琵琶湖はなぜ日本一であり続けるのか
このページでは『ブラタモリ(2026年1月17日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
旅の舞台は琵琶湖。日本一大きな湖という事実の裏には、気の遠くなるような時間と、大地そのものの動きが深く関わっていました。
湖は本来、土砂に埋もれて消えていく運命にあります。それでも琵琶湖が姿を保ち、さらに広がってきた理由は何なのか。
クルーズの視点から、古代湖の誕生、断層の力、北湖を生んだ地形の秘密までを、地図と地形を読み解くようにたどっていきます。
琵琶湖クルーズの出発点と旅のお題
旅の舞台は滋賀県に広がる琵琶湖です。湖の形が楽器の「琵琶」に似ていることから名付けられ、日本一大きな湖として知られています。東京23区とほぼ同じ広さを持つこの湖は、ただ大きいだけでなく、日本の自然史を語るうえで欠かせない存在です。
今回の旅では、琵琶湖を景色として楽しむだけでは終わりません。「なぜ日本一の湖であり続けられるのか」という旅のお題をもとに、湖の成り立ちを地形や大地の動きから読み解いていきます。東と西でまったく異なる地形の性格、湖に浮かぶ小さな岩の意味など、普段は見過ごしてしまう要素が次々とつながっていきます。
さらに、学習船うみのこを中心とした取り組みも紹介されます。これは滋賀県立びわ湖フローティングスクールが運営するもので、県内の小学5年生が実際に湖に出て、琵琶湖の自然や歴史を体感的に学ぶ仕組みです。湖そのものが「学びの場」になっている点も、琵琶湖の大きな特徴です。
琵琶湖は約400万年の古代湖で、場所を変えながら育った
琵琶湖は約400万年の歴史を持つ「古代湖」と呼ばれ、世界的に見ても非常に珍しい存在です。多くの湖が数万年から数十万年で姿を変える中、これほど長い時間を生き延びてきた湖は限られています。
重要なのは、琵琶湖が最初から今の場所にあったわけではないという点です。湖は時代ごとに位置を変えながら成長してきました。かつては現在とは異なる場所に小さな湖が存在し、そこから徐々に移動し、形を変え、今の姿へと近づいてきたと考えられています。
この「移動してきた湖」という視点で見ると、伊賀周辺に始まったとされる初期の湖も、現在の巨大な琵琶湖につながる重要な一段階だったことが分かります。長い時間をかけて積み重なった変化の結果が、今私たちの前に広がる琵琶湖なのです。
東は土砂で埋まりやすいのに、消えない理由は西側の“動き”にある
湖が長く存在し続けるうえで最大の敵は、川が運ぶ土砂です。東側には多くの河川が流れ込み、土砂がたまりやすい平地が広がっています。本来であれば、湖は次第に浅くなり、やがて消えてしまう運命にあります。
それでも琵琶湖が埋まらずに残ってきた理由として注目されるのが、琵琶湖西岸断層帯です。湖の西側には山地が連なり、大地の動きによって地形の高低差が保たれてきました。これにより、東から土砂が流れ込んでも、湖全体が均一に埋まることを防いできたと考えられます。
番組では、「東からの土砂」と「西側の地形変動」という二つの力のバランスが、琵琶湖という巨大な器を維持してきた構図が示されます。日本一であり続ける理由は、偶然や規模の問題ではなく、大地の構造そのものにあったことがはっきりと見えてきます。
北湖を大きくした鍵は「沖の白石」という“山の名残”
琵琶湖の中でも特に広大なのが北湖です。その成り立ちを考えるうえで欠かせない存在が、湖の中央付近にある沖の白石です。一見すると小さな岩の集まりにしか見えませんが、湖では島として扱われています。
沖の白石は、水深の深い場所から突き出した岩で、周囲が常に水に覆われています。この特徴から、かつてここに大きな地形、つまり山や高まりが存在していた可能性が示唆されます。湖が広がる過程で、その一部だけが水面上に残った姿と考えると、位置や形にも納得がいきます。
