気仙沼の海の幸と震災15年を味わう「うまいッ!」特別編
番組「うまいッ! 絶品の東北!気仙沼の海の幸 〜宮城〜 東日本大震災15年」は、東日本大震災から15年という節目に合わせて、宮城県の港町・気仙沼を舞台にした特別編です。
司会はおなじみ、お笑いコンビ・キャイ〜ンの天野ひろゆきさんと、NHKアナウンサーの塚原愛さん。二人が実際に現地を訪れ、冬に旬を迎えるめかじきとかきを味わいながら、人と海、そして震災からの歩みをたどっていきます。
番組の大きなテーマは、ただの「グルメ旅」ではありません。
「おいしい魚がとれる海は、どうやって守られてきたのか」
「震災から15年たった今、港町で暮らす人たちは何を感じているのか」
こうした問いを、料理の湯気の向こう側にそっと忍ばせているのが、この回の特徴です。文章で読むだけでも、画面の冷たい冬の海と、温かい鍋の対比が浮かんでくるような構成になっています。
メカジキ水揚げ日本一の港町・気仙沼と冬限定の「冬メカ」の魅力
まず番組がスポットを当てるのは、めかじきです。
宮城県気仙沼市は、カツオやサンマに加えてメカジキなどの水揚げが全国屈指で、「メカジキの水揚げ量日本一」としても知られています。
メカジキは一年中水揚げされる魚ですが、10月から3月ごろにかけて水揚げされるものは「冬メカ」と呼ばれ、脂のりがとても良いことで有名です。寒い時期ほど身の中にしっかりと脂をたくわえるので、刺身やしゃぶしゃぶにすると、とろけるようなコクが楽しめます。
番組では、この「冬メカ」がどんな表情をしているのかを、港と食卓の両方から描いていきます。
巨大な魚体が並ぶ港の風景、まな板に乗せられて切り分けられていく断面、そして焼き物や煮つけ、揚げ物など、さまざまな料理に姿を変えていく様子。
背景として、メカジキには良質なたんぱく質やビタミンE、DHA・EPAなどが多く含まれていて、体にもうれしい食材だということも知られています。
番組が強く言いすぎることはないはずですが、「おいしいのに、実は体にもやさしい」という二重の魅力が、画面越しにも伝わる構成になっていると考えられます。
気仙沼市魚市場を歩く 地元ガイドが語るメカジキの“裏側”
番組の中盤では、気仙沼市魚市場を地元の観光ガイドと一緒に歩きながら、メカジキの「現場」を訪ねていきます。
気仙沼市魚市場は、全国の漁船が集まる大きな市場で、カツオ・サンマ・メカジキ・サメなど、多様な魚が水揚げされる場所です。全長800メートルを超える巨大な建物の中では、早朝からフォークリフトが行き交い、箱詰めされた魚が次々と並べられていきます。
ここでガイドが教えてくれるのは、「観光パンフレットには書かれない話」です。
たとえば、
・メカジキがどんな海域から届くのか
・どの部分が地元の人の“ごちそう部位”なのか
・寒い冬の市場で働く人たちの、ちょっとした裏話
といった内容です。
一般的にメカジキは、背びれの付け根にあたる「ハーモニカ」や、頭と胴体の付け根の「カマ」など、部位ごとに違うおいしさを持っていて、煮物・焼き物・フライなど、どんな調理にも合う万能選手です。
番組では、こうした部位の説明や、「地元の人はこう食べる」という話も交えながら、視聴者が食卓で真似したくなるヒントを紹介していくと考えられます。
森にも入る“異色のかき漁師” 山と海をつなぐ仕事の日常
もう一つの主役は、冬の海で育つかきです。
今回の放送で特に印象的なのが、「海だけでなく山にも入る異色のかき漁師」に密着するパートです。
普通、かき漁師と聞くと、海に浮かぶいかだで作業をしているイメージが強いですが、この漁師は山にも分け入っていきます。
その背景にあるのが、「森の栄養が川を通じて海へ流れ込み、その栄養がかきを育てる」という考え方です。気仙沼周辺では、広葉樹の森から流れ出す養分が湾に運ばれ、そのおかげでかきやホタテ、わかめなどの養殖が盛んになってきたと説明されています。
番組では、おそらく山での植樹活動や、森の状態を見て回る漁師の姿を映しながら、「なぜかき漁師が山にこだわるのか」を丁寧にたどっていきます。
海の上の作業だけでなく、山を歩く長靴の音や、落ち葉の匂いまで想像できるような映像で、視聴者に「森と海のつながり」を感じさせる構成になっているはずです。
山の栄養が海を豊かにする 気仙沼のかきがおいしい理由
では、なぜ気仙沼のかきはおいしいのでしょうか。
気仙沼の湾は、リアス式海岸の入り江になっていて、外海の冷たい海水と、川から流れ込む栄養豊富な水が混ざり合う場所です。特に大川などの川は、上流の広葉樹の森から鉄分やミネラルを含んだ水を運び、それが海の中で植物プランクトンを育てます。
かきは、この植物プランクトンをエサにして成長する貝です。
だからこそ、森が元気であればあるほど、海も豊かになり、かきの味わいも深くなっていきます。
番組では、
・殻をあけた瞬間にあふれる透明な汁
・クリーム色の身のつや
・口に入れたときの、塩気と甘みのバランス
といった「五感で伝わるおいしさ」に加えて、こうした科学的な背景もやさしい言葉で紹介してくれると考えられます。
一般的に、かきは良質なたんぱく質や亜鉛、ビタミンB群などを多く含み、「海のミルク」と呼ばれることもあります。
番組は健康番組ではありませんが、「身体にもうれしい冬のごちそう」として、さりげなくその魅力も伝えていきます。
東日本大震災から15年 冬の恵みに込められた気仙沼の祈りと決意
今回の放送には、「東日本大震災から15年」という重い時間軸があります。
東日本大震災では、気仙沼の港も大きな津波被害を受け、多くの船や建物、人の暮らしが失われました。その後、魚市場や内湾エリアは時間をかけて再建され、今も復興のプロセスが続いています。
番組では、冬のめかじきやかきを通して、こうした「失われたもの」と「守ろうとしてきたもの」の両方に静かに光を当てていきます。
震災直後は、港で魚をさばくどころか、仕事場そのものがなくなってしまった人も多くいました。そこから設備を立て直し、ブランド力を高めていく中で、気仙沼は「冬メカ」や養殖かきなどの発信に力を入れてきました。
冬の湯気の向こうで笑う人の表情や、「おいしいね」という何気ない一言には、
「ここまで戻ってこられた」という安堵と、
「これからも続けていく」という決意が重なっています。
【NHKサラメシ】東日本大震災から14年|気仙沼「鶴亀食堂」で味わう新鮮地魚定食と移住者店長の物語【2025年3月6日放送】
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