57坪あるのに使えるのは実質17坪
広い土地を見つけても、その面積すべてに家を建てられるとは限りません。
『THE突破ファイル(17坪崖っぷちの狭小地に挑む!鑑定人VS目撃者不在ひき逃げ事件)(2026年7月16日放送)』では、57坪の土地でありながら、建築に使える範囲が実質17坪ほどになる難しい家づくりが取り上げられます。
崖沿いの土地では、建物の安全を守るための制限が重なり、見た目の広さと建てられる家の大きさに大きな差が出ることがあります。
この記事でわかること
- 57坪が実質17坪になる理由
- 崖条例で制限される範囲
- 高さ制限が家づくりに与える影響
- 崖沿いの土地を買う前の確認点
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57坪なのに実質17坪になるのは崖の近くに建てられないため
最も気になるのは、57坪もある土地が、なぜ実質17坪ほどになってしまうのかという点です。
土地そのものが17坪へ縮むわけではありません。
崖崩れによる被害を避けるため、崖の近くに建物を配置できなかったり、建築するために安全対策が必要になったりすることで、実際に家を置ける範囲が狭くなるのです。
崖の上や下にある土地では、自治体の条例によって、崖から建物まで一定の距離を空けることを求められる場合があります。
さらに、敷地の一部が斜面になっていたり、擁壁や進入路、駐車場所を確保したりすると、建物に使える平らな部分はさらに限られます。
57坪と17坪の差が大きいため、初めて知ると少し驚きます。
ただし、土地の広告に書かれた面積は、必ずしも「家を自由に建てられる面積」を表しているわけではありません。
土地を選ぶ際は、面積の数字だけでなく、敷地の形、高低差、崖との位置関係まで確認する必要があります。
崖条例は家と住む人を土砂災害から守るための決まり
一般に「崖条例」と呼ばれているものは、崖崩れによって建物や住む人が被害を受けるのを防ぐため、自治体が定めている建築上のルールです。
全国共通で「崖条例」という名前の法律が1つあるわけではありません。
建築基準法をもとに、都道府県や市区町村が地域の地形や状況に合わせて、崖の高さや傾斜、建物との距離、安全対策などを定めています。
そのため、ある地域で建てられた家と同じ方法が、別の地域でも認められるとは限りません。
たとえば東京都では、高さが2メートルを超え、一定以上の傾斜がある崖の近くに建物を建てる場合、安全性を確保するための具体的な規制があります。
崖の下端から崖の高さの2倍以内が、原則として制限を受ける範囲になる例も示されています。
崖の高さが5メートルなら、崖の下端から水平距離で10メートルほどの範囲が関係する可能性があるという考え方です。
ただし、これは東京都の例であり、実際の条件は土地の所在地や崖の状態、安全な擁壁の有無などによって変わります。
「崖から離せば終わり」という単純な話ではないところが、崖沿いの家づくりの難しさです。
崖の近くでも必ず家を建てられないわけではない
崖の近くにある土地だからといって、必ず建築できないわけではありません。
崖や既存の擁壁が安全であると確認できる場合や、建物を崖から十分に離せる場合、建物の構造を強くする場合など、条件に応じた方法が検討されます。
主な考え方には、次のようなものがあります。
- 崖から建物を十分に離す
- 安全性を満たす擁壁を設ける
- 崖や擁壁の安全性を専門家が確認する
- 建物の基礎や主要構造部を強くする
- 土砂が建物へ達しにくい配置や構造にする
- 雨水が斜面へ流れ込みにくい排水計画を立てる
東京都の条例でも、崖や既存の擁壁に構造上の問題がない場合や、崖の崩壊に対して安全な距離を確保した場合などが示されています。
擁壁には水抜き穴や透水層を設け、雨水を適切に排出するための措置も求められます。
たしかに、丈夫な壁を造れば大丈夫だと思いやすいところです。
しかし、擁壁は土を支えるだけでなく、背後にたまる水を外へ逃がす役割も重要です。
雨水が適切に排出されず、擁壁の裏側に水圧がかかると、安全性に影響する可能性があります。
個人的には、家の間取りより先に、斜面と擁壁の安全性を確認することがいちばん大事だと感じます。
擁壁があるだけでは安全と判断できない
土地の周囲にコンクリートの擁壁があれば、すでに安全対策が済んでいるように見えます。
しかし、擁壁が存在することと、現在の基準に合った安全な擁壁であることは別です。
確認したいのは、次のような点です。
| 確認するもの | 見るポイント |
|---|---|
| 擁壁の種類 | 鉄筋コンクリート造など、どのような構造か |
| 建築時期 | いつ造られたものか |
| 許可や検査の記録 | 行政の許可や検査済証があるか |
