「油」は敵か味方か?身近な食卓から始まった小さな事件
から揚げは太る、油は体に悪い。そんな思い込みが、いつの間にか私たちの常識になっています。けれど、ある日カップ麺に入れた一さじの油が、思いもよらない“事件”を起こしました。
容器が壊れるほどの力を持つ油。その正体をたどっていくと、体の調子、ダイエットの落とし穴、さらには空を飛ぶ燃料にまで話は広がっていきます。身近すぎて見落としてきた「油」の本当の姿が、静かに浮かび上がります。
カップ麺の底が抜けた理由と発泡ポリスチレンと油の注意点
番組のきっかけになったのは、カップ麺にMCTオイルを入れたところ、容器の底が抜けたという予想外の出来事でした。普段何気なく使っている発泡ポリスチレン製のカップは、通常の食べ方では問題なく使える容器です。ところが、そこにお湯と一部の油が同時に加わることで、素材に思わぬ変化が起きました。
MCTオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸は、一般的な脂肪酸よりも分子が小さいという性質があります。この構造の違いにより、高温の状態では発泡ポリスチレンの内部に入り込みやすくなります。その結果、容器の内部構造が弱まり、底が抜けるほどの破損につながったと説明されました。
番組では、油だけを容器に入れた場合は変化が起きず、そこへお湯を注いだときに現象が起きた点が強調されていました。油と熱、この二つが重なったときに初めて表面化する現象です。
家庭で簡単に再現できてしまうからこそ、知らずに行えば思わぬ事故につながる可能性がある。その危うさが、静かに浮かび上がっていました。
油は体に悪いというイメージは本当か
長い間、油は体に悪いもの、太る原因として避けられてきました。しかし番組では、その考え方自体を見直す必要があることが示されていました。油は一括りにできる存在ではなく、種類によって役割も性質も大きく違うという点が強調されていました。
えごま油や亜麻仁油に含まれるオメガ3脂肪酸、魚に多いDHAやEPAなどは、同じ脂質でも体の中での働き方が異なります。油という言葉の裏側には、実は幅広い個性が隠れています。
一方で、番組は「体に良い」とされる油にも落とし穴があることをはっきり示しました。カップ麺の例が象徴するように、健康のために選んだ油でも、使い方や組み合わせを誤ると別の問題を引き起こすことがあります。国民生活センターが注意喚起しているように、油そのものではなく、使う場面がリスクになる場合もあります。
番組が伝えていたのは、「油は善か悪か」という単純な二択ではありません。どう使うのか、何と一緒に取るのか。その積み重ねが、油の評価を大きく変えてしまうことが、静かに示されていました。
脂質カットしすぎが招く体の異変
脂質を極端に減らすダイエットで体調を崩した例も紹介されました。脂質をほとんど取らない生活を続けた結果、肌荒れ、便秘、集中力の低下といった変化が起きたといいます。
番組では、脂質が少なすぎる食事では、米などの糖質が中心になり、食後の血糖値が急激に上がりやすいことが説明されました。血糖値の乱高下は、体だけでなくメンタルの不調につながることもあります。
また、脳は多くの脂質を含む臓器であり、脂質の取り込みが妨げられると、脳の働きにも影響が出ると紹介されました。脂質は減らせば良いものではなく、体を動かすために欠かせない栄養素であることが、静かに示されていました。
から揚げを主食にするという発想
番組で示された意外な提案が、から揚げを主食にするという発想でした。から揚げは油を使った料理ですが、脂質だけでなく、たんぱく質も同時に取れる食品です。番組では、糖質の量にも注目が集まり、から揚げ数個分の糖質は白米の一部程度に収まることが示されました。主食を置き換えるという考え方が、静かに提示されていました。
ここで強調されていたのは、栄養のバランスです。脂質、たんぱく質、糖質を組み合わせることで、食後の血糖値が急激に上がりにくくなると説明されました。単に糖質を減らすのではなく、栄養素同士の関係を見ることが大切だという流れです。
一方で番組では、注意点もはっきり示されていました。揚げ物に含まれる可能性のあるトランス脂肪酸のとりすぎには気をつける必要があるという点です。油を遠ざけるのではなく、質と量を考えて選ぶ。その視点こそが、この話題の中心として描かれていました。
使用済み天ぷら油が資源になる時代
後半では、使用済みの天ぷら油、いわゆる廃食油が、いまや価値のある資源へと姿を変えつつある現状が紹介されました。かつては捨てられる存在だった油が、需要の高まりによって、盗難被害が起きるほどの対象になっているという事実も伝えられています。飲食店から出る廃食油を回収していたところ、実際に油が盗まれたという出来事が語られ、油をめぐる環境が大きく変わってきたことが浮かび上がりました。
廃食油の価格は、数年前と比べて大幅に上昇しています。その背景にあるのが、持続可能な航空燃料(SAF)の存在です。廃食油を原料にした燃料は、化石燃料と比べて二酸化炭素の排出量を大きく減らせるとされ、世界的に注目を集めています。油は、環境対策の切り札の一つとして扱われ始めています。
番組では、廃食油を集め、不純物を取り除き、航空燃料へと生まれ変わらせる大規模なプラントの内部も紹介されました。家庭で使い終えた油が、やがて空を飛ぶ力に変わる。そんな循環が、すでに現実の取り組みとして動き始めていることが示されていました。
まとめ
油は体に悪いもの、太る原因という思い込みは、必ずしも事実ではありません。番組では、カップ麺の容器が壊れる現象から始まり、油の性質や使い方によって起きる影響が順を追って示されました。脂質を減らしすぎれば体調を崩し、適切に取り入れれば血糖値や栄養バランスを支える役割もあります。さらに、使用済み油が航空燃料などに生まれ変わる現実も紹介され、油は「捨てるもの」から「生かす資源」へ変わりつつあることが浮かび上がりました。
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