あさイチ発「たんぱく質のシン常識」とは
テーマは、私たちの体を支えるたんぱく質。
「髪がパサパサ」「肌のツヤがなくなってきた」「疲れやすい」「風邪をひきやすい」「なかなか眠れない」。
こうした、なんとなく不調が続く毎日の裏側に、実は“たんぱく質不足”が隠れているかもしれない、という視点で番組は始まります。
スタジオでは、たんぱく質研究の第一人者である藤田聡さんが、最新の知見をもとに「シン常識」を解説。
短い放送時間の中で、「いつ」「何を」「どう食べると良いのか」が、クイズ形式でテンポよく紹介されます。
たんぱく質不足が体にあらわれるサイン
番組がまず取り上げたのは、「こんなサインはありませんか?」という問いかけです。
・髪がパサついて、ツヤがなくなってきた
・爪が割れやすい
・肌がくすんで、ハリがない
・以前より疲れやすく、風邪もひきやすい
・なんとなくやる気が出ない
・夜なかなか眠れない
これらはどれも、加齢のせい、忙しさのせいだと思いがちですが、背景にはたんぱく質不足が隠れていることがあります。
たんぱく質は、筋肉だけでなく、髪・肌・爪・免疫細胞・ホルモン・神経伝達物質など、体のあらゆる材料になっています。
不足が続くと、まずは「見た目」と「なんとなくの不調」に出てくる、というわけです。
厚生労働省が示す推奨量では、成人男性は1日あたり約65g、成人女性は約50gのたんぱく質を摂ることが望ましいとされていますが、多くの人はそこまで届いていないと言われます。
「量が足りていない」のに加えて、「食べるタイミング」も見直す必要がある——ここが今回のシン常識の大事なポイントになっています。
たんぱく質はいつ摂るのがいちばん効果的?
番組では、「たんぱく質はいつ摂るのが良い?」というクイズが出されます。
A:晩ごはん
B:朝ごはん
正解は朝ごはん。
たんぱく質研究歴が長い藤田聡さんによると、朝は筋肉をつくるスイッチが入りやすい「ゴールデンタイム」。
同じ1日分のたんぱく質でも、朝にしっかり分配して食べた方が、筋肉量の維持や体づくりにとって効率的だといいます。
日本人の食事は、昼と夜にたんぱく質が偏りがちで、朝はパンとコーヒーだけ、おにぎりだけ、といった“低たんぱく”の人が少なくありません。
番組では、「朝ごはんにたんぱく質を1品足す」という小さな工夫が紹介されます。
・ごはん派なら、納豆や卵、焼き魚を足す
・パン派なら、ゆで卵、ヨーグルト、チーズをプラスする
・時間がない日は、牛乳や豆乳でたんぱく質を補う
たんぱく質の推奨量を1食分に割ると、男性なら1食あたり約20g、女性なら約15〜17gが目安になります。
朝にこの量をある程度確保できるかどうかが、その日1日のコンディションを左右すると考えると、「朝ごはんを軽く済ませてしまう」ことの重さが見えてきます。
運動したくない人のための“脂肪を減らす”たんぱく質食材
次のクイズは、「運動はあまりしたくないけれど、脂肪は減らしたい人におすすめの飲み物はどっち?」というものです。
A:牛乳
B:豆乳
答えは豆乳。
理由は、豆乳には「アルギニン」というアミノ酸が、牛乳の約3倍も多く含まれているから。
アルギニンは、血流を良くしたり、脂肪燃焼を助けたりするはたらきがあると言われていて、運動量がそこまで多くない人の「ゆるやかな体脂肪対策」に向いていると紹介されます。
一方で、筋トレなどの運動をしっかりしている人には、牛乳やヨーグルトのようにロイシンが多い乳製品が向いている、という説明もありました。
ロイシンは筋肉の合成スイッチを押してくれるアミノ酸として知られ、トレーニング後のリカバリーに役立ちます。
ここで番組が伝えたかったのは、「どちらが良いか」ではなく、「自分の生活スタイルに合うたんぱく質を選ぶ」という考え方です。
・あまり運動しない人 → アルギニンが多い豆乳を味方にする
・筋トレやスポーツをがんばっている人 → ロイシンが多い牛乳・ヨーグルトで筋肉サポート
たんぱく質は同じグラム数でも、含まれるアミノ酸のバランスが少しずつ違います。
「目的に合わせて選ぶ」という視点は、普段の買い物やメニュー選びにもそのまま生かせるシン常識です。
睡眠の質を上げるのは「えび天そば」か「月見うどん」か
最後のクイズは、眠りに悩む人に向けたもの。
「最近なかなか眠れない人におすすめなのはどっち?」
A:えび天そば
B:月見うどん
正解はえび天そばです。
ポイントは、そばとえび、それぞれに含まれるアミノ酸。
・そばには、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料になるトリプトファンが多い
・えびには、睡眠の質を高めるとされるグリシンが豊富
この2つを一度にとれるのが、えび天そばというわけです。
ただし、ここでのシン常識は「食べるタイミング」。
メラトニンは、トリプトファンを摂ってからすぐに作られるわけではなく、体内で段階を踏んで合成されていきます。
そのため、番組では「夜寝る直前に食べるよりも、お昼ごはんまでに食べておく方が良い」という説明がされました。
・昼にえび天そば → 夜に向けて、少しずつ睡眠ホルモンの材料がたまっていく
・夜は胃腸に負担の少ない量と内容におさえる
睡眠の悩みというと、「枕を変える」「スマホを見る時間を減らす」など行動面ばかりに目が行きがちですが、「昼ごはんで何を食べるか」も1つの手がかりになる——そのことを、えび天そばと月見うどんのクイズを通して教えてくれる構成になっていました。
