高級マグロが捨てられる謎をつかむと見えてくる2025年の現実
本マグロは初競りで2億円以上の値がつく“海のダイヤ”。その一方で、現場ではせっかく網にかかったマグロが放流されたり、船上から捨てられたりする状況があります。この記事では、なぜそんな矛盾が生まれるのか、背景にある国際規制・資源管理・流通の問題、そして遠洋マグロ漁船へ若者が集まる新しい動きまでをまとめています。放送後には、番組内容を反映して記事を更新します。
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マグロが捨てられる事態が起きるまでの流れ
本マグロの価値は、寿司店や料理店の需要も相まって極めて高く、1本の価格が驚くほど跳ね上がります。にもかかわらず、捨てられるような状況が続くのは、太平洋クロマグロの資源が深刻に減少しているためです。過去には『未漁状態の数%』という分析が出たほどで、危機的な水準にまで落ち込んでいました。
この状況を受け、WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)やISC(北太平洋まぐろ類国際科学委員会)などの国際組織が、漁獲枠(TAC)やサイズ規制、未成魚の混獲対策を厳格化。これにより、漁師さんは「網に入ったからといって全部を獲っていいわけではない」という時代に入りました。
ここで問題になるのが“混獲”。定置網には狙っていない若いマグロがまとまって入ることがあります。漁獲枠を超えると違反になるため、市場に揚げることができず、結果として海へ戻す、もしくは廃棄せざるを得ないケースが増えているのです。
実際、2023年には定置網業者が「陸揚げしたくても規制でできず、廃棄に回した」という証言もあり、現場の苦しさが浮かび上がります。
世界で“捨てられるマグロ”が大量に発生している現実
マグロが捨てられるのは日本だけの問題ではありません。
世界のマグロ漁を対象にした調査では、ディスカード(未利用のまま捨てられる魚)は年間数十万トン規模にのぼるとも言われています。
ディスカードが増える背景には、
・規制と現場の運用のギャップ
・処理の手間とコスト
・報告義務の厳格化
・未成魚を獲るリスク
など、多くの要素が絡んでいます。
特に未成魚は成魚より価格が低く、売っても利益になりにくいため、「規制に触れるくらいなら捨てる方が経済的」という判断になってしまいがちです。
この構造が、マグロの価値と現場の実態の矛盾を生み出しています。
「とれ過ぎて困る」の意味は“獲ってはいけないから困る”
一見すると「豊漁で嬉しい」ような表現ですが、実際はまったく逆です。
漁師さんにとって「とれ過ぎる」ことは、
・規制枠を超える → 違反
・処理コスト増加 → 経営負担
・未成魚の混獲増 → 価格が安い
という“困る方向”に働いてしまいます。
さらに資源評価では、太平洋クロマグロの親魚量(SSB)は過去と比べてまだ低い状態。回復傾向にあるとはいえ、持続的な漁業のためには厳しい管理が不可欠で、2025年も慎重な運用が続いています。
闇マグロが生まれる背景にある“高すぎる価値”
マグロ資源は世界的に見ても非常に価値が高く、特に本マグロは一流店の需要によって価格が跳ね上がることがあります。
これが違法・未報告・無規制(IUU)漁業の温床になります。
日本に輸入される水産物の24〜36%が違法・未報告品である可能性があるという研究もあり、マグロはその中でも狙われやすい存在です。
闇マグロが流通してしまう理由には、
・莫大な利益が出る
・漁獲報告をしなくてもバレにくい
・混獲の事実を隠せる
・漁場や方法をごまかしやすい構造がある
という現実があります。
放流・廃棄されたマグロが、別ルートで売買される懸念もあり、トレーサビリティ強化が急務とされています。
遠洋マグロ漁船に若者が増えている新しい潮流
かつて遠洋漁船といえば“きつい・危険・孤独”といったイメージがありましたが、2020年代後半に入り大きな変化が始まっています。
日本マグロ漁業協同組合連合会が導入したVR体験では、実際の漁船の作業風景がリアルに再現され、これが高校生・水産高校生に好評。
「思っていたより近代的」「海で働く仕事に興味がわいた」という声が増えています。
若者が遠洋マグロ漁船に乗り込む理由としては、
・漁業界の人材不足を背景に待遇改善が進む
・衛星通信などの導入で船上の通信環境が改善
・海外での経験や成長環境が魅力に映る
・“古い体質の仕事”というイメージが薄れつつある
など、時代の変化が大きく関係しています。
特に通信環境の改善は大きな転換点で、家族と連絡をとりやすくなることが、応募のハードルを下げています。
マグロをめぐる課題は複雑に絡み合っている
高級マグロが捨てられるという、にわかには理解しがたい現象の裏には、
・国際的な資源管理
・厳しい漁獲枠
・混獲の増加
・経済的な判断
・違法流通の存在
・漁業の人手不足
など、複数の問題が同時に存在しています。
2025年の今も、海の資源管理は世界中の課題であり、日本のマグロ漁もその大きな渦の中にあります。
持続可能な資源と漁業経営、正規流通の確保、そして若者の参入という3つのポイントが、これからのマグロ産業を左右していきます。
番組が放送されたら、現場の声や具体的な事例を加えて内容を更新し、さらに精度の高い記事に仕上げます。
【カズレーザーと学ぶ】サバがマグロを育てる!?世界初の技術と野菜が変える“未来の食卓”完全ガイド|2025年7月15日放送
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