南相馬で出会った人と青春の物語
福島県南相馬市を舞台に、俳優の戸塚純貴が町の人たちと出会いながら歩く旅が描かれました。元気な高校生との交流や、町で暮らす人たちの言葉から、土地の魅力と人のつながりが見えてきます。
このページでは「鶴瓶の家族に乾杯 戸塚純貴が福島県南相馬市で高校生と爽やか青春旅!(2026年3月9日放送)」の内容を分かりやすくまとめています。偶然の出会いから生まれる温かい交流や、震災を経験した町の記憶まで、旅の見どころを紹介します。
鶴瓶の家族に乾杯が映したのは、南相馬市の今をまっすぐ歩く旅
今回の鶴瓶の家族に乾杯は、俳優の戸塚純貴さんを迎えて福島県南相馬市をめぐる後編でした。戸塚さんは岩手県出身で、これまで福島を「通過するだけだった」と語っていましたが、その距離感があるからこそ、今回の旅では見たもの聞いたものに、ひとつずつ新鮮な反応が生まれていました。東北の空気を知る人が、まだ深くは知らなかった町に足を踏み入れる。その構図だけでも、この回には静かな意味がありました。
旅の舞台になった南相馬市は、福島県浜通り北部に位置し、太平洋に面した町です。2011年の東日本大震災では大きな被害を受け、津波や原発事故の影響で暮らしそのものが大きく揺さぶられました。それでも町は止まりませんでした。農業、祭り、学校、商店、人のつながりを少しずつ取り戻しながら、今の南相馬があります。番組は、その「復興」という大きな言葉をむやみに振りかざすのではなく、出会った人の表情や声から、町の現在地をすくい上げていたのが印象的でした。
このシリーズが毎年3月前後に東北の被災地を訪ね続けてきた流れを思うと、今回の南相馬回もまた、記憶をたどるだけの番組ではありません。いま暮らしている人の体温を通して、震災後の時間を見つめる回でした。笑いがあり、戸惑いがあり、ふと胸に残る言葉がある。そんな番組らしさが、後編ではいっそう濃く出ていました。
戸塚純貴と高校生の出会いが、町の未来を明るく照らしました
後編の大きな軸になったのが、農業高校での交流です。公開情報では、戸塚さんが自力で取材許可を得て、農業高校の生徒たちに直球で質問していく流れが紹介されていました。台本どおりに進む見学ではなく、その場で声をかけ、その場で会話がふくらみ、その場の空気で旅が変わっていく。鶴瓶の家族に乾杯らしい偶然の強さが、ここでしっかり生きていました。
訪問先として重なるのは、南相馬市原町区にある福島県立相馬農業高等学校です。同校は1903年に始まる長い歴史を持ち、現在も地域に根ざした教育を続けています。2024年には南相馬市と連携協定を結び、地域貢献や相馬野馬追の継承にも関わっていることが市の公式情報で示されています。つまり、この高校はただ農業を学ぶ場所ではありません。土地の文化や営みを受け継ぎ、町の未来を支える人を育てる場でもあります。番組で高校生たちが放っていた明るさは、そうした学校の土台とも無関係ではないはずです。
高校生とのやり取りに「爽やか青春旅」という言葉がぴったりだったのは、若さが単なる元気さとして描かれていなかったからです。土地に残る人、ここで学ぶ人、地元とつながりながら未来へ進もうとする人。その姿が、戸塚さんのまっすぐな問いかけによって見えやすくなっていました。ロケ後に判明した「時をこえた再会」まで含めて、この場面は偶然の感動だけではなく、地域の中で人がつながり続けていることを感じさせます。
雑貨店と喫茶店で見えた、南相馬市の日常の豊かさ
後編では、戸塚さんがオシャレな雑貨店で鶴瓶さんとおそろいのおみやげを買う場面も描かれました。こうした立ち寄り先は、旅番組では一見軽やかな寄り道に見えますが、実は町の「いま」をよく映します。大きな観光名所ではなく、日々の暮らしの中で愛される店にこそ、その土地らしさがにじむからです。誰かが選んだ品、誰かが並べた雑貨、誰かが通う店。その小さな積み重ねが、町の表情をつくっています。
南相馬市では、震災後に新しい店や移住者による商いが少しずつ根づいてきました。市の公式記事でも、2022年以降に移住してコーヒー店を営む店主の歩みが紹介されていて、南相馬が「人との関係性のなかで店が育つ町」として語られています。今回の放送で紹介された喫茶店の店名は公開資料からは確認できませんでしたが、熱いコーヒーを求めてたどり着いた店で、マスターの「財産」に戸塚さんが感動したという流れは、まさにこの町の空気と重なります。南相馬では、店そのもの以上に、そこにいる人が店の魅力になっている。そのことがよく伝わる場面でした。
コーヒーは不思議です。派手な出来事がなくても、1杯をきっかけに会話が始まり、人となりが見えてきます。旅番組で喫茶店の場面が強く残るのはそのためです。今回も、マスターが大切にしてきたものが「財産」として語られたことで、店の歴史や人生の厚みが一気に立ち上がりました。物の値段ではなく、時間をかけて守ってきたものに重みがある。その感覚が、熱いコーヒーの湯気と一緒に画面から伝わってきました。
