四季の風景と人の営みがつながる「小さな旅」特集
このページでは『小さな旅「特集 彩りの四季」（2025年12月28日放送）』の内容を分かりやすくまとめています。小さな旅は、この1年で全国およそ30か所を訪ね、春夏秋冬それぞれの季節に出会った風景と、そこで暮らす人々の営みを見つめてきました。今回の特集では、桜、花畑、里山、氷の滝といった日本の四季を象徴する風景を通して、ふるさとを守り続ける人の姿が描かれます。
春 隅田川の桜と屋形船に息づく暮らし
春の舞台は、東京の隅田川です。
川沿いに桜が咲き誇る季節、ゆったりと流れる水面を進むのが、江戸の昔から親しまれてきた屋形船です。満開の桜を川の上から眺める風景は、東京の春を象徴する光景のひとつとして知られています。
番組では、そうした華やかな景色の裏側にある、屋形船を生業とする船頭の暮らしに光を当てています。観光客の目には、非日常の楽しさとして映る屋形船ですが、その運航は天候や川の状況に左右され、日々の準備や細かな気配りの積み重ねによって支えられています。船の手入れ、季節ごとの対応、川との距離感など、長年続けてきたからこそ身についた仕事の感覚が静かに描かれます。
とくに印象的なのは、コロナ禍という大きな試練を、家族で乗り越えてきた背景です。人の流れが止まり、屋形船の運航が難しくなった時期も、家族で話し合い、支え合いながら川と向き合い続けてきました。派手な出来事ではありませんが、続けることの重みと覚悟が、日常の描写から伝わってきます。
桜の美しさとともに映し出されるのは、川とともに生きる仕事の確かさです。春の隅田川は、ただの名所ではなく、長い時間をかけて築かれてきた暮らしの舞台であることを、静かに教えてくれます。
夏 富良野盆地に広がるラベンダー畑の物語
夏の舞台は、北海道の富良野盆地です。
なだらかな丘にラベンダー畑が一面に広がる風景は、今では全国的に知られる夏の象徴的な景色として親しまれています。紫色の花が風に揺れる様子は、多くの人が思い浮かべる富良野のイメージそのものです。
番組では、そんな華やかな景色の「完成形」ではなく、ラベンダー畑の始まりに目を向けています。最初から観光名所だったわけではなく、寒さや土壌、天候と向き合いながら、少しずつ育てられてきた歴史があります。思うように花が咲かない年もあり、収穫や管理の方法を探り続ける試行錯誤の積み重ねがあったことが描かれます。
そこには、自然条件に左右されながらも、土地を信じて向き合い続けてきた人々の努力があります。効率や派手さでは測れない、長い時間をかけた取り組みが、今の風景につながっていることが伝わってきます。
観光地として多くの人を惹きつける富良野のラベンダー畑。その裏側には、自然と共に生きる覚悟と、土地に根ざした営みがありました。夏の富良野盆地は、美しさだけでなく、静かな積み重ねの物語を映し出しています。
秋 鳥取・南部町で受け継がれる里山の営み
秋に訪ねるのは、鳥取県の南部町です。
山々に囲まれたこの町には、長い時間をかけて人の手で守られてきた里山の風景が広がっています。番組では、その里山を未来へ残そうとする人々の姿が静かに紹介されます。
日々行われているのは、草刈りや山の手入れといった、目立たない作業です。特別なイベントではなく、誰かに見せるためのものでもありません。それでも、季節ごとに手を入れ続けることで、山は荒れず、道は残り、集落の風景が保たれてきました。こうした地道な積み重ねが、南部町の里山を今につないでいます。
秋は、実りの季節でもあります。木々の色づきや、収穫の気配が里山全体に広がる中で、人と自然の距離の近さがよりはっきりと感じられます。自然を管理するのではなく、共に生きるという感覚が、暮らしの中に根づいていることが伝わってきます。
南部町の里山は、ただ懐かしい風景として残されているのではありません。毎年、同じ作業を繰り返しながら、次の世代へ受け渡していくという暮らしの知恵が息づいています。秋の穏やかな風景の中に、人と自然が築いてきた確かな関係が映し出されます。
冬 層雲峡で挑む氷の滝「氷ばく」作り
冬の舞台は、北海道の層雲峡です。
切り立った岩壁と深い谷に囲まれたこの地は、冬になると厳しい寒さに包まれ、他の季節とはまったく違う表情を見せます。
ここで生まれるのが、氷の滝『氷ばく』です。
自然に凍った滝ではなく、水の流れや気温を見極めながら、人の手を加えて作り上げていく冬ならではの風景です。自然と人の技が重なり合って初めて成立する、層雲峡を象徴する存在でもあります。
番組では、氷ばく作りに挑む男性の姿を追います。
凍てつく寒さの中で行われる作業は、決して楽なものではありません。気温の変化ひとつで仕上がりが左右されるため、毎日の状態を確かめながら、慎重に手を入れていく必要があります。自然を相手にするからこそ、思い通りにならない場面も多く、その分だけ覚悟と誇りが求められます。
氷ばくは、一晩で完成するものではありません。
時間をかけて少しずつ育てられ、寒さが深まるにつれて形を整えていきます。その過程には、自然を力でねじ伏せるのではなく、自然の流れを受け入れながら寄り添う姿勢が感じられます。
凍りついた空気の中で静かに立ち上がる氷の滝。
その美しさは、厳しい環境の中で生まれたからこそ際立ちます。層雲峡の冬は、過酷さと美しさが同時に存在する季節であり、『氷ばく』はまさに冬の四季を象徴する風景として描かれます。
まとめ
『小さな旅「特集 彩りの四季」』は、日本の四季を美しい映像で振り返りながら、その背景にある人の営みを静かに描く番組です。春夏秋冬それぞれの土地で続いてきた暮らしがつながり、日本の風景が形づくられてきたことを感じさせます。まだ放送前のため、ここで紹介した内容は番組概要に基づくものですが、放送後には具体的な描写や場面を加えて書き直す予定です。
NHK【小さな旅】歩く人 迎え続けて 〜和歌山県 熊野古道〜｜世界遺産の道を支える人々と湯の峰温泉・皆地傘笠｜2025年12月14日
気になるNHKをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
コメント