フェイク・バスターズ2025 “真実”がつくれる時代に?
このページでは『フェイク・バスターズ(2025年12月22日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
生成AIやSNSが当たり前になった今、「何が本当で、何を信じればいいのか」が揺らぐ時代に、私たちはどう向き合えばいいのか。番組で紹介された実例や専門家の見解を通して、そのヒントが示されました。
巨大災害の予言がSNSで広がった背景
番組で最初に強く取り上げられたのが、巨大災害の予言がSNSで一気に広がった問題です。発端は一冊の漫画でしたが、その内容の一部が切り取られ、「7月5日に巨大災害が起きる」という形で独り歩きしました。SNSでは日時や場所が具体的に書かれた投稿が次々と共有され、不安をあおる情報として拡散していきました。
この噂は日本国内にとどまらず、海外にも広がり、鹿児島県の指宿など観光地では予約のキャンセルや旅行の見合わせが起きるなど、実際の経済活動にも影響が出ました。専門機関が繰り返し「高精度の災害予知は現時点では不可能」と説明しているにもかかわらず、SNS上では公式情報よりも刺激の強い噂のほうが早く広がってしまいます。
伊藤昌亮は、SNSの登場によって噂の広がり方が過去とは比べものにならないほど変わったと語り、事実と推測の境目が見えにくくなっている現状に警鐘を鳴らしました。フェイク情報が社会に与える影響の大きさを、現実の出来事として示した場面でした。
生成AI動画がフェイクを日常にしている現実
次に紹介されたのが、生成AIによるフェイク動画の氾濫です。映像や音声を本物のように作れる技術が急速に広がり、SNSには見ただけでは真偽が分からない動画が増えています。番組では、実際に生成AI動画を投稿している男性への取材を通して、特別な知識がなくても誰でもフェイク動画を作れてしまう現実が示されました。
こうした動画は、事故や災害、社会不安に関わる内容ほど注目を集めやすく、TikTokなど拡散力の高いプラットフォームでは一気に広まります。本物の映像だと信じた人がさらに共有することで、誤情報が事実のように定着してしまう流れが生まれます。
宇野常寛は、個人が注意するだけでは限界があり、プラットフォーム側がより踏み込んだ対応を取らなければ、フェイク動画は今後さらに増えていくと指摘しました。便利さの裏側で、フェイク情報が日常に溶け込んでしまっている現状が浮き彫りになりました。
不確かな情報を信じてしまう人の心理
なぜ人は、不確かな情報を信じてしまうのか。番組ではこの問いに対して、専門家のフェリックス・スペックマン博士が心理学の視点から解説しました。博士が紹介したのが「繰り返しによる真実効果」です。同じ内容を何度も目にすると、正しいかどうかを考える前に「本当らしい」と感じてしまう人間の性質です。
SNSでは、似たような投稿や動画が次々と流れてくるため、この効果がより強く働きます。番組内で行われた45人を対象にした実験では、繰り返し提示された情報ほど信じられやすくなる傾向がはっきりと示されました。
この結果は、特定の人だけがだまされるのではなく、誰もがフェイク情報に引き寄せられる可能性を持っていることを意味します。自分は大丈夫だと思い込むこと自体が、危うさにつながるという点が強調されていました。
SNSが家族関係に与える影響
番組の中盤では、SNSが家族関係にまで影響を及ぼす事例が紹介されました。「母親が変わってしまった」という女性の悩みは、フェイク情報が個人の考え方だけでなく、家庭の中の空気まで変えてしまうことを示しています。
母親はSNSで特定の情報ばかりを見るようになり、次第に考え方が極端になっていきました。この様子はマンガ形式で紹介され、日常の中で少しずつ価値観がずれていく過程が伝えられました。
後半では、娘が一方的に否定するのではなく、情報を整理しながら母親と向き合い、方向性を変えようと努力している姿も描かれています。フェイク情報は社会問題であると同時に、家族の関係にも静かに入り込む存在であることが印象づけられました。
外国人不安とデータの食い違い
後半の大きなテーマは、SNSをきっかけに広がった外国人不安です。外国人の受け入れに反対するデモが全国で起き、自治体にも誤解に基づく問い合わせが相次ぎました。
モハメッド・ナズィールさんは、地元のイスラム教徒のためにモスクを建て、日本人と大きなトラブルなく暮らしてきたにもかかわらず、SNS上では誹謗中傷を受けるようになったと語っています。
番組では、「外国人が増えたから治安が悪くなった」という情報が広まりやすい一方で、実際のデータでは在留外国人が増えても犯罪の検挙人数は減少傾向にあることが示されました。伊藤昌亮は、ひとつの事実から話を広げすぎ、全体像を作ってしまう危険性を指摘し、数字と印象のずれに注意する必要性を強調しました。
フェイクに飲み込まれないために大切な視点
番組の終盤では、フェイク情報にどう向き合うかが整理されました。重要なのは、ひとつの事実を見たときに「そこから話を広げすぎていないか」を自分で確かめることです。また、人は誰でもフェイクを信じやすい性質を持っていると理解することが、予防につながると伝えられました。
すぐに白黒をつけようとせず、あいまいな状態に耐える姿勢も大切だとされています。情報が多い時代だからこそ、結論を急がないことが自分を守ることにつながります。
エンディングで宇野常寛は、これからの時代は昔の100倍、200倍慎重になる必要があると語りました。フェイク・バスターズが示したのは、特別な人だけの話ではなく、日常の中で一人ひとりが意識すべき視点でした。
NHK【所さん!事件ですよ】AIも鑑定士もダマされる!?スーパーコピー・偽スニーカーのリアルとは|2025年8月2日放送
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