Eテレ【きょうの健康】便や腸のトラブル「便失禁（1）日常生活での対処法」原因と排便日誌・食事習慣で見直す腸のサイン｜2025年12月22日

便失禁は特別な悩みではない　気づきにくい腸のサイン

このページでは『きょうの健康（2025年12月22日放送）』の内容を分かりやすくまとめています。
便や腸のトラブルの中でも、便失禁は人に相談しづらく、一人で抱え込みやすい症状です。ですが番組で伝えられている通り、シニア世代だけでなく、仕事や家事に忙しい世代にも広がっている身近な問題です。この記事を読むことで、便失禁とはどのような状態なのか、なぜ起こるのか、そして日常生活で何ができるのかを整理して知ることができます。

便失禁とは何か　症状と悩みの広がり

便失禁とは、自分の意思とは関係なく、または無意識のうちに、肛門から便やガスが漏れてしまう状態を指します。トイレに行こうとしたものの間に合わなかったり、下着が汚れてから初めて気づいたりするケースもあります。排便は日常的な体の働きですが、それを自分でコントロールできなくなることで、外出や仕事、人付き合いに不安を感じる人も少なくありません。
症状の出方には個人差があり、少量の便が付着する程度の人もいれば、突然強い便意に襲われて我慢できない人もいます。「便意があるのに間に合わない」切迫性のタイプと、「気づかないうちに漏れてしまう」漏出性のタイプがあり、どちらも生活の質に影響しやすい点が共通しています。こうした悩みは珍しいものではなく、年齢に関係なく広がっていることが番組でも伝えられています。

便失禁が起こる主な原因と体のしくみ

便失禁が起こる背景には、体のさまざまな変化が関係しています。肛門を締める役割を持つ肛門括約筋や、内臓を下から支える骨盤底筋の力が弱まると、便をためておく力が十分に働かなくなります。加齢による筋力低下だけでなく、出産や手術をきっかけに筋肉や神経の働きが変化することもあります。
また、便そのものの状態も大きな要因です。下痢のように軟らかい便は直腸にたまりやすく、急に便意が強まるため我慢が難しくなります。一方で、硬い便が直腸にたまると、その周囲から軟らかい便が漏れ出すこともあります。さらに、神経の働きが弱まることで便意を感じにくくなったり、締める力がうまく伝わらなくなったりする場合もあり、複数の要因が重なって起こることが多いのが特徴です。

排便日誌で見えてくる自分の排便パターン

排便日誌は、便失禁への対策を考えるうえで重要な手がかりになります。排便した時間、便の硬さや量、漏れの有無、その日の食事内容や水分のとり方などを継続して書き留めていきます。特別な形式でなく、簡単なメモでも構いません。
記録を続けることで、自分の排便のリズムや、どのようなタイミングで症状が起こりやすいのかが分かってきます。朝に多いのか、食後に起こりやすいのかなど、傾向が見えてくることで対策を立てやすくなります。医療機関を受診する際にも、排便日誌があることで状況を具体的に伝えやすくなり、検査や治療の方針を決める助けになります。

食事と排便習慣でできる日常生活の対処法

日常生活でできる対処法として、食事と排便習慣の見直しが欠かせません。便の状態を安定させるためには、食物繊維を含む食品を意識してとり、水分を適切に補給することが大切です。便が軟らかくなりすぎる人は、下痢を起こしやすい食品や飲み物を知り、控える工夫も役立ちます。
排便習慣では、毎日できるだけ同じ時間帯にトイレに座ることがポイントです。便意を感じた時に無理に我慢せず、落ち着いて排便することで、腸のリズムが整いやすくなります。直腸内に便が長く残る状態を避けることが、便失禁の予防や症状の軽減につながるとされています。

医療機関で行われる検査と相談の目安

生活の工夫だけで便失禁が改善しない場合や、症状が続く場合には、医療機関での相談が選択肢になります。診察では、肛門や直腸の状態を確認し、筋力や感覚の状態を調べることがあります。これにより、どの部分に問題があるのかを把握します。
さらに詳しく調べる必要がある場合には、超音波検査や排便造影検査などが行われ、肛門括約筋や直腸の動きが評価されます。こうした検査結果をもとに、生活指導や治療の方向性が検討されます。便失禁が頻繁に起こる、外出や仕事に支障が出ている、皮膚のただれなどのトラブルがある場合は、早めに相談することが大切です。

まとめ

便失禁は誰にでも起こりうる腸のトラブルで、年齢や生活背景を問いません。排便日誌で自分の状態を知り、食事や排便習慣を整えることが、日常生活でできる第一歩です。必要に応じて医療機関の検査を受けることで、原因に合った対策につなげることができます。
この記事は放送前の情報をもとに作成しているため、放送後に内容が分かり次第、書き直しを行います。

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排便日誌を続けるコツは「がんばらない書き方」にあります

しげゆき

排便日誌は、便や腸の状態を知るための大切な手がかりになりますが、最初から完璧に書こうとすると続きません。ここでは、日常の中で無理なく続けやすくするための書き方の工夫を、追加情報として紹介します。ポイントは、続けること自体を目標にしないことです。

書く内容は最低限に絞ります

排便日誌は、たくさん書けばよいものではありません。排便した時間、便の硬さ、漏れがあったかどうかなど、その日を振り返って分かる最低限の情報だけで十分です。細かく書こうとすると負担になりやすく、三日坊主の原因になります。短い言葉や印を使うだけでも、あとから見返すと十分な記録になります。

生活の流れの中に組み込みます

排便日誌を続けるためには、「特別な時間」を作らないことが大切です。トイレを使ったあと、朝の支度のついで、寝る前の数分など、すでに毎日行っている行動とセットにすると忘れにくくなります。書くタイミングを決めておくことで、自然と習慣になっていきます。

見える場所に置いて思い出します

排便日誌は、引き出しの奥にしまうと存在を忘れがちです。机の上やバッグの中、家でよく目に入る場所など、視界に入りやすい場所に置くことで、書くきっかけが増えます。書き忘れても気にしすぎず、思い出した時に記録すれば十分です。

小さな気づきを大切にします

数日続けるだけでも、便の時間帯や状態に傾向が見えてくることがあります。「この時間帯は落ち着いている」「水分を多めにとった日は調子がよい」など、小さな変化に気づくことが、続ける力になります。完璧な日誌よりも、自分の体を知るためのメモとして向き合うことが大切です。