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Eテレ【サイエンスZERO】Tレグが“自己と非自己”をどう識別するのか?末梢性免疫寛容の正体と『鈍・根・運』研究者が語る発見の物語|2025年11月30日

サイエンスZERO
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ノーベル生理学医学賞の衝撃 Tレグ発見が変えた“免疫の常識”

坂口志文さんがノーベル生理学・医学賞に選ばれたことで、長年の免疫学研究が一気に注目を集めています。今回のサイエンスZEROは、このTレグ発見の物語を、研究人生の深い葛藤、Tレグの“実物”を目にする研究室取材、そして未来のがん治療まで、多面的に切り込む特集となっています。

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Tレグとは?免疫の中でひっそり働く“ブレーキ役”

番組では最初に、免疫細胞のひとつであるTレグがどのような細胞なのかが丁寧に紹介されます。

Tレグは『制御性T細胞』とも呼ばれ、異物と戦う通常のT細胞とは異なり、免疫が暴走しないように抑える働きを持ちます。私たちの体は、外敵と戦う“攻撃の免疫”と、自分を守る“抑制の免疫”のバランスで成り立っており、この抑制側を担う中心がTレグです。

この機能が弱まると、自分自身の細胞に攻撃してしまう自己免疫疾患につながります。反対に、働きすぎるとがんを守ってしまう一面もあるため、まさに免疫の中の両刃の存在です。

番組では、Tレグが免疫全体の“統率者”のような役割を持つこと、そしてその働きをどう見抜いたのかが、映像を交えて紹介されます。

坂口志文さんの「鈍・根・運」が生んだ発見の原点

番組の中心は、坂口志文さん本人への独占インタビューです。

坂口さんが語る“研究人生の三つの言葉”が『鈍・根・運』。一般的に言われる「運・鈍・根」ではなく、この順番を入れ替えて話す理由が番組で明かされます。

まず、何年も評価されない研究に向き合い続けるための「鈍」。
そして、理解されない時期にも実験を積み重ね続けた「根」。
最後に、思いがけない機会や偶然に恵まれる「運」。

1995年、CD4+CD25+T細胞が自己免疫を抑える力を持つと発表した段階では、世界の研究者の多くが懐疑的でした。

抑制性T細胞という概念は長く“半ば否定された学説”とされていたため、坂口さんが提示したTレグの存在は、当時の免疫の常識を真っ向から揺るがす挑戦だったのです。

番組では、理解されない研究を続けたときの心境や、科学の世界で新しい概念が受け入れられるまでの孤独が、坂口さんの言葉で語られます。

Tレグ発見が世界に認められるまでの険しい道のり

番組後半では、Tレグ研究がどのように世界に広まり、免疫学の中心概念となっていったのかが描かれます。

最初の発表後も、Tレグの存在を疑う声は多く、特に“胸腺での選別こそ免疫寛容の核心”という従来の考え方が強く残っていました。

そこで決定的な役目を果たしたのが、Tレグに不可欠な転写因子『FOXP3』の発見です。これによりTレグが独立した細胞群であることが分子レベルで証明され、一気に認知が広がりました。

今では、自己免疫疾患・アレルギー・臓器移植・がん治療と幅広い分野でTレグは欠かせない存在となっています。

番組はこの研究史を映像と図解で分かりやすく整理し、Tレグが免疫の教科書を書き換えた理由に迫ります。

井上咲楽が研究現場へ “Tレグの実物”と対面

番組の目玉企画として、井上咲楽さんが実際の研究現場に足を運び、Tレグの観察に挑みます。

白衣に着替え、顕微鏡の前に座り、研究者がどのように細胞を識別し、Tレグの働きを確かめているのかを体験します。

細胞の違いを見分ける染色方法や、Tレグだけを取り出す技術など、免疫研究の裏側が紹介され、視聴者も“研究室の空気”を感じられる構成になっています。

※放送前のため、訪問した研究施設や実際の会話内容は、放送後に追記して更新します。

がん治療の未来へ Tレグ制御の最前線

番組の核心のひとつが、Tレグをコントロールすることで見えてきた新しいがん治療です。

がん細胞は、Tレグの働きを利用して免疫から逃れることがあります。そのため、がん治療ではTレグを“抑える”アプローチが世界中で研究されています。

番組では、腫瘍の中にどれだけTレグが存在しているかを調べる実験や、Tレグだけを弱める薬剤研究など、最前線の現場にカメラが入り、研究者がどのようにがん免疫の壁を突破しようとしているのかを追います。

Tレグをどう扱うかが、がん治療の未来を大きく変える可能性があることが、番組で描かれています。

免疫の根幹「自己」と「非自己」その区別の秘密

番組の終盤では、免疫が“自分”と“異物”をどのように見分けているのか、その根本に切り込みます。

胸腺での選別という古い常識だけでは説明できなかった“末梢性免疫寛容”という新しい概念がTレグによって説明され、免疫の理解が立体的になりました。

Tレグという抑制の仕組みがあることで、私たちの免疫は暴走を防ぎ、必要なときだけ外敵に対応できる。番組は、この緻密なシステムの美しさを分かりやすく伝えています。

ノーベル賞が照らす、日本の免疫学の未来

今回のノーベル生理学・医学賞の受賞は、坂口志文さん個人の業績だけでなく、日本の免疫学そのものが世界の先頭を走っていることを示す出来事でもあります。

Tレグ研究は今後もさまざまな病気の治療につながる可能性があり、医学全体を揺るがす大きな柱になると考えられています。

番組は、坂口さんの研究が未来医療にどうつながるのかまで丁寧に触れ、視聴者に大きな期待を抱かせる内容となっています。

まとめ

Tレグという細胞の発見は、免疫学を“攻撃中心の学問”から“バランスを読み解く学問”へと変えた大発見でした。サイエンスZEROの今回の特集は、その意義と背景、研究の葛藤、未来の医療まで網羅した濃い時間になることが予想されます。

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