いま注目の水族館が秘める“熱狂”の理由
このページでは『うなぎのぼりLAB いま注目の水族館(2月1日)』の内容を分かりやすくまとめています。
海に囲まれた日本で、いま特に存在感を増しているのが水族館です。深海の謎に迫る施設、SNSで人気爆発のマスコット、水槽ではなく“本物の川”を見せるユニークな展示――。それぞれの個性が火花を散らすように輝き、訪れた人の心をつかんで離しません。
なぜ今、魅力がうなぎのぼりなのか。その秘密に迫ります。
いま日本の水族館が“うなぎのぼり”なワケ
2026年2月1日放送のうなぎのぼりLABでは、鰻和弘、高橋ひかる、宮田崇の3人が、日本中の「いま勢いのある水族館」をデータと現場取材で掘り下げました。テーマはずばり水族館。ランキングやSNSの「いいね数」まで、あらゆるデータを“うなぎ登り”の視点で読み解いていきました。
日本は、水族館の数が世界でもトップクラスと言われています。一般社団法人日本水族館協会の資料でも、全国に100か所以上の水族館や類似施設があり、国土面積あたりの数は世界一と紹介されています。
海に囲まれた国ならではの多様な海洋生物と、地域ごとに特色ある展示が、こうした水族館ブームを支えています。さらに、年間来館者数は3,500万人以上にのぼるとされ、もはや水族館は「レジャー施設」という枠を超え、地域観光・環境教育・研究拠点として欠かせない存在になっています。
番組では、全国の水族館の年間来館者数をマップ上に可視化し、「来館者数がうなぎ登りの水族館」を一気にチェック。トップクラスにランクインしていたのが沖縄の沖縄美ら海水族館、大阪の海遊館、そして名古屋港水族館という“三大メジャー水族館”でした。どの施設も巨大な水槽と迫力ある大型生物の展示で知られ、国内外の観光客を強く引きつけています。
一方、関東エリアは水族館激戦区。マクセル アクアパーク品川、すみだ水族館、三重県の伊勢シーパラダイスなど、それぞれが独自のコンセプトを磨き、「光と音の演出」「ペンギンの相関図」「激レア生物の展示」など、尖った個性で勝負している姿も番組でクローズアップされました。
ジンベエザメとシャチが牽引する三大メジャー水族館
来館者数ランキングのトップに挙がった沖縄の沖縄美ら海水族館は、沖縄本島北部・本部町の海洋博公園内にある、日本を代表する大型水族館です。館内には「黒潮の海」と呼ばれる世界有数の巨大水槽があり、世界最大の魚類として知られるジンベエザメや、ナンヨウマンタが悠然と泳ぐ姿を間近で見ることができます。
2024年には、開館からの累計入館者数が6,000万人を突破し、その人気の高さを改めて証明しました。
大阪の海遊館も、世界最大級の都市型水族館として世界的に知られています。大阪港・天保山エリアに位置し、開館当初は世界最大の公共水族館と紹介されたほどの規模を誇ります。
館内の「太平洋」水槽にはジンベエザメが展示され、総水量約1,100万リットルの水槽群に約420種・29,000点もの生物が暮らしています。
番組では、ここに暮らすジンベエザメが、来館者にとって「会いたいスター」であり続けていることが、来場データからもはっきりと示されていました。
名古屋市港区にある名古屋港水族館は、日本最大級の館内面積と水量を誇る巨大水族館です。
なかでも目玉は、北館の大きな屋外プールを舞台に行われるシャチの公開トレーニング。日本最大クラスのショープールで、シャチが豪快にジャンプしたり、トレーナーと息を合わせてパフォーマンスを披露したりする姿は、観客の視線を一瞬で釘づけにします。
こうした三大メジャー水族館には共通点があります。巨大な水槽と迫力のある大型生物、そこで行われるショーやトレーニング、そして観光地としての圧倒的な集客力です。番組は、ジンベエザメやシャチのような“シンボルアニマル”が、来館者数を押し上げる推進力になっていることを、データと映像の両方で描き出していました。
関東エリアでは、マクセル アクアパーク品川が「エンタメ型水族館」として存在感を放ちます。館内では、プロジェクションマッピングやLEDビジョンを駆使した演出が行われ、イルカショー「ドルフィンパフォーマンス」は、昼と夜で演出を変えながら、音・光・映像が融合したライブのような空間をつくり上げています。
