なぜ『今年の漢字』は清水寺で発表されるのか
年末になると必ずニュースで目にする『今年の漢字』。なぜ発表の場所が毎年同じなのか、不思議に思ったことはありませんか。このページでは『チコちゃんに叱られる!(2025年12月26日放送)』で紹介された内容をもとに、今年の漢字が清水寺で発表される本当の理由を整理します。伝統だからという一言では終わらない背景を知ると、年末の光景がまったく違って見えてきます。
「今年の漢字」とはどんな行事なのか
今年の漢字は、毎年12月12日に発表される、今ではすっかり定着した全国的な年末行事です。
主催しているのは日本漢字能力検定協会で、全国から寄せられたたくさんの応募の中から、その年の出来事や社会の動きを最もよく表している一字が選ばれます。
選考は専門家が一方的に決めるものではなく、一般の人たちの投票によって決まるのが大きな特徴です。
そのため、選ばれる漢字には、その年を生きた人たちの実感や空気感が色濃く反映されることになります。
発表日である12月12日は、『漢字の日』として正式に定められています。
これは「いい字(一二)一字(一二)」という語呂合わせから来ており、漢字に親しみ、漢字の大切さを考える日として位置づけられています。
この日付が、ちょうど年末の慌ただしさや一年の振り返りムードと重なることで、今年の漢字は単なるイベントではなく、
「この一年をどう生きたのか」を立ち止まって考える区切りの存在になっていきました。
ニュースやテレビで一字が発表されると、
「ああ、確かにそうだった」
「自分にとっての一年はどうだっただろう」
と、多くの人が自然と一年を振り返ります。
こうして今年の漢字は、年末の風物詩としてだけでなく、
一年の締めくくりを象徴する存在として、今も多くの人の記憶に残り続けています。
清水寺が選ばれた理由は「伝統」ではなかった
発表の舞台となる清水寺は、京都を代表する古刹として広く知られています。
長い歴史を持ち、日本を象徴する寺であるため、年の終わりに行われる行事にふさわしい場所であることは、誰が見ても納得できる存在です。
ただし番組では、ここがとても重要なポイントとして強調されていました。
それは、
「歴史があるから清水寺が選ばれたわけではない」
という点です。
多くの人が思い浮かべる
「伝統的だから」「由緒正しいから」
という理由だけではなかったことが、はっきり語られていました。
大きな理由の一つが、日本漢字能力検定協会の本部が京都にあるという、非常に現実的な背景です。
企画を運営する拠点が京都にあることで、発表の場も自然と京都周辺で検討される流れになります。
さらに、京都という文化の中心地から発信すること自体が、行事の印象を大きく左右します。
古都・京都という土地が持つイメージは、
「節目」
「区切り」
「日本文化」
といった要素と強く結びついています。
その中で、数ある寺院の中でも知名度が高く、多くの人に場所が伝わりやすい清水寺は、
象徴性と現実性の両方を兼ね備えた存在でした。
こうした条件が重なった結果、
清水寺が「今年の漢字」の発表の舞台として選ばれていった
という流れが、番組の中で丁寧に説明されていました。
伝統だけに頼らず、
場所の意味や発信力まで含めて選ばれたという点に、
この行事が長く続いてきた理由が見えてくる場面でした。
清水の舞台から飛び降りる覚悟が生んだ決断
番組の中で、特に強く印象に残ったのが、今年の漢字が生まれたきっかけの話でした。
単なる思いつきや企画会議の中で生まれたものではなく、一人の人生の覚悟が出発点だったことが語られていました。
この企画を立ち上げたのが、大野博史さんです。
大野さんは、自身の人生をかけるほどの覚悟として、清水の舞台から二度飛び降りた経験を持っていました。
このエピソードは比喩ではなく、実際の体験として語られており、その重みが番組を通してしっかり伝わってきました。
当時、大野さんは漢字検定の知名度をどうやって上げるかという、大きな課題を背負っていました。
ワープロやパソコンの普及によって、
「漢字は変換すれば出てくるもの」
という意識が広がり、漢字そのものへの関心が薄れつつあった時代です。
そんな中で、
「もう失敗はできない」
という状況に追い込まれながら考え出したのが、
その年の世相を一文字で表すという、今の今年の漢字につながる発想でした。
そして大野さんは、12月12日を『漢字の日』に定め、
発表の場として清水寺を選びます。
このとき行われたのが、事前の根回しではなく、直接お願いに行く直談判でした。
結果として、その思いは受け入れられ、
清水寺が発表の舞台として正式に決まります。
ここには、
「清水の舞台から飛び降りる覚悟で挑む」
という言葉を、単なる慣用句では終わらせない、
本気の決断と行動がありました。
番組では、
この覚悟があったからこそ、
