減塩だけじゃない!注目される「ナトカリ比」とは
塩分を減らすことは健康のために大切ですが、実はそれだけでは十分ではないことをご存じでしょうか。
最近は、塩分のもとになるナトリウムを減らしながら、野菜や果物に多く含まれるカリウムを増やす「ナトカリ比」という考え方が注目されています。高血圧予防や生活習慣病対策にも関わる重要なテーマとして、『あさイチ 夏こそ「適塩」!?塩との正しい付き合い方教えます!(2026年6月3日放送)』でも取り上げられ注目されています。
塩分を我慢するだけではなく、何を食べて健康を守るのか。そのヒントを知ることで、毎日の食事選びが大きく変わるかもしれません。
この記事でわかること
・ナトカリ比が注目される理由
・減塩だけでは足りないといわれる背景
・カリウムを増やす食事の具体的なコツ
・高血圧予防につながる食生活の見直し方
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ナトカリ比とは?塩分とカリウムのバランスが大切な理由
ナトカリ比とは、体の中に入ったナトリウムとカリウムのバランスを見る考え方です。
ナトリウムは、主に食塩に含まれる成分です。しょうゆ、みそ、漬物、ラーメンのスープ、加工食品などに多く含まれます。体に必要な成分ですが、とりすぎると体の中に水分をためこみやすくなり、血管にかかる力が強くなります。これが血圧が上がりやすくなる理由のひとつです。
一方、カリウムは野菜、果物、いも類、豆類、海藻などに多く含まれる成分です。カリウムには、体の中の余分なナトリウムを外へ出す働きを助ける役割があります。つまり、塩分を減らすだけでなく、カリウムをしっかりとることも、血圧や体調を整えるうえで大切になります。
これまでの塩分対策は「塩を減らしましょう」という考え方が中心でした。もちろんそれは今も大切です。ただ、食事は塩だけでできているわけではありません。実際には、塩分が多い食事をしている人ほど、野菜や果物が少なく、カリウムが不足しやすいこともあります。
そこで注目されているのが、ナトリウムを減らし、カリウムを増やすという見方です。ナトカリ比は、この2つのバランスを見ることで、より現実的に食生活を見直せる考え方として広がっています。ナトカリ比を低くすることは、高血圧や循環器病の予防に有効とされています。
大事なのは、「塩を悪者にする」ことではありません。塩は体に必要です。汗をかいたとき、体調が悪いとき、運動をしたときなど、状況によって必要な量は変わります。
ただし、ふだんの食事では、ほとんどの人が必要量を超えて塩分をとっています。最近の調査でも、日本人の食塩摂取量は目標より高い状態が続いています。だからこそ、「夏だから塩を多めにとれば安心」と単純に考えるのではなく、自分の食事全体のバランスを見ることが大切です。
『あさイチ 夏こそ「適塩」!?塩との正しい付き合い方教えます!』でも注目されるナトカリ比は、減塩をがまんの話で終わらせず、「何を足せばよいか」まで考えられる点が大きな魅力です。
減塩だけでは足りない?野菜や果物で塩分対策を考える
減塩というと、まず思い浮かぶのは「味を薄くすること」かもしれません。
でも、急に味を薄くすると、食事が物足りなく感じます。続かない減塩は、結局もとの味に戻ってしまいやすいです。だから大切なのは、ただ塩を減らすだけでなく、おいしさを残しながら塩分を下げる工夫です。
そこで役立つのが、野菜や果物、いも類、豆類などです。これらにはカリウムが多く含まれるものが多く、塩分対策の味方になります。
カリウムをとりやすい食材には、たとえば次のようなものがあります。
ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、トマト、きゅうり、なす、かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、枝豆、大豆製品、バナナ、キウイ、海藻類などです。
ただし、カリウムは「これだけ食べれば大丈夫」というものではありません。毎日の食事の中で、少しずつ増やしていくことが大切です。