| 表面の状態 | ひび割れ、傾き、膨らみがないか |
| 排水設備 | 水抜き穴が詰まっていないか |
| 補修履歴 | 過去にどのような工事をしたか |
古い住宅地では、擁壁が造られた時期や工事内容を確認できる書類が残っていない場合もあります。
見た目がきれいでも、地中の基礎や鉄筋の状態までは外から確認できません。
反対に、表面に多少の汚れや変色があっても、すぐ危険と決まるわけではありません。
実際に選ぶなら、自己判断ではなく、建築士や構造の専門家、自治体の建築担当窓口に確認したいところです。
高さ制限があると上へ広げる方法も使いにくい
17坪ほどの範囲に家を建てる場合、一般的には2階や3階を利用して床面積を確保する方法が考えられます。
しかし、今回の土地では、崖に関する制限だけでなく、建物の高さに関する制限も課題になっています。
建物の高さは、好きなだけ高くできるわけではありません。
地域によっては、用途地域や高度地区、道路斜線、隣地斜線、北側斜線などによって、建物の高さや形が制限されます。
これらは、周辺の日当たりや風通し、街並みを守るための決まりです。
土地が狭いときは上へ床を増やしたくなりますが、高さ制限が厳しければ、単純な3階建てでは収まらない場合があります。
屋根の一部を低くしたり、建物を斜めに削るような形にしたり、階ごとの天井高を調整したりする必要が出ることもあります。
崖から離れるため横方向へ広げられず、高さ制限によって縦方向にも伸ばしにくいとなれば、難しい条件だと感じるのも当然です。
実質17坪でも床面積が17坪になるとは限らない
「建築に使える範囲が17坪」と聞くと、完成する家の広さも17坪だと思うかもしれません。
しかし、敷地として使える範囲と、家全体の延べ床面積は同じではありません。
1階部分が17坪より小さくても、2階を設けられれば、複数階を合わせた床面積を増やせる可能性があります。
ただし、敷地いっぱいに建物を建てられるわけではありません。
実際の大きさには、主に次の条件が関係します。
- 建ぺい率
- 容積率
- 道路との接し方
- 建物の高さ制限
- 防火上の規制
- 崖から必要な距離
- 駐車場や通路の確保
- 建物の形や構造
建ぺい率は、敷地面積に対して建物を真上から見た面積をどれくらいまで使えるかを示す割合です。
容積率は、敷地面積に対して、各階を合計した床面積をどれくらいまで確保できるかを示します。
たとえば建築に利用できる土地が17坪あっても、建ぺい率が60%なら、単純計算では建物を真上から見た面積は約10.2坪が上限の目安になります。
ただし、実際の計算では元の敷地面積や法令上の敷地の扱い、道路条件などが関係するため、「17坪に60%を掛ければ確定」とはいえません。
この点は誤解しやすいため、土地ごとの資料を使って確認する必要があります。
広く感じる家は部屋の数より空間のつながりが重要
床面積を大きく増やせない家では、限られた空間をどう分けるかが重要になります。
部屋数を増やすために壁や廊下を多くすると、1つずつの空間が細かくなり、実際の数字以上に狭く感じることがあります。
反対に、リビング、ダイニング、キッチンをつなげたり、視線が奥まで抜ける配置にしたりすると、同じ床面積でも開放感を得やすくなります。
狭い敷地で検討される主な工夫には、次のようなものがあります。
廊下を少なくする
廊下だけに使う面積を減らし、リビングや階段の一部に通路の役割を持たせます。
リビングを上階に置く
周囲の建物や崖の位置によっては、2階にリビングを設けた方が、光や眺望を確保しやすくなります。
間仕切りを必要な場所だけにする
引き戸や可動式の仕切りを使えば、普段は広く使い、必要なときだけ空間を分けられます。
階段下や壁面を収納に使う
独立した収納室を増やさず、使いにくい部分へ収納をまとめる方法です。
窓の位置を工夫する
大きな窓を付けるだけでなく、隣家からの視線や日差しを考えながら、高窓や地窓を使う方法もあります。
天井の高さに変化をつける
すべてを高くするのではなく、リビングなど一部の天井を高くすると、限られた面積でも広さを感じやすくなります。
ただし、どの方法が使えるかは、高さ制限や構造、家族構成によって変わります。
狭小住宅では、おしゃれな見た目だけでなく、洗濯、収納、着替え、帰宅後の動きまで想像して決めることが大切です。
崖側の眺望だけで土地を選ぶと後悔する可能性がある
崖沿いの土地には、周囲に建物が少なく、眺めや日当たりがよいという魅力があります。
道路から土地を見ると開放的で、一般的な住宅地にはない特別感を持つこともあります。
一方で、土地の価格だけでは判断できない費用や不便さが発生する可能性があります。
たとえば、次のようなものです。
- 擁壁の新設や造り直し
