元ヤングケアラーの叫びに耳をすます物語
このページでは『ねほりんぱほりん 元ヤングケアラー(2026年2月6日)』の内容を分かりやすくまとめています。
子どもでありながら家族を支えた ヤングケアラー たち。誰にも言えず、助けも求められず、ただ必死に日常を回し続けた“あの頃”の記憶が、静かに語られます。
遠距離で うつ病 の母を支えた少年、そして 認知症 の祖母を介護した少女。それぞれの人生に刻まれた重みと、胸の奥にしまってきた本音が、モグラたちの問いかけで少しずつほどけていきます。
ヤングケアラーとは何者なのか
番組のゲストが名乗るのは、いま日本社会でようやく名前が知られてきた存在、 ヤングケアラー という肩書です。
こども家庭庁は、 ヤングケアラー を「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを、日常的に行っているこども・若者」と定義しています。
つまり、「お手伝い」を超えたレベルで、家族の介護や看病、家事を担い、自分の勉強や遊びの時間を削られている子どもたちのことです。
障がいや うつ病 を抱える親の代わりに家事をこなす子、入浴やトイレを含む身体介助を一人で行う子、 認知症 の家族を見守るために夜も熟睡できない子など、その姿は「子ども」と「家族介護者」の境目が消えているのが特徴です。
調査では、公立中学2年生の約5.7%、全日制高校2年生の約4.1%が「世話をしている家族がいる」と答えています。1クラスに1〜2人は ヤングケアラー がいる計算です。
それでも日本では長く、“家族のことは家族で”という考え方が強く、問題が表に出にくいままでした。
そんな中で、ねほりんぱほりんは、顔出しNGのゲストをブタの人形として迎え、深夜ならではの空気の中で、元当事者の本音を掘り起こしていきます。可愛らしい人形劇の見た目とは裏腹に、テーマはきわめてシリアスです。
小学4年で始まった「遠距離ケア」の日々
1人目のゲストは、現在20代の男性。小学校4年生のとき、遠く離れて暮らす母が うつ病 になり、そこから「元ヤングケアラー」としての人生が始まります。
本来なら「親に甘える年齢」に、彼は親を支える立場へと押し出されていきました。
遠方の親をケアするということは、単に家事を手伝うだけではありません。
学校が終われば長距離移動をして実家や親戚の家に向かい、食事の準備、部屋の片づけ、洗濯をこなし、ときには病院への付き添いまで担うことになります。
うつ病 の家族は、気分の波が激しく、予定どおりに動けないことも多いため、子ども側が「今日の機嫌はどうだろう」「何を言えば怒らせないだろう」と常に様子をうかがうようになります。
その結果、
・友だちと遊ぶ約束をドタキャンせざるをえない
・部活を最後まで続けられない
・宿題や受験勉強に集中できない
といった形で、じわじわと自分の人生が削られていきます。
番組では、おそらく彼が、「自分がケアをしなかったら母がもっと悪くなるかもしれない」という強い責任感を語るはずです。
子どもにとっては、本来背負わなくてよかったはずの重さです。
それでも当時の彼にとっては、「他にやれる大人がいない」という現実の前で、その選択以外が想像できなかったのだと考えられます。
高校1年で祖母を介護した少女の青春
2人目のゲストは、高校1年生のときに 認知症 の祖母の世話を任された女性です。
思春期まっただ中、友だちとの時間や部活、恋愛といった「青春の風景」が、祖母の介護によって大きく形を変えてしまいます。
認知症 のケアは、物忘れへの対応だけではすみません。
同じ質問を一日に何度も繰り返される、夜間の徘徊に付き添う、トイレや入浴を手伝う、時には暴言や拒否にさらされるなど、心身の負担が大きくなりやすいのが特徴です。
家庭内に介護サービスやヘルパーが十分に入っていない場合、その負担がそのまま ヤングケアラー にのしかかります。
高校生という年齢は、本来なら進路を考え、友人関係や部活を通じて社会性を育てる大事な時期です。
しかし、彼女は放課後まっすぐ家に帰り、祖母の食事や服薬の管理、トイレ介助、部屋の片づけを優先せざるを得ません。