たとえば、朝にバナナやキウイを足す。昼の麺類に野菜を追加する。夕食で具だくさんのみそ汁にする。おかずに冷やしトマトやきゅうりの酢の物を添える。こうした小さな工夫でも、食事全体のバランスは変わります。
特に注意したいのは、麺類や丼もの、コンビニ弁当、外食が多い人です。これらは塩分が多くなりやすい一方で、野菜が少なくなりやすい組み合わせです。
ラーメンを食べるなら、スープを全部飲まない。野菜トッピングを選ぶ。丼ものなら、サラダや具だくさんの汁物を足す。コンビニで買うなら、弁当だけでなく、カット野菜、豆腐、海藻サラダ、果物などを組み合わせる。これだけでも、ナトカリ比を意識した食べ方に近づきます。
ここで大切なのは、野菜や果物を足せば、塩分を気にしなくてよいわけではないという点です。
カリウムをとることは大事ですが、塩分をとりすぎたままでは、体への負担は残ります。つまり、減塩とカリウム摂取はどちらか一方ではなく、両方を組み合わせることが大切です。
世界的にも、ナトリウムを減らし、カリウムを適切にとることは、血圧や循環器病のリスクを下げるために重要とされています。成人ではナトリウムを食塩換算で1日5g未満に近づけ、カリウムを十分にとることが推奨されています。
ただし、腎臓病がある人や、医師からカリウム制限を受けている人は注意が必要です。カリウムは健康な人には大切な成分ですが、腎機能が低下している場合は、体の外へうまく出せず、血液中のカリウムが高くなりすぎることがあります。薬の種類によっても注意が必要な場合があります。
そのため、持病がある人は「カリウムを増やせばよい」と自己判断せず、医師や管理栄養士に相談したうえで調整するのが安心です。
ナトリウムを減らしカリウムを増やす食事のコツ
ナトカリ比を意識した食事は、難しい計算をしなくても始められます。
まず見直したいのは、塩分が多いものを少し減らすことです。いきなり完璧にしようとすると続きません。毎日の食事で「ここだけ変える」と決めるほうが現実的です。
たとえば、しょうゆをかけるのではなく、小皿に出して少しつける。みそ汁は具を増やして汁を少なめにする。漬物や梅干しは毎食ではなく量を決める。ラーメンやうどんの汁は残す。加工肉や練り物は頻度を少し下げる。こうした工夫は、味を大きく変えずに塩分を減らしやすい方法です。
次に、うま味や酸味、香りを使うことです。
塩を減らすと物足りなく感じるのは、舌が濃い味に慣れているからです。そこで、だし、酢、レモン、しょうが、にんにく、しそ、みょうが、ごま、こしょう、カレー粉などを使うと、塩分を減らしても満足感が出やすくなります。
たとえば、きゅうりの酢の物は、塩だけに頼らず、酢の酸味やだしの風味でおいしく食べられます。炒め物も、しょうがやごま油、にんにくの香りを使うと、しょうゆの量を少し減らしても物足りなさを感じにくくなります。
さらに、カリウムを増やすには、野菜を副菜として足すだけでなく、主菜や主食に混ぜるのが続けやすいです。
たとえば、カレーに野菜を増やす。焼きそばにキャベツやもやしを多めに入れる。チャーハンに小松菜やきのこを入れる。みそ汁を具だくさんにする。肉料理にトマトや大根おろしを添える。こうすると、「野菜を別に食べなきゃ」と考えなくても自然に増やせます。
ナトカリ比を下げる食べ方の基本は、とてもシンプルです。
塩分の濃い調味料を少し控える
野菜や果物を毎食どこかに入れる
汁物や麺の汁を全部飲まない
加工食品や外食が続いたら次の食事で整える
酸味、香り、だしを使って薄味の物足りなさを減らす
特に効果を感じやすいのは、汁物と麺類です。汁には塩分が多く含まれやすいため、全部飲むか残すかで差が出ます。みそ汁も、みそを減らすだけでなく、野菜、きのこ、豆腐、わかめなどを増やすと、満足感を保ちやすくなります。
もうひとつ大切なのは、味覚をリセットすることです。
濃い味に慣れていると、普通の味でも薄く感じます。でも、少しずつ薄味に慣れていくと、素材の甘みや香りを感じやすくなります。急に半分に減らすのではなく、しょうゆやみそを1割だけ減らす、ドレッシングを少なめにする、スープを残すなど、無理のない変化から始めるのがおすすめです。
