鮮度が命!山口・萩市の甘だいの魅力を味わい尽くす
山口・萩市で水揚げされる甘だいは、日本一の漁獲量を誇り、その鮮度と美しさが多くの料理人を魅了しています。漁の現場、資源を守る取り組み、新しく生まれている名物料理まで、甘だいの世界には奥深いストーリーがぎゅっと詰まっています。この記事では、萩の海で育まれた甘だいの“おいしさの秘密”と、その魅力を最大限に楽しめる料理を紹介します。
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萩の海で育つ甘だいのすごさ
山口・萩市の甘だいは水揚げ量が全国トップです。甘だいは真鯛とは別の種類で、アカアマダイ・シロアマダイ・キアマダイの3種類があります。日本で漁獲される甘だいの9割がアカアマダイで、淡いピンク色の魚体と柔らかな身が特徴です。
この地域では“はえなわ漁”という方法を使い、1匹ずつ釣り上げています。魚が巣穴に隠れているため魚探には映らず、巣穴の近くに仕掛けを落とせるかどうかが勝負です。若手漁師の井町博明さんもこの方法で日々挑み、掛かった甘だいが弱らないよう素早く引き上げ、港に着くまでしっかり温度管理をしています。
針を外す時間さえ惜しみ、糸ごと切って“いけじめ”にすることで、甘だいの命である鮮度が保たれます。この工程が、美しい魚体とほのかな甘みにつながっています。
さらに山口県では資源を守るため、年に1度、生きた甘だいの卵を回収し人工孵化で育てた稚魚を放流しています。自然と共存しながら未来の漁を守る取り組みです。
刺身で味わう萩の甘だい
スタジオには甘だいの刺身が登場し、出演者が実際に味わいました。釣り立てをすぐに活け締めしているからこそ、刺身でも雑味がなく淡い甘みが口に広がります。
萩の新しい名物「長州海鮮まぶし」
萩市では甘だいの新しい食べ方が生まれています。料理人の松岡洋祐さんが考案した『長州海鮮まぶし』は、甘だいを丸々1匹使った贅沢な料理です。刺身や炙り、松笠揚げなど、食感の違いを楽しめ、途中で白ワインを使ったポン酢ソースや鯛茶漬け風に“味変”するスタイルも人気です。
うろこの食感を活かした「うろこサクサクサンド」
もうひとつ話題なのが、小祝琢誠さんが作る『うろこサクサクサンド』。甘だいのうろこは取り除かず逆に生かし、油を上からかけて立たせることでサクッとした食感を引き出しています。バゲットに野菜やソースと挟めば、まるで『バインミー』のような新感覚サンドに仕上がります。
スタジオで味わう新名物の数々
スタジオには『うろこサクサクサンド』も登場し、その香ばしさと食感が紹介されました。さらに『長州海鮮まぶし』もリゾット風にアレンジされ、その多様な楽しみ方が伝えられました。
長州海鮮まぶしの材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 甘だい | 1匹 |
| ご飯 | 2合 |
| 香味野菜(大葉など) | 適量 |
| しょうゆ・わさび | 適量 |
| 薬味・ソース(ポン酢・胡桃ソースなど) | 適量 |
| だし汁・コンソメスープ・粉チーズ | 各適量 |
長州海鮮まぶしの作り方
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甘だいは尾頭をつけたまま3枚におろす。1/4はうろこ付き、残りは皮を残す。
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皮付きの身を半分は刺身に、残りは炙って削ぎ切り。
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うろこ付きの身は1cmに切って小麦粉をまぶし、油で揚げて松笠揚げに。
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桶にご飯を敷き、中骨を乗せ、刺身・炙り・松笠揚げを並べ、香味野菜を添える。
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醤油、薬味、ポン酢、だしなどで刺身→味変→リゾット風の順に楽しむ。
ウロコサクサクサンドの材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| あまだい(うろこ付き切り身) | 2枚 |
| 塩・こしょう | 適量 |
| 小麦粉 | 適量 |
| サラダ油 | 適量 |
| にんじん・きゅうり・大根・大葉 | 各少量 |
| 酢漬けの大根おろし | 適量 |
| イタリアンドレッシング | 大さじ2 |
| フランスパン(小) | 1個 |
| ガーリックバター | 適量 |
| ひしお味噌(または味噌) | 適量 |
| マヨネーズ | 適量 |
| サニーレタス | 適量 |
| はなっこりー | 適量 |
| スイートチリソース | 小さじ1 |
ウロコサクサクサンドの作り方
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あまだいの切り身を一口大に切る。
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毛抜きでうろこを立てつつ間引き、塩こしょうと小麦粉をふる。
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油を熱したフライパンで皮目を上にして揚げ焼きし、上から油をかけてうろこを立てる。
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細切り野菜と酢漬け大根を混ぜ、ドレッシングを加える。
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フランスパンを焼き、ガーリックバターと味噌マヨを塗る。
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サニーレタス→はなっこりー→野菜→チリソース→甘だいの順に挟む。
まとめ
山口・萩市の甘だいは、漁の方法から料理まで魅力が尽きません。はえなわで1匹ずつ釣り上げ、活け締めで鮮度を守り、資源を未来につなぐ取り組みがあるからこそ生まれる味です。刺身や松笠揚げ、新名物のサンドやまぶしなど、多彩な楽しみ方も甘だいの大きな魅力です。萩の海が育てた甘だいの世界を、これからも味わってみたくなる内容でした。
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はえなわ漁の迫力と甘だいへの思いに胸を打たれた話
はえなわ漁で甘だいを1匹ずつ釣り上げる姿には、見ているこちらまで背筋が伸びるような力強さがありました。海の状況を読み、仕掛けを落とす場所を見極め、静かな海面から勢いよく魚を引き上げる。その一連の動きに、漁師としての技と集中が詰まっているのが伝わってきました。とくに若い漁師である井町博明さんの表情には、萩の海で生きていく覚悟がにじんでいました。
さらに印象に残ったのは、“いけじめ”の瞬間でした。針を外す時間さえ魚の負担になると考え、糸ごと切って素早く処理するという判断に、甘だいを大切に扱う強い思いが感じられます。海から上げたばかりの命を無駄にせず、最もよい状態で食卓に届けたいという気持ちが、ひとつひとつの動作に宿っていました。
そしてスタジオに並んだ甘だいの刺身の美しさを見たとき、その努力がすべて形になっていると感じました。透き通るような白い身にうっすらとしたピンクの色が重なり、光の当たり方で輝きが変わるほど鮮度が高い。漁師の仕事が丁寧だと、こうした“見た瞬間にわかるおいしさ”につながるのだと実感しました。
萩の海と人が育てた甘だいには、ただの魚以上の物語があることを、改めて強く感じました。
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