- 地盤調査や地盤改良
- 深い基礎や特殊な基礎
- 土砂を運び出す費用
- 大型重機を入れるための費用
- 排水設備の整備
- 崖や擁壁の定期的な点検
- 建築設計や構造計算の追加費用
土地価格が周辺より安く見えても、家を完成させるまでの総額では高くなることがあります。
また、工事車両が入りにくい場所では、資材の搬入に手間がかかり、工期や費用へ影響する場合もあります。
たしかに眺めのよい土地には魅力を感じます。
ただ、毎日の暮らしを考えると、景色だけでなく、雨の日の排水や階段の上り下り、車の出し入れなども確認したいところです。
土砂災害警戒区域と崖条例は同じものではない
崖沿いの土地を調べる際に、「土砂災害警戒区域」という言葉を目にすることがあります。
崖条例と土砂災害警戒区域は関係がありますが、同じものではありません。
崖条例は、崖の近くに建物を建てる際の位置や構造、安全対策などに関係する地域ごとの建築ルールです。
一方、土砂災害警戒区域は、急傾斜地の崩壊、土石流、地滑りなどによって、住民の生命や身体に危害が及ぶおそれがある区域として指定されます。
土砂災害警戒区域の中でも、建物が壊れ、住民に大きな危害が及ぶおそれがある範囲は、土砂災害特別警戒区域に指定されることがあります。
また、急傾斜地崩壊危険区域に指定された土地では、切土、掘削、盛土など、崩壊を助長するおそれのある行為に許可が必要になる場合があります。
区域に入っていなければ、絶対に土砂災害が起きないという意味でもありません。
土地を検討するときは、自治体が公開しているハザードマップに加え、国のハザードマップポータルサイトでも、周辺の災害リスクを確認できます。
土地を購入する前に確認したい10項目
崖や大きな高低差がある土地を検討するときは、不動産会社の説明だけでなく、建築を依頼する会社にも早めに相談することが大切です。
購入を決める前に、次の項目を確認しておくと判断しやすくなります。
- 希望する家を配置できる範囲
土地のどの部分に、何坪ほどの建物を置けるのか確認します。
- 崖条例の対象になるか
崖の高さ、傾斜、建物までの距離をもとに、自治体の担当窓口へ確認します。
- 擁壁の安全性を示す書類があるか
許可書、検査済証、設計図、工事記録などの有無を確認します。
- 土砂災害に関する区域指定
土砂災害警戒区域や特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域などを確認します。
- 建ぺい率と容積率
建物の1階部分と、家全体の床面積をどこまで確保できるか確認します。
- 高さや屋根形状の制限
希望する階数や天井高が実現できるか確かめます。
- 道路との接し方
接道する長さや道路の幅、セットバックの必要性を確認します。
- 工事車両が入れるか
クレーン車や資材運搬車が入れないと、工事方法や費用が変わる可能性があります。
- 雨水の流れと排水先
大雨のときに、斜面や敷地内へ水が集中しないか確認します。
- 土地と建物を合わせた総費用
擁壁、造成、基礎、地盤改良、設計費などを含めて見積もります。
土地を先に契約し、後から建築会社を探すと、「希望する家が建たない」「想定外の工事費が必要になった」という問題が起こりかねません。
購入前に土地資料を建築士へ見せ、建物の配置案と概算費用を確認しておくと安心です。
17坪という数字より安全に使える範囲を見ることが大切
今回のような土地で重要なのは、「57坪もある」「17坪しか使えない」という数字だけではありません。
なぜ使えない場所があるのか、安全対策をすれば条件が変わるのか、希望する暮らしを実現できるのかを順番に確認することが大切です。
崖に近い土地では、建物の形や間取りを工夫する前に、崖、地盤、擁壁、排水の安全性を確かめる必要があります。
そのうえで、限られた範囲の中に必要な部屋、収納、家事動線、採光をどう収めるかを考えていきます。
広い土地が必ず建てやすいとは限らず、狭く見える土地でも条件を整理すれば可能性が見えてくることがあります。
個人的には、土地の面積よりも、安全に建てられる範囲と追加費用を契約前に見える形にすることが、失敗を避ける一番のポイントだと感じます。
参考リンク
- 日本テレビ「THE突破ファイル」公式サイト
- 東京都「東京都建築安全条例」
- 東京都北区「建築敷地周辺に高低差がある場合」
- 国土交通省「急傾斜地崩壊危険区域の解説」
- 国土交通省「災害危険区域制度」
- 国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
- 千葉県「わが家を建てるための法律知識・がけについて」
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