寿司が足りない時代が、もう始まっている
寿司は日本の食文化の象徴です。しかし2026年1月5日放送のクローズアップ現代「SUSHI“新時代”〜勃発!世界の寿司ネタ争奪戦〜」が映し出したのは、いつもの寿司が当たり前ではなくなりつつある現実でした。この記事では、寿司ネタが消え始めた現場の声から、寿司ネタ不足の原因、世界の寿司ネタ争奪戦、料理人たちの行動、そして寿司文化 継承の新しい動きまでを、番組内容に沿って深く掘り下げます。読み終える頃には、寿司の一貫が持つ意味が少し変わって見えるはずです。
寿司ネタが買えない現場で起きていること
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番組の冒頭で描かれたのは、寿司店の仕入れという日常が、すでに大きく変わってしまった現実です。日本橋で寿司店を営む男性は、毎朝市場に向かっても、目当ての魚が並んでいない日が増えていると話していました。かつては当たり前のように確保できていたネタが、そもそも水揚げされない、あるいは市場に出回る量が極端に少ない状況が続いています。
さらに、魚があったとしても価格が高く、仕入れをためらわざるを得ない場面が増えています。豊洲市場では、同じ魚でも海外向けの需要が強いものほど値がつり上がり、日本国内の寿司店が太刀打ちできないケースも出てきました。こうした状況は一時的な不調ではなく、寿司ネタ不足が常態化しつつあることを示しています。現場では、予定していたネタを変更しながら、その日の魚で工夫する日々が続いています。
なぜ人気ネタが減るのか
寿司ネタが減っている背景には、いくつもの要因が重なっています。番組では、マグロやサバ、シマアジなど人気の高い魚が、長年の乱獲や海水温の上昇によって資源量を減らしていることが示されました。特定の魚に人気が集中することで、獲りすぎが続き、回復する前に再び獲られてしまう流れができてしまっています。
加えて、日本の水産資源管理の課題も浮かび上がりました。2018年の漁業法改正で、資源を守りながら獲る方向性は示されましたが、現場では新しいルールへの不安や戸惑いが残っています。制度の意義が十分に伝わらないままでは、資源を守る動きは進みにくくなります。その結果、魚は減り続け、寿司ネタの確保が難しくなるという悪循環が生まれています。
「日本の魚」をめぐる国際争奪戦
番組が強調したのは、日本の魚をめぐる状況が、すでに国内だけの問題ではなくなっている点です。日本の魚は品質が高く、寿司ブームの広がりとともに海外での需要が急増しています。とくに存在感を増しているのがタイで、タイ寿司市場の拡大により、日本産の魚が積極的に買い付けられています。
さらに、香港やドバイといった都市では、高級寿司店向けに日本の魚が高値で取引されています。この世界の寿司ネタ争奪戦によって、豊洲市場の価格は押し上げられ、日本の寿司店が仕入れ競争で不利になる構図が生まれました。寿司ネタは、もはや日本の食卓だけのものではなく、世界市場で争われる存在になっています。
料理人たちの危機感と提言
こうした状況に強い危機感を抱いているのが、料理人たちです。寿司職人やイタリアンの料理人などが参加するChefs for the Blueは、水産資源の減少に歯止めをかける必要があるとして、国に対して提言を行いました。魚を扱う立場にある料理人にとって、資源が枯渇すれば料理そのものが成立しなくなります。
スタジオに出演した寿司研究家・寿司職人の千津井由貴さんも、築地時代と比べて魚が減り、価格が上がったことで、目当ての魚が仕入れられない日が続いていると話していました。料理人たちは、魚を守ることが寿司文化を未来につなぐことだと考え、声を上げ続けています。
寿司文化の継承と“新時代”の広げ方
番組後半では、寿司の未来に向けた前向きな動きも紹介されました。新技術による冷凍寿司は、魚としゃりを一体のまま凍らせることで、品質を保ったまま海外へ届けることができます。職人が常駐しない地域でも寿司文化を広げられる可能性があり、アメリカへの輸出も始まっています。
人材育成の面では、東京すしアカデミーが世界50か国以上に卒業生を送り出し、寿司の技と考え方を伝えています。地域の取り組みとしては、富山県が寿司県化を宣言し、寒ブリや白エビなど地元の魚を使った寿司で魅力を発信しています。古民家を改修した職人学校の開設など、寿司を軸にした地域づくりも進んでいます。
これらの動きは、資源が減る時代でも寿司文化を絶やさず、寿司文化 継承を実現しようとする挑戦として描かれていました。
まとめ
クローズアップ現代「SUSHI“新時代”〜勃発!世界の寿司ネタ争奪戦〜」は、寿司ネタ不足という現場の悲鳴から、国際競争、政策の課題、そして未来への挑戦までを一つの流れで伝えました。寿司ネタ不足は遠い話ではなく、私たちが口にする一貫一貫に直結する問題です。同時に、冷凍技術や人材育成、地域の取り組みといった新しい動きが、寿司文化を次の時代へつなごうとしています。寿司は今、大きな転換点に立っています。
【あさイチ】北海道“でかネタ”、富山の昆布寿司、静岡の深海魚まで!全国ご当地回転ずしの魅力をもう中学生が大調査|2025年7月30日放送
豊洲市場で魚の行き先が分かれる瞬間

クローズアップ現代で描かれた「寿司ネタが足りない」という現場の裏側には、豊洲市場で日々起きている静かな選別があります。同じ市場に並んだ魚でも、価格帯と用途の違いによって、海外へ向かうものと国内に残るものが自然に分かれていきます。ここでは、その仕組みを事実と描写に基づいて整理します。
海外向けに回る魚の特徴
海外向けに回りやすいのは、高価格帯で付加価値の高い魚です。代表的なのがマグロです。とくに大型で品質の高いものは、1キロあたり数千円から、それ以上の値がつくこともあります。こうした魚は、高級寿司や高級和食向けとして評価され、国内だけでなく海外の寿司店や日本食レストランからも強い需要があります。
ウニや車えび、赤えびなども同じ流れにあります。量が少なく、鮮度管理が難しい分、価格が高くなりやすく、高値でも買う市場がある海外へと向かいやすい魚介類です。冷凍技術が進んだことで、冷凍マグロなども品質を保ったまま海外へ運ばれ、現地で寿司ネタとして使われています。
国内向けに残る魚の特徴
一方で、国内向けに残りやすいのは、中価格帯から低価格帯の魚です。アジやサバ、カツオといった魚は、寿司にも使われますが、焼き魚や煮物など日常の食卓でも幅広く使われます。価格が比較的安定しているため、海外輸出よりも国内消費に回る割合が高くなります。
タイやヒラメといった活魚も、国内向けが中心です。活かしたまま扱う必要があり、輸送の制約が大きいため、国内の飲食店や専門店で使われることが多くなります。こうした魚は、派手さはなくても、日本の食文化を日々支えています。
価格と用途が分ける市場の現実
豊洲市場では、魚そのものに「海外向け」「国内向け」という札が付いているわけではありません。しかし競りや相対取引の中で、高値がつく魚ほど海外需要に引き寄せられ、安定供給が求められる魚ほど国内に残るという流れができあがっています。
この結果、寿司店が使いたい高級ネタほど手に入りにくくなり、価格も上がります。現場では、同じ魚種でもサイズや品質によって行き先が分かれ、その積み重ねが「寿司ネタが足りない」という実感につながっています。豊洲市場で起きているこの静かな分岐は、寿司を取り巻く時代が変わり始めていることをはっきりと示しています。
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