ストローってなんで生まれたの?
ストローは、私たちの生活に当たり前のように存在しています。ジュース、アイスコーヒー、ミルクティー…いろんな飲み物と組み合わせて使う道具ですが、「なぜストローで飲む文化が生まれたのか」を深掘りすると、意外な歴史と人間の知恵が見えてきます。この記事では、ストロー誕生のルーツから、“ストローで最初に飲まれた飲み物”までを丁寧に解説します。読み終えるころには、日常の小さな行動にも新しい視点が加わるはずです。
NHK【歴史探偵】ニッポン カツオだし浪漫(ロマン) 古代の堅魚煎汁・塩鰹・古自香草が明かす“天皇の味”の秘密|2025年11月12日
古代メソポタミアで生まれた“ストロー文化”
ストローの誕生は、今からおよそ5000年前の古代メソポタミアまでさかのぼります。この時代の遺跡や埋葬品から、細長い管状の道具が見つかっており、これがストローの原型とされています。
特徴的なのは、その素材と装飾です。古代のストローには金属や宝石が使われており、とくに王族の墓からは金やラピスラズリで装飾された豪華なストローが出土しています。実用品でありながら、権力や富の象徴でもあったことがうかがえます。
では、なぜ当時の人々はわざわざストローを使っていたのでしょうか。その理由は、当時の飲み物に深く関係しています。
ストローで最初に飲まれたのは『古代ビール』
ストローで最初に飲まれた飲み物として最も確からしいのは『古代メソポタミアのビール』です。このビールは現代のビールとはまったく違い、濾過の技術がなかったため、麦芽カスなどの固形物が多く残った濁り酒のようなものでした。
大きな土器に発酵させたビールを入れ、そこに長いストローを差し込んで飲んでいたとされています。ストローが長かったのは、容器の底に沈む固形物を避けながら綺麗な部分だけを飲むためでした。
また、古代メソポタミアでは複数人で同じ容器からビールを飲む文化があり、大きな酒器を囲んでストローを使い、それぞれが自分の管で飲んでいたと考えられています。これは宴や祭りの場でも用いられ、飲むという行為が人々をつなぐ重要な儀式でもありました。
なぜストローを使ったのか?その深い理由
ストローの存在には複数の背景があります。それぞれを少し詳しく見ていきます。
飲み物を“きれいに”飲むため
古代のビールは濁りがあり、底には固形物が多く沈んでいたため、そのまま飲むと不快感が残りました。ストローを使うことで、沈殿物を避けて液体だけを楽しめたのです。
容器が大きく、人とシェアする文化があった
一人一杯ずつ注ぐのではなく、一つの大きな容器をみんなで囲んで飲む文化が広く見られました。直接口をつけずに飲めるストローは、衛生面でも合理的で、複数人が同時に飲めるというメリットもありました。
装飾されたストローは“特別な意味”を持っていた
豪華な金属製ストローが墓から見つかっていることから、単なる日用品ではなく、儀式や格式の象徴として使われていた可能性があります。飲むという行為そのものが神聖であり、そこに使われる道具も特別だったのです。
現代のストローにつながる長い歴史
古代から始まったストロー文化は、時代とともに形を変えながら現代まで続いています。
19世紀に誕生した紙ストロー
1888年、アメリカの発明家 Marvin C. Stone が紙を巻いてストローを作り、その技術で特許を取得します。これが現代の紙ストローの原型となりました。
当時は金属製ストローよりも安全で使い捨てできる紙製品の需要が高まり、紙ストローはあっという間に飲食文化の主流となりました。バーで提供されるウイスキーソーダなどに多く使われ、衛生的で軽く、どこでも使える利便性が人々に受け入れられました。
20世紀はプラスチックの時代へ
20世紀に入ると、より安価で大量生産できるプラスチックストローが登場します。軽量で折れにくく、柔軟に曲げられるストローは世界中に広がり、ファストフード店やコンビニ飲料には欠かせない存在になりました。
2025年現在では、環境への配慮から紙ストローやバイオ素材ストローが再評価され、再び“原点回帰”のような流れが起きています。環境と快適さのバランスを探る動きは続いており、ストローは今も進化の途中にあると言えます。
放送内容について(放送前の段階)
この記事のテーマは『チコちゃんに叱られる!』2025年11月21日放送回で放送予定です。まだ放送前のため、番組内でどのように説明されるか、どんな映像が流れるのか、どんなコメントがあったのかは不明です。放送後、実際の内容が確認できしだい、番組の説明部分を追記します。
まとめ:ストローの歴史は“飲む”という文化の歴史
この記事のポイントは以下の3つです。
・ストローの起源は紀元前3000年ごろの古代メソポタミア
・ストローで最初に飲まれたのは『古代ビール』
・沈殿物を避ける・共同飲用文化・儀式の象徴という複数の理由でストローが生まれ、現代にも続いている
ストローひとつにも、5000年の歴史が詰まっています。毎日使う何気ないストローに、古代の人々が持っていた知恵や願いがつながっていると思うと、ちょっとワクワクしてきませんか。普段の飲み物を手にする瞬間が、すこしだけ豊かに感じられるかもしれません。
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