命を救ういびきのトリセツSP
NHK総合で4月24日(木)19:30から放送される『あしたが変わるトリセツショー』は、「いびき」に隠された命の危険に迫る45分間の特別編です。放送では、高血圧や糖尿病、認知機能の低下などにつながる睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、医学的な知見やセルフチェック法、対策法が紹介されます。出演は石原さとみさん、阿佐ヶ谷姉妹、こがけんさんなど。放送後にはさらに詳しい内容を更新予定です。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に何度も呼吸が止まる病気です。多くの人が自覚のないまま過ごしており、そのあいだに体に深刻なダメージが蓄積されていくことが問題です。症状は静かに進行し、気づいたときには生活習慣病や脳・心臓の病気につながっていることもあります。
・高血圧の発症や悪化の原因になる
睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素が不足します。すると体が「もっと酸素を送らなきゃ」と緊張状態になり、交感神経が刺激されます。その結果、血管が収縮して血圧が上がります。夜間の無呼吸が何度も起こると、慢性的な高血圧へとつながります。
・糖尿病のリスクも上がる
睡眠が浅くなると、血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなります。体がうまく糖を処理できず、血糖値が高い状態が続くことで糖尿病を発症しやすくなります。すでに糖尿病の人にとっても、睡眠の質の悪さは血糖コントロールを乱す原因となります。
・認知機能の低下につながる
呼吸が止まると酸素が脳に届きにくくなります。すると、脳が夜じゅう酸欠状態になり、記憶力や集中力が低下します。特に高齢者では、認知症のリスクが高まるといわれています。朝起きたときに「頭がぼんやりする」「すっきりしない」という感覚は、その初期サインかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群の特徴は、静かに進行しながらも体全体に負担をかける点です。夜ぐっすり寝ているつもりでも、体の中では「酸素が足りない」「緊張状態が続く」など、休息とは逆の状態になっているのです。日中に強い眠気がある人、家族に「いびきが大きい」「息が止まっている」と言われたことがある人は、早めのチェックが大切です。
5秒でできる簡単リスクチェックとは?
今回の放送では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクをたった5秒で確認できるチェック法が紹介される予定です。チェック内容はとてもシンプルですが、実際にSASの傾向がある人に多く見られる特徴が詰まっています。以下の5つの項目に当てはまるか、自分に問いかけてみてください。
・寝ている間に大きないびきをかいていると言われたことがある
特に「壁の向こうにも聞こえる」「地響きみたい」と言われた経験がある場合は注意が必要です。いびきは呼吸がスムーズにできていないサインのひとつです。
・昼間、何度も眠くなる・ウトウトしてしまう
仕事中や授業中、運転中などに意識が飛びそうになることがあれば、睡眠の質がかなり悪化している可能性があります。
・「寝ているときに呼吸が止まっていた」と周りから言われたことがある
これが最も分かりやすいSASの兆候です。自分では気づけないため、家族やパートナーからの指摘はとても重要な情報です。
・現在、高血圧の薬を飲んでいる、もしくは治療中である
高血圧とSASは密接な関係があるといわれています。原因がはっきりしない高血圧の場合は、SASの疑いも視野に入れて検討することが勧められています。
・首回りのサイズが40cm以上ある(男性の場合)
これは一見意外な指標ですが、首が太いほど気道が狭くなりやすく、無呼吸のリスクが高まるという研究があります。特に太り気味でなくても、筋肉質な人も注意が必要です。
この5つのうち3つ以上に当てはまる人は、SASのリスクが高い可能性があります。番組内では、このチェックを見ながら一緒に確認できるようになっており、視聴者自身がその場で健康と向き合える内容になると予想されています。何気ない症状でも、重なることで体への負担は大きくなっていきます。気になる点がある人は、早めに専門医に相談することが大切です。
