獲れたてをすぐ締めない神漁師
魚は獲れた瞬間がいちばんおいしい。そんなイメージを持っている人は多いかもしれません。
しかし、瀬戸内海で漁をする藤本純一さんは、獲った魚をすぐに締めず、船の生け簀で一晩休ませることがあります。魚を落ち着かせてから素早く神経締めし、全国の料理人へ直接届けるのです。
『オー!マイゴッド!(ミシュランシェフ達が絶賛!瀬戸内の神漁師▼今治秘伝タレ焼き鳥)(2026年7月25日)』でも取り上げられ、藤本純一さんの漁と、伯方島の寿司店赤吉が紹介されました。
この記事でわかること
- 藤本純一さんが神漁師と呼ばれる理由
- 魚を一晩休ませてから締める意味
- 神経締めだけではない魚の扱い方
- 赤吉の予約方法と来店前の注意点
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神漁師・藤本純一さんはどこの漁師?
藤本純一さんは、愛媛県今治市の大島にある宮窪漁港を拠点にする漁師です。
1982年に愛媛県で生まれた漁師一家の4代目で、幼いころから家業を手伝い、18歳ごろから本格的に漁へ出るようになりました。
漁船は蒼蛭子丸です。
瀬戸内海で獲った魚を市場へまとめて出す一般的な方法だけでなく、自ら魚を処理し、料理店へ直接発送する仕組みを築いてきました。
藤本純一さんの魚は、単に「獲れたばかりだから新鮮」というだけではありません。
漁の時間、網の扱い方、生け簀での休ませ方、締めるタイミング、血抜き、保管、発送までを細かく調整し、料理人が使いたい状態に整えて届けています。
全国の一流料理人が藤本純一さんの魚を求めるのは、魚種や大きさだけでなく、届いた後の状態まで予測しやすいからです。
たしかに、同じ魚でも扱い方によって味が変わると聞くと、魚選びの見方が少し変わります。藤本純一さんは漁師でありながら、料理人が皿に盛りつけるところまで考えている人物といえます。
来島海峡の魚を傷つけずに獲る底引網漁
藤本純一さんが漁を行うのは、主に来島海峡周辺の瀬戸内海です。
来島海峡は潮の流れが速いことで知られ、その海域では真鯛、ハモ、キス、車海老など、さまざまな魚介類が育ちます。
藤本純一さんが行うのは、海底付近に網を入れて魚介類を獲る底引網漁です。
底引網漁では一度に複数の魚を獲れますが、網の中にいる時間が長くなると、魚同士がぶつかったり、暴れて体に傷がついたりすることがあります。
魚の外見に小さな傷がつくだけと思われがちですが、激しく暴れると体力を消耗し、身の状態にも影響する可能性があります。
そこで藤本純一さんは、網に独自の工夫を施し、一般的な漁よりも短い時間で引き上げます。
大切なのは、魚をたくさん獲ることだけではありません。
- 網の中にいる時間を短くする
- 魚同士がぶつかるのを抑える
- 体力を消耗させない
- 体の表面や身を傷めない
こうした細かな積み重ねが、料理人に届く魚の品質につながります。
個人的には、藤本純一さんの仕事で最も大事なのは、神経締めの速さよりも、その前の段階だと感じます。傷つき、弱り切った魚を最後だけ素早く処理しても、本来の状態へ戻すことはできないからです。
魚をすぐ締めず一晩休ませるのはなぜ?
藤本純一さんの仕事で特に驚かされるのが、獲った魚をすぐに締めず、船の生け簀で一晩休ませることがある点です。
一般には、魚は早く締めた方が鮮度を保てると思われています。
実際には、いつでも早ければよいとは限りません。網から上げられた直後の魚は興奮し、激しく動いていることがあります。
その状態ですぐに処理するのではなく、船に備えた生け簀で休ませます。
船の生け簀は海水が循環するため、魚が海に近い環境で過ごせるのが特徴です。しばらく休ませることで魚の動きが穏やかになり、体への負担を抑えた状態で取り上げやすくなります。
藤本純一さんは、魚が暴れにくい状態を見極めてから、生け簀から上げて処理します。
この工程には、主に次の意味があります。
- 漁で興奮した魚を落ち着かせる
- 生け簀の中で激しく暴れるのを防ぐ
- 取り上げるときに魚を傷つけにくくする
- 魚の状態を見ながら締める時期を選ぶ
ただし、すべての魚を必ず同じ時間だけ休ませるわけではありません。
魚種、大きさ、季節、水温、魚の体力などによって、適切な扱い方は異なります。「一晩休ませれば、どんな魚でもおいしくなる」という単純な方法ではない点には注意が必要です。
初めて知ると少し驚きますが、藤本純一さんが見ているのは時計ではなく、目の前にいる魚の状態なのだと考えると理解しやすくなります。
わずか5秒の神経締めとは?
魚を落ち着かせた後に行うのが、藤本純一さんを象徴する神経締めです。
神経締めとは、魚の脊髄に専用のワイヤーなどを通し、神経の働きを止める処理方法です。
魚は死んだ後、時間の経過とともに死後硬直が進み、やがて身が軟らかくなっていきます。神経締めは、その変化を管理しやすくし、料理に適した状態を長く保つために行われます。
藤本純一さんは、魚の種類や体の構造を見極め、短時間でワイヤーを通します。番組では、わずか5秒ほどで処理する様子が紹介されました。
ただし、神経締めをすれば、それだけですべての魚がおいしくなるわけではありません。
魚の品質を保つには、次の工程も欠かせません。
- 魚を傷つけずに獲る
- 捕獲後のストレスを抑える
- 適切な方法で締める
- 必要に応じて血を抜く
- 魚に合った温度で保管する
- 料理に使う時期を見極める
神経締めは、あくまで一連の工程の一部です。
藤本純一さんのすごさは、ワイヤーを通す速さだけでなく、締める前後の状態まで含めて管理していることにあります。
目立つのは5秒という数字ですが、実際に見るべきなのは、その5秒に入るまでにどれだけ丁寧な仕事をしているかでしょう。
鮮度がよい魚と熟成させた魚は何が違う?
魚のおいしさを考えるとき、「鮮度がよいほどおいしい」と考えがちです。
しかし、寿司や日本料理では、獲れた魚をすぐに食べるだけでなく、魚の状態を見ながら数日間寝かせることがあります。
締めた直後の魚は、歯応えを感じやすい一方、うまみが十分に出ていない場合があります。時間がたつと身の中で変化が起こり、食感がやわらかくなりながら、うまみを感じやすくなります。
もちろん、ただ長く置けばよいわけではありません。
魚種によって状態の変化は異なり、同じ魚でも大きさ、脂の量、締め方、血抜き、温度管理によって食べ頃が変わります。
藤本純一さんは、伯方島の料理人・赤瀬淳治さんと20年以上にわたり、魚の締め方や血の抜き方、熟成の時期、料理方法について研究を重ねてきました。
藤本純一さんが異なる方法で処理した魚を赤瀬淳治さんが料理し、味や香り、食感を確かめて意見を交わす。その積み重ねによって、魚ごとの扱い方を磨いてきたのです。
ここで大切なのは、漁師が魚を獲って終わりではないことです。
料理人がいつ、どのような料理に使うのかまで共有することで、魚を最もよい状態へ近づけられます。個人的には、この漁師と料理人が一緒に答えを探している点が、藤本純一さんの魚が特別とされる一番の理由だと感じます。
