世界の料理に隠れた職人技
このページでは「有吉のお金発見 突撃!カネオくん 世界各地の『料理のスゴ技』スペシャル(2026年3月8日放送)」の内容をまとめています。今回は、日本料理の繊細な包丁さばきから、フレンチの火入れ、中華の豪快な鍋使い、さらにピザ回しやドネルケバブまで、世界の料理人が積み重ねてきた技が次々と登場しました。ただおいしいだけではなく、見た目、食感、香り、そして食べる場の楽しさまで作っているのが料理人の仕事なのだと、あらためて感じる回でした。番組では、こうした技の裏にある道具やお金の話も交えながら、その奥深さを伝えていました。
日本料理の包丁技がすごい
番組の前半でまず目を引いたのが、日本料理の包丁技術でした。大根のかつらむきは、多くの人が知っている技ですが、実際に見てみると、その難しさがよく分かります。右手の親指を支点にして包丁を細かく動かし、左手の親指で大根を少しずつ回していく。そのわずかなズレが、仕上がりを大きく変えてしまいます。
教えてくれた長島博さんは、2008年に「現代の名工」に選ばれ、2019年には旭日双光章を受章した日本料理人です。厚生労働省の「現代の名工」にも名があり、日本料理の技術を長く支えてきた人物として知られています。長年積み上げた経験があるからこそ、1本の大根を途中で切らずに、なめらかにむき続けることができるのです。
かつらむきは、見せるためだけの技ではありません。水輪盛りや砧巻きのように、日本料理の美しい盛りつけを支える大事な基礎です。日本料理では、味だけでなく季節感や見た目の美しさも大切にされます。牡丹大根や梅にんじん、きゅうりで松や竹を表す飾り切りが紹介されたのも、その考え方があるからです。料理が「食べるもの」であると同時に、「季節を感じるもの」でもあると伝わってきました。
さらに印象に残ったのが、ハモの骨切りです。皮を切らず、骨だけに細かく包丁を入れるこの技は、感覚としては約1mmという世界でした。料理人が音で判断するという話からも、技術がただの手順ではなく、耳や指先の感覚まで使う総合力なのだと分かります。使う包丁が1本30万円という話も出ましたが、それだけの道具を生かせるのは、結局は使い手の経験と精度なのだと思わされました。
フレンチと中華にも包丁の妙がある
包丁の世界は、日本料理だけではありませんでした。フレンチでは「アッシェ」、つまりみじん切りにも細かな名前や大きさの違いがあり、切り方そのものが料理の一部になっています。番組では尾鷲幸男さんがその技を見せてくれました。尾鷲さんは神奈川県平塚市のフランス料理店「マリー・ルイーズ」のシェフとして知られ、長く現場に立ち続けてきた料理人です。店は1984年開業で、地域で親しまれてきたフレンチの店でもあります。
フレンチの包丁技で面白いのは、ただ細かく切るだけではないところです。肉の筋や脂を整える「肉磨き」、小さなペティナイフで果物を飾り切りする作業など、きれいに仕上げるための工程がとても多いのです。日本料理が季節や形を整える技だとしたら、フレンチは素材の状態を見ながら、料理の完成形に向けて輪郭を整えていく技だと感じます。同じ包丁でも、文化が違うと役割の見え方も変わってきます。
そして中華料理では、一気に景色が変わります。大きな中華包丁は、肉や魚を切るだけでなく、皮をむく、食材をつぶす、切ったものをそのまま運ぶといった、何役もこなす道具として紹介されました。教えてくれた外崎登志雄さんは、銀座の三笠会館本店4階「揚州名菜 秦淮春」の料理長で、2025年に「国家名厨」に選ばれた人物です。秦淮春は、揚州料理を看板にする中国料理店で、銀座5丁目にあります。
中華の包丁技で特に驚かされたのが、豆腐を細く切る技でした。番組で触れられた「文思豆腐」は、揚州料理の名菜として知られ、絹ごし豆腐を髪の毛のように細く切る料理です。揚州に伝わる古典料理として紹介されることが多く、技術の見せ場としても有名です。やわらかい豆腐を崩さず切るには、力よりも刃の入り方と手の安定が大事です。重そうに見える中華包丁が、実は繊細な仕事にも向いていることがよく分かる場面でした。
火入れの世界は料理の見せ場
次に番組が見せてくれたのは、火をどう使うかという技でした。洋食の代表として登場したのがフランベです。炎が立ち上がるあの瞬間は、見ているだけで気分が上がりますが、もちろん派手さだけではありません。香りを立たせ、余分なアルコール分を飛ばし、料理の印象を一気に変える大事な工程でもあります。
番組では、こうした客前でのパフォーマンスを広く知られるものにした人物としてロッキー青木が紹介されました。ベニハナの公式情報でも、ロッキー青木が1964年にニューヨークのマンハッタン西側で最初のベニハナを開いたと案内されています。鉄板の前でシェフが料理を見せながら提供するスタイルは、食事を「見る楽しさ」と結びつけ、大きな人気を集めました。料理は味だけでなく、体験そのものでもある。そんな考え方がよく伝わる話です。
