記事内には、広告が含まれています。

【グレーテルのかまど】萩原朔太郎と大正時代のワッフル文化を探る|2025年4月14日放送

レシピ

萩原朔太郎のワッフル

2025年4月14日(月)22:00より、NHK Eテレで放送予定の『グレーテルのかまど』では、「萩原朔太郎のワッフル」がテーマに選ばれました。近代詩の先駆者として知られる萩原朔太郎は、詩の中で甘味や西洋文化への憧れを綴ってきました。今回の放送では、彼が記した「その手は菓子である」という詩の一節からインスピレーションを受け、彼の心に映っていたお菓子「わっぷる」の姿に迫ります。

萩原朔太郎とはどんな人物?

萩原朔太郎(1886年~1942年)は、群馬県前橋市に生まれ、日本近代詩に革命をもたらした詩人です。彼はそれまでの定型詩の世界を大きく塗り替え、口語自由詩という新しい表現の形を確立しました。代表作には『月に吠える』『青猫』『純情小曲集』などがあり、とくに『純情小曲集』に収められた詩「旅上」は、彼の人生観と世界観を象徴する作品として広く知られています。

その「旅上」の中でも有名な一節が「ふらんすへ行きたしと思へども、ふらんすはあまりに遠し」です。ここに込められているのは、現実の制限と、心の中の無限の憧れとのギャップです。朔太郎は実際に海外に行った経験はありませんが、フランスなどの西洋文化には深い関心を持ち、詩の中にしばしば異国への想いを描きました。

西洋文化の入口・銀座とのつながり

明治から大正にかけて、東京・銀座は西洋文化の発信地として注目を集めていました。近代的な建築や電灯、洋服、そして洋菓子が並び、まさに「文明開化の象徴」ともいえる街でした。

朔太郎もその銀座に強い関心を寄せていました。群馬から東京に移り住んで以降、彼は銀座に足繁く通い、カフェや書店、洋菓子店などを訪れたとされます。そこには詩人や画家、思想家などが集い、自由に文化や思想を語り合う場所が広がっていました。銀座という空間は、朔太郎にとって異国の空気を感じられる、心の旅先だったのかもしれません。

日本にやってきた“わっぷる”とは?

ワッフル、または当時「わっぷる」と呼ばれていたこのお菓子は、19世紀末から20世紀初頭に欧米から日本に伝わった洋菓子のひとつです。銀座の洋菓子店では、バターの香りが漂うふわふわの焼き菓子が人気を集め、ワッフルもその中で多くの人に親しまれていきました。

今回の番組では、朔太郎がどのようなワッフルを好んだのかを探りながら、当時の“わっぷる”を再現する試みに挑戦します。番組で紹介されるのは、日本で独自に発展したふんわりとしたスポンジのような生地のワッフルです。中にはあんずのジャムがたっぷりと挟まれ、甘酸っぱさとやわらかな生地の組み合わせが懐かしい味を呼び起こします。

このようなスタイルのワッフルは、現代のベルギーワッフルとは異なり、日本での洋菓子文化と和の感覚が融合した独特の存在として発展してきました。銀座でそのような甘味に触れた朔太郎が、詩の中に「その手は菓子である」と記したのは、ただの比喩表現ではなく、具体的な体験と感覚から生まれた言葉だった可能性もあります。

「その手は菓子である」という詩の意味

朔太郎が残した「その手は菓子である」という詩の一節は、非常に詩的で象徴的な表現です。この言葉は単に「手がお菓子のようだ」というだけでなく、「愛情」や「ぬくもり」など、目に見えないものの象徴として解釈されています。

お菓子は甘く、やさしく、人を癒やすもの。そのような存在としての“手”を描いた詩は、彼の内面にある人間へのまなざしのやさしさ、日常の小さな喜びへの鋭い感受性を示しているともいえます。この詩とワッフルというテーマを組み合わせた今回の放送は、文学と食という異なる分野が交差する、深みのある内容になることが予想されます。

グレーテルのかまど「ワッフル」のレシピ

今回のレシピは、詩人・萩原朔太郎の世界観に通じるようなふわふわの生地と、やさしく甘酸っぱいアンズのジャムが主役です。前橋特産のいちごジャムも使われており、地元への思いも感じられる仕上がりになっていました。ここでは、放送内容をもとに材料と作り方を詳しくご紹介します。

材料(10個分)

【ワッフル生地】
・全卵:100g(Mサイズ約2個分)
・グラニュー糖:50g
・薄力粉:70g
・ベーキングパウダー:2g
・バニラエッセンス:少量
・無塩バター:15g
・牛乳:30g

【アプリコットジャム】
・冷凍アプリコットハーフ:250g
・グラニュー糖:150g+5g(ペクチン混合用)
・ペクチン:2g
・レモン果汁:小さじ1

作り方

まず薄力粉とベーキングパウダーをふるいにかけて混ぜておきます。
・ボウルに卵とグラニュー糖を入れ、60℃程度の湯せんで人肌まで温めながら混ぜます。
・湯せんから外し、白くふんわりするまで泡立てたら、最後に低速で泡を整えます。
・バニラエッセンスを加え、ふるった粉類を加えて全体が均一になるまで混ぜます。
・温めたバターと牛乳をゴムべらに沿わせて加え、大きく切るように混ぜ、生地を仕上げます。
・弱火で熱したワッフル型に生地を流し入れ、ふちが色づいたら裏返して両面にきれいな焼き色をつけます。
・焼き上がったらすぐにラップに包み、水分を保ったまま冷まします。

・冷めたワッフルは軽く折り曲げて仕上げに使います。

【ジャムの準備と仕上げ】

・アプリコットとグラニュー糖150gを混ぜて冷蔵庫で一晩おきます。
・別のボウルでペクチンと残りのグラニュー糖5gを混ぜておきます。
・翌日、アプリコットを耐熱容器ごと電子レンジで温め、80℃程度まで加熱します。
・ミキサーで細かくし、ペクチンと混ぜたグラニュー糖を加えてしっかり混ぜます。
・鍋に移して中火で加熱し、沸騰してからさらに1分間しっかりと混ぜ続けます。
・その後は弱火にして煮詰め、とろみがついてきたら火を止めてレモン果汁を加えます。
・最後に再加熱してひと煮立ちさせたら、ツヤとコクのある自家製ジャムの完成です。

【盛り付けとポイント】

・焼きあがったワッフルにジャムをたっぷりと挟み、ふっくらと折りたたむようにして仕上げます。
生地は冷めると固くなりやすいため、焼きたて〜常温で食べるのがベストです。
・ジャムは水分多めに仕上がっており、冷蔵で数日保存できますが、なるべく早めに楽しむのがおすすめです。

今回のレシピは、やわらかい甘さとふわっとした軽やかさの中に、詩人・朔太郎が感じた「遠き異国」へのあこがれが込められているようでした。食感と香りが詩の一節を思わせるような一品。おもてなしや休日のおやつにもぴったりな、心なごむお菓子です。放送を参考に、ぜひご家庭でもお試しください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました