ロシアに走る不協和音の正体
このページでは『クローズアップ現代(2025年2月2日)』の内容を分かりやすくまとめています。
ロシア国内では、長引く侵攻の影響が静かに形を変えています。減速する軍需経済、かつて政権を支えた愛国ブロガーの批判、街角で広がる反戦歌の波。そして帰還兵の影が社会に揺らぎを生んでいます。
プーチン政権が押し隠してきた「ひずみ」が重なり合い、停戦の行方を左右し始めています。
ロシア軍需経済に走ったブレーキ
ロシアは侵攻以降、国家全体を戦争優先の体制へと切り替えてきました。しかし4年が近づく今、軍需経済には確かな減速が生まれています。西側制裁の影響でハイテク部品の調達が難しくなり、ミサイルや装甲車の生産ラインでは遅れが相次いでいます。第三国経由の調達で穴埋めを図るものの、コストは跳ね上がり、国内のインフラや医療・教育といった生活分野は後回しにされ続けています。
地方都市では物価高と賃金停滞が重なり、生活の苦しさが増しています。軍需産業の一部では収入増の恩恵があるものの、社会全体では格差と疲労が積み重なり、国民の不満は静かに広がりつつあります。この経済のひずみが後の「不協和音」を生む土台になっています。
愛国ブロガーが突きつける政権批判
これまで政権を強く後押ししてきた愛国ブロガーたちが、戦争の現実を前に声を変え始めています。前線から届く兵士の訴えを受け、軍指導部の判断や装備不足を厳しく批判する投稿が増加しています。戦争を全面支持していた層からの不満は、政府にとって扱いが難しい存在です。
完全に黙らせれば支持基盤を削ぐ恐れがあり、放置すれば政権の無能さを訴える言論として拡散します。番組は、こうした“内なる批判”の広がりを丁寧に描き、ロシア社会の中枢で生まれている揺らぎを浮かび上がらせています。
路上から響く反戦歌と若者の本音
ロシア各地の街角では、若者たちが歌う反戦歌が静かに支持を集めています。サンクトペテルブルクの路上ミュージシャン、ダイアナ・ロギノワさんが反戦的な楽曲を歌い罰金を受けた件は象徴的です。若者たちは、音楽やSNSを通して「戦場に行きたくない」「この戦争の意味が分からない」という本音を共有しています。
ロシアでは反戦を公言することは非常に危険ですが、それでも歌やラップは世代を越えて共感を集めています。都市の地下通路に響くメロディは、見えない形で厭戦気分を広げ、社会の空気をわずかに変え始めています。
前線から戻る「帰還兵」が抱える爆弾
戦場から戻った兵士たちは、ロシア社会に新たな影を落としています。多くの帰還兵が心身ともに深い傷を負っており、PTSDや依存症、家庭内暴力、事件化といった問題が浮上しています。政府は彼らを“英雄”として扱い表彰や支援策を打ち出す一方で、実際の医療やケアは追いついていません。
帰還兵によるとされる重大事件は数百件規模との指摘もあり、地方では不安が広がっています。戦場の記憶に苦しむ彼らの存在は、政権にとって扱いの難しい“静かな爆弾”となりつつあります。兵士を送り続ける戦争と、受け止めきれない社会。この矛盾がロシア内部の不協和音をさらに大きくしています。
プーチン政権はどこまで戦い続けるのか
プーチン政権は依然として強硬姿勢を崩していません。占領地域の編入を前提に、停戦交渉にはウクライナに大きな譲歩を求める姿勢を続けています。戦争を「歴史的使命」と位置づける国内向けの物語があり、少しでも妥協すれば支持層の反発を招く可能性があるためです。
しかし、長期戦がロシアの経済・外交・軍事のすべてに重い負担を与えていることは明らかです。完全な軍事的勝利が見通せないなか、政権は「やめることもできず、勝ちきることも難しい」という苦しい局面に立っています。
停戦の条件と「不協和音」の行きつく先
ロシア社会の内部では、減速する経済、愛国ブロガーの批判、若者の反戦歌、帰還兵の問題と、大小さまざまな不協和音が重なっています。これらが一気に政権を揺るがすとは限りませんが、長期的には停戦を考えざるを得ない圧力となります。
番組は、こうした変化を通して「ロシアはどこへ向かうのか」という問いを投げかけています。強硬な表向きの姿とは裏腹に、水面下では静かに揺らぎが広がっています。停戦に向けた回路がどこで開くのか、そして国民の声がどのように未来を変えるのか。ロシア社会の今を立体的に描き出す内容となっています。
まとめ
ロシアでは、減速する軍需経済、揺らぎ始めた愛国ブロガーの声、街に広がる反戦歌、そして帰還兵が抱える深刻な問題など、複数の不協和音が重なり始めています。これらはすぐに体制を左右する決定打にはならなくとも、長期的には停戦を考えざるを得ない圧力として作用していきます。番組内容と違う場合があります。放送後に内容を追記します。
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