記事内には、広告が含まれています。

NHK【クローズアップ現代】賃金アップに福利厚生も!?広がるか“短時間正社員” 導入の壁・スウェーデン企業の成功例・ドイツ『パート法』比較まで総まとめ|2025年12月1日

クローズアップ現代
メール購読のご案内

いつも「気になるNHK」をご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、NHKの番組紹介や見どころ、新着情報などをいち早くお届けしています。

賃金アップにつながる“短時間正社員”はどこまで広がるのか?

“短時間正社員”という働き方が注目されています。正社員の安定性と、パートのような柔軟さをあわせ持つ仕組みで、働く側にとっても企業にとっても新しい可能性が見えてきました。今回の放送では、現場で働く人の声、企業の悩み、導入後の変化、海外の事例まで幅広く取り上げられ、今後の日本の働き方を考えるヒントが集まっていました。

NHK【クローズアップ現代】最低賃金1000円超でも広がる地方女性の低賃金格差と家計への影響|2025年9月24日

正社員とパートの“間”にある新しい選択肢

“短時間正社員”は期間の定めがない無期雇用でありながら、働く時間を抑えられる制度です。給与や福利厚生などは正社員に近く、働く時間は事情に合わせて短くできるのが特徴です。医療・介護、スーパー、運送、自治体など、導入する業界は少しずつ広がり始めています。

訪問看護の現場で働く奥島さんは週4日の短時間正社員。看護師の離職を防ぎたいという会社側の思いからこの制度が導入され、結果的に職場全体に安定した働き方が浸透しました。設立時5人だった会社は113人へと成長し、そのうち4割が短時間正社員という数字が示すように、働きやすい環境づくりが事業の拡大にもつながっています。

企業によっては、短時間正社員が働く意欲の向上につながったという報告もあり、制度が単なる“時短の枠”ではなく、キャリアを前向きにするきっかけにもなることが見えてきました。

制度が広がらない理由と企業側の本音

田中洋子名誉教授(筑波大学)がスタジオで紹介したデータでは、主婦を対象にした調査で65.9%が「短時間正社員で働きたい」と回答する一方、制度を導入している事業所は15.9%にとどまっています。ニーズはあるのに広がらない背景には、企業側の不安がありました。

就職先の紹介を行う会社が企業へ提案すると、導入の壁として挙がるのは以下のような声です。

・既存の就業ルールの見直し
・人件費アップへの懸念
・社員間の不和を心配する声

制度を採り入れた企業からは「導入してよかった」という意見が多いと田中名誉教授は話し、企業が一歩踏み切れるかどうかが大きな分岐点になっていることが番組を通して伝わってきました。

スウェーデン発祥の企業が示した“全員短時間正社員”という選択

家具やインテリアを扱うスウェーデン発祥の大手小売チェーンは、2014年に非正規雇用を廃止し、全員を短時間正社員にしました。給与アップや福利厚生で人件費は増えましたが、徹底した人事制度の見直しにより、社員がスキルを高め、新しい事業へスピーディーに対応する力が育ちました。

結果として、この10年で世界経済が落ち込んだコロナ禍でも売上は順調に伸び続け、経営の強さを示しています。日本でも船橋(千葉)の店舗が紹介され、働く現場が制度とともにどう変わったのかが映し出されていました。

海外では権利として保障されている国も

田中名誉教授はドイツの例も紹介しました。2001年に成立したパート法では、働く人が「短時間正社員を選択する権利」を持ちます。誰でも自分に合った働き方を選べる仕組みであり、今では働く人の約4割が短時間正社員という状況です。

制度が定着すれば、働く人の選択肢が広がるだけでなく、企業側にも新しい人材戦略が生まれる可能性があります。番組では、日本企業の課題を乗り越えたケースとして、制度の導入が経営判断としても有効だと紹介されていました。