食塩摂取量は日本人の多くが目標を上回っており、成人男性で10g前後、成人女性でも9g前後という水準が示されています。高血圧予防では、1日6g未満を目標にする考え方もあります。
ただ、数字だけを見ると難しく感じます。だからこそ、まずは「今より少し減らす」「野菜を1品足す」「汁を残す」という行動に落とし込むことが大切です。
完璧な食事を目指すより、昨日より少し整える。そのほうが長く続きます。
高血圧予防にもつながるナトカリ比の見直し方
ナトカリ比が注目される背景には、高血圧がとても身近な問題になっていることがあります。
血圧は、年齢だけで上がるわけではありません。食塩のとりすぎ、野菜不足、運動不足、睡眠不足、ストレス、飲酒、体重増加など、いろいろな生活習慣が関係します。その中でも食事は、毎日変えられる大きなポイントです。
高血圧がこわいのは、初めのうちは自覚しにくいことです。痛みや不調が少なくても、血管には少しずつ負担がかかります。長く続くと、脳卒中、心臓病、腎臓病などのリスクに関わります。
だから、血圧が高くなってから慌てるより、ふだんから食事を見直しておくことが大切です。
ナトカリ比の見直しは、血圧がすでに高い人だけでなく、今は正常でも外食が多い人、濃い味が好きな人、野菜不足が気になる人にも役立ちます。
見直しの第一歩は、自分の食事をざっくり振り返ることです。
朝食はパンと加工肉だけになっていないか。昼食は麺類や丼ものが多くないか。夕食で漬物、みそ汁、しょうゆ味のおかずが重なっていないか。野菜や果物を食べる日が少なくないか。こうした点を見るだけでも、改善ポイントが見えてきます。
よくある塩分過多のパターンは、次のようなものです。
朝は食パン、ハム、スープ
昼はラーメンやうどん
夜はしょうゆ味のおかず、みそ汁、漬物
間食にスナック菓子
このような食事は、塩分が重なりやすく、野菜や果物が少なくなりやすいです。全部をやめる必要はありませんが、どこかを入れ替えるだけで変わります。
たとえば、朝のスープを具だくさんにする。昼の麺類は汁を残し、野菜を足す。夜のみそ汁は具を増やして汁を少なめにする。漬物は小皿に少しだけにする。間食はスナック菓子だけでなく、果物や無塩ナッツの日をつくる。
これなら、生活を大きく変えなくても始められます。
また、家庭でできる工夫として、調味料を「足す前に味見する」ことも大切です。料理を食べる前からしょうゆやソースをかける習慣がある人は、知らないうちに塩分が増えています。まず一口食べてから必要な分だけ使うだけでも、塩分を減らしやすくなります。
減塩食品を使うのもひとつの方法です。ただし、減塩しょうゆや減塩みそを使っても、量を増やしてしまえば意味が薄くなります。大切なのは、減塩商品を使うことではなく、食事全体の塩分を下げることです。
ナトカリ比は、これまでの「塩を減らすだけ」の考え方に、もう一歩先の視点を加えてくれます。
塩分を減らす
野菜や果物を増やす
外食や加工食品の続きすぎに気づく
濃い味に慣れた味覚を少しずつ戻す
毎日の食事をがまんではなく調整として考える
この5つを意識すると、塩分対策はぐっと続けやすくなります。
ただし、夏場や運動時に大量の汗をかいた場合、発熱や下痢、嘔吐がある場合などは、水分や電解質の補給が必要になることもあります。ふだんの食事では塩分をとりすぎている人が多い一方で、体調や環境によって必要な対応は変わります。高血圧対策でも、極端な減塩ではなく、体の状態に合った調整が大切です。
ナトカリ比の考え方は、難しい健康用語に見えますが、毎日の行動に置き換えるととても身近です。
今日からできることは、ラーメンの汁を少し残すことでも、みそ汁に野菜を増やすことでも、食卓にトマトやきゅうりを足すことでもかまいません。
塩をただ怖がるのではなく、塩分とカリウムのバランスを見ながら、体にやさしい食べ方へ少しずつ近づけていく。それが、これからの適塩の考え方です。
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