この視点に立つと、北湖が大きい理由は単純に水量が多いからではありません。もともと深く広い谷状の地形があり、そこへ水が入り込んだ結果として、現在の巨大な湖面が生まれたと理解できます。沖の白石は、その過去を静かに伝える手がかりなのです。
南湖から北湖へ広がった仕組みと、湖底に残る地形の考え方
琵琶湖の成長を時間軸で見ると、まず現在の南湖付近が安定し、その後に北湖へと水域が広がっていった流れが見えてきます。湖は一気に今の大きさになったのではなく、段階的に拡大してきました。
南側で湖が落ち着いたあと、北側に広がる大きな地形へ水が入り込み、現在の北湖が形成されたと考えると、湖の形の違いも説明しやすくなります。南湖は浅く、北湖は深く広いという特徴は、この成り立ちと深く関係しています。
また、琵琶湖が東京23区とほぼ同じ面積だと紹介される理由も、規模感を実感しやすくするためです。数字で見ると、その広さがいかに特別かが分かり、地形の話がより現実的に感じられます。
琵琶湖は今も変化中で、将来“湖ではなくなる”可能性もある
琵琶湖は完成した存在ではありません。約400万年にわたって形を変え続けてきたように、今も大地の動きの影響を受けています。湖は静かに見えても、その下では長い時間をかけた変化が続いています。
番組では、琵琶湖が今後さらに広がり、いずれ日本海とつながる可能性にも触れられます。もしそうなれば、琵琶湖は「湖」という存在そのものを超えた姿になるかもしれません。
つまり、琵琶湖が日本一であり続ける理由は、単なる大きさではなく、変化を受け入れながら形を保ってきた点にあります。断層の動き、土砂の供給、地形の沈降と隆起。それらが同時に働くことで、琵琶湖は今も生き続けているのです。
NHK【時をかけるテレビ】琵琶湖の自然と人が織りなす映像詩「里山 命めぐる水辺」|室内生簀・ヨシ焼き・川端の記憶
琵琶湖の生態系(固有種)について紹介します

琵琶湖には、とても長い歴史の中で生まれた特別な生き物が多く暮らしています。古代から続く大きな湖だからこそ、ここだけで進化した生き物がたくさん残っているのです。固有種は湖の自然を支える大切な存在で、今の琵琶湖を形づくる主役でもあります。ここでは、その代表的な生き物を紹介します。
ビワマスという特別な魚
ビワマスは琵琶湖だけに生きるサケの仲間です。湖の深い場所でくらし、透明できれいな水を好みます。成長すると体が銀色に光り、季節ごとに移動しながら一生を過ごします。古くから地域の食文化ともつながり、魚としての価値だけでなく、湖の環境を示す大切な指標にもなっています。生きる場所を自分で選ぶように湖の深いところや川を行き来して暮らし、古代湖ならではの環境で守られてきました。
ニゴロブナとホンモロコの役わり
ニゴロブナやホンモロコも琵琶湖の固有種です。ニゴロブナは丸い体でゆっくり泳ぎ、湖の浅い場所に多く、春には集まって産卵します。地域では食文化にも深く関わっています。ホンモロコは小さな魚で、群れで泳ぐことが多く、湖のまわりの生き物たちのえさにもなっています。どちらも湖の食物連鎖を支える重要な存在で、数が減ると湖全体のバランスがくずれてしまいます。固有種の中でも特に湖の健康を守る役わりが強い魚です。
ビワコオオナマズが守る深い世界
ビワコオオナマズは、琵琶湖を象徴する大きな固有種です。とても深い場所にもぐってくらし、大きな体で湖底の環境を保つ力を持っています。ほかの生き物が増えすぎないようにえさとして取り入れることで、生態系のバランスを整える役わりもあります。大きなくらいの魚ですが、湖に合わせてゆっくり成長し、長い時間をかけてこの湖ならではの姿になりました。深いところで生きられるのも、古代湖である琵琶湖の特徴をよく表しています。
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