早稲田キャンパスで揺れ動く“知の原点”へ
このページでは『みるラジオ「新感覚教養トーク・プラッと」いま大学の価値ってナンだ?@早稲田(1月30日)』の内容を分かりやすくまとめています。
黄金色の早稲田大学の銀杏並木を歩きながら、ふたりの研究者が語るのは、学生時代の記憶から世界のいまへとつながる壮大な問いです。
国際政治学者・三牧聖子とロシア軍事研究者・小泉悠。
彼らが語るアメリカとロシア、そして大学という“場所”の力が、まるで目の前でほどけていく物語のように浮かび上がります。
早稲田大学の銀杏並木から始まるキャンパストーク
番組の舞台は、銀杏並木が黄金色に染まる初冬の早稲田大学キャンパスです。正門から大隈記念講堂へと続く並木道は、毎年秋から初冬にかけて黄色いトンネルのようになり、学生や卒業生にとって特別な思い出の場所になっています。
早稲田キャンパスの象徴である大隈記念講堂は、国の重要文化財にも指定されている歴史的建造物です。高さ約38mの時計塔を備えたこの講堂は、創立者・大隈重信の記念事業として建てられ、入学式や卒業式、講演会など、大学の節目となる場面を支えてきました。
ふたりの研究者は、この銀杏並木や大隈記念講堂を背景に、自分たちの学生時代を振り返りながら歩きます。かつて授業に向かった道、研究室へ急いだ通路、仲間と議論を交わした中庭。そうした具体的な場所をたどることで、「大学とは何か」「キャンパスという空間が、人の人生に何を残すのか」という問いが自然と立ち上がっていきます。
早稲田大学は、政治・経済・文学から理工系まで、多様な学部が集まる総合大学です。そのキャンパスを歩きながら語られる教養トークは、「スタジオで語る番組」とはまったく違う臨場感を生みます。石畳を踏む足音や、風に揺れる銀杏の葉の音までもが、大学という場のリアリティを伝える重要な要素になっていきます。
国際政治学者・三牧聖子が語るアメリカと大学の役割
国際政治学者の三牧聖子は、アメリカ政治・外交や国際関係論、平和研究を専門とする研究者です。東京大学教養学部から同大学院総合文化研究科博士課程を経て学位を取得し、その後は早稲田大学で助手を務め、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科で准教授、そして教授へとキャリアを重ねてきました。
番組では、彼女がアメリカ研究に惹かれていったきっかけや、大学という環境がどのようにその関心を育てたのかが、キャンパスの風景と重ねて語られていきます。アメリカの外交政策やリベラル国際主義の歴史を追いながら、大学での授業、図書館での資料読み込み、海外研究機関への留学経験など、「学問人生」の具体的なエピソードが次々と立ち上がります。
同時に、彼女は現代のアメリカ社会が抱える分断やポピュリズム、国際秩序の揺らぎについても、大学との関係から語ります。アメリカを研究する者として、政治的な対立や国際緊張をどう読み解き、学生たちとどう共有しているのか。大学の授業は、単に知識を伝える場ではなく、市民として世界を考える「実験場」なのだとはっきりと示していきます。
さらに、三牧は「大学の価値」を、研究だけでなく、人と人との出会いの場としても位置づけます。違うバックグラウンドを持つ学生同士が議論し、ときに衝突しながら、お互いの視野を広げていく。その過程を、アメリカの大学との比較や、自身の留学経験と結びつけて語ることで、「キャンパスが社会と世界をつなぐ交差点である」というメッセージが強く浮かび上がります。
ロシア軍事研究者・小泉悠が見つめる安全保障と学問人生
ロシア軍事研究者の小泉悠は、ロシアの軍事・安全保障政策を専門とする軍事アナリストです。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程を修了後、民間企業や外務省専門分析員、未来工学研究所研究員などを経て、現在は東京大学先端科学技術研究センターの准教授として、安全保障論や国際関係論の研究・発信を続けています。
番組の中で彼が歩くキャンパスは、自身が学び、政治学修士号を取得した早稲田時代の記憶と直結しています。研究者としての出発点となった教室や研究室、ロシアや旧ソ連地域に関心を深めるきっかけになった授業やゼミの雰囲気が、早稲田キャンパスの風景とともに語られていきます。
