『江戸のおしゃれ』
江戸の人びとが日々の暮らしの中で育てた“おしゃれの文化”は、今の時代にも生き続けています。今回の特集では、昔の工夫や職人の技がどのように今の生活に息づいているのかがよく分かります。履物、髪を整える道具、持ち歩きの袋物まで、どれも実用品でありながら、身につける人の気持ちを高める力を持っています。この記事では、三遊亭わん丈さんが見せたこだわりの下駄、『鼻緒1000種類』という驚きの世界、親子三代で受け継がれるつげ櫛など、江戸文化のおしゃれにまつわる魅力をまとめています。
江戸文化のおしゃれが再注目される理由
江戸時代は町人文化が花開き、暮らしの中に『実用』と『美しさ』を同時に求める価値観が広がりました。和装に合わせて履物や小物が発展し、装いを仕上げる“粋”という感覚が庶民の生活に浸透していきました。
今では和装ブームの高まりとともに、江戸の履物や袋物などが再び注目されています。現代の生活に合わせてアレンジされても、根底にある美意識は変わりません。使いやすく、持つ人の個性を映すものとして選ばれているのが特徴です。
三遊亭わん丈が見せた下駄のこだわり
番組では、三遊亭わん丈さんが自分の足に合う下駄を選ぶ様子が紹介されます。下駄は木の台に歯をつけた構造で、江戸時代には雨の日用から、“おしゃれの仕上げ”としての役割にまで広がりました。
わん丈さんが選ぶ下駄には、『台の形』や『素材』に加え、『鼻緒の合わせ方』という重要なポイントがあります。履き心地だけでなく、見た目のバランスや演者としての姿を引き締める効果もあるため、職人の技と使用者の感性が自然に融合していきます。
江戸の人も同じように、履物ひとつで“気持ちを整える”感覚を大事にしていたと考えると、今の時代にも共通する魅力が感じられます。
鼻緒だけで1000種類という世界
今回の特集の中でも目を引くのが、『鼻緒1000種類』という驚きの世界です。江戸時代、履物屋は台だけでなく鼻緒にも強いこだわりを持ち、多彩な素材や柄を生み出してきました。
麻や綿の布を芯に使ったもの、革のもの、漆塗りの台に映える鮮やかな柄など、選び方によって同じ下駄でも表情が大きく変わります。江戸っ子は履物を「足を守る道具」ではなく「身なりを整える小物」として扱い、自分の個性を鼻緒で表現していました。
現代の和装好きの間でも、鼻緒の組み合わせは“自分らしさ”を出す楽しみとして受け継がれています。
床山の技と『棺おけに入れない』つげ櫛
日本髪を結い続けてきた床山の世界では、櫛が髪を整える重要な道具として大切にされてきました。特につげ櫛は、木目の細かさと滑らかな櫛通りから、日本髪文化を支える存在とされてきました。
番組では、ある床山が“死んでも棺おけに入れない”と言うほど大切に扱うつげ櫛が紹介されます。形や歯の幅、握ったときの感触まで、職人によって削り出された櫛は、ただ髪をとかすためだけの道具ではありません。長く使うほど手になじみ、持ち主の髪質や癖にも馴染んでいきます。
江戸時代の女性たちも、櫛を自分の美しさを支える相棒として大切にしていたことがよく分かります。
親子三代で受け継がれるつげ櫛の力
番組で取り上げられるつげ櫛の中には、親子三代にわたって使われ続けてきたものがあります。つげ櫛は削り出しから仕上げまでに手間がかかり、年月とともに艶が増していきます。
使い続けることで形が少しずつ変化し、持ち主に馴染んでいくため、「道具が育つ」という価値が生まれます。手入れや修理をしながら受け継がれてきたその姿には、江戸の人びとが持っていた“ものを大切にする心”が息づいています。
こうした背景があるからこそ、つげ櫛はただの実用品ではなく、家族の歴史そのものとして扱われてきたのでしょう。
合切袋と江戸のエスプリ
江戸の袋物文化を象徴する『合切袋』も番組の見どころです。合切袋は財布、小物、煙草入れなどをまとめて持ち歩くための袋で、和装者にとって欠かせない存在でした。
袋物を多数収蔵する袋物博物館 AZUMAYAでは、江戸から大正期にかけての袋物が100点以上展示されており、それぞれに素材・柄・仕立ての工夫が見られます。
江戸の人びとは、実用性を保ちながら『粋』を感じさせるデザインを追求しました。現代で見るとポーチや財布の原型のように思えるものも多く、今なお新鮮さを感じるのが魅力です。
まとめ
江戸のおしゃれ小物の数々は、実用性を備えながら、自分らしさを表現するための道具として発展してきました。
三遊亭わん丈さんの下駄選び、『鼻緒1000種類』の多様性、床山が大切に扱うつげ櫛、親子三代で受け継がれる櫛、そして合切袋。そのどれもが江戸文化の豊かさを示す存在です。
今回の放送では、その背景や職人の想いがどのように語られるのか楽しみです。
NHK【歴史探偵】長谷川平蔵と火付盗賊改 密偵が動いた白洲の取調べ全貌と江戸の闇賭場摘発術|2025年11月26日
現代で手に取れる江戸のおしゃれ小物を紹介します
江戸のおしゃれには、いま見ても心をつかまれる力があります。そこで、番組で取り上げられた下駄・つげ櫛・合切袋とつながる“実際に買えるアイテム”を紹介します。どれも現代の暮らしにすっとなじむものばかりで、江戸文化を身近に感じられるところが魅力です。
Geta Sandals Sengoku
昔ながらの形を受け継ぐ下駄で、木の素材感がしっかり伝わります。下駄の高さや歯の響きが心地よく、履くだけで気持ちが整うような存在です。浴衣のときだけでなく、少し和の雰囲気を入れたい日常の服装にも合わせやすいデザインです。価格は¥8,100で、Osaka street marketで手に入ります。
みねばり櫛 解櫛 5寸(つげ櫛)
つげ本来のつやと手触りを味わえる櫛で、髪に通すと自然な光沢が生まれます。細かい歯が髪をやさしく整え、使うほどに櫛自体が深みを増していきます。日本髪を結わない人でも日々の手入れに取り入れやすく、櫛の良さをしっかり感じられる一本です。価格は¥8,320でAmazon公式サイトから購入できます。
つげ櫛 4寸ときぐし(細歯)
持ち歩きやすいサイズで、かばんの中にも入れやすい大きさです。歯が細かいため髪にすっと入り、まとまりやすさを引き出してくれます。普段使いに重宝し、つげ櫛が初めての人にも選ばれやすい定番アイテムです。¥12,100で、mocad-shop.comなど複数のショップで取り扱いがあります。
印傳屋 合切袋 大マチ付き 3005
伝統工芸の魅力が詰まった合切袋で、鹿革に漆をのせる『印伝』の技が生きています。手にすると軽さとしなやかさに驚き、和装でも洋装でも自然になじむところが強みです。必要な物をすっきりまとめられ、長く使っても飽きない存在感があります。価格は¥20,900で、楽天市場(かばんのサンペイ楽天市場店)で購入できます。
どのアイテムも、番組で描かれた江戸のおしゃれの息づかいをそのまま現代に伝えてくれます。実際に手に取ることで、江戸文化がより立体的に感じられ、日常の中に小さな楽しみが生まれます。
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