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NHK【みみより!解説】母親の更年期が子どものメンタルに影響?思春期との関係と家庭でできる支援を研究から解説|2026年3月9日★

みみより!解説
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みみより!解説 子どものメンタルと母親の更年期症状

家の中で起きているしんどさは、外からは見えにくいものです。
とくに、思春期の子どもの心のゆらぎと、母親の更年期による不調が同じ時期に重なると、本人たちも周囲も、そのつながりに気づきにくくなります。

このテーマが重く響くのは、どちらも「よくあること」で片づけられがちだからです。
更年期は多くの女性が通る時期ですが、症状の出方には大きな差があります。
一方、思春期もまた、心も体も大きく変わる時期です。
国立成育医療研究センターは、思春期は身体面、心理面、社会性が大きく変化する時期で、保護者との関係がメンタルヘルスや生活習慣に大きく影響すると説明しています。だからこそ、母親の不調を母親だけの問題として切り分けず、家族全体の課題として見る視点が大切になります。

全国調査で見えた母親の更年期症状の実態

番組の土台になったのは、国立成育医療研究センター女性の健康総合センターの研究グループが公表した調査です。
対象になったのは、全国の10歳から16歳の子どもとその保護者です。
2023年の全国調査データを使い、回答した保護者が女性だった1541世帯を分析しています。

この調査でまず目を引くのは、母親側の症状の多さです。
分析した1541組の母子ペアのうち、母親の約2人に1人にあたる650人、42.2%が更年期症状を自覚していました。
さらに、約4人に1人にあたる408人、26.5%は、医師の診察が望ましい中等度以上の症状を抱えていたとされています。

更年期症状の評価には、日本の臨床現場で使われている「Simplified Menopausal Index(SMI)」が用いられました。
ほてりや発汗などの血管運動症状、寝つきの悪さなどの心理症状、めまいやだるさなどの身体症状という3つの領域から点数化し、症状の重さを5段階でみています。番組が単なる印象論ではなく、一定の尺度に基づいた研究をもとにしていたことは大きなポイントです。

母親の不調が子どもとの関わりにどう影響したのか

この研究が注目された理由は、母親本人のつらさだけでなく、その影響が子どもの側にも表れていたからです。
研究では、更年期症状の治療を受けていない母親について、症状が強いほど思春期の子どもへの関わりに難しさを感じやすいことが明らかになりました。

ここで大事なのは、これは「母親が悪い」という話ではないことです。
しっかり眠れない、気分が落ちる、体がだるい、ほてりや発汗がつらい。
そんな状態が続けば、家の中でいつも通りに話すことも、子どもの変化を受け止めることも簡単ではありません。
研究グループも、母親の健康状態への理解や支援が、家庭全体のウェルビーイングを支えるうえで重要だと述べています。

思春期の子どもは、もともと親との距離が少しずつ変わっていく時期です。
小さいころのように何でも話すわけではなく、言葉が少なくなったり、イライラが強く見えたりすることもあります。
そこへ家庭の中のしんどさが重なると、すれ違いはさらに深くなりやすいです。
番組がこのテーマを取り上げたのは、家庭の中で起きる小さなずれが、見過ごせないサインにつながるからだと感じます。

子どもに表れたメンタルの変化とは

研究では、母親の更年期症状が強い場合、子ども自身の側にも変化が見られました。
具体的には、孤独感、不安、抑うつが高く、さらにインターネット依存の傾向も強く示されたとされています。これはかなり踏み込んだ結果です。

子どもの心理状態の評価には、SDQ、UCLA孤独感尺度、Short-CAS、PHQ-A、YDQといった国際的に広く使われている尺度が用いられました。
つまり、子どもの「なんとなく元気がない」を感覚だけで語ったのではなく、孤独感や不安、抑うつ、ネット依存傾向などを客観的な方法で確かめたうえで関連を調べています。

ここで印象に残るのは、子どもの不調が、目に見える問題行動だけではないことです。
部屋にこもる、スマホやネットに長く向かう、ため息が増える、表情が少なくなる。
そうした変化は、反抗期だから、今どきの子だからと流されやすいですが、番組が伝えたかったのは、その奥にある孤独や不安に目を向ける必要性でしょう。研究結果も、家庭内の関係のしんどさが子どもの内面の負担と無関係ではないことを示しています。

とくに見逃せない「心理症状」の重さ

更年期症状にはいくつかの種類がありますが、この研究で最も強く関連していたのは「心理症状」でした。
3つの領域のうち、血管運動症状や身体症状よりも、心理的な更年期症状が子どもの健康悪化と最も強く関係していたと報告されています。

これはとても重要な点です。
更年期というと、ほてりや発汗を思い浮かべる人が多いかもしれません。
けれど実際には、寝つきの悪さ、気分の波、落ち込み、いら立ちのような心理面のつらさが、家族関係や子どもの心にも影を落とす可能性があるわけです。研究がそこをはっきり示したことで、見えにくい不調を軽く扱わない必要が一段とはっきりしました。

家庭の中では、心理的な不調ほど説明しにくいものです。
熱があるように数字で見えず、けがのように外からも分かりません。
だから「気のせい」「疲れているだけ」で終わってしまいやすいです。
番組がこの問題を社会に向けて言葉にした意義は大きく、母親のつらさを見える化し、その先にいる子どもの苦しさにも光を当てた回だったと言えます。

