記事内には、広告が含まれています。

Eテレ【きょうの健康】強いアスリートにもメンタルヘルスの悩み|JOC強化指定選手調査とセルフチェック“初期サイン”の実態|2025年12月4日

きょうの健康
メール購読のご案内

いつも「気になるNHK」をご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、NHKの番組紹介や見どころ、新着情報などをいち早くお届けしています。

スポンサーリンク

アスリート4人に1人の“心の危機”をどう支えるか

日本のトップアスリートの4人に1人が『うつ傾向』を感じている——この事実は、スポーツの世界に根づく「強さ」のイメージを大きく揺らしました。競技の裏には、見えないストレスの積み重ねがあります。この記事では、2025年12月4日放送のきょうの健康で紹介された実態と対策をもとに、私たち一般の生活にも直結する“心のケア”のヒントをまとめます。

アスリート4人に1人がうつ傾向と感じた調査の本質

スポーツ 疲労の写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

 

2025年、JOC日本オリンピック委員会が強化指定選手を対象に初めて行った網羅調査で、全体の約24%が「最近うつ傾向を感じる」と回答しました。トップ選手には常に『勝利』『結果』『期待』がのしかかり、プレッシャーの中で戦い続ける毎日があります。
競技生活だけでなく、ケガ・将来のキャリアへの不安・国際大会の評価・SNSの反応など、スポーツの枠を超えたストレスも重なります。
さらに過去の研究でも、エリート選手は一般人口と同じか、それ以上に『不安』『睡眠障害』『摂食の乱れ』『強迫傾向』を経験しやすいと言われています。
こうした背景の中、今回の調査は“全国の強化選手を網羅した初の大規模調査”であったため強い注目を集めました。「アスリートは特別に強い」というイメージでは語れない実態が、はっきりと見える形で示されたのです。

本人の力ではどうにもならない“外部ストレス”という壁

ストレス発散の写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

スポーツ界には『我慢』『気力』『根性』といった価値観がいまも残り、心の問題は個人の弱さとみなされがちです。しかし、番組で強調されていたのは「本人の努力だけでは防げない外部要因がある」という事実でした。
たとえば、
・過密スケジュールの練習
・結果のプレッシャー
・コーチとの関係
・将来の不透明さ
・ケガと復帰の不安
・SNSやメディアの評価
・家族や社会からの期待
これらは“努力”だけで避けられません。積み重なると心の負担は大きく、燃え尽き(burnout)や不調につながるケースも少なくありません。
周囲が心のサインに気づき、支え合う文化がなければ、アスリートは一人で抱え込んでしまいます。

海外ではどんな支援が進んでいるのか

31ページ目 | スポーツ 外国人の写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

番組では、海外のアスリート支援体制も紹介されました。
アメリカのUSOPC(米国オリンピック・パラリンピック委員会)では、アスリート向けに24時間メンタルサポートの窓口が設置され、専門家による心理支援が常時利用できます。
さらにUS Center for Mental Health & Sport
などでは、選手本人だけでなく、コーチ・家族・スタッフも含めて学べる『メンタルヘルス教育』が普及し始めています。
イギリスではSporting Chance Clinicが、現役・引退後の選手に専門的な相談の場を提供。依存症・不安・引退後の喪失感など幅広い課題に対応しています。
こうした国々では、「個人の問題ではなく、環境と組織で支えるべき課題」としてメンタルヘルスが扱われ、選手のキャリアの節目(代表入り、ケガ、復帰、引退前後)に寄り添う支援モデルも整備されています。

一般の人も使える“セルフチェック”のポイント

番組では、アスリート用のチェックシートを参考に、私たち一般の生活に役立つ心のセルフチェックも紹介されました。
特に確認したいのは次のようなサインです。

・最近眠れない/逆に寝すぎる
・興味や楽しみがわかない
・気力が出ない、疲れが取れない
・集中力が落ちて物事が進まない
・食欲が乱れる
・不安やイライラが増える
・体が重い、だるい、倦怠感が続く

こうした状態が2週間以上続く場合、早めの休息や相談が必要です。
自分で確認できるツールとして、『PHQ-9』『K6』『CES-D』『POMS2』などの質問票も活用できます。単発ではなく、同じ尺度で定期的に振り返ることで、変化に気づきやすくなります。

