防災の常識がひっくり返る“缶詰とトイレ”の真実
このページでは『15分であしたが変わるトリセツショー(2026年1月31日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
もし突然、いつもの生活が止まったら――。そんな問いかけから始まった今回の特集は、南海トラフ巨大地震を見据えた“本当に役立つ備え”を、食とトイレという身近なテーマで一気に語り切りました。
石垣島のからそばや山形のひっぱりうどん、そしてプロの和食料理人が手がける絶品缶詰レシピ。さらに、携帯トイレのリアルな必要量まで。日常の延長でできる備えこそ、いざという日に命を守る力になると強く伝えていました。
缶詰が主役になる防災ごはん「からそば」と「ひっぱりうどん」
番組では、15分であしたが変わるトリセツショーらしく、まず「食」から防災の備えを考えていました。テーマは、いつもの食卓にも登場する缶詰を、そのまま“非常食”として終わらせず、日常でも楽しめる一品に変えることです。
沖縄県石垣市のご当地グルメとして紹介されたのが、石垣島のからそば。ゆで麺状態の八重山そばをビニール袋やパックのまま開け、そこにサバ缶などの味付き缶詰をドンと入れ、袋ごと“モミモミ”して混ぜるだけという超シンプルな一品です。麺はもともと茹でてあるので、和えるだけで食べられるのがポイント。地元ではお弁当代わりに持っていく人もいるほど、手軽でボリュームのあるソウルフードです。
一方、山形県の村山市をはじめ県の内陸部で親しまれてきたのがひっぱりうどん。大きな鍋で乾麺のうどんを茹で、その鍋をそのまま食卓に置きます。各自の器には納豆、サバ缶、生卵、ねぎ、めんつゆなどを混ぜたタレを用意し、熱々のうどんを鍋から「ひっぱり」上げては、そのタレに絡めて食べるスタイルです。うどん・納豆・サバ缶さえあれば成立する、冬の定番メニューとして知られています。
番組では、こうしたからそばやひっぱりうどんを通して、「ふだんから缶詰を使い慣れておくこと」が、防災につながると強調していました。南海トラフ巨大地震の発生確率は、政府の評価で「今後30年以内に80%程度」と示されており、いつ起きてもおかしくない状況です。
“いざ”という日に初めて缶詰を開けるのではなく、日常のメニューとして美味しく食べておくことが、備えの第一歩だと伝えていました。
サバ缶のイノシン酸が生む“おいしい備え”の科学
番組のキーワードのひとつが、サバ缶に豊富に含まれるイノシン酸です。イノシン酸は、かつお節などにも多く含まれる「うま味成分」の一種。特にサバやカツオ、イワシなど青魚の加工では、煮出した煮汁にイノシン酸が溶け出し、そのまま缶の中に閉じ込められます。
そのため、サバ缶の汁には、身そのものに負けないくらい、うま味がぎゅっと詰まっています。食品メーカーや料理家の分析でも、サバ水煮缶の煮汁は、だし代わりに使えるほどイノシン酸が豊富だと紹介されています。
からそばでは、このサバ缶の汁ごと麺と混ぜることで、醤油を少し足すだけでしっかりした味わいになります。ひっぱりうどんでも、サバ缶の身と汁を納豆・めんつゆと合わせることで、コクのあるタレに変身します。
番組では、「サバ缶の汁まで使うこと」が、防災備蓄を“おいしく使い切るコツ”として示されていました。単なる保存食として棚に眠らせるのではなく、イノシン酸の力を活かして普段から料理に使っていくことで、賞味期限切れも防げますし、非常時にも“味のイメージ”が分かっているので安心して食べられます。
缶詰で作る「至高のお助けスープ」とホタテ炊き込みご飯
続いて、和食料理人の野崎洋光さんが登場し、缶詰を使った極上レシピとして紹介していたのが至高のお助けスープとホタテの缶詰とジャガイモの炊き込みご飯です。
野崎洋光さんは、日本料理店分とく山の総料理長を長年務めてきた和食界の重鎮で、調理科学や栄養学に基づいた合理的な和食レシピで知られています。
●至高のお助けスープ
番組で紹介された至高のお助けスープは、サバ缶や他の魚介缶詰をベースに、だしを取る手間なしで、短時間で作れる“非常時にも役立つスープ”として位置づけられていました。缶詰の汁に含まれるイノシン酸に、玉ねぎなどの野菜の甘みを合わせることで、塩分を控えめにしても満足感のある味に仕上がるのがポイントです。
●ホタテの缶詰とジャガイモの炊き込みご飯
さらに、ホタテの缶詰とジャガイモの炊き込みご飯も登場。ホタテ貝柱の缶詰は、うま味成分のグルタミン酸やベタインが豊富で、缶汁ごと米やジャガイモと炊き込むことで、だし不要のごちそうご飯になります。