番組に登場した専門家と、たんぱく質研究の背景
この回で解説役をつとめたのが、藤田聡さん。
立命館大学スポーツ健康科学部の教授で、たんぱく質研究に長く取り組んできた専門家です。
あさイチでは過去にも、たんぱく質の取り方や注意点について藤田さんがくわしく解説してきました。
日本人の多くが「たんぱく質不足ぎみ」であること、特に朝食のたんぱく質が少ないことを繰り返し指摘しており、今回のシン常識もそうした研究の積み重ねの上にあります。
番組には、リポーターとして副島淳さん、語りとしてアナウンサーの安部みちこさんも参加。
専門的な内容を、親しみやすい会話とクイズ形式で伝えてくれるので、「栄養の話はむずかしい」と感じている人でもスッと入ってくる構成になっています。
きょうから実践できる、たんぱく質のシン常識チェックリスト
最後に、番組の内容をふまえて、きょうからできるポイントを整理します。
・朝ごはんでたんぱく質をしっかりとる
→ 納豆、卵、ヨーグルト、牛乳、豆乳などを1品プラス
・運動量に合わせて、たんぱく質の“種類”を選ぶ
→ あまり運動しない人は、アルギニンの多い豆乳を味方に
→ 筋トレをがんばる人は、ロイシンの多い牛乳・ヨーグルトも活用
・眠りの質を上げたい人は、昼の「えび天そば」を試してみる
→ そばのトリプトファンと、えびのグリシンをまとめてとるイメージ
・髪・肌・爪・免疫・気分も、たんぱく質からできていると意識する
→ 見た目の変化やなんとなくの不調も、「たんぱく質不足かも?」と一度立ち止まる
厚生労働省の基準を見ても、成人男性で1日約65g、成人女性で約50gと、たんぱく質の推奨量は決して少なくありません。
それを3食で割ると、1食あたりの目安は想像している以上に多く、「朝を軽く済ませてしまう習慣」が、1日の合計不足につながっていることがわかります。
「5分であさイチ」の短い放送の中で伝えられたシン常識は、とてもシンプルです。
・朝にたんぱく質を回す
・自分の生活に合ったたんぱく質を選ぶ
・睡眠も“昼のメニュー”から整える
どれも、きょうの買い物と、あしたの朝ごはんからすぐに試せることばかりです。
体の材料であるたんぱく質を、ちょっとだけ意識してあげることで、「なんとなく不調な毎日」が少しずつ変わっていく——番組は、そんな未来の入り口を、やさしく見せてくれていました。
【あさイチ】たんぱく質で美しく健康に!朝の食べ方・ちょい足し・睡眠ケアの極意まとめ|2025年7月8日放送
藤田聡教授についての補足

(画像元:藤田 聡|Professors|特設サイト|立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科)
ここからは、番組では触れきれなかった専門家の背景を紹介します。より深く理解するための追加情報として読んでいただければうれしいです。藤田聡教授は、たんぱく質研究の第一線で活躍してきた人物で、その歩みには多くの学びがあります。
経歴の歩み
藤田聡教授は、アメリカで運動生理学を学び、フロリダ州立大学の大学院で専門を深めました。その後、南カリフォルニア大学で博士号を取得し、さらに医学部の研究室でポストドクターや研究員として経験を積みました。これらの経験は、筋肉の仕組みや栄養の影響を科学的に理解するための土台となっています。日本へ帰国後は東京大学で特任助教として研究を続け、現在は立命館大学で教授として教育と研究の両方に力を注いでいます。海外と日本の研究現場を知ることで、幅広い視点を持ち続けていることがわかります。
代表的な実績
藤田聡教授の研究は、筋肉とたんぱく質の関係を科学的に示してきたことが大きな特徴です。たんぱく質をいつ摂るか、どんな種類が体づくりに向いているのか、加齢で筋肉が減る「サルコペニア」をどう防ぐかなど、私たちの生活に直結するテーマに取り組んできました。アメリカでは内分泌科の研究にも関わり、ホルモンと筋肉の関係についても深く学んでいます。こうした実績は世界でも評価され、国際的な学会賞の受賞につながっています。
その人物を語るうえで外せない特徴
藤田聡教授を語るうえで見逃せないのは、研究を生活に役立つ形に落とし込む姿勢です。どれだけ高度な研究でも、日々の食事や運動習慣にどう生かせるかを大切にしています。たんぱく質を朝に摂る重要性を伝えるのも、筋肉づくりに効果的な時間を知っているからこそです。また、海外の研究者とも連携しながら最新情報を取り入れ、日本人の食習慣に合う形で発信していることも特徴の一つです。専門知識をわかりやすく説明できる力があるため、番組での解説も伝わりやすく、多くの視聴者の役に立っています。
藤田聡教授が関わった書籍の紹介
藤田聡教授は、さまざまな専門書や解説書に共著者・分担執筆者として参加してきました。中でも『サルコペニアの基礎と臨床』は、加齢による筋肉低下のしくみや対策をまとめた書籍で、医療・健康分野で広く使われています。この本では、筋肉の変化をどう評価し、どんな運動や食事が効果的なのかが整理されており、研究者や実務者にとって参考になる内容が多く収められています。藤田聡教授が専門家として寄与した書籍の一つとして、信頼性のある資料です。
気になるNHKをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメント