日本中で『除夜の鐘』が鳴るようになった本当の理由とは
このページでは『チコちゃんに叱られる!(2025年12月26日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
大みそかの夜、日本各地のお寺から聞こえてくる『除夜の鐘』は、年末の静けさや新年への切り替わりを感じさせる象徴的な音です。子どもの頃から当たり前のように耳にしてきた人も多い一方で、その始まりや全国に広がった理由まで知っている人は多くありません。今回の放送では、この身近な風習がどこから来て、どうやって日本中に根づいたのかを、歴史と暮らしの流れに沿ってたどっていきます。普段は意識せずに聞いている鐘の音が、年末の特別な意味を持って聞こえてくる構成になっています。
中国の禅宗から日本へ伝わった『除夜の鐘』の始まり
『除夜の鐘』の起源は日本独自のものではなく、中国の禅宗寺院にさかのぼります。中国では古くから、月の終わりの夜に鐘を鳴らす習慣があり、時間の区切りや心を整える意味を持っていました。それが『宋』の時代になると、1年の終わりである大みそかに特別な意味を持たせ、鐘を鳴らす日が限定されていきます。この考え方が日本に伝わったのが『鎌倉時代』ごろで、禅宗の広がりとともに寺院文化の一つとして受け入れられていきました。当初は一部の寺院で行われていたものが、『室町時代』から『江戸時代』にかけて、各地のお寺で年末行事として行われるようになり、少しずつ地域に根づいていったと考えられています。
108回に込められた『煩悩』を手放すという意味
日本の『除夜の鐘』で特に印象的なのが、108回という決まった回数です。この数は仏教で説かれる『煩悩』の数に由来しています。人の心には、迷いや欲、怒りやねたみといったさまざまな感情があり、それらを108に分けて考える教えがあります。大みそかから元日にかけて鐘を108回鳴らすことで、1年の間に積み重なった心の重さを一つずつ手放し、新しい年をまっさらな気持ちで迎えるという意味が込められています。この分かりやすい考え方が、日本人の年末年始の感覚と重なり、宗派を超えて受け入れられていったことも、広く定着した理由の一つです。
昭和の放送が全国に広めた決定的なきっかけ
近代になり、『除夜の鐘』が全国共通の風景になった大きな理由として、放送の存在があります。『昭和』に入ると、NHKをはじめとするラジオやテレビが、大みそかの夜に各地のお寺から鐘の音を中継するようになりました。これにより、実際にお寺へ足を運ばなくても、家庭で同じ時間に鐘の音を聞きながら年を越す体験が広がっていきます。特定の地域や宗派の行事だったものが、「日本中で鳴らす年越しの音」として共有されるようになり、多くの人にとって当たり前の年末行事として定着していきました。
年末の音風景として残り続ける理由
『除夜の鐘』が今も日本各地で鳴らされ続けているのは、宗教的な意味だけが理由ではありません。長い歴史の中で受け継がれてきた文化でありながら、誰もが同じ音を聞いて年を越すという体験が、世代を超えて共有されてきたことが大きいといえます。静かな夜に響く鐘の音は、1年を振り返り、新しい年へ気持ちを切り替える合図として、多くの人の記憶に残ってきました。今回の『チコちゃんに叱られる!』では、当時の貴重な映像も交えながら、この流れが紹介される予定です。
まとめ
日本中で『除夜の鐘』が鳴らされるようになった背景には、中国の禅宗から伝わった歴史、108の『煩悩』を手放すという仏教の考え方、そして昭和の放送による全国的な広がりが重なっています。何気なく耳にしてきた年末の鐘の音には、長い時間をかけて形づくられてきた意味が込められていました。
なお、この記事は放送前の情報をもとに構成しています。放送後、内容が明らかになり次第、加筆・修正する予定です。
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昭和以前と以後で変わった大みそかの過ごし方

ここからは、番組内容に関連する補足として、昭和以前と以後で大みそかの過ごし方がどう変わってきたのかを、生活リズムの変化という視点から紹介します。年末の行事は同じように見えても、人々の暮らし方が変わることで、その意味や過ごし方は少しずつ形を変えてきました。
昭和以前は「迎える準備」が生活の中心
昭和以前の大みそかは、新しい年を迎えるための準備に重きが置かれていました。年末が近づくと、家の中を整える煤払いが行われ、身の回りを清めることが大切とされていました。これは年神を迎えるための行いで、単なる掃除ではなく、1年を締めくくる生活の区切りでもありました。大みそか当日は日が暮れるまでに用事を終え、夜は静かに過ごすのが一般的で、除夜の鐘は外から聞こえてくる年越しの合図として受け止められていました。生活リズムは自然の明暗に近く、夜更かしをする習慣はほとんどありませんでした。
昭和以後は「夜を越す」年末へ変化
昭和に入り、生活リズムは大きく変わります。電気の普及によって夜の時間が長く使えるようになり、年末年始の休暇制度も整いました。大みそかは昼間に大掃除や買い出しを済ませ、夜は家族で年越しそばを食べ、テレビを見ながら年を越す流れが広がっていきます。NHKなどによる除夜の鐘の放送も始まり、実際に寺へ行かなくても鐘の音を聞くことができるようになりました。大みそかは「静かに迎える日」から「夜まで起きて新年を迎える日」へと変わっていったのです。
現代につながる生活リズムの変化
こうした変化によって、大みそかは家の中で過ごす時間が長くなり、年越しの瞬間を意識する人が増えました。一方で、除夜の鐘そのものは、昔と変わらず年の終わりを知らせる存在として残り続けています。生活リズムが変わっても、1年を振り返り、新しい年へ気持ちを切り替えるという役割は変わっていません。今聞いている除夜の鐘は、昔の人々の暮らしと、現代の生活リズムが重なった場所にある音だと言えます。
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