肉の焼き加減の話も興味深いところでした。レア、ミディアム、ウェルダンだけではなく、表面を数秒だけ焼くブルーや、その少し先のブルーレアなど、火入れには細かな段階があります。ほんのわずかな違いでも、食感や肉汁の残り方は変わります。火を入れるとは、ただ熱を通すことではなく、どこで止めるかを決める作業なのだと実感します。料理人の経験が、最後の数秒に詰まっているのです。
一方、中華料理の火入れはまた違う迫力がありました。中華鍋1つで、揚げる、炒める、煮る、蒸すまでこなす流れは、まさに道具を知り尽くした職人の世界です。外崎さんが語った「油通し」も、その奥深さがよく分かる技でした。油でさっと下処理することで、食感を良くし、表面をコーティングして余分な油を吸いにくくする。この一手間が、料理全体の仕上がりを変えていきます。豪快に見える中華料理が、実はとても理にかなった積み重ねでできていることがよく分かりました。
世界には見せる料理の技もある
番組の後半では、日本や中国、フランスだけでなく、世界の料理人たちの「見せる技」にも光が当たりました。イタリア料理のピザ回しは、その代表です。生地を大きく回しながら空気を含ませ、形を整えていく動きは、調理でありながら舞台のようでもあります。ピザ職人の国際大会は今も開かれていて、ナポリピザ職人協会の案内でも、世界中の職人が技術と表現を競う大会として紹介されています。
ピザ回しは、ただ派手に見せるためのものではありません。生地を均一に広げ、焼いたときの食感を整える意味もあります。もちろん大会レベルになると演技性も高まりますが、もともとは生地を扱う技術の延長です。料理の世界では、ときどき「見せること」と「おいしくすること」が同じ動きの中に入っています。ピザ回しは、その分かりやすい例だと思います。
タイのミルクティー「チャー・イェン」も、職人の手つきが印象に残る話題でした。タイ国政府観光庁の案内では、タイで人気の甘いアイスミルクティーは「チャーノムイェン」と呼ばれ、街中や市場で広く親しまれていると説明されています。濃く出した茶にミルクを合わせるだけでなく、高い位置から注いだり、リズムよく混ぜたりする所作が、屋台文化の魅力そのものになっています。飲み物1杯にも、手さばきの美しさが宿っているのが面白いところです。
さらに、トルコ料理のドネルケバブも登場しました。大きな肉の塊を重ねて作る「肉タワー」は見た目の迫力が大きく、焼く機械が約25万円という話からも、料理の裏側には設備への投資があることが分かります。牛肉や鶏肉を重ね、回転させながら火を入れていくこの料理は、切り落とすたびに香ばしい表面が現れます。目の前で削がれていく様子そのものが、食欲を動かす演出になっていました。
中国の麺の技はまさに神業
終盤に紹介された中国の麺の世界も、とても濃い内容でした。中国は麺文化が非常に豊かで、番組では刀削麺、龍髭麺、一本麺といった、それぞれまったく違う技法が並びました。麺の塊を小刀で削り飛ばす刀削麺は、作る動きそのものに勢いがあります。山西省は刀削麺で知られる地域で、本場では店ごとに太さや長さ、食感の個性もあります。ひと口に刀削麺といっても、実はかなり幅がある世界です。
そうめんより細いと紹介された龍髭麺は、反対に、力よりも繊細さが前に出る技です。細く、長く、切れないように仕上げるには、生地の状態を正確に見極める必要があります。そして一本麺は、その名の通り1本で仕上げる麺で、番組では縁起物として扱われていました。長い麺に長寿の願いを重ねる考え方は、食べ物に願いを込める文化の分かりやすい例です。料理は体を満たすだけでなく、気持ちや祈りも乗せるものだと感じます。
中国料理は豪快な炎や大きな中華鍋の印象が強いですが、実際にはこの麺のように、信じられないほど細かい精度で成り立っている技もたくさんあります。豆腐を細く切る文思豆腐と、細く長くのばす麺の技が並ぶことで、中国料理の幅の広さがよく見えました。重厚さと繊細さが同じ料理文化の中にあるからこそ、見ていて飽きないのだと思います。
料理のスゴ技は味の前に積み重なる
今回の「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」は、世界の料理をただ並べるのではなく、料理のスゴ技がどうやって生まれ、どんな道具や経験に支えられているのかを見せてくれる内容でした。日本料理のかつらむきや骨切り、フレンチのアッシェやフランベ、中華の中華包丁や油通し、さらにピザ回しやチャー・イェン、ドネルケバブ、中国の麺の神業まで、どの場面にも「長く続けた人にしかできない手の動き」がありました。
見終わったあとに残るのは、料理は完成した皿だけでできているわけではない、という実感です。切る、回す、焼く、注ぐ、削る。その1つ1つの動きが積み重なって、ようやく1皿になるのです。普段何気なく食べている料理の向こうに、これほど多くの技術と工夫がある。そう気づかせてくれる、見ごたえのある特集でした。
NHK【有吉のお金発見 突撃!カネオくん】ツナ缶 歴史 と サバ缶 八戸 の裏側を解剖!巻き取り式コンビーフ 終了の理由まで徹底解説|2026年3月1日
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