中継『高遠そば』福島・下郷町とは
江戸時代の宿場町の風情を色濃く残す福島県南会津郡下郷町・大内宿。ここで味わえる名物料理が『高遠そば(ねぎそば)』です。2025年のあさイチでは中継で紹介される予定で、そのユニークな食べ方と地域の歴史が再び注目を集めています。大内宿を歩くと、昔ながらの茅葺き屋根の街並みとともに、観光客の手に握られた長ネギが印象的。これは単なるパフォーマンスではなく、この地に根付いた食文化を物語る光景なのです。
特徴・食べ方
『高遠そば』最大の特徴は、白ネギを箸代わりに使ってそばを食べるスタイルです。最初は驚きますが、ネギでそばをつかみ、薬味としてかじりながら食べ進めることで、そばの風味とネギの辛味が混ざり合い、独特の味わいを生み出します。ネギは福島でも寒暖差のある土地で育つため甘みが強く、かじったときに広がる香りがそばの風味を引き立てます。
そば自体は、大根おろしの辛味とかつお節を添えたシンプルな仕立て。つゆはすっきりとしながらも力強い辛味が効いており、さっぱりと食べ進められます。一般的なざるそばやかけそばと違い、ピリッとした辛味がアクセントになるため、一度食べると忘れられない体験になります。
また、一部の店ではお箸を最初から用意せず、ネギ一本で食べるのが伝統的な作法とされています。ただ、観光客には難しいと感じることも多いため、途中から箸に切り替える人も少なくありません。この「挑戦感」もまた大内宿の名物体験のひとつです。
歴史・由来
『高遠そば』という名前には、信州・高遠藩との歴史的つながりが隠されています。江戸時代、会津藩主が高遠藩にゆかりを持っていたことから、この食文化が会津に伝わったとされます。大根おろしを薬味に使う食べ方は信州そばにも共通するスタイルで、それが会津に根付いた結果「高遠そば」と呼ばれるようになりました。
さらに、下郷町の記録によれば、会津地方ではかつて「そばがき」や「そばもち」が一般的でした。江戸時代初期に「きりそば」が広まり、大根おろしを添える形で食べられるようになったのが始まりとされています。この地域の厳しい気候風土が、そば文化を定着させた背景にあるのです。
提供店・三澤屋(みさわや)
『高遠そば』といえば、観光客の多くが訪れるのが三澤屋(みさわや)です。大内宿のほぼ中心に位置するこの老舗は、茅葺き屋根の古民家を改装した風情ある建物で営業。店内にはこたつ席もあり、冬の寒い時期でも温かく食事を楽しめます。
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住所:福島県南会津郡下郷町大内山本26-1
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電話:0241-68-2927
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営業時間:9:30〜16:00(水曜定休)
メニューでは『ねぎそば』の名で提供されることもありますが、正統派は『高遠そば』。観光ピーク時は数時間待ちになることも珍しくなく、整理券制度が導入される場合もあります。訪れる際は早めの時間帯に到着するのがベストです。
観光との結びつき
『高遠そば』は単なる名物料理にとどまらず、大内宿観光の象徴的な存在です。宿場町の街並みは江戸時代の情緒を残し、茅葺き屋根が立ち並ぶ通りとともに写真映えするスポットとしても人気。さらに周辺では、猿楽台地のそば畑が有名で、秋には白いそばの花が一面に咲き誇り、絶景を求める観光客でにぎわいます。
町全体がそば文化を大切にしており、季節ごとにそばまつりが開催されることも。大内宿を訪れる人にとって、『高遠そば』は食の体験と同時に、地域文化に触れる貴重な時間を提供してくれます。
まとめ
この記事のポイントは以下の3つです。
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福島・大内宿名物『高遠そば』は、白ネギを箸代わりに食べる独自のスタイルが最大の特徴。
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江戸時代の会津と信州の歴史的つながりから生まれた食文化であり、今も地域に根付いている。
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代表的な提供店「三澤屋」を中心に、観光と食を結び付けた体験型グルメとして人気を集めている。
『高遠そば』は、そばそのものの美味しさだけでなく、食べ方・風景・歴史を含めた「体験型グルメ」。大内宿を訪れるなら必ず味わっておきたい一品です。
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