藤本純一さんの魚を選ぶ料理人とレストラン
藤本純一さんは、獲った魚を市場だけに出すのではなく、料理店へ直接届けています。
届け先には、ミシュランの星を獲得した店や、国内外で高く評価されるレストランが含まれています。
番組では、東京・西麻布のレストラン「NOMI RESTAURANT」の峯村康資シェフが、藤本純一さんから届いたハモを確認する場面が紹介されました。
料理人が見るのは、魚の目や体の表面だけではありません。
- 身に傷や圧迫された跡がないか
- 血が適切に抜けているか
- 香りに違和感がないか
- 身に張りが残っているか
- 数日後にどのような状態になるか
こうした点を確認し、焼く、蒸す、煮る、刺身にするなど、魚の状態に合った調理方法を選びます。
藤本純一さんの魚は、岸田周三シェフや川田智也シェフをはじめ、一流の料理人たちから評価されてきました。
料理人にとって重要なのは、有名な漁師の魚を使うことではありません。求めた日に、求めた品質の魚が届き、料理として完成させられることです。
藤本純一さんが支持される背景には、料理人との長い信頼関係と、魚の状態を正確に伝えられる力があります。
神漁師の魚を食べられる伯方島の赤吉
藤本純一さんの魚を料理として体験できる店が、愛媛県今治市の伯方島にある寿司店赤吉です。
店を営むのは、料理人の赤瀬淳治さんです。
赤瀬淳治さんは1975年に愛媛県で生まれ、2001年末に伯方島で店を開きました。2018年にはミシュランの星を獲得しています。
赤吉の大きな特徴は、決められた寿司ネタを年間を通してそろえる店ではないことです。
藤本純一さんから届いた魚を見て、赤瀬淳治さんがその日の料理を組み立てます。
そのため、真鯛やハモ、キジハタなどが登場することはあっても、来店すれば必ず同じ魚を食べられるとは限りません。
旬、天候、海の状態、当日の漁によって届く魚は変わります。
「テレビで見た魚を必ず食べたい」と考えるより、その日に瀬戸内海から届いた魚を最も合う形で味わう店と考えた方が、赤吉の魅力を理解しやすいでしょう。
食べたい魚を指定する店ではなく、漁師と料理人に内容を委ねる店です。好き嫌いや食物アレルギーがある場合は、予約時に対応可能か確認しておく必要があります。
赤吉の予約方法・営業時間・席数
赤吉は、事前に席を確保して訪れる店です。
現在は、飲食店予約サービスのOMAKASEに公式予約ページが設けられています。空席のある日、開始時間、コース料金、キャンセル条件は予約画面で確認できます。
主な店舗情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 赤吉 |
| 住所 | 愛媛県今治市伯方町北浦甲1203-8 |
| 席数 | カウンター6席 |
| 営業枠 | 木・土・日は昼と夜、月・水・金は夜の案内 |
| 支払い | 現金・カード |
| 喫煙 | 不可 |
| 予約 | OMAKASEの公式予約ページ |
| 子ども | 原則として中学生以上で、大人と同じコースを食べられる方 |
| 来店方法 | 自家用車、レンタカー、タクシーなど |
営業時間や営業日は、貸切、仕入れ、臨時休業などで変わる可能性があります。
また、予約ページの曜日表示や定休日欄に食い違いが生じる場合もあるため、固定された曜日だけを頼りにせず、実際に予約できる日と開始時間を予約画面で確認することが大切です。
放送で知ってすぐ行きたくなっても、予約なしで現地へ向かうのは避けた方がよいでしょう。
カウンター6席という小さな店です。実際に選ぶなら、まず空席を確認し、席を確保してから交通手段や宿泊場所を決める順番が安心です。
伯方島の赤吉へは車とタクシーのどちらが便利?
