただの健康話ではなく、季節と科学がそのまま味になる話でもあります。
おばあちゃんたちの畑と地元野菜、土地の味を集める時間
番組では「おばあちゃんたち」という言い方で、畑の先輩たちが登場します。
この関係は、観光の出会いとは少し違います。
畑は、毎日続く場所です。
手伝うことは、助け合いであると同時に「ここで暮らす側に入る」合図にもなります。
古民家の暮らしは、家の中が完成して終わりではありません。
集落で生きていくには、季節の仕事を一緒に回す必要があります。
その入口として、畑仕事はとても自然です。
コンサート当日、古民家に音楽が満ちる夜
コンサート当日、ティーナさんは「素敵な音楽に胸がいっぱいになった」と語ったと紹介されています。
この一言が、この回の温度を決めています。
古民家は、きれいに整いすぎたホールとは違います。
床のきしみ、木の香り、外気の気配。
そういうものが全部混ざって、音楽が「生活の中に降りてくる」感じになります。
カールさんが吹き抜けを造ったのは、ピアノを置くためだけではなく、音楽を家の一部にしたかったからかもしれません。
番組は、そんな気持ちが伝わる作りになっています。
料理が華を添える、地元食材が主役の献立
コンサートに華を添えるのが、移住料理人の料理です。
ここでも番組紹介文は具体的な店名や料理名までは書いていません。
ただ、地元野菜たっぷりであること、地元の食材を生かす工夫があることが示されています。
食材を生かす、という言葉はシンプルですが、やっていることは深いです。
野菜の切り方を変えるだけで食感が変わります。
火の入れ方を変えるだけで甘みが出ます。
その積み重ねで「その土地の味」になります。
古民家という場所で食べると、料理はさらに記憶に残ります。
外が寒いほど、湯気はごちそうになります。
音楽と食事が並ぶ夜は、集落の冬の入り口をやさしく照らす灯りみたいです。
帰宅後の静けさ、昔の写真で振り返る出会いと年月
コンサートの余韻を抱えて帰宅した2人は、昔の写真を見ながら、出会った頃やともに歩んできた年月を振り返ります。
この流れが、とても人間らしいです。
大きな出来事が終わると、急に部屋が静かになります。
その静けさの中で、写真はよくしゃべります。
写っているのは過去なのに、今の気持ちに触れてくるからです。
古民家は「古い家」ですが、過去をしまっておく箱ではありません。
今を生きる場所であり、これからを考える場所です。
写真を見返す時間が入ることで、この回は、音楽や料理の回であると同時に、2人の人生の回にもなっています。
古民家村の暮らしが教えてくれる、季節と人の距離の近さ
episode.28は、晩秋という短い季節の中に、冬支度、まきストーブの気配、古民家コンサート、移住料理人の畑と料理、そして2人の思い出がぎゅっと入っています。
検索してたどり着いた人が知りたいのは、たぶんこういうことです。
どんな回なのか。
何が起きるのか。
どんな人物がいて、何を大事にしているのか。
この回は、それを派手に説明しません。
でも、手を動かす場面が多い分、暮らしの本音が伝わってきます。
冬の前は、忙しいです。
けれど、その忙しさの中に、音楽を置く。
料理を置く。
写真を置く。
その置き方が、2人の暮らし方であり、古民家村の空気そのものなのだと思います。
Eテレ【カールさんとティーナさんの古民家村だより】episode.27 2024秋 古民家再生とタラのフリカッセ、ムカゴご飯で味わう秋の山里|2026年2月26日
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