第4の治療とは何か
がん治療は「手術・薬・放射線」だけと思われがちですが、最近はそれを支える新しい考え方が注目されています。『タモリ・山中伸弥の!? がん克服のカギ(2026年5月2日)』でも取り上げられ注目されています 。
それが、第4の治療と呼ばれる、運動や生活習慣で体を整える方法です。がんを直接治すのではなく、治療に耐えられる体をつくり、回復しやすい状態にする考え方です。
この記事では、その意味や役割、日常でできる実践法までやさしく解説します。
この記事でわかること
・第4の治療の正体と意味
・なぜ今注目されているのか
・従来の治療との違い
・効果につながる具体的な対策
・日常でできる実践ポイント
死亡リスク30%減の生活習慣とは なぜ運動でがんリスクが下がるのか再発予防の仕組みと今日からできる方法
第4の治療とは何を指すのか
がん治療でいう「第4の治療」は、正式に一つだけに決まった医療用語ではありません。けれど最近は、手術、薬物療法、放射線治療に続く考え方として、運動療法や生活習慣の改善で体を支える方法を指して使われることがあります。
これまでのがん治療は、がんを「取る」「薬で抑える」「放射線でたたく」という考え方が中心でした。もちろん、この3つは今もとても大切です。
そこに加えて注目されているのが、患者さん自身の体力、筋肉、免疫、心の状態を整えることです。つまり第4の治療とは、がんそのものを直接攻撃するというより、治療に耐えられる体をつくり、回復を支える対策と考えるとわかりやすいです。
特に注目されているのは運動です。大腸がん治療後の人を対象にした研究では、専門家の支援を受けながら運動を続けたグループで、再発・新たながん・死亡を合わせたリスクが下がったことが報告されています。運動が「気休め」ではなく、治療後の体を支える重要な柱として見直されているのです。
ただし、ここは誤解してはいけません。第4の治療は、手術や薬、放射線の代わりではありません。
あくまで、標準治療を支える味方です。
がんを治す主役は医療の標準治療であり、運動や生活習慣はその効果を支えたり、体力低下を防いだり、治療後の生活をよくしたりするための大事な土台です。
なぜ今新しい治療として注目されているのか
第4の治療が注目される背景には、がん医療の考え方が少しずつ変わってきたことがあります。
昔は「がんを小さくする」「がんを取り除く」ことが最優先でした。もちろんそれは今も変わりません。しかし、治療が進歩して生きる時間が長くなるほど、次に大切になるのは「治療後をどう生きるか」です。
がん治療では、体力が落ちたり、筋肉が減ったり、疲れやすくなったりすることがあります。治療がうまく進んでも、日常生活がつらくなると、患者さんの負担は大きくなります。
そこで、治療中から体力を落としすぎないこと、治療後に生活の質を戻すことが大きなテーマになってきました。
さらに近年は、運動ががん治療後の再発や死亡リスクの低下と関係する可能性が、研究で具体的に示されるようになりました。大腸がん治療後の運動プログラムでは、長期的な生存率の改善も報告されています。
この流れが大きいのは、運動が特別な薬ではなく、多くの人が生活の中で取り入れられる行動だからです。
つまり「病院で受ける治療」だけでなく、「自分の毎日の行動も体を守る力になる」という考え方が広がっているのです。
タモリ・山中伸弥の!? がん克服のカギでも注目されたように、第4の治療という言葉が響くのは、がん対策が医療者だけのものではなく、患者さんや家族も一緒に考えられるテーマになってきたからです。
従来の治療との違いと役割
従来のがん治療と第4の治療の違いは、役割を見るとよくわかります。
手術は、がんを体から取り除く治療です。薬物療法は、抗がん剤、分子標的薬、免疫療法などで、がん細胞の増殖を抑えたり攻撃したりします。放射線治療は、放射線を使ってがん細胞にダメージを与える治療です。
一方で、第4の治療と呼ばれる運動療法や生活習慣の改善は、がん細胞を直接切ったり、薬のように攻撃したりするものではありません。
役割は、体の土台を整えることです。
たとえば、運動には次のような意味があります。
・筋肉を保つ
・体力低下を防ぐ
・疲労感をやわらげる
・血糖や代謝を整える
・炎症や免疫のバランスに関わる
・気分の落ち込みを軽くする
がん治療は、体に大きな負担がかかることがあります。だからこそ、治療を受ける体そのものを支えることが大切になります。
第4の治療は「がんを直接倒す主役」ではなく、主役の治療を続けやすくする支え役です。
