妻のひと言から始まった、手作りザーサイ生活
「このザーサイ、ちょっとしょっぱいかも」
ある日、夕食中に妻がつぶやいたその一言。好きでよく食べていた市販のザーサイが、最近は塩分の強さや添加物が気になるようでした。原材料を見てみると、確かに“食塩”や添加物がずらり。ならば、自分で作ってみよう。しかも天然塩だけで――。
そんな思いから調べてみたら、意外にもザーサイは家庭で漬けられることがわかりました。今回は、体にやさしく安心して食べられる、天然塩だけを使った手作りザーサイの方法をご紹介します。
準備するものと基本の考え方
天然塩だけで漬けるザーサイは、コブ状の茎部分を使い、発酵や熟成の力で味を引き出していきます。市販されているザーサイのような加工食品ではなく、野菜そのものを活かした保存食づくりです。
【必要なもの】
・生ザーサイ(コブ部分が大きいもの)1kg
・天然塩(ぬちまーす、海の精、石垣の塩など)30〜80g(ザーサイの重量の3〜8%)
・清潔な保存容器、またはジッパーバッグ
・重石(漬物石または水入りペットボトル)
・新聞紙やざる、まな板、包丁、手袋など
ザーサイは漬ける前に軽く乾燥させることで、発酵が安定しやすくなります。干し加減は完全にカラカラではなく、全体の水分が約半分になった程度が理想です。
ザーサイの下ごしらえ
ザーサイの上部のかたい皮はピーラーなどでそぎ落とし、厚さ1〜2cm程度にカットします。そのまま風通しの良い場所で1〜2日干します。直射日光は避け、新聞紙やザルを使って陰干しすると失敗しにくいです。
乾式漬け(本格的に発酵させたい方向け)
干したザーサイと天然塩を交互に重ねるようにして保存容器に詰めていきます。層ごとにしっかり押し込み、空気が入らないようにするのがコツです。最後に重石をのせて冷蔵庫または10℃以下の冷暗所に置きます。7日経ったら、一度水分を軽く捨てて、塩をさらに追加します(全体重量の約5%が目安)。この作業を10日ごとに3回ほど繰り返すことで、発酵が深まり風味も増していきます。
完成までには最低でも1か月、しっかり発酵させたい場合は半年〜1年かけて熟成させることも可能です。途中で表面に白い膜が出た場合は、カビではなく乳酸菌膜の可能性があるので、においや色に問題がなければそのままで大丈夫です。
水漬け(短期間で食べたい方向け)
下ごしらえしたザーサイを、3〜5%の天然塩水に浸して冷蔵庫で漬けるだけ。漬け時間は半日〜2日が目安です。あっさりした塩味とコリッとした食感が特徴で、そのままでも美味しく食べられます。保存期間は1週間程度。早めに食べきるのがおすすめです。
保存と発酵のコツ
発酵をゆっくり進めたいときは冷蔵庫を使い、発酵を促進したいときは常温(20〜25℃)でも構いませんが、夏場は特に温度に注意してください。容器や器具は煮沸消毒してから使用することで雑菌の繁殖を防げます。
どの天然塩を選ぶ?
おすすめは、海水をそのまま煮詰めて作る「平釜塩」や、ミネラルを多く含む「天日塩」。にがりを含んでいるので、まろやかな旨味が加わります。スーパーや通販で手に入る「ぬちまーす」「粟国の塩」「海の精」などは使いやすく、自然食品店でも購入可能です。
【漬け方の比較まとめ】
漬け方 | 塩分濃度 | 漬け時間 | 特徴 |
---|---|---|---|
乾式漬け | 6〜8% | 1か月〜半年 | 本格派。発酵が進み、コクと酸味が増す |
水漬け | 3〜5% | 半日〜2日 | 短時間でできる。あっさり味で初心者向け |
どちらの方法も、「天然塩だけ」で素材の味を活かしたザーサイを楽しめます。ご家庭の味として定番にすれば、市販品にはないやさしい味わいを日々の食卓で楽しめます。大切な人の健康を考えた一品として、ぜひ手作りザーサイに挑戦してみてください。
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