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NHK【皇居の盆栽】三代将軍五葉松と真柏六百年 大道庭園と盆器コレクションの歴史|2026年3月1日

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皇居の盆栽 世界を出迎える樹木たちとは

東京のど真ん中にありながら、深い森に包まれている 皇居の盆栽

舞台となる 皇居 は、かつて江戸城だった場所で、宮内庁管理区域だけでも約1.15平方キロメートルという広さがあります。
ビル街から少し離れるだけで、都市のざわめきがふっと遠のき、長く続いてきた時間の層に踏み込んだような静けさが広がります。

その森の奥で育てられてきたのが、およそ90種・500鉢以上とも言われる皇居の盆栽たち。
番組では、大道庭園にずらりと並ぶ盆栽が、まるで「生きた来賓」のように紹介されていました。

国の内外から訪れる賓客を迎える時、宮殿の玄関や広間に飾られるのは、選び抜かれた名品の盆栽です。
それは単なる装飾ではなく、「この国はこんな歴史と、美意識を大事にしてきました」という、無言の自己紹介でもあります。

一般的な盆栽は、樹の形を整えるために剪定や針金かけなど「人の手の跡」がはっきり見えることが多いですが、皇居の盆栽は少し違います。
番組でも語られていたように、大型のものが多く、枝ぶりも自然のままを尊重した姿が特徴です。

そして、その壮麗な姿を支えているのが、毎日の地味な作業の積み重ね。
中でも最も神経を使うのが水やりです。土の乾き具合、風の強さ、日ざしの角度、樹齢や鉢の大きさ。
それらを一つずつ見極めながら、水の量を変えていくことで、盆栽は長い年月を生き延びます。

盆栽は「小さな鉢の中に自然を再現する」日本独自の園芸文化です。
松や真柏などの常緑樹、花物、実物といった多様なジャンルがあり、世界中に愛好家がいるほどです。
皇居の盆栽は、その中でも最高峰の「おもてなし役」として、特別な使命を背負っている存在なのです。

坂下門から大道庭園へ 広大な皇居で育つ盆栽の世界

番組は、 坂下門 をくぐるシーンから始まります。
坂下門は、明治以降、宮殿エリアへの出入り口として使われてきた代表的な門で、一般参賀の中継などで目にしたことがある人も多い場所です。

そこから 宮内庁 の庁舎前を通り抜け、関係者しか入れないエリアへ進むと、盆栽の拠点となる 大道庭園 にたどり着きます。
大道庭園は、皇居の中にある「園芸の心臓部」のような場所で、約90種・600点ほどの盆栽が育てられています。

番組でも映し出されていたように、そこには背丈を超えるような大きな五葉松や黒松、幹のうねりが力強い真柏、繊細な雑木類まで、多彩な盆栽が並びます。
整然と並ぶ鉢の列を歩いていくと、一つ一つの樹がまるで「自分の物語を静かに語っている」ように感じられます。

大道庭園の役割は、ただ樹を育てることだけではありません。
新年の祝賀行事や宮中晩餐会など、重要な儀式の時期が近づくと、どの盆栽をどの場所に飾るかを考え、鉢の向きを微調整しながら「場の空気」をつくります。

皇居の盆栽は、現代的な感覚で言えば「空間演出のプロフェッショナル」。
でも、その裏側は、毎日の水やりや肥料、病害虫のチェックといった、ごく地道な仕事の連続です。
華やかな表舞台と、泥臭い裏方仕事。その両方を抱えているところに、この仕事の奥深さがあります。

国賓をもてなす名品盆栽 五葉松「3代将軍」と真柏とひのき直幹

番組の中で、特に時間を割いて紹介されていたのが、皇居を代表する名品盆栽たちです。

1つ目は、五葉松の名木 「3代将軍」
樹齢は約550年とされ、徳川3代将軍の 徳川家光 が愛蔵したと伝えられています。
ずっしりと太い幹、長い時間をかけて刻まれた樹皮のひび、落ち着いた枝ぶり。
ただ古いだけでなく、「江戸から現代まで、戦争も震災もくぐり抜けて、ここまで来た」という重みが、姿かたちににじんでいます。

2つ目は、樹齢600年以上と伝わる 真柏
真柏は、岩場などの過酷な場所で生きる針葉樹で、自然の中では風にさらされ、ねじれた幹や枝をつくります。
皇居の真柏も、白骨化したようなジンやシャリ(枯れ枝や削り出された白い部分)が印象的で、時間の長さそのものが造形になっていました。

3つ目は、 ひのき直幹
これは、内閣総理大臣を務めた 佐藤栄作 から献上された盆栽で、まっすぐ伸びる幹が凛とした印象を与えます。
ひのきは、日本建築でも神社仏閣に使われるほど「清らかさ」のイメージが強い樹種です。
そのひのきが、直立する姿で皇居に立っているという事実には、政治と皇室のつながり、そして「永く続くものを大切にしたい」という願いが重なって見えます。

こうした名木は、盆栽の世界で「銘木」と呼ばれます。
名前がつき、由来が語り継がれていくことで、単なる植物から「歴史を背負った存在」へと変わっていきます。
番組は、その銘木たちを丁寧に写し取りながら、言葉以上の情報を視聴者に伝えていました。