炊飯器や鍋ひとつで作れるメニューなので、停電時でもカセットコンロと鍋さえあれば対応可能ですし、「缶詰+米+根菜」という組み合わせは、ローリングストックにぴったりです。米とじゃがいもは常温保存が利き、ホタテ缶は長期保存ができるため、防災の備えとしても理にかなった組み合わせと言えます。
「天使のデザート南極風」で非常時にも心を満たす
番組後半で印象的だったのが、天使のデザート南極風という名前のスイーツです。こちらも缶詰を活用したレシピで、乳製品や果物の缶詰を組み合わせることで、冷蔵庫が使えない状況でも、なるべく簡単に作れるデザートとして紹介されていました。
デザートに缶詰を使う利点は、以下のような点です。
・フルーツ缶はシロップごと使えて、水や砂糖を追加しなくても甘みがつく
・コンデンスミルクや粉ミルクと組み合わせれば、冷蔵庫がなくても“クリーム感”を出しやすい
・缶詰は長期保存できるので、ローリングストックに入れやすい
とくに大地震のあとや長期の避難生活では、「お腹が満たされればそれでいい」ではなく、甘いものや温かいものが“心の回復”に大きな力を持ちます。天使のデザート南極風のような一品は、子どもたちの不安を和らげたり、大人の緊張をほぐしたりする“心の防災食”としての意味があると、番組は強い口調で伝えていました。
災害時に命を守る「携帯トイレ」のリアル
番組のもうひとつの柱が、まさかの備え トイレです。令和6年 能登半島地震の被災者への取材からも、「水や食料より先に困ったのがトイレだった」という声が多く紹介されました。
大きな地震のあと、排水管の破損や下水道の損傷によって、見た目にはトイレが無事でも、水を流すと下水が逆流したり、建物のどこかで漏れ出したりする危険があります。そのため、国のガイドラインでも「災害時、家庭や避難所の水洗トイレは基本的に使えない」という前提で対策を考えるよう示されています。
ここで重要になるのが、携帯トイレです。日本トイレ研究所は、「洋式便器に取り付ける袋式のトイレ」である携帯トイレの使い方と備蓄数の目安を具体的に示しています。
・4人家族の場合
4人 × 1日5回 × 7日分 = 140回分が目安
国や自治体、専門家の情報でも、「最低3日分、できれば7日分」の備蓄が推奨されており、経済産業省の資料では「1人あたり35回分(7日分)」という数字も示されています。
番組では、こうした数字をふまえたうえで、「水や食料と同じくらい、携帯トイレの備蓄が命に直結する」と強調。排泄を我慢すると、脱水やエコノミークラス症候群のリスクが高まり、結果的に命を縮めることになりかねないと、強い言葉で警鐘を鳴らしていました。
出雲小学校と日本トイレ研究所が伝えるトイレ備蓄の新常識
番組に登場した大田区立出雲小学校は、東京都大田区本羽田一丁目にある公立小学校で、児童数も多く、地域の防災拠点としても重要な役割を担っています。
ここで、日本トイレ研究所代表の加藤篤さんが、児童たちに向けて携帯トイレの使い方をレクチャーする様子が紹介されました。加藤さんは20年以上にわたり、災害時のトイレ・衛生調査や、小学校のトイレ環境の改善、出前授業を続けてきた“トイレ防災”の第一人者です。
授業では、
・まず便器の水を直接汚さないように大きなポリ袋をかぶせる
・そのうえで、吸水シート入りの携帯トイレを便座にセットする
・使用後は袋の口をしっかり縛り、蓋付きのバケツなどに一時保管する
といった具体的な手順を、子どもたちにも分かる言葉で説明していました。
番組のメッセージは明快です。
・南海トラフ巨大地震の発生確率は「今後30年以内に80%程度」
・「食」と「トイレ」の備えは、“特別な人”だけの課題ではなく、すべての家庭の宿題
・缶詰を使った日常のレシピ(からそば・ひっぱりうどん・至高のお助けスープ・ホタテの缶詰とジャガイモの炊き込みご飯・天使のデザート南極風)で、今日から備えを始められる
・携帯トイレは1人あたり少なくとも3日分、理想は7日分を家に置いておく
この回の価値観が変わる!「防災の備え」のトリセツは、「難しい防災」ではなく、「今日のごはんとトイレをどうするか」という、生活に直結した視点で語り切った回でした。日常の延長線上でできることを、ひとつずつ増やしていくことこそが、本当の備えだと力強く伝えていました。
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