すみだ水族館は、東京スカイツリータウン内にある都市型水族館。ここで特に話題になっているのが、マゼランペンギンの恋愛模様や家族関係を図解した「ペンギン相関図」です。最新の「すみだペンギン相関図2026」では、58羽の個性豊かなペンギンの恋愛関係や性格、スタッフとの関係までが一枚にまとめられ、来館者がまるでドラマの登場人物を見るような感覚でペンギンたちを追いかけられるようになっています。
三重県・伊勢市の伊勢シーパラダイスは、動物との距離がとにかく近い「ふれあい系水族館」として知られてきましたが、番組では、数万匹に一匹とされる突然変異の「パンダウナギ」が新たな看板スターとして紹介されました。白黒まだらの模様が特徴的で、2024年に松阪市の炭焼きうなぎ店から寄贈されて話題を集めています。
深海生物でV字回復した竹島水族館の逆転劇
愛知県蒲郡市にある竹島水族館は、今回の放送で最も“うなぎのぼりLABらしい”逆転ストーリーを見せてくれた水族館と言ってもいい存在です。
一時期、竹島水族館の来館者数は12万人台まで落ち込み、廃館が検討されるほどのどん底まで落ち込んでいました。
建物は古く、大きなショープールもなければ、イルカやシャチ、ジンベエザメといった“大型スター”もいない。普通に水槽を見て回るだけなら10分もかからないと言われるほどの小さな施設です。
そこで館長たちが目をつけたのが「深海生物」でした。竹島水族館の周辺には形原漁港や西浦の漁港があり、底引き網漁では、ふだん市場に出回らない深海生物が多く水揚げされています。番組でも紹介されたように、水族館はこの“売り物にならない深海生物”を漁師から安く譲ってもらい、日本屈指の深海生物展示へと変貌を遂げました。
今では展示されている深海生物は約150種とも言われ、「日本一多くの深海生物が見られる水族館」として知られています。
しんかい6500にも関連する深海の世界を紹介しながら、オオクチイシナギ、オオグソクムシ、タカアシガニ、ツボダイ、マヌカザメなど、名前を聞くだけでワクワクするようなラインナップが並びます。
さらに決定打になったのが「さわりんプール」。深海生物に実際に触れることができるこの体験型プールは、来館者の心を一気につかみました。子どもたちが恐る恐るオオグソクムシに触れ、歓声と悲鳴が入り混じる様子は、まさに“忘れられない水族館体験”そのものです。
館内の滞在時間データを分析すると、来館者の約2割が2〜5時間も館内で過ごしていることがわかりました。その理由のひとつが、飼育員が一枚一枚手書きした解説パネルです。ユーモアや小ネタを交えつつ、生き物の生態をしっかり伝えるこれらのパネルは、読むだけで時間を忘れてしまうほどの情報量と面白さがあり、竹島水族館の大きな武器になっています。
土曜日には、地元でとれた深海生物にエサをあげる「深海モグモグタイム」も開催され、巨大なタカアシガニがエサに群がる様子など、テレビでは味わえない“生の迫力”を体験できます。こうした工夫の積み重ねにより、竹島水族館は過去最低だった12万人台から、近年は年間40万人台へとV字回復を遂げた事例として、多くのメディアにも取り上げられています。
川そのものを見せるサケのふるさと 千歳水族館の挑戦
北海道千歳市にあるサケのふるさと 千歳水族館は、「淡水魚に特化した水族館」として今回紹介されました。ここは、世界各地の淡水生物やサケの仲間を中心に展示する、日本最大級の淡水魚水族館です。
最大の特徴は、館内からガラス越しに千歳川そのものを観察できる「水中観察ゾーン」です。建物の地下部分から川に面した大きな窓をのぞくと、そこには北海道の自然の川が、そのまま一つの“巨大水槽”のように広がっています。サケが遡上する季節には、産卵のために帰ってきた野生のサケたちが目の前を力強く泳ぎ、季節によってはニジマスやウグイ、さまざまな淡水魚の姿も見られます。
一般的な水族館では、“人工の水槽”の中で魚たちの世界を再現しますが、千歳水族館は逆に「自然の川をそのまま展示にしてしまう」という発想で、唯一無二の体験をつくり出しています。番組でも、野生のサケがガラスのすぐ向こうを群れで行き交う映像が紹介され、「水槽をのぞく」というより「川の中に入り込んで観察している」感覚に近い臨場感が語られていました。
館内には、淡水としては日本最大級の水槽もあり、サケの一生を卵から稚魚、成魚、そして海へ旅立つまで追いかける展示も充実しています。
サケが産卵のために再び川へ戻ってくる「母川回帰」という驚くべき本能を、実際の川と水槽展示の両方で学べる構成は、子どもたちの自由研究にもぴったりの内容です。