今年の漢字は一過性の企画で終わらず、
今も続く国民的な年末行事へと育っていったのだ、
という流れがはっきりと示されていました。
毎年当たり前のように目にする一字の裏に、
ここまでの覚悟と物語があったことを知ると、
発表の瞬間の見え方が、少し変わってくる内容でした。
毎年揮毫される一字が国民的行事になった理由
発表当初、第1回の応募数は約1万2000票でした。
決して少なくはありませんが、今の規模と比べると、まだ静かなスタートだったことが分かります。
それが年月を重ねるごとに注目度を増し、現在では20万票を超える応募が集まる、国民的な年末行事へと成長しました。
この大きな広がりを支えているのが、清水寺で行われる揮毫の光景です。
毎年同じ場所で、同じ形式で行われるという「変わらなさ」が、人々の記憶に強く残っていきました。
大きな和紙に、その年を象徴する一字を書く役目を担っているのが、
清水寺の貫主である森清範さんです。
力強くも静かな筆運びで書かれる漢字は、発表の瞬間そのものが、一年の締めくくりを感じさせる場面になっています。
そのすぐそばで、企画の立ち上げから関わってきた大野博史さんが静かに見守る姿も、毎年変わらず映し出されます。
この同じ構図が繰り返しテレビで放送されることで、
「今年もこの季節が来た」
と感じる人が自然と増えていきました。
テレビ中継を通じて、
全国の人が同じ時間に、同じ一字が書き上がる瞬間を見守る。
この体験が、毎年積み重なっていったことが大きなポイントです。
単に結果として漢字が発表されるのではなく、
書く瞬間そのものを共有することで、
今年の漢字はイベントを超え、年末の風物詩として定着していきました。
こうした積み重ねが、
一つの企画を、
文化として根付かせていった力だったことが、番組からもはっきり伝わってくる内容でした。
清水寺で発表されることが持つ意味
今年の漢字が清水寺で発表されるのは、偶然でも形式だけの伝統でもありません。
覚悟をもって始まった企画が、京都という場所と結びつき、清水寺という舞台で続いてきた結果です。その場所性と物語が重なったことで、毎年の発表が「今年を振り返る時間」として多くの人に受け止められるようになりました。
まとめ
今年の漢字は、日本漢字能力検定協会が始めた国民参加型の年末行事です。12月12日の『漢字の日』に、清水寺という特別な場所で発表される背景には、企画を生み出した人の覚悟と、京都という文化的な土壌がありました。
『チコちゃんに叱られる!』は、当たり前だと思っていた年末の風景が、人の決断と積み重ねによって形作られてきたことを教えてくれる回でした。今年も清水寺で揮毫される一字を見るとき、その裏側にある物語を思い出したくなります。
Eテレ【沼にハマってきいてみた】3万字を集めた高校生が語る“漢字沼”とは?幻の漢字×当て字の世界|2025年12月6日
清水寺で発表されることで「重み」を強く感じる理由

ここでは、筆者の補足として、『今年の漢字』が清水寺で発表されることで、なぜ映像から強い重みを感じるのかを、視覚や映像の印象という切り口で紹介します。文字そのもの以上に、背景や構図が与える影響は大きく、清水寺という場所が持つ力が自然と伝わってきます。
木組みの迫力が「時間の重なり」を伝える
清水寺の舞台や柱を支える木組みは、映像に映った瞬間に圧倒的な存在感を放ちます。太く組まれた柱や梁は、長い年月を支えてきた歴史そのものを感じさせ、現代の建物にはない重さを持っています。その木組みを背景に一文字が書かれることで、今年の出来事が一瞬の流行ではなく、時間の流れの中にしっかり刻まれるものとして映ります。視聴者は無意識のうちに、その空間の重さを受け取り、「この場所で発表される一文字は特別だ」と感じるようになります。
巨大な筆の動きが意味を際立たせる
発表の場面では、巨大な筆を使って一文字が書かれます。筆の太さや動きがアップで映されることで、書くという行為そのものに集中が集まります。背景に清水寺の木組みや空が入ることで、手元の動きがより引き締まって見え、一画一画に意味が宿るような印象になります。軽く書かれた文字ではなく、重さを持って書かれているように見えるのは、道具の大きさと場所の雰囲気が重なっているからです。
空と寺院の対比が節目を強調する
清水寺の映像では、木組みの奥に広がる空が映り込むことがあります。重厚な寺院と広い空の対比は、視覚的に強い印象を残します。この構図によって、閉じた空間ではなく、開かれた場所で発表されていることが伝わり、その一文字が多くの人に向けられていることを感じさせます。年末という節目に、空へ向かって示される一文字は、「1年を振り返り、次へ進む」という感覚を自然に引き出し、映像全体に静かな重みを与えています。
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