まとめ:働き方の未来を動かす選択肢になるのか

“短時間正社員”は、働きたい人の希望と企業の課題の両方を満たす新しい働き方として注目が集まっています。待遇と柔軟性のバランスを取りながら働けるこの仕組みは、子育て・介護・スキルアップなど、人生の様々な局面で役立つ可能性があります。

企業にとっては、離職防止や人材育成、事業の成長につながる選択肢でもあり、日本経済全体にとっても新しいヒントになるテーマです。今回の放送を通して、“短時間正社員”がこれからどれだけ広がり、働き方の未来にどう影響していくのか、注目したい内容でした。

短時間正社員を導入した企業が見せる“働き方の変化”

しげゆき
しげゆき

ここからは、私からの提案です。短時間正社員を取り入れた企業では、働き方そのものが大きく変わり始めています。子育てや介護で長時間働けない人が、正社員として安心して働けるようになり、企業全体の雰囲気が明るくなるケースが増えています。制度を使う人だけでなく、一緒に働く同僚にも良い影響が生まれ、会社の成長につながる動きが見えるのが特徴です。ここでは、実際に導入している中小企業の事例をもとに、その変化を具体的に紹介します。

株式会社日淺の導入が生んだ働き方の広がり

株式会社日淺では、2016年から「在宅ワーク」と「短時間正社員制度」を組み合わせた働き方が導入されました。子育て中の女性は「週2日出社・週3日在宅」という形で働いており、家事や育児と仕事を両立しやすい仕組みになっています。1日の勤務時間は6〜7時間で、フルタイムより短いものの、給与の時間単価や評価方法はフルタイム社員と同じです。この制度でパートから正社員になった人や、育児で時間に限りがあっても正社員として働き続けられる人が増えました。会社の中では、子育てと仕事の両立への理解が進み、働き方に対する安心感が生まれています。また、人材が定着するようになり、採用でも魅力として伝えられるようになりました。

株式会社システム・フォレストの離職防止につながる取り組み

株式会社システム・フォレストはIT企業ならではの働き方の課題を抱えていました。育児とフルタイム勤務の両立が難しく、優秀な女性社員が退職してしまうケースが続いていたため、短時間正社員制度の導入が大きな転機になりました。制度が始まってからは、子育て中でも無理なく働き続けられる仕組みが整い、キャリアを止めることなく継続できる職場になっています。さらに、「短い時間でも成果が出せる評価制度」に見直したことで、責任ある仕事にも挑戦しやすくなりました。かつては退職の理由になっていた育児やライフステージの変化が、続けるための壁ではなくなり、社員の満足度と会社の安定した成長につながっています。

大企業の運用例から見る制度の厚み

中小企業だけでなく、味の素株式会社のように早い段階で制度を広げてきた例も参考になります。2004年から育児短時間勤務を整えてきたことで、多くの社員が家庭の事情に合わせながら働けるようになっています。また、鉄道関連企業でも育児や介護を理由とした短時間勤務制度が使われており、時間を調整しながら続けられる働き方が増えてきました。大企業での運用は制度の幅や選択肢も多いため、中小企業が参考にしやすいポイントがたくさんあります。実際に、就業時間の柔軟性を高めることが人材確保や教育の継続に効果を出していることがわかります。

制度が注目される理由と広がり始めた背景

短時間正社員が注目されるのは、単に勤務時間が短くなるからではありません。正社員としての安定性がありながら柔軟に働けるため、子育て・介護・病気の治療など幅広い場面で力を発揮する働き方だからです。企業側も、働き手が安心して長く働ける職場をつくることで、離職防止や人材の定着につながり、結果として事業の成長を支える力になります。特に人材不足が続く中、短時間正社員を取り入れることは、ごく自然な選択肢になりつつあります。制度の導入前後で社員数が増えたり、応募が増えたりする動きも見られ、働き方の柔軟さが会社を強くする実例として注目されています。


気になるNHKをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました