焼き鳥の“味”を決める工場の物語
このページでは『探検ファクトリー(2026年1月31日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
相模原市にある自動串刺し機工場は、焼き鳥やおでんの“おいしさ”を陰で支える特別な場所です。
創業44年の町工場で作られる機械は、1本の串の通り道まで計算し尽くされた精密な技術の結晶。映像では、部品が何百と組み合わさり、まるで職人の手元のように正確に具材を貫く様子が描かれていました。
焼き鳥店のツケから始まった開発秘話や、世界40か国以上に広がる技術の進化まで、“一本の串”に込められた情熱を感じられる導入回でした。
焼き鳥・おでんを支える串刺し機工場の正体
番組の舞台になったのは、神奈川県相模原市にある串刺し機専門メーカーのコジマ技研工業株式会社です。従業員わずか13人の町工場でありながら、焼き鳥やおでん向けの自動串刺し機で国内トップクラスのシェアを誇る存在です。
この工場で作られる自動串刺し機は、焼き鳥の「焼き上がり」と「味」を決める重要な裏方の主役です。肉の縮み方や火の入り方まで計算された刺し方を、機械で正確に再現できるのが最大の強みです。NHK「探検ファクトリー」の今回の回では、中川家とすっちーが、この工場のラインを実際に歩きながら、焼き鳥職人の技をどうやって機械に落とし込んでいるのかを見てまわりました。
工場がある相模原市中央区は、住宅地と工業地帯が入り混じるエリアで、コジマ技研工業株式会社の本社・工場・ショールームもここに集約されています。公式サイトによると、串刺し機は焼き鳥だけでなく、串カツ、団子、ジャンボ串、うなぎ、ミートボールなど、世界中の「串料理」に対応できるよう設計されており、日本発の技術が各国の食文化を支えていることが分かります。
ベルトコンベアー型自動串刺し機のスピードと正確さ
番組でまず紹介されたのが、工場や大規模セントラルキッチン向けのベルトコンベアー型自動串刺し機です。このタイプは、1時間におよそ1500本ペースで串を打てるハイスピード仕様で、人の手では到底追いつけない生産量をたたき出します。
このベルトコンベアー型がすごいのは、「速さ」だけではなく「刺し方の再現性」です。焼き鳥の世界では、肉が焼ける時に縮んで隙間が空きすぎると、間の串が焦げて折れやすくなりますし、肉汁が落ちすぎるとパサついた食感になってしまいます。番組でも紹介されたように、この機械は
・焼き縮みで肉がバラバラにならない刺し方
・肉汁が落ちすぎない刺し方
・火が均一に入る配置バランス
といった職人の感覚を、トレイと串の通り道の設計で再現していました。
番組内では、一粒一粒並べたコーンに串を通すデモも登場しました。トレイに並んだコーンの中心を、寸分たがわず串が貫いていく様子は、まさに「食品版の精密機械」。この正確さがあるからこそ、柔らかい鶏肉や野菜、練り物などさまざまな具材を、崩さずきれいに刺し通すことができると紹介されていました。
卓上型自動串刺し機が変える小さな店の現場
一方、番組の後半で取り上げられていたのが、小さな飲食店向けの卓上型自動串刺し機です。こちらはコンパクトなボディながら、1時間に約500本ペースで串を打てる設計で、省スペースで導入できるのが特徴です。
卓上型の強みは、「職人が1本ずつ刺していた作業を、大幅に効率化しながらも味は落とさない」ことです。例えば、仕込みの時間が短い個人店や、スタッフの人数が限られている居酒屋チェーンでは、開店前の仕込みが大きな負担になりがちです。自動串刺し機を使えば、
・肉や野菜をトレイに並べる
・機械にセットしてボタンを押す
というシンプルな流れで、安定した品質の串が大量に用意できます。
コジマ技研工業株式会社は、店舗向けの小型卓上機から大規模工場向けの大型機まで幅広いラインナップを持っており、用途や生産量に合わせた提案ができる体制を整えています。公式情報でも、小型機は〜300本/時、中型機は〜500本/時、大型機では〜1500本以上/時といったレンジが示されており、今回番組で取り上げられた卓上タイプも、その中核を担うモデルといえます。
400以上の部品が生む精密な串刺しメカニズム
番組が「探検」した工場内では、自動串刺し機がどのように作られているかも詳しく紹介されました。ベルトコンベアー型の自動串刺し機には400個以上、卓上型でも約235個もの部品が使われていて、一台の中にぎっしりと精密パーツが詰め込まれています。
中でも重要なパーツとして紹介されていたのが、食材を並べるトレイと、その上から具材を押さえる波型のプレス部分です。トレイが前進する動きと、プレスが具材を押さえる動きは、1つのモーターから伝えられる力で同期していて、わずかなタイミングのズレも許されません。ここが狂うと、串が通る位置がずれ、肉や野菜が割れてしまったり、刺しそこねが起きてしまいます。
もう一つの難関として語られていたのが、串の通り道となるジョイント部分です。ここは全工程の中でも最も精度が求められる箇所で、数ミリのズレが大量の不良品につながります。そのため組み立て後すぐには出荷せず、工場では納品前に約1週間かけて慣らし運転を行い、実際の食材を使いながら動きや精度を細かくチェックしていると説明されていました。
こうした膨大な部品の調整と検証の積み重ねによって、肉と野菜の位置がきれいに揃った串が、同じクオリティで何千本も打てるようになっているのです。番組の映像からも、組み立て担当の技術者たちが一本一本の串の仕上がりを真剣な表情で確認している様子が伝わってきました。
創業者・小嶋實の逆転ストーリーと世界に広がる串文化
工場の歴史を語るうえで欠かせないのが、創業者の小嶋實さんです。番組では、小嶋さんがもともと半導体メーカーの技術者だったこと、勤務先の倒産で借金を抱えたこと、そしてそこから串刺し機開発へと進んだ人生の転機が紹介されました。
きっかけになったのは、通っていた焼き鳥店のツケを帳消しにしてもらうため、「自動で串打ちができる機械を作ろう」と考えたこと。焼き鳥店で実際に働きながら、職人の串打ちを2年間かけて徹底的に観察し、その動きやコツを一つ一つ分解して機械の動きに置き換えていきました。そして約2年で、最初の自動串刺し機を完成させたと紹介されています。
その後、小嶋さんは焼き鳥だけでなく、串カツや団子、おでんなどさまざまな串料理に対応できるよう、食材ごとに最適なトレイを開発。これまでに作られたトレイのバリエーションは3000種類以上にのぼり、製造方法やノウハウは社外秘として守られています。
現在、コジマ技研工業株式会社の自動串刺し機は、40以上の国と地域で使われており、日本国内ではシェア9割以上とも言われるほどの存在に成長しました。 焼き鳥やおでんといった日本の串文化を支えるだけでなく、海外では各国の肉料理やストリートフードの生産現場でも活躍しており、「串刺し機を通じて世界の食文化を支える」というビジョンがしっかり現実になりつつあります。
今回の「探検ファクトリー」では、そんな創業者の逆転ストーリーと、町工場から世界へ広がっていく技術の力が、焼き鳥の一本一本を通して伝わってくる内容になっていました。
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