まとめ

2025年の日本の強化選手を対象とした調査は、アスリートの世界で起きている“心の危機”を初めて大きく可視化しました。
心の問題は決して個人の弱さではなく、社会・環境・組織が生み出す外部ストレスの影響が大きいことが、国内外の事例からも明らかです。
支え合う文化をつくること、相談しやすい環境を整えること、そして自分自身の心の状態に気づくこと。そのすべてが、アスリートだけでなく一般の私たちにとっても大切なテーマです。
今日の自分の心の状態を一度振り返ってみてください。それが大きな一歩になります。

【NHKスペシャル】究極の欲望“不老長寿”最新テクノロジーがもたらす未来とは? 血液成分の交換・20歳若返った女性・幹細胞の注入臨床試験の衝撃とは|2025年12月7日

海外のメンタルサポート体制を紹介します(アメリカ大学スポーツ・欧州の制度との比較)

しげゆき
しげゆき

ここでは、日本のアスリート支援を考える上で大切な海外の取り組みを紹介します。個人の努力だけでは防げないストレスに向き合うために、どんな仕組みが世界で動いているのかを知ることは大きなヒントになります。

アメリカ大学スポーツの支援体制

アメリカでは、NCAA加盟大学を中心に、学生アスリートの心の支えとなる仕組みが広がっています。多くの大学に心理カウンセラーや学生サポートセンターがあり、落ち込みや不安を感じたときにすぐ相談できる環境が用意されています。ストレスマネジメント講座を設けて、試合や学業の負担を軽くする取り組みも進められています。

ただし、全国で統一された仕組みが整っているわけではなく、大学ごとに体制の差があります。スポーツ医療スタッフやアスレチックトレーナー、心理職が連携して支援する大学が増えてきていますが、すべての大学が同じレベルではありません。キャンパスに常駐する専門家がいないところや、トレーニングルームで心の相談ができない場合もあります。それでも、「競技と学業の両立」という重たい負担を抱える学生アスリートを支えるため、心のケアを含めたサポートが少しずつ広がっています。

また、一部の大学では、競技生活だけでなく進路やキャリアの悩みも相談できる仕組みが作られています。アスリートは将来への不安を抱えやすいため、こうした“人生設計”まで支える体制は欠かせません。現役中だけでなく、引退後にもつながる安心感につながっています。

ヨーロッパの包括的なサポートモデル

ヨーロッパでは、スポーツとメンタルヘルスを結びつける動きが広がっています。**EASMH(European Alliance for Sport and Mental Health)**というネットワークが立ち上がり、スポーツ関係者とメンタルヘルス専門家が協力しながら、支援やリハビリのモデルを共同で作っています。選手だけでなく、チーム全体を対象にした支援が進んでいます。

さらに、複数の国が参加するMENTiSプロジェクトでは、ハイレベルアスリートの心の健康を守るための環境づくりが進められています。心理教育、関係者の意識改革、環境改善などを同時に動かし、アスリートを取り巻くすべての要素をサポートの対象にしています。

欧州では、「メンタルの問題は個人任せではない」という考え方が強くなっており、国際機関や競技団体、医療専門家が一体となって体制を整えています。選手の弱さではなく、環境として支えるべき“健康の一部”として扱う姿勢が根づきつつあります。

日本との比較から見える課題とヒント

アメリカや欧州と比べると、日本はまだスタート地点に立ったばかりです。強化指定選手への大規模調査が行われたのは最近で、制度化や支援の広い普及はこれからです。

海外では、心理サポートが当たり前になっている場所も多く、相談窓口やスクリーニングが整備されています。対象も選手だけでなく、コーチやサポートスタッフ、ジュニア選手、引退後の人々まで広がっています。予防的な活動、定期的なチェック、教育の導入など、長期的な支援が重視されています。

一方、日本では「メンタルは弱さ」という誤解が残る場面もあります。そのため、支援を受けづらい空気や、相談が遅れてしまう問題が生まれやすくなっています。

海外の取り組みを見ることで、支援を制度として準備する大切さがはっきりします。選手だけでなく、チーム全体で支え、予防から回復までを見守る体制が必要だと分かります。若い世代の選手を早い段階から支えること、キャリアの転換期を見守る仕組みを整えることも重要です。

こうした海外モデルの紹介は、これからの日本でどんなサポートが求められるのかを考えるきっかけになります。選手にとって本当に安心できる環境とは何か、スポーツ文化の中に何を取り入れるべきかを見つける手がかりになります。


気になるNHKをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました