「安心して死ねない 葬儀とお金 揺れる現場から」
突然の別れの中で、遺族は短い時間で多くの判断を迫られます。特に『葬儀費用』をめぐる問題は、2025年の今も多くの人が直面しています。この番組では、広告と実際の金額が大きく違うケースや、知らないまま契約してしまう『葬送リテラシーの不足』によって生まれるトラブル、さらに行政や寺院が支える新しい葬儀の形まで、揺れる現場を深く見つめていました。
葬儀費用のトラブルが増える理由
葬儀をめぐる相談件数が過去最多になっている背景には、いくつかの社会的な変化があります。日本は年間死亡者数が増え続ける『多死社会』に入り、火葬場や葬儀サービスの需要が急上昇しています。
一方で、核家族化が進み、かつて地域で支えられていた葬儀の経験が家庭の中で途切れてしまいました。何を選べばよいか分からず、初めての遺族が多いことが『葬送リテラシー不足』につながり、トラブルの火種になっています。
さらに、葬儀の見積もりは仕組みが複雑で、基本料金に加えて祭壇・返礼品・飲食・霊柩車・式場使用料など、必要なものがオプション扱いになるケースが多いことも問題を大きくしています。金額が分かりにくい構造に、過当競争や価格表示の不透明さが重なり、費用が膨らむ仕組みができあがってしまっています。
広告64万円が224万円まで膨らんだ実例
番組で紹介された60代女性のケースは、多くの視聴者に衝撃を与えました。
亡くなった父親を搬送する葬儀会社を急いで探さなければならず、目に入ったのは「64万円」の広告。しかし、後日提示された見積もりは224万円。必要なものがほとんどオプション扱いで加算されていたためです。
遺体搬送、安置料、花、霊柩車、返礼品などが次々と追加され、金額は跳ね上がりました。急ぎの状況で断りにくく、冷静に比較できないまま契約寸前まで進んでしまう構造は、誰にでも起こりうる問題です。
最終的に女性は家族の助言で別の会社に変更し、半額ほどで葬儀ができましたが、この経験は『広告価格との乖離』という深い課題を示していました。
葬儀業界の変化とノルマの現実
葬儀業界では、新規参入の増加と競争の激化により、従来にはなかった営業ノルマが課されるケースが増えています。
長く葬儀に携わってきた男性は、担当者の収入が売り上げに直結し、オプション提案を強めざるを得ない現場を見てきたと話していました。
遺族は情報が少ないまま契約を迫られ、業者との『情報格差』が大きな問題になっています。葬儀は必ず必要なサービスであり、断りにくいという特性が、不透明な料金構造と結びついてトラブルを生みやすい環境をつくっています。
山田慎也さんが語る“後悔しない葬儀”のポイント
スタジオには葬儀文化や業界に詳しい 山田慎也 さんが登場しました。山田さんが特に強調したのは、以下の点です。
・生前に本人を交えて葬儀の希望を話し合うこと
・家族葬の平均は約105万円で、安すぎる広告には注意すること
・見積もりでは何が基本料金に含まれているのか必ず確認すること
・複数の葬儀会社を比較し、適正価格か判断すること
2025年の今、『葬儀費用 トラブル』を防ぐために最も重要なのは、遺族が必要な知識を持ち、冷静に判断できる環境をつくることだと語られていました。
大阪・高槻市の公営サポートが注目される理由
番組では、自治体が直接サポートする新しいモデルも紹介されました。
大阪の 高槻市 では、葬儀や火葬を担当する『斎園課』を設け、専門の職員が準備から進行まで担います。市営のため利益を求めず、費用は低く抑えることができます。
公営斎場を活用することで、必要なサービスを適正な料金で受けられる仕組みは、過度なオプションを避けたい人にとって大きなメリットです。
埼玉・川越市の協定モデルという選択肢
埼玉の 川越市 では、公営葬儀場を市が提供し、地元の葬儀会社19社と協定を結んでいます。
市が霊柩車や棺などの基本料金に上限を設定することで、利用者は過剰請求を防ぎやすく、安心して葬儀を依頼できます。
行政と葬儀会社がパートナーとなることで、住民が負担を抑えつつサービスを選べる仕組みがつくられていました。
寺院が支える“地域に戻す葬儀”の動き
番組後半では、地域に根ざした新しい葬儀の形も紹介されました。
神奈川県大磯町 の寺では、遺体搬送から納棺までを住職らが行い、費用は実費のみ。
島根県浜田市 の 東光院 でも、地域と寺が連携し、昔ながらの“みんなで送る葬儀”を続けています。
高齢者施設では、「最期は一緒に過ごした職員に見送ってほしい」という声から、施設内での葬儀を検討する動きも出ていました。
『地域に戻す葬儀』は、過剰な費用を避けながら、心を込めて送りたいという願いに応える形として注目されています。
まとめ
2025年の葬儀をめぐる問題は、費用の不透明さ、情報格差、過当競争など多くの要素が重なって起きています。
しかし、高槻市や川越市のような行政の取り組み、寺院や地域の新しい支え方は、安心して送り出すための新しい選択肢になりつつあります。
そして、葬儀で後悔しないための最大のポイントは、事前に話し合い、必要な知識を持つこと。
『葬儀費用 トラブル』を避けるためにも、正しい情報に触れる機会を増やすことが大切だと番組は伝えていました。
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低料金葬儀が可能な理由を紹介します

この記事では、追加情報として「なぜ低料金葬儀が可能なのか」をより深く紹介します。公営斎場のしくみや直葬の特徴、定額プランが増えた背景など、実際の現場で起きている変化をわかりやすくまとめています。
公営斎場の利用でコストを抑える
公営斎場は自治体が運営しているため、営利を目的としていない料金設定になっています。施設の維持費や運営費の一部は自治体が負担しているので、民間の式場より使用料が低くなるしくみです。火葬場が併設されているところでは、通夜から火葬までを同じ施設内で行えるため、搬送費や式場を移動するための費用が発生しません。そのぶん全体の費用が下がりやすくなります。さらに自治体によっては市民割引があり、住民であれば追加の優遇料金が適用される地域もあります。
公営斎場は「余計なサービスをつけて利益を伸ばす必要がない」ため、見積りがシンプルになりやすいという特徴もあります。一方で、人気が高く予約が取りづらいことや、住民でなければ通常料金になる地域もあるため、使う場合は条件の確認が欠かせません。
葬儀の形式(直葬・火葬式・小規模葬)を選ぶ
費用が下がる一番の理由は、儀式の数とサービスを減らせることです。直葬の場合は、通夜・告別式・会食・返礼品・宗教者へのお布施といった項目を省き、「火葬までの最低限だけ」を行います。必要なのは棺・搬送・安置・骨壺・火葬料金という基本部分のみで、追加費用がほとんど発生しません。これにより20万円〜40万円台で収まるケースも報告されています。
小規模葬や家族葬も、参列者が少ないことで飲食費や返礼品が大幅に減り、式場もコンパクトな場所で足りるため、結果として費用を抑えられます。ただし、通夜や告別式を省いた場合、「お別れの時間が短い」と感じる人もいるため、気持ちの部分と費用をどう両立するかが大切になります。
事前登録や定額プランで費用を固定する
最近は多くの葬儀社が、定額制のシンプルプランを出しています。これは、棺・搬送・安置・火葬など必要最低限のサービスをあらかじめ固定し、「どこまでが含まれているか」を明確にしたプランです。定額のため費用が見えやすく、いろいろなオプションを追加される心配が少なくなります。
葬儀社にとっても、内容を限定することで準備に必要な人員や時間を固定でき、無駄なコストが発生しにくくなります。そのため、価格を安く提供できる構造になります。利用者は複数社の見積りを比べることで、過剰なサービスを避け、必要なものだけを選べるようになります。
なぜ安くできるのか ─ 背後にある構造
低料金葬儀が実現する背景には、いくつかの明確な理由があります。
・公営斎場は利益目的ではないため、高額オプションを売る必要がない
・火葬場併設で移動コストが減り、式場を複数使う必要がない
・直葬や簡素葬を選ぶ人が増え、葬儀社がローコストプランを整備するようになった
・定額プランが普及したことで、透明性を高める流れが強まった
こうした流れが合わさり、全体として「必要なものに費用を集中し、余計な部分を削る」という方向へ動いています。
注意してほしいポイント
低料金でも、確認すべき点はあります。公営斎場は人気があるため、予約がすぐ埋まる地域もあります。直葬では式がないことで、家族の中で「きちんとお別れしたかった」という思いが残る場合もあります。また、安価なプランでも、火葬場利用料や搬送費などが含まれていないこともあるため、見積りで“何が含まれているか”を必ず確認することが重要です。
必要な部分だけを選び、余計な費用を避けるという考え方は、多くの人にとって大きな助けになります。葬儀のかたちは時代とともに変わり、費用の仕組みも大きく変化しています。その中で、公営斎場の活用や直葬・定額プランは現実的な選択肢として定着しつつあります。
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