受診率の低さが示した支援の届きにくさ

研究でもう1つ重かったのは、受診率の低さです。
医療機関を受診し治療を受けていた母親は全体の4.6%にとどまりました。
しかも、中等度から重度の症状がある母親に限っても、受診していたのは9.1%でした。

つらい人が少ないのではなく、つらくても受診につながっていない。
この事実はかなり深刻です。
更年期は病気ではないから、家事や仕事や子育てで忙しいから、どこに相談したらいいか分からないから。
そうしたいくつもの理由が重なって、支援の外に置かれている人が多い現実が見えてきます。国立成育医療研究センターも、更年期に関する正しい知識の普及と適切な支援につながる環境整備が必要だとしています。

ここには、子どもの支援にもつながる大きな意味があります。
母親が適切に支えられることは、母親本人のためだけではありません。
家庭の空気が少しやわらぎ、子どもが安心して過ごせる時間を取り戻すことにもつながる可能性があります。
番組が「必要な支援」を大きな柱にしていたのは、この連鎖を断ち切るためだったはずです。

この研究をどう受け止めればいいのか

今回の研究はとても重要ですが、受け止め方には注意も必要です。
研究グループ自身が、この研究は横断的デザインであり、因果関係を直接示すものではないと明記しています。つまり、「母親の更年期症状が子どもの不調を必ず引き起こす」と断定するものではありません。

それでも価値が大きいのは、これまで見落とされがちだった関連を、全国データで包括的に示した点です。
国立成育医療研究センターは、この知見が家族支援、思春期支援、女性の健康施策を連携した予防的アプローチの一助になるとしています。
母親だけ、子どもだけ、どちらか片方を見ても足りない。
家族をひとまとまりで支える視点が必要だと、研究は静かに教えています。

家族に必要なのは「我慢」ではなく、早めの相談

この回を見てまず大切だと感じるのは、家庭内のしんどさを我慢で乗り切ろうとしないことです。
母親がつらいなら、つらいと認めていい。
子どもが元気をなくしているなら、反抗期だけで決めつけない。
その出発点があるだけでも、家の中の空気は変わってきます。

研究グループは、更年期症状への早期対応や相談支援体制の整備、女性の健康への意識向上が、間接的に子どものメンタルヘルス支援にもつながる可能性があると述べています。
支援とは大げさなものではなく、まずは知ること、相談先につながること、家族の変化を言葉にすることから始まります。

今回の「みみより!解説」は、母親の更年期症状と子どものメンタルを別々の話としてではなく、同じ家庭の中で起きている問題として見つめ直す回でした。
体の不調も、心の揺れも、どちらか一方だけを責めても解決しません。
母親も子どもも孤立させないこと。
その当たり前なのに難しい支え方を、短い時間の中でまっすぐ投げかけた内容だったと言えます。

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思春期と更年期が同時期に起きる理由

しげゆき
しげゆき

ここで少し、記事の補足として知っておきたい背景を紹介します。

実は多くの家庭で、子どもの思春期と母親の更年期は自然に重なりやすいと言われています。これは偶然ではなく、年齢の流れから見るととても起こりやすい組み合わせだからです。子どもが大きく心と体を変化させる時期と、母親の体に大きな変化が起きる時期が重なることで、家庭の空気が少しだけ難しく感じられることもあります。番組のテーマを理解するうえで、この背景を知っておくと状況がぐっと見えやすくなります。

思春期は10〜15歳ごろに始まる心の変化

思春期は、子どもが大人へ近づいていく大切な時期です。一般的に10歳から15歳ごろに始まることが多く、体の成長だけでなく心の変化も大きくなります。この時期は自分の考えを持つようになり、親と距離を取りたくなる気持ちも生まれます。学校や友だち関係の中で悩みを抱えることも増え、不安やイライラが強くなることもあります。つまり思春期は、子どもにとってメンタルの揺れがとても大きくなる時期なのです。今まで素直だった子どもが急に口数が減ったり、部屋にいる時間が増えたりすることもあります。これは成長の過程でよく見られる自然な変化です。

母親の更年期は45〜55歳ごろに起きる

一方で母親の体にも大きな変化の時期があります。それが更年期です。一般的に更年期は45歳から55歳ごろに起きることが多く、女性ホルモンの変化によって体や心にさまざまな症状が現れることがあります。体がだるく感じたり、眠りにくくなったり、気分の落ち込みやイライラを感じることもあります。更年期の症状は人によって差がありますが、日常生活に影響が出るほどつらい場合もあります。体の変化は目に見えにくいため、周囲から理解されにくいこともあり、母親自身が苦しい思いを抱え込んでしまうこともあります。

親子の変化が同時に起きる家庭のタイミング

多くの家庭では、子どもが10〜15歳の思春期のころ、母親は45〜55歳に差しかかることが多いです。つまり子どもが心の成長で揺れている時期に、母親も体や心の変化を迎える可能性があります。このように思春期と更年期が同じ家庭で同時期に起こることは珍しいことではありません。親子それぞれが大きな変化の途中にいるため、普段なら気にならない言葉や態度が気になったり、すれ違いが起きやすくなることもあります。しかしこれは誰かが悪いわけではなく、人生の中で自然に起きる重なりでもあります。この背景を知っておくことで、家庭の中で起きる心の動きを少しやさしく見つめ直すことができるのです。


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