赤吉がある伯方島は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道の途中にあります。
鉄道駅から歩いて行ける場所ではないため、自家用車、レンタカー、タクシーなどの利用が基本です。
公式予約ページでは、広島空港、福山駅、尾道駅方面からタクシーを利用した場合、約1時間から1時間30分が目安として案内されています。
ただし、出発地、道路状況、しまなみ海道の渋滞によって時間は変わります。
車で訪れる場合も、次の点を確認しておくと安心です。
- 予約時間から逆算して早めに出発する
- しまなみ海道の通行状況を確認する
- 飲酒する場合は運転者を決めておく
- タクシーは行きだけでなく帰りも手配する
- 最終目的地までの地図を事前に保存する
特に注意したいのが、帰りの交通手段です。
都市部の飲食店とは異なり、食事が終わってから店の前ですぐタクシーを拾えるとは限りません。タクシーを利用する場合は、予約時間だけでなく、食事後の迎車についても相談しておくと安心です。
料理に合わせてお酒を楽しみたい人は、伯方島やしまなみ海道周辺に宿泊する方法も考えられます。
個人的には、遠方から赤吉だけを目指して日帰りするより、伯方島や大島を含めた旅行として予定を組む方が、移動時間を気にせず楽しみやすいと思います。
子連れや初めての利用で確認したいこと
赤吉の公式予約ページでは、子どもの利用について、原則として中学生以上で大人と同じコースを食べられる方と案内されています。
貸切の場合は相談できることがありますが、家族で訪れる場合は予約を取る前に条件を確認しましょう。
また、赤吉はカウンターを中心に料理を楽しむ店です。
回転寿司のように好きな皿だけを選ぶ形式ではなく、基本的には店側が組み立てたコースを味わいます。
初めて訪れる人は、次の点を確認しておくと失敗を防げます。
- コース料金と追加料金
- 食事の開始時間
- キャンセル規定
- 苦手な魚や食物アレルギーへの対応
- 子どもの年齢とコース条件
- 食事にかかる時間
- 駐車場所と帰りの交通手段
高額なコースを予約する場合は、キャンセル期限も重要です。
予約後に予定が変わる可能性がある人は、予約を確定する前にキャンセル料が発生する時期を確認してください。
たしかに、予約条件が多いと少し身構えてしまいます。ただ、席数が少なく、その日の魚に合わせて準備する店だからこそ、事前確認が必要なのだと考えれば納得しやすいでしょう。
藤本純一さんの魚は通販や一般購入ができる?
藤本純一さんの魚を、自宅用として常時購入できる公式通販は、確認できる公開情報だけでは明確になっていません。
藤本純一さんは料理店へ直接魚を出荷するスタイルを確立していますが、これは一般消費者向けの商品を常時販売する仕組みとは異なります。
そのため、本人や漁港へ突然連絡したり、現地を訪ねたりするのは避けた方がよいでしょう。
藤本純一さんの魚を味わいたい場合は、次の方法が現実的です。
- 赤吉の予約状況を確認する
- 藤本純一さんの魚を扱うレストランを調べる
- 各料理店の当日の仕入れ内容を確認する
- 公式に販売情報が公開された場合に申し込む
注意したいのは、藤本純一さんと取引がある店でも、毎日必ず魚が入荷するとは限らないことです。
天候や漁獲状況によって出漁できない日もあり、届く魚種も変わります。
「藤本純一さんの魚を扱った実績がある店」と「訪問日に食べられる店」は同じではありません。特定の魚を目的に予約する場合は、店側が案内できる範囲で確認しておきましょう。
藤本純一さんが神漁師と呼ばれる本当の理由
藤本純一さんが神漁師と呼ばれるのは、珍しい魚を獲るからでも、神経締めが速いからだけでもありません。
漁から料理人の手元へ届くまで、魚の変化を一つにつながったものとして考えているからです。
- 魚を傷つけないよう短時間で網を上げる
- 生け簀で魚のストレスを抑える
- 魚ごとに締める時期を変える
- 素早く神経締めを行う
- 血抜きや温度を管理する
- 料理人と魚の状態を共有する
- 食べ頃や料理方法を一緒に研究する
どれか1つだけをまねても、同じ魚にはなりません。
藤本純一さんと赤瀬淳治さんは20年以上にわたり、締め方や熟成、料理方法を確かめながら技術を高めてきました。
魚のおいしさは、海の環境だけで決まるものではありません。
獲り方、休ませ方、締め方、運び方、料理方法がつながって、初めて一皿として完成します。
神経締めの5秒は目を引きますが、その背景には何年も重ねてきた経験があります。
藤本純一さんの魚を食べてみたい人は、まず赤吉など提供店の予約状況を確認し、次に伯方島までの移動手段を決めるとスムーズです。
参考リンク
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