「帯状ほう疹」痛みの正体と若い世代に増える理由
最近、若い世代の間でも「帯状ほう疹(たいじょうほうしん)」にかかる人が急増しています。なんとなく体がだるい、肩が重い、肌がピリピリ痛む……そんなサインを「疲れのせい」と思っていませんか?実はその違和感こそ、体の中に潜んでいたウイルスが再び動き出した合図かもしれません。
多くの人が子どもの頃にかかった水ぼうそう。その原因ウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」は、治った後も体の神経節の奥にひそみ続けます。そして、ストレス・睡眠不足・免疫力の低下などをきっかけに再び活性化し、皮膚の神経を傷つけながら炎症を起こすのです。
NHK【あしたが変わるトリセツショー】痛みよさらば!改訂版「ひざ若返り」|ゆる屈伸×足首クロス×内側広筋で軟骨のハリ復活!|2025年11月6日
若者にも急増!その背景にある3つの変化
かつて帯状ほう疹は「高齢者の病気」とされていました。ところが最近では、20代〜40代の発症率が目立って上がっています。医療データ分析会社メディカル・データ・ビジョン株式会社(MDV)の調査では、「80歳までに3人に1人が発症する」と推計され、若年層でも無関係ではない現実が見えてきました。
若者の発症が増えている理由は、大きく3つあります。
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免疫の再刺激(ブースター効果)が減ったこと
2014年に日本で水痘ワクチンが定期接種化され、子どもの水ぼうそうが激減しました。その結果、かつては親や祖父母が子どもからウイルスをもらって免疫を再活性化していた仕組みがなくなり、大人の免疫力が徐々に下がっていると考えられています。済生会の医療コラムでは、これが「若年層でも発症しやすくなった背景のひとつ」と説明されています。 -
ストレス・睡眠不足・疲労の積み重ね
働き盛りの世代は、長時間労働や睡眠不足、デジタルデバイスによる生活リズムの乱れなど、免疫力を低下させる要因が多いです。いとうペインクリニックでは、精神的ストレスと帯状ほう疹の発症には明確な関連があるとし、「現代型ストレス病」として警戒を呼びかけています。 -
生活環境の変化と免疫の偏り
リモートワークや運動不足、食生活の偏りなどによって、免疫の働きがアンバランスになっている人が増えています。若いから大丈夫、と思い込みがちな世代こそ、免疫の落ち込みを自覚しづらい傾向があります。
これらの要因が重なり、「ストレス社会+免疫低下」=帯状ほう疹リスクの上昇という構図が生まれているのです。
発疹が出る場所に注意!思わぬ“落とし穴”とは
帯状ほう疹という名前の通り、多くの場合、胸や背中、腹部などに帯状に発疹が現れます。しかし近年、若い世代では顔・頭皮・耳の中・首・腕・太もも・手足など、意外な場所に症状が出るケースも増えています。
メディカル・データ・ビジョン株式会社(MDV)のデータによると、特に顔や耳の中に発疹が出た場合、視力障害・難聴・顔面神経麻痺を引き起こす危険があるとのこと。これは、ラムゼイ・ハント症候群として知られる重い合併症で、芸能人の発症報告で話題になったこともあります。
また、発疹の出る前に現れるピリピリした神経痛が見逃されやすいのも特徴です。多くの人が「肩こり」「疲労」「筋肉痛」と勘違いし、市販の湿布薬や鎮痛薬で済ませてしまいます。中村AJペインクリニックによると、この段階で受診が遅れると、ウイルスが神経を傷つける時間が長くなり、結果的に強い痛みや後遺症につながる危険性が高まるといいます。
放置は危険!治療が遅れるとどうなる?
