信長の“幻の城”安土城を歩く旅
2025年11月29日放送の『ブラタモリ』は、タモリさんが滋賀県の安土山を訪れ、わずか3年で消えた『安土城』の実像に迫りました。建物が一つも残っていないのに、なぜ今も人々を惹きつけるのか。その理由を、地形・歴史・文化の3つの視点から深く理解できる内容でした。
この記事では、番組で取り上げられたエピソードをすべて盛り込み、信長がこの地に描いた“つかの間の夢”がどのようなものだったのかをくわしく紹介します。読み終わる頃には、安土城という存在が“消えた城”ではなく、“未来を先取りした城”として見えてくるはずです。
【NHKスペシャル「戦国サムライの城」第1集・織田信長“驚異の城郭革命”】藤戸石と黄金の瓦岐阜城、安土城破城の痕跡が語る“城郭革命”の真実|2025年9月14日放送
琵琶湖から始まる“幻の城”への旅
旅のスタートは、広大な琵琶湖。タモリさんが眺める湖面は、戦国時代には“日本最大級の水上ルート”でした。湖を制することは、物流と軍事の両面を押さえることを意味します。
番組では、ここから今回の旅のお題が発表されます。
『幻の城・安土城 信長が描いた“つかの間の夢”とは?』
琵琶湖の絶景を前に、タモリさんは「ここから当時の戦略が始まっていたのか」とつぶやくように、地形そのものが信長の発想を支えたことを確かめていきました。
安土山に残る“未来の城”の構造
続いて一行は安土山の麓へ。ここにかつて織田信長が築いた『安土城』が建っていました。
現在、建物は一切残っていませんが、発掘調査で見つかった遺構をもとに石垣が復元されています。番組では、専門家の三浦正幸さんの案内のもと、石垣の段差や角度を確認しながら、当時の城の壮大さを読み解いていきます。
安土城は、その後の日本の城づくりに大きな影響を与えた“3つの要素”を生みました。
・高層天守
・高い石垣
・瓦ぶき
これらを一度に採用したのは安土城が初めてで、番組では、模型や図を使ってその革新性が紹介されていました。タモリさんは石垣に触れながら「これは当時としては相当新しかったはず」と話し、信長の発想がいかに先を行っていたかを実感している様子でした。
福之島弁財天と“琵琶湖ネットワーク”の秘密
次の目的地は、安土城西側の福之島弁財天。現在は陸地につながっていますが、戦国時代は琵琶湖に浮かぶ小島でした。
水面に囲まれたこの場所は、当時の水運を見渡せる重要拠点。佐藤大規さんの解説では、信長が琵琶湖の周囲に家臣たちの城を配置して“湖の交通”そのものを掌握していた構図が明かされました。
・明智光秀の坂本城
・羽柴秀吉の長浜城
・北側を押さえる大溝城
琵琶湖を中心に、東西南北どこへでもすぐ出られるように配置されたこの布陣は、まさに“湖を制する者が戦を制す”という戦略そのものでした。
タモリさんも「戦国時代の交通インフラを自分のものにしたかったんだね」と感心しながら、当時の情景を想像していきます。
港町・常楽寺港と“商人が集まる城下町”の仕掛け
続いて訪れたのは、かつて安土の城下町が広がっていたエリア。現在も水路が多く残り、これが常楽寺港の名残であることが紹介されました。
常楽寺港は、信長が安土城を築く前から栄えていた港。信長はこの賑わいを最大限に活かし、多くの商人を呼び込み“巨大経済都市”をつくろうとしました。
しかし、城下町で商売をすることにはリスクがあります。
戦に負ければ即廃業。
攻め込まれれば、城下町は真っ先に被害を受けます。
そこで信長が打ち出したのが『楽市楽座』。
“座”という組合がもっていた独占権を廃止し、誰もが自由に商売できる環境をつくりました。
この大胆な政策により、多くの商人が安土に集まり、城下町は一気に活気づいていきます。
歴史研究者の資料や『完訳フロイス日本史』などを紹介しながら、信長の経済政策がいかに時代を先取りしていたかが語られていました。
信長が愛した文化エンタメ――相撲大会と提灯ライトアップ
城下町が活気づいてきた頃、信長はもう一つの試みを始めます。それが“娯楽の提供”。
番組では、信長が相撲をこよなく愛し、安土で何度も相撲大会を開いた記録が残っていることが紹介されました。タモリさんはその場に立ちながら「ここで相撲を見ていたのか」と想像を膨らませ、信長が武力一辺倒ではなく、人々の楽しみも大切にしていた一面に触れていきます。
さらに、当時としては異例ともいえる“安土城の提灯ライトアップ”の話も登場。
夜に浮かび上がる城は、訪れる人の心に強烈な印象を残したと言われています。
文化とエンタメを積極的に取り入れた信長像が、ここでより立体的に描かれていました。
わずか3年で消えた“夢の城”が残したもの
安土城は完成から3年ほどで焼失し、ほとんど跡形もなくなりました。しかし、番組が追った地形や遺構、当時の記録から浮かび上がるのは、信長が描いた巨大な未来像です。
・城づくりの常識を変えた構造
・琵琶湖を押さえる交通戦略
・自由な経済都市をつくる政策
・娯楽を通じた町づくり
どれも戦国時代には大胆すぎる発想でありながら、現代の都市計画にも通じる視点を感じさせます。
まとめ
今回の『ブラタモリ』では、タモリさんとともに、滋賀県・安土山に隠れた“未来型の城”の姿を追いました。
・石垣に残された革新の跡
・福之島弁財天が語る水運ネットワーク
・常楽寺港を軸にした経済拠点の構想
・相撲大会やライトアップに象徴される文化力
わずか3年間だけ存在した城が、なぜ今も“幻の城”として語り継がれるのか。その理由がすべてつながる回でした。
信長が見た“つかの間の夢”は、消えたのではなく、今も安土山に深く息づいています。
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