皇居を彩る盆器の美 信楽焼・尾張焼・伊万里焼の物語

皇居の盆栽の魅力は、樹だけではありません。
番組の中盤では、盆栽を支える「盆器」にもカメラが向けられていました。

まず登場したのは、信楽焼の 「蟹浮彫円盆」
滋賀県甲賀市の信楽地域で作られる信楽焼は、日本六古窯の1つに数えられる古い窯場で、素朴でざらりとした土味が特徴です。
その信楽焼の鉢に、蟹の姿が浮き彫りで施されており、土のあたたかさと遊び心が同居したような雰囲気を放っていました。

続いて紹介されたのが、尾張焼の 「瑠璃釉稲穂連雀文六角盆」
濃い瑠璃色の釉薬がかかった六角形の鉢に、稲穂と連雀が文様として描かれています。
稲穂は実り、連雀は群れをなす小鳥。どちらも「豊かさ」や「にぎわい」を象徴するモチーフで、盆栽に季節感と吉祥性を添えます。

さらに、伊万里焼の 「色絵薄瑠璃地鳳凰花唐草文盆器」
佐賀県有田周辺で焼かれた伊万里焼は、江戸時代に海外輸出も盛んだった磁器で、色絵の華やかさが持ち味です。
薄い瑠璃色の地に、鳳凰と花唐草が描かれた鉢は、それだけで美術品として成立するほどの存在感がありました。

皇居の盆栽では、こうした日本各地のやきものが鉢として使われています。
樹と鉢は、お互いの魅力を引き立て合うパートナーのような関係です。
落ち着いた松には渋い土物、華やかな花ものには色絵磁器といった組み合わせが生まれることで、1つの盆栽が小さな総合芸術になります。

陶磁器の歴史や産地の背景まで思いを馳せながら番組を見ると、「この鉢がここにある意味」も、少しずつ立ち上がってきます。

重量380キロの「根上り五葉」 賓客を迎える舞台裏

番組のクライマックスで紹介されていたのが、重量380キロという巨大盆栽 「根上り五葉」 です。

この盆栽は、幹だけでなく、地表に露出した根が大きな見どころになっています。
根が大きく持ち上がるような姿は、自然の中で長い時間をかけて土が流れたり、岩場で育ったりした樹に見られる姿です。
鉢の上に、そのダイナミックな風景が凝縮されていました。

番組では、根元に苔を貼り、周囲に化粧砂を敷いて、賓客を迎える準備を整える様子も描かれていました。
苔は緑のグラデーションを、化粧砂は光の反射を生み出し、盆栽全体に「晴れの日」の空気をまとわせます。

この根上り五葉は、南溜と呼ばれる宮殿前のスペースに運び込まれ、国王夫妻を迎えるために飾られました。
過去には、オランダ国王を迎えるために、樹齢約380年・重量約380キロの根上り五葉が玄関に飾られた記録も残っています。

何百キロもある盆栽を傷つけずに移動させるには、綿密な準備が必要です。
盆栽台にジャッキをかけ、複数人がタイミングを合わせて少しずつ動かしていく。
わずかな段差でも根鉢に負担がかからないように、木材をかませて高さを調整していく。
番組の映像からは、そんな緊張感がじわじわと伝わってきました。

「ただ飾るだけ」と聞くと軽く聞こえますが、その実態は大工仕事にも似た重労働です。
それでも最後に所定の場所へ収まった瞬間、盆栽は一気に「主役の顔」になります。
背景の建物やレッドカーペット、国旗や警護の人々。そのすべてを受け止める、静かな軸のような存在になっていました。

世界の賓客と向き合う皇居の盆栽 日本文化が伝えるメッセージ

番組のラストでは、皇居の盆栽が担ってきた役割が、穏やかな語り口でまとめられていました。

国賓や要人を迎える場では、言葉が通じないケースも多くあります。
そんな時に、まず目に入るのが、玄関に据えられた盆栽です。
そこには、日本の四季、長く続く歴史、職人の技、そして「この出会いを大事にしたい」という気持ちが、ぎゅっと込められています。

庭師たちが日々向き合っているのは、気温や風、病気や虫といった現実的な問題です。
それでも、数百年前に植えられた樹を今につなぎ、その樹が海外からの賓客を迎える。
時間を越えて人と人をつなぐ媒介役になっているところに、盆栽ならではのロマンがあります。

また、皇居の盆栽は、世界中で広がる盆栽ブームの「原点」としても注目されています。
海外の盆栽愛好家の中には、「いつか大道庭園の盆栽をこの目で見たい」と願っている人も少なくありません。

番組「皇居の盆栽 世界を出迎える樹木たち」は、ふだんは決して足を踏み入れられない場所で、静かに出番を待つ盆栽たちの姿を丁寧に映し出していました。
ドラマチックな演出ではなく、あくまで落ち着いたテンポで、その中にある時間の重さや、人の思いを感じさせてくれる構成でした。

画面越しに見ているだけでも、「樹がここまで生きてきた時間」と「自分が生きている時間」を、自然と比べてしまいます。
せわしない日常の中で、少し立ち止まって深呼吸したくなる。
そんな余白をくれる番組だったと感じます。

【皇居の宝物 盆栽物語】時を語る大道庭園の老木たち|皇居盆栽・三代将軍五葉松・大道庭園とは何か・値上り五葉・宮内庁庭園課・由来をたどる|2026年1月4日

 


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