たとえるなら、手術や薬や放射線が前に進む車だとすると、運動や生活習慣はタイヤや燃料のようなものです。目立ちにくいけれど、なければうまく走れません。
この違いを理解すると、「運動でがんが治る」という極端な話ではなく、「運動で治療後の体を守る」という現実的な意味が見えてきます。
どんな対策が効果につながるのか
第4の治療として特に重視されるのは、有酸素運動と筋力トレーニングです。
有酸素運動とは、歩く、自転車に乗る、軽く泳ぐ、ゆっくり走るなど、心臓や肺を使って続ける運動です。筋力トレーニングは、スクワット、かかと上げ、軽いダンベル、ゴムバンド運動など、筋肉を保つための運動です。
がん経験者向けの運動指針では、週に中くらいの強さの運動を積み重ねることや、筋力トレーニングを組み合わせることがすすめられています。運動は、がん治療中や治療後の疲労、体力低下、生活の質の改善にも役立つ可能性があります。
ただ、最初からハードな運動をする必要はありません。
むしろ大切なのは、無理なく続けられる形にすることです。
具体的には、次のような対策があります。
・1日10分の散歩から始める
・食後に少し歩く
・座りっぱなしを減らす
・階段を少し使う
・軽いスクワットを数回する
・ストレッチで体をほぐす
・体調が悪い日は休む
また、運動だけでなく、栄養、睡眠、禁煙、節酒、ストレス対策も重要です。
特に筋肉を守るには、体を動かすだけでなく、たんぱく質を含む食事や十分な休息も必要です。
つまり効果につながる対策は、ひとつの魔法の方法ではありません。
運動、食事、睡眠、心のケアを組み合わせて、体を回復しやすい状態に近づけることが大切です。
医療現場での具体的な取り入れ方
医療現場では、運動をただ「歩いてください」と伝えるだけでなく、その人の体力や治療状況に合わせて取り入れる流れが広がっています。
たとえば、治療前から体力を少しでも保つための運動を始めることがあります。これを「プレハビリテーション」と呼ぶこともあります。手術や治療の前に、体をできるだけよい状態にしておく考え方です。
治療中は、強い運動よりも、体調に合わせた軽い活動が中心になります。長く寝ている時間が増えると筋肉が落ちやすいため、無理のない範囲で動くことが大切です。
治療後は、体力を戻すためのリハビリや運動プログラムが役立ちます。専門家が関わる場合は、体力測定や体調確認をしながら、少しずつ運動量を増やしていきます。
大腸がん治療後の研究でも、単に「運動しましょう」と紙で伝えるだけでなく、専門家が長期間サポートしたことが特徴でした。運動内容を本人に合わせ、続けやすい形にしたことが重要だったと考えられます。
ここからわかるのは、運動は根性だけで続けるものではないということです。
患者さんの体力、年齢、治療内容、痛み、疲れやすさに合わせて調整するからこそ、安全に続けられます。
医療現場での第4の治療は、患者さんに努力を押しつけるものではありません。
その人らしく生活を取り戻すための支援として取り入れられているのです。
日常生活で実践できるポイント
日常生活で実践するなら、最初の目標は「運動を頑張る」ではなく、座りっぱなしを減らすことです。
いきなり大きな目標を立てると、続かないことがあります。まずは、今より少しだけ動く時間を増やすだけでも意味があります。
たとえば、次のような始め方が現実的です。
・朝に5分だけ体を伸ばす
・昼食後に10分歩く
・買い物で少し遠回りする
・テレビを見ながら足踏みする
・歯みがき中にかかと上げをする
・30分座ったら一度立つ
・週2回だけ軽い筋トレをする
大切なのは、完璧を目指さないことです。
できない日があっても、次の日にまた始めれば大丈夫です。生活習慣は、1日で変えるものではなく、少しずつ育てるものです。
また、がん治療中や治療後の人は、自己判断で強い運動を始めないことも大切です。痛み、息切れ、めまい、強い疲れ、発熱、貧血などがある場合は、無理をせず医師や医療スタッフに相談してください。多くの場合、運動は安全で役立つとされていますが、体調に合わせることが前提です。
第4の治療と呼ばれる新対策とは、特別な道具や難しい方法ではなく、毎日の中で体を少しずつ守る行動です。
手術や薬や放射線の代わりではありません。
でも、治療を受ける体を支え、回復を助け、生活の質を高めるための大きな力になります。
「今日、少し歩く」
「長く座りすぎない」
「体をいたわりながら動く」
その小さな積み重ねが、未来の体を守る一歩になります。
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