塾や習いごとをあきらめ、修学旅行や遠出のイベントも「祖母のことが心配で楽しめない」と感じる場面があったはずです。
番組では、彼女が「腹が立つ自分」と「それでも祖母を嫌いになれない自分」の間で揺れ動いた葛藤を、赤裸々に語る展開が予想されます。
介護に追われる中で、「友だちに本当のことを言えなかった」「家の事情を笑い話に変えてごまかしていた」といった“二重生活”的なしんどさも、ねほりんぱほりんなら突っ込んでいくはずです。
元ヤングケアラーが語る“犠牲”と“罪悪感”
元ヤングケアラー として20代になった2人は、振り返れば「自分の時間のほとんどを家族に捧げていた」と語るでしょう。
しかし、その裏側には「もっと勉強したかった」「部活を続けたかった」「普通に遊びたかった」という、取り戻せない時間への悔しさがあります。
一方で、「家族を置いて自分だけ幸せになっていいのか」という 罪悪感 も、元当事者に共通する感情としてよく聞かれます。
進学や就職で家を離れるとき、「自分がいなくなったら家族はどうなるのか」と不安におそわれ、進路選択そのものを制限してしまうケースも少なくありません。
番組の中では、ヤングケアラー時代に誰にも打ち明けられなかった本音──
・本当は「つらい」と言いたかった
・学校で居眠りして怒られても、理由を説明できなかった
・ときどき家族にきつく当たってしまい、そのたびに自己嫌悪におちいった
といった、心の深いところにしまってきた記憶が引き出されていくはずです。
そして、「たった一言、『大変だったね』『あなたのせいじゃない』と言ってくれる大人がいたら救われた」という話も出てくるでしょう。
ねほりんぱほりんのMCである 山里亮太 と YOU は、軽妙なツッコミと優しい相づちを織りまぜながら、当時の孤独と、いまだから言える本音をじっくり掘り下げていきます。
社会はようやく動き出した──支援窓口と制度
この放送が扱うのは、2人の人生だけではありません。
彼らの体験を通じて、「なぜ子どもにここまでの負担が集中してしまったのか」「社会は何をすべきだったのか」という、現在進行形の問いでもあります。
日本では2020年前後から ヤングケアラー の実態調査が本格化し、「中学生の約17人に1人」「高校生の約24人に1人」が家族の世話をしている可能性があることが明らかになりました。
さらに、2024年には子ども・若者育成支援推進法が改正され、 ヤングケアラー が国や自治体が支援すべき対象として明記されています。
現在は、各地の自治体に こども家庭センター や 子ども家庭相談課 などの窓口が整備されつつあり、家事・育児支援、学習支援、配食サービス、相談支援など、できる範囲からのサポートが始まっています。
また、 こども家庭庁 の「ヤングケアラー特設サイト」では、地域やサポート内容から相談先を検索できる仕組みが用意されています。
番組を見て、「これ、もしかして自分のことかもしれない」と感じた人にとって、この情報は命綱になり得ます。
学校の先生、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、地域包括支援センターなど、信頼できる大人に話してみることが、状況を変える第一歩になります。
ねほりんぱほりんは、笑いと本音トークを武器にしながら、「自分の家庭だけの問題」として押し込められてきた現実を、社会全体で共有すべきテーマとして照らし出していきます。
2026年の今、この放送は「ヤングケアラーを一人にしない社会」への、静かだが力強いメッセージになるはずです。
注意事項とまとめ
本記事の内容は、実際の放送と一部異なる場合があります。
ヤングケアラー の経験は、一人ひとり背景も重さも違いますが、共通しているのは「誰にも言えないまま抱え込んでしまう」という苦しさです。少年が向き合った うつ病 の母、少女が支えた 認知症 の祖母。その姿には、家族を思う気持ちと、自分を犠牲にしてしまう痛みが同時に刻まれています。
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