海に近い住宅街で聞いた震災の記憶が、この回の芯になりました
鶴瓶さんは、海に近い住宅街で被災した人の話に耳を傾けました。そこで語られたのが、津波から家族を救った小学6年生の孫の一言です。公開情報の段階では、その具体的な言葉そのものまでは示されていませんでしたが、「鶴瓶は驚く」と紹介されていたことからも、その一言がどれほど切実で、どれほど重かったのかが伝わってきます。子どもの言葉だから軽いのではなく、子どもだからこそ迷いなく届く言葉がある。後編の中でも、とくに深く心に残る場面でした。
南相馬市は震災で甚大な被害を受けました。市の資料では、死者や行方不明者、関連死を含めて多くの命が失われたことが記録されています。数字だけを見ると遠く感じてしまいますが、住宅街で誰かが体験を語る瞬間、その被害は急に「その家の出来事」として迫ってきます。番組が丁寧だったのは、悲しみを大きな物語にまとめすぎず、その人の記憶として受け止めていたところです。
震災報道では、どうしても被害の大きさや復旧の進み具合に目が向きます。もちろんそれも大切です。ですが、家族を守ろうとした一言、避難を決めた瞬間、あの日の迷いと判断は、1つ1つが暮らしの現場にありました。今回の後編は、その現場の声を正面から受け止めていました。笑いが多い番組だからこそ、こうした場面で生まれる沈黙が強く響きます。鶴瓶さんの聞き方にも、長年この番組が積み重ねてきた信頼がにじんでいました。
相馬野馬追の町だからこそ、旅の景色に奥行きが生まれました
前後編を通して、この旅の背景に流れていたのが相馬野馬追のある町としての南相馬の顔です。相馬野馬追は相馬地方で3日間にわたって行われる祭典で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。約400騎の騎馬武者が甲冑姿で集うこの行事は、南相馬を語るうえで欠かせない地域文化です。歴史は1000年以上と伝えられ、単なる観光イベントではなく、地域の誇りそのものとして受け継がれてきました。
相馬農業高等学校が市と連携して相馬野馬追の継承にも関わっていることを知ると、今回の高校生との出会いもさらに意味深く見えてきます。番組で映った若者たちは、ただ元気な高校生なのではなく、この土地の文化をつなぐ世代でもあります。旅先で出会う学生が、地域の未来を象徴する存在になる。そこにこの回の明るさがありました。震災の記憶を抱えた町でありながら、若い世代が前を向く姿がある。それがこの旅を重くしすぎず、でも軽くもしなかった理由です。
背景知識を少しだけ加えると、南相馬は海だけの町ではありません。農業、馬の文化、祭り、学びの場が重なり合う町です。だからこそ、この回の後編も「被災地を訪ねる話」だけでは終わりませんでした。高校、雑貨店、喫茶店、住宅街。ばらばらに見える場所が、実は1つの町の厚みとしてつながっていたのです。
この回が教えてくれたのは、町を知る近道は人に会うことだということです
今回の鶴瓶の家族に乾杯後編は、観光情報を並べる旅ではありませんでした。戸塚純貴さんが高校生にまっすぐ向き合い、雑貨店で笑い、喫茶店で足を止め、鶴瓶さんが住宅街で震災の記憶に耳を澄ます。その積み重ねによって、南相馬市は地図の上の場所ではなく、人の気配がある町として見えてきました。
特に印象に残るのは、番組が「青春」と「震災」を無理につなげようとしなかったことです。高校生の明るさは明るさとして描き、被災の記憶は記憶として丁寧に聞く。その距離感があったからこそ、見ている側も自然に受け止めることができました。そして最後には、どちらも同じ町の現在なのだと気づかされます。若い声も、年配の記憶も、南相馬の今を形づくっているのです。
放送を見終えたあとに残るのは、大きな結論ではありません。けれど、たしかな余韻があります。町を知る近道は、有名な場所を巡ることではなく、そこにいる人に会うこと。今回の旅は、その当たり前でいちばん難しいことを、あらためて教えてくれました。南相馬市という町のあたたかさ、しなやかさ、そして消えない記憶までを、やさしい手ざわりで映した後編だったと思います。
放送内容のまとめと追記について
鶴瓶の家族に乾杯では、戸塚純貴が福島県南相馬市を訪れ、農業高校の生徒との交流や町の人との出会いを通して、この地域の今の姿が描かれました。雑貨店や喫茶店での出来事、震災の記憶に触れる場面など、旅の中でさまざまな人の思いが語られます。本記事は公開されている番組情報をもとに整理しているため、実際の放送内容と異なる場合があります。放送後に確認できた内容は、必要に応じて追記していきます。
NHK【鶴瓶の家族に乾杯】(前編)戸塚純貴が南相馬ロケで相馬野馬追の家系と出会う よつわりパンと小高の過去も語られた旅|2026年3月2日
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