小泉は、ロシアの軍事戦略や核戦略、サイバー空間をめぐる新しい安全保障の課題を分析してきました。近年のウクライナ戦争や、ロシアと西側諸国の緊張は、教科書に載る以前から彼の研究テーマとして蓄積されてきたものです。そうした研究のバックボーンが、大学院での学びや図書館での資料探索、指導教員との議論にあったことを、キャンパスの具体的な場所に重ねて示していきます。
また、小泉は「軍事研究者」としての視点から、大学と国家との微妙な距離感にも踏み込みます。国家安全保障にかかわる研究は、ときに国家権力との近さを求められ、ときに距離を取ることが求められます。その中で大学という場が、どこまで批判的であり続けられるのか。ロシアの大学や研究機関の現状と比較しながら、「日本の大学が保つべき自律性」についても語る構成が自然に見えてきます。
アメリカとロシア、揺れる超大国と「大学の価値」
この回の大きな軸は、アメリカとロシアという二つの超大国が揺れる今と、「大学の価値」がどう結びつくのか、という問いです。国際政治学者と軍事研究者が並んで歩きながら語ることで、国際情勢とキャンパスの風景が一本の線でつながっていきます。
アメリカ研究の視点からは、冷戦後の国際秩序、9.11以降の対テロ戦争、そして現在の米中対立や民主主義の後退といったテーマが浮上します。一方、ロシア研究の視点からは、軍改革の歴史、核抑止の戦略、旧ソ連諸国との関係、そしてウクライナ戦争などが取り上げられます。これらはニュースの見出しとしても目にするテーマですが、番組では「大学でどう教え、どう議論されているか」という角度から語られることで、日常の学びと世界情勢が密接につながっていることが強調されます。
ふたりは、「大学の価値」を単なる資格取得の場としてではなく、「世界の変化を自分の言葉で理解する力を育てる場所」として描き出します。講義やゼミ、レポートや卒業論文を通して、学生たちは世界の構造や歴史的文脈を学びます。政治や戦争、平和や民主主義などの重いテーマを、自分の生活と結びつけて考えられるようになることこそが、大学で得られる最大の財産だと断言します。
さらに、国家と大学の関係という難しいテーマにも踏み込みます。研究費や制度面で国家と結びつかざるをえない大学が、どこまで権力から独立した批判精神を維持できるのか。アメリカ、ロシア、日本それぞれの事例を比較しながら、「大学は国家のためだけでなく、市民のための知を育てる場であるべきだ」というメッセージが強いトーンで語られる構成が想像できます。
キャンパスという「場」が生む教養と対話──みるラジオ「プラッと」の魅力
最後に浮かび上がるのは、「キャンパスという『場』そのものが、教養と対話を生み出す」というテーマです。大隈記念講堂や大隈庭園、銀杏並木や小さな中庭など、早稲田大学のさまざまなスポットが、番組の中で次々と登場していきます。それぞれの場所には、授業、サークル活動、学生運動、友人との語り合いなど、無数の記憶が折り重なっています。
「みるラジオ『プラッと』」は、もともとラジオ番組として始まったシリーズで、雑談から本格的な教養トークへと自然に移行していくスタイルが特徴です。この回では、その魅力が映像と結びつくことでさらに強まります。ふたりが歩く姿、建物のディテール、足元の銀杏の葉、遠くに聞こえる学生のざわめき。それらすべてが「大学という空間の物語」を語り始めます。
視聴者にとって、この番組は「大学に行っていない人」や「キャンパスから離れて久しい人」にとっても、自分の人生と知との距離を考え直すきっかけになります。学位や肩書きの有無にかかわらず、人が世界を深く理解しようとするとき、どんな場所が必要なのか。早稲田大学という具体的なキャンパスを舞台にしながら、番組は「大学の価値」を、社会全体にひらかれた問いとして突きつけてきます。
そして何より、「雑談から始まる教養トーク」という番組のコンセプト自体が、大学の本質を象徴しています。何気ない会話が大きな問いにつながり、日常の風景が世界の政治や歴史と結びついていく。そのダイナミックな広がりを、早稲田キャンパスの空気とともに感じられる回になっています。
まとめ
今回の物語は、早稲田大学を歩く研究者たちの視点から、アメリカとロシアという揺れる世界情勢、そして大学という“知の場”の価値を立体的に描き出す内容です。歩きながら語られる記憶や発見がつながり、学ぶことの意味が鮮やかに浮かび上がります。内容は放送と異なる場合があります。
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