うなぎのぼりLABは、この水族館を通して「海だけが水族館ではない」という視点も提示しました。淡水魚に特化し、地域の川そのものを展示することで、その土地の自然や歴史、サケ漁文化までを丸ごと伝える。千歳水族館は、そんな“地域密着型の学びの拠点”として存在感を高めています。
SNSで客数を動かす桂浜水族館おとどちゃん戦略
番組後半で大きく取り上げられたのが、高知県高知市・桂浜公園内にある桂浜水族館です。ここは、来館者数がどん底に落ち込み、存続すら危ぶまれた時代を経て、今は“高知の誇り”と呼ばれるほどの人気を取り戻した、まさにSNS時代の復活劇を体現する水族館です。
転機となったのが、公式マスコットキャラクター・おとどちゃんの誕生でした。桂浜水族館85周年を記念して2016年に登場したこのキャラクターは、高知出身のフィギュアイラストレーター・デハラユキノリがデザインを担当。
一見クセの強いビジュアルながら、Twitter(現X)を中心にユニークな投稿を続け、フォロワー数は20万人を超えるまでに成長しました。
番組では、水族館がSNSに投稿した内容の「いいね数」をランキング化。その結果、トップに輝いたのが大阪の海遊館によるアザラシの赤ちゃんの“初めての水遊び”投稿で、なんと29万いいねを獲得していました。
一方で、3位に食い込んだのが桂浜水族館。おとどちゃんが日々発信する投稿は、ゆるさと毒舌、そして水族館愛が絶妙なバランスでミックスされており、「何この水族館、ちょっと行ってみたい…」という気持ちを自然と引き出します。
おとどちゃんの中の人は、実は“館の中の本物のトドと館長がモデル”だと紹介されました。館長・秋澤志名は、来館者数が低迷し「高知の恥」とまで言われていた時代に、「このままでは終わらせない」と企業改革に乗り出した人物。
水族館にありがちな「きれいで真面目な広報」ではなく、あえて“ちょっと変で尖ったキャラクター”で勝負する戦略は、当時としては非常に大胆でしたが、そのぶんSNS上では瞬く間に話題となりました。
SNSのフォロワー数がうなぎ登りに増えた結果、桂浜水族館には県外からも「おとどちゃんに会いに来た」というファンが訪れるようになり、地元のよさこい祭りに呼ばれるほどの人気キャラクターへと成長。
最近では、飼育員にスポットを当てた「裏方の仕事」を紹介する投稿も好評で、その取り組みは書籍化もされています。SNSを単なる宣伝ツールではなく、「水族館の物語を伝えるメディア」として使いこなした好例と言えるでしょう。
うなぎのぼりLAB流・次に行きたい水族館の選び方
今回のうなぎのぼりLABが教えてくれたのは、「人気の水族館には必ず“うなぎのぼりの理由”がある」ということでした。
沖縄美ら海水族館や海遊館、名古屋港水族館のように、ジンベエザメやシャチといったスター生物と巨大水槽で勝負する水族館。
マクセル アクアパーク品川やすみだ水族館のように、プロジェクションマッピングやペンギン相関図といった“物語性のある演出”でリピーターを増やす水族館。
竹島水族館のように、深海生物というニッチなテーマを徹底的に掘り下げ、小さな施設ならではの近さと温もりで逆転した水族館。
サケのふるさと 千歳水族館のように、地域の川そのものを展示にすることで、その土地の自然や文化を丸ごと伝える水族館。
そして桂浜水族館のように、SNSの力で“遠くにいるファン”を巻き込み、来館へのハードルを一気に下げた水族館。
どの事例にも共通しているのは、「ここでしか体験できない何か」を持っていることです。巨大な水槽の迫力なのか、深海生物の不思議さなのか、野生のサケと出会える感動なのか、もしくはSNSで毎日“中の人”とつながれる楽しさなのか。
うなぎのぼりLABは、単にランキングを紹介するだけでなく、「なぜこの水族館に人が集まるのか」をデータとストーリーの両面から掘り下げていました。次の休日、あなたが水族館を選ぶときは、「自分はどんな体験がしたいのか?」という視点で選んでみると、番組で見た世界が一気に立ち上がってきます。
ジンベエザメに会いに南へ飛ぶのか、深海生物に触れに愛知へ向かうのか、サケの遡上を見に北海道へ行くのか、それともおとどちゃんに会いに高知へ旅するのか。水族館は、いま確実に“うなぎのぼり”の進化を続けています。
【新プロジェクトX】美ら海水族館誕生〜ジンベエザメと巨大水槽〜 柱なし巨大水槽はなぜ実現したのか|沖縄美ら海水族館×ジンベエザメ×誕生秘話 2026年1月11日
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