帯状ほう疹は、発疹が出てから72時間以内に治療を開始することが最重要。この“3日ルール”を過ぎると、神経へのダメージが進み、痛みが長引いたり後遺症が残ったりするリスクが高まります。
天神皮ふ科によると、抗ウイルス薬を早期に服用することで、ウイルスの増殖を抑え、皮膚や神経の回復を促すことができます。さらに、鎮痛薬や神経ブロック注射などを併用することで、痛みのコントロールも可能になります。
しかし、治療が遅れると、皮膚が治っても痛みだけが残る「帯状ほう疹後神経痛(PHN)」に移行することがあります。この状態では、皮膚に何も触れていなくても電気が走るような痛みを感じたり、衣服が触れるだけで激痛になることもあります。宗仁会ひまわり内科皮膚科の調査では、PHNの患者は発症後半年以上痛みが続くケースが多く、仕事や睡眠、生活の質に大きな影響を及ぼしているといいます。
ワクチンで守る!帯状ほう疹の予防と再発防止
現在、日本では50歳以上を対象に帯状ほう疹ワクチンの接種が可能です。ドクターズ・ファイルによれば、ワクチンを接種することで発症率を50〜90%減らすことができ、また発症しても症状を軽く抑える効果が確認されています。
厚生労働省の資料では、ワクチンを接種した人の方が後遺症(PHN)の発症リスクも大幅に低下することが示されています。ワクチンは「生ワクチン(1回接種)」と「不活化ワクチン(2回接種)」の2種類があり、特に後者は効果が10年以上持続するとされています。
若年層への接種はまだ一般的ではありませんが、医師によっては「免疫力の低下を感じる人」「過労・ストレスの多い人」などに対して、早めの相談を勧めています。
免疫を保つ生活習慣でウイルスを封じ込める
帯状ほう疹を防ぐもう一つの鍵は、日常生活で免疫力を保つことです。忙しい毎日の中でも次の4つを意識するだけで、リスクを大きく下げることができます。
・睡眠をしっかりとる(6〜8時間を目安に)
・バランスの良い食事を心がける(たんぱく質・ビタミン・ミネラルを意識)
・適度な運動を続ける(ウォーキングやストレッチで血流改善)
・ストレスをためこまない(趣味や深呼吸でリセット)
いとうペインクリニックでは、これらの基本的な生活リズムを守ることが、帯状ほう疹の再発防止にもつながると指摘しています。ウイルスは一度抑え込んでも、再び免疫が下がれば活動を始めるため、「体を休める=最大の予防」という意識が大切です。
放送後に追記予定:最新の治療法と医師の声
2025年11月13日放送のあしたが変わるトリセツショーでは、「3人に1人が発症予備群」といわれる帯状ほう疹をテーマに、87人の経験者に徹底取材した結果が紹介されます。どんな症状が初期サインだったのか、治療が遅れてしまった人の共通点、そして最新のワクチン情報や神経痛を抑える新技術など、気になる内容が明かされる予定です。
この記事では、放送後に番組内容をもとに専門家のコメントや治療法の詳細を追記します。最新情報を加え、より具体的な予防と対策を紹介していく予定です。
まとめ
この記事のポイントは次の3つです。
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帯状ほう疹は誰にでも起こる可能性のある病気で、若い世代でも急増中。
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発症から72時間以内の治療開始が、神経の損傷を防ぐ最大の鍵。
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ワクチン接種と生活習慣の改善で、発症や再発を大幅に減らせる。
体の違和感を「ただの疲れ」と見過ごさず、早めに医師に相談することが何よりの予防です。痛みが出てからではなく、“なる前に備える”。これが、未来の自分を守る最善の方法です。
参考ソース一覧
・帯状疱疹予防.jp|帯状疱疹の原因から症状・予防について
https://taijouhoushin-yobou.jp/
・天神皮ふ科|帯状疱疹の治療と抗ウイルス薬について
https://tenjin-hifuka.com/
・済生会|水痘ワクチン定期接種と免疫ブースター効果の変化
https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/shingles/
・いとうペインクリニック|ストレスと帯状疱疹の関係
https://ito-pain.com/blog/post-131/
・メディカル・データ・ビジョン株式会社(MDV)|帯状疱疹の発症データ・年代別推移
https://www.mdv.co.jp/press/2025/detail_2528.html
・宗仁会ひまわり内科皮膚科|帯状疱疹後神経痛(PHN)の実態と治療法
https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/postherpetic-neuralgia/
・帯状疱疹.jp|顔面神経麻痺やラムゼイ・ハント症候群のリスク
https://taijouhoushin.jp/
・中村AJペインクリニック|初期症状と見逃しやすい落とし穴
https://www.aj-clinic.com/column/2982/
・厚生労働省|帯状疱疹ワクチンの効果と公費助成情報
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001328135.pdf
・ドクターズ・ファイル|帯状疱疹ワクチン(シングリックス)の効果と持続期間
https://doctorsfile.jp/h/184870/mt/1/
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