日本人に多い“意外な原因”とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は太っている人に多いと思われがちですが、日本人に特有の体のつくりが、実は大きな要因になっていることが分かっています。見た目では分かりにくいリスクがあるため、本人が気づかないまま症状が進んでいるケースもあります。
・日本人は欧米人に比べて顎が小さく、下顎が後ろに引っ込んでいる人が多い
この骨格の特徴により、舌が寝ている間に喉の奥へ落ち込みやすくなります。その結果、気道が狭くなって空気が通りづらくなり、いびきや無呼吸が起こりやすくなります。痩せていても、顎の形だけでリスクが上がるというのは意外に感じる人も多いはずです。
・鼻炎やアレルギーによる鼻づまりがあると、自然と口呼吸が増えてしまう
口で呼吸をするようになると、舌の位置が下がり、気道のスペースがさらに狭くなります。特に、季節性アレルギーや慢性鼻炎を持つ人は、知らず知らずのうちに口呼吸がクセになっていることがあります。
・就寝前の飲酒や喫煙も、のどの筋肉をゆるめる原因に
お酒を飲むとリラックスしますが、同時に**のどの筋肉もゆるんでしまい、気道が塞がれやすくなります。**また、タバコは気道に炎症を引き起こし、呼吸を妨げる原因となります。これらの習慣は、見た目では判断できない「隠れリスク」といえます。
つまり、肥満ではなくても、骨格や生活習慣、アレルギー体質などが重なって無呼吸を引き起こすことがあるということです。こうした背景を持つ日本人は特に注意が必要であり、番組でもこの点が強調されると見られています。“自分は大丈夫”と油断せず、一度セルフチェックをすることが大切です。
松尾芭蕉もいびきに悩んでいた?
歴史上の人物である松尾芭蕉も、「いびき」と無縁ではなかったとされるエピソードがあります。といっても、芭蕉自身がいびきに悩んでいたというよりも、旅をともにした弟子のいびきに苦しめられていたという内容です。
・弟子の中でも特に知られているのが万菊丸(ばんぎくまる)という人物で、芭蕉は彼とともに長い旅に出ることがありました。ある夜、万菊丸のあまりに大きないびきに眠れなかった芭蕉は、その様子をただ我慢するだけではなく、絵や文に残すという俳人らしい方法で表現したとされています。
・芭蕉が描いたとされる戯画では、いびきの音の強弱や波のような響き方が線や図として描かれており、まるで詩のリズムを視覚的に捉えたような表現となっています。これにより、芭蕉の感性が「うるさい」という単なる不満を超えて、芸術に昇華されていたことがわかります。
専門家おすすめの簡単セルフケア2選
番組では、自宅でもできる専門家推奨のいびき対策法が2つ紹介される予定です。
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「口閉じテープ」で鼻呼吸を促す 唇に貼るだけで口呼吸を防ぎ、いびきを減らす手軽なアイテム。鼻づまりのない人に特に有効です。
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「舌の筋力トレーニング」で喉の気道を広げる 舌を前に突き出したり、上顎に押し付けたりするトレーニングを1日数回行うだけで、舌が喉奥に落ち込むのを防ぐ効果が期待できます。
出演者とトリセツ流チェックの楽しみ方
今回の放送には、石原さとみさんをはじめ、阿佐ヶ谷姉妹やこがけんさんなどが出演。バラエティ要素を交えながら、**正しい健康知識と予防のためのトリセツ(取扱説明書)**をわかりやすく紹介してくれる内容です。
番組と一緒に、自分自身のいびきの状態を確認しながら進められる「トリセツ流チェックシート」も登場予定。視聴者参加型の構成で、楽しみながら健康を学べる点が魅力です。
この特集は、ただの生活音と思われがちないびきが、重大な命のサインになり得るという事実を、誰にでもわかりやすく伝える構成になっています。今後の生活習慣を見直すためにも、家族と一緒に番組を見ながらチェックしてみるのがおすすめです。
放送後、詳しい内容が分かり次第、最新の情報を更新します。
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