「杉本節子の“冬の終わり”のベジごはん」とは?
きょうの料理のこの回では、料理研究家の杉本節子さんが、「冬の終わり」をテーマにしたベジごはんを紹介します。寒さで甘みが増した冬野菜と、春の訪れを感じる春野菜。その両方を一つの食卓に並べて、「冬から春へ」という季節の流れを味わえるレシピが並びます。
メインとなるのは、やわらかく甘い旬の大根に肉みそを合わせた「焼き大根の豚こま肉みそ」、ねぎをたっぷり使った「ねぎたっぷり!鶏むね肉の酒蒸し」、そして、春らしい彩りの「キャベツとスナップえんどうのマスタードドレッシング」など。どれも難しいテクニックは必要なく、家庭の台所で作りやすいラインナップです。
冬から春へ移り変わる「ベジごはん」のテーマ
今回の放送全体をつなぐキーワードは、冬から春へという季節の橋渡しです。
冬野菜×春野菜の組み合わせ
メニューに並ぶ三つの料理は、はっきりと役割が分かれています。
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「焼き大根の豚こま肉みそ」…冬大根の甘さを生かした主菜
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「ねぎたっぷり!鶏むね肉の酒蒸し」…ねぎの香りを楽しむたんぱく質おかず
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「キャベツとスナップえんどうのマスタードドレッシング」…春らしい色合いのサラダ
冬大根や長ねぎといった“冬の顔ぶれ”に、キャベツやスナップえんどうなど、春の気配を感じる野菜を合わせることで、食卓の見た目も、味わいも季節の変化がはっきりと出る構成になっています。
冬の時期に収穫される大根やキャベツなどの冬野菜は、寒さにさらされることでデンプンが糖に変わり、甘みが増すことが知られています。畑の中で自然に“低温熟成”されているイメージです。こうした性質があるからこそ、焼いたり蒸したりするシンプルな調理でも、素材そのものの甘さがしっかり感じられるのです。
焼き大根の豚こま肉みそ|甘い大根にコクを重ねる満足のおかず
紹介します。こちらは大根のやわらかな甘さをしっかり引き出しながら、豚こま肉の旨みを重ねていく一品です。番組で紹介された流れに沿って、全体の工程がよりイメージしやすくなるよう、材料の扱い方や仕上がりの様子を具体的に補ってまとめます。
下ごしらえで大根の甘さを引き出す
大根は2cmの厚さに切ってから、片面に十文字の隠し包丁を入れます。これによって熱が入りやすくなり、ゆでたあとに中までしっかりと味がしみやすくなります。水菜は彩りと食感のために短く切って準備します。
豚こま肉は下味を先につけることで、加熱したときにやわらかさと風味が出ます。酒と塩、こしょうをなじませ、片栗粉を全体に薄くまとわせることで、焼いたときに表面がなめらかになり、調味料をしっかり抱えてくれます。
大根をゆでてから焼くことで食感を仕上げる
大根は塩と顆粒チキンスープの素を入れた湯でしっかり下ゆでします。竹串がすっと入るくらいまで火を通すと、大根特有のじんわりした甘さが出てきます。ゆで汁の一部はソースに使うために取っておきます。
粗熱が取れたら水けを軽くふき、フライパンで両面を焼きます。表面に香ばしい焼き色がつくと、大根の内部のやわらかさと外側の香ばしさが合わさり、食べごたえのある仕上がりになります。
肉みそを煮詰めて大根に合う濃さにまとめる
フライパンに油を足して豚こま肉を炒め、色が変わってきたところでにんにくとしょうがを加えて香りを広げます。ここで合わせ調味料Aを加えると、みその甘辛い香りが一気に立ち上がります。照りが出るまで煮詰めることで、大根の上にのせたときに流れすぎず、ほどよくまとまる濃さになります。
仕上げは、大根の上に肉みそをたっぷりとかけ、水菜を添えて軽さを加えます。やわらかい大根に濃厚な肉みそが重なり、箸が止まらないおかずになります。
材料(2~3人分)
・大根 8〜10cm(400g)
・豚こま切れ肉 160g
・水菜 40g
・にんにく(薄切り) 2かけ分
・しょうが(皮ごと薄切り)10g
・顆粒チキンスープの素(中華風)小さじ1/2
・酒・塩・こしょう・片栗粉・サラダ油
A
・みそ 大さじ2(34g)
・みりん 大さじ1
・砂糖 大さじ1
・大根のゆで汁 カップ1/4
作り方
・大根は輪切りにし十文字の切り込みを入れる。水菜を切る
・豚肉に酒・塩・こしょうを加え、片栗粉をまぶす
・大根をチキンスープ入りの湯でゆで、ゆで汁を取っておく
・大根を焼いて器に盛る
・豚肉を炒め、にんにくとしょうがを加えて香りを出す
・Aを加えて煮詰め、大根にかけ、水菜を添える
ねぎたっぷり!鶏むね肉の酒蒸し|しっとり肉と香りねぎが合わさる一皿
紹介します。こちらはやわらかい鶏むね肉に、九条ねぎの香りと甘酢しょうゆの酸味が重なっていく酒蒸しです。番組の内容をもとに、工程の流れや仕上がりの様子がより立体的に伝わるよう、具体的な描写を加えてまとめます。
鶏むね肉をしっとり仕上げる下ごしらえ
鶏むね肉は1.5cmほどの厚みで一口大に切り、塩とこしょうで下味をつけます。ここに酒を加えることで、肉の繊維がほぐれ、加熱したときでもしっとりしやすくなります。片栗粉をまぶしておくと、焼いたときに表面がなめらかになり、甘酢しょうゆがしっかりからむようになります。
九条ねぎの切り方で生まれる香りと食感
九条ねぎは、白い部分を小口切りに、青い部分は縦に切り込みを入れて斜め切りにします。斜め切りにしたねぎの半量を水にさらすと、辛みが抜けてやさしい香りになり、口当たりも軽くなります。残りのねぎは甘酢しょうゆと合わせておくことで、ねぎの青い香りが調味料になじみ、鶏肉と合わせたときに味に深みが生まれます。
Aの調味料には、市販のしょうがの甘酢漬けと漬け汁が入り、酸味と甘みのバランスがとれたやさしい味わいになります。
酒蒸しでふっくらした鶏肉に仕上げる
フライパンで鶏肉を焼き、両面の色が変わったら酒を加えてふたをします。短い時間でも蒸気によって中まで熱が入り、鶏むね肉がふんわりとした食感になります。
蒸し焼きにした鶏肉を、ねぎと調味料を合わせたボウルに加えると、温かさで調味料がやわらかくなり、全体が一体感のある味になります。仕上げに残しておいた九条ねぎをのせると、香りの強弱がついて、最後までねぎの風味を楽しめます。
材料(2人分)
・鶏むね肉 1枚(270g)
・九条ねぎ(または青ねぎ)1本(40g)
A
・しょうがの甘酢漬け(市販・一口大)30g
・しょうが甘酢漬けの漬け汁 大さじ1+1/2
・薄口しょうゆ 小さじ2/3
・顆粒チキンスープの素(中華風)小さじ1/2
・塩 小さじ1/3
・こしょう 適量
・酒 大さじ3
・片栗粉 大さじ3
・サラダ油 大さじ2
作り方
・鶏肉を一口大に切り、塩・こしょう・酒をもみ込み、片栗粉をまぶす
・九条ねぎの白い部分を小口切り、青い部分を斜め切りにし、半量は水にさらす
・残りのねぎをAの調味料と合わせておく
・フライパンで鶏肉を焼き、酒を加えて蒸し焼きにする
・鶏肉をねぎと調味料のボウルに加えてあえ、残りのねぎをのせて仕上げる
キャベツとスナップえんどうのマスタードドレッシング|春野菜を香りよく味わえる一皿
紹介します。こちらは春らしいキャベツとスナップえんどうを主役にし、香りのよいマスタードドレッシングでまとめる副菜です。番組で紹介された内容をもとに、工程がより伝わるように具体的な描写を加えながらまとめます。仕上げにカリッと炒めた油揚げがのることで、食感にリズムが生まれ、季節の野菜がさらにおいしく感じられます。
野菜の歯ざわりを生かす下ごしらえ
キャベツは細いせん切りにし、ラディッシュは薄切りにします。どちらも冷たい水にさらしてからしっかり水けを切ると、シャキッとした歯ざわりになり、春野菜らしい軽さが出ます。
スナップえんどうは筋を取り、塩を加えた熱湯でゆでます。ゆでたあとに水にさらすことで色が明るくなり、口に入れたときの“ポリッ”とした食感が残ります。さやと豆を分け、さやは食べやすい大きさに切ります。
カリカリ油揚げで食感をプラスする
油揚げは余分な油を紙タオルでふき取り、8cm角に切ってから炒めます。弱めの中火でじっくり加熱すると、表面がきつね色に変わり、カリッとした軽い食感に仕上がります。炒めたあとに塩をふることで、味にメリハリがつき、野菜との相性も良くなります。京都風の大判油揚げが使われており、厚みがあるためクルトンのように食感のアクセントになります。
マスタードドレッシングで野菜の甘みをまとめる
ドレッシングは、マヨネーズをベースに粒マスタードと米酢を合わせ、香りと酸味を加えます。そこにトマトケチャップを少量入れることでコクとやさしい甘みが生まれ、キャベツやスナップえんどうとよく合います。全体をしっかり混ぜ合わせると、ほんのり黄色いツヤのあるドレッシングになります。
仕上げは、器に野菜を広げるように盛り、炒めた油揚げをのせ、食べる直前にドレッシングを全体にかけます。さっぱりとした味わいの中にコクのある油揚げが加わり、満足感のある副菜に仕上がります。
材料(2人分)
・キャベツ 150g
・ラディッシュ 2コ
・スナップえんどう 6本(30g)
・油揚げ 120g
・サラダ油 大さじ3
・塩 適量
ドレッシング
・マヨネーズ 大さじ3
・粒マスタード 大さじ1
・米酢 大さじ1
・トマトケチャップ 小さじ2
・塩 2つまみ
作り方
・キャベツをせん切り、ラディッシュは薄切りにして水にさらす
・スナップえんどうをゆでて冷やし、豆とさやに分けて切る
・油揚げを角切りにし、油でカリッと炒めて塩をふる
・ドレッシングの材料をすべて混ぜる
・器に野菜と油揚げを盛り、食べるときにドレッシングをかける
冬野菜と春野菜をおいしく食べるコツと選び方
番組のレシピをよりおいしく作るために、冬野菜と春野菜を選ぶときのポイントも簡単に押さえておきます。
冬大根・ねぎの選び方
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大根は、ずっしり重く、表面にハリとツヤがあるものを
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葉付きなら、葉がシャキッとしているものを選ぶと新鮮な証拠
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ねぎは、白い部分が真っすぐで、緑の部分がしなびていないものを
これらを選ぶと、焼いても煮ても甘みが出やすく、今回のようなシンプルな料理でもおいしく仕上がりやすくなります。
キャベツ・スナップえんどうの選び方
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キャベツは、春キャベツならふんわり軽く、葉の巻きがゆるいものが柔らかい
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スナップえんどうは、さやがふっくらしていて、表面にシワがないものを
こうした基本を押さえておくと、「なんだか同じレシピなのに味が違う…」という悩みも少し減ります。レシピだけでなく、野菜そのものを見る目が育つのも、ベジごはんの楽しさの一つです。
NHK【きょうの料理】杉本節子さん直伝!高野豆腐の肉詰めや菜の花の煮物など春の絶品おばんざい3品|2025年3月26日放送
杉本節子さんの人物紹介|京料理を受け継ぐ料理研究家
こちらでは、料理研究家として番組にも登場した杉本節子さんについて、確かな事実だけをもとに、番組記事に書き添えられる形で丁寧にまとめます。京都の食文化を背負ってきた方で、その歩みや考え方を知ると、今回の“冬の終わり”のベジごはんがより深く感じられます。
経歴と歩み
杉本節子さんは京都市で生まれ育ち、京都文教短期大学の家政学部で食の基礎を学びました。その後、大阪あべの辻調理師専門学校で専門的な料理を学び、卒業後はフランス料理の研究家に師事しています。料理の勉強を続けながら、フランス料理情報誌の編集に携わった経験もあり、食材を見つめる視点の幅が広がりました。さらに、食品メーカーでのメニュー開発や料理ライターとしての活動を通して、家庭料理から専門料理まで、食に関わるさまざまな仕事を積み重ねてきました。
実績と活動の特徴
杉本節子さんの活動の中心には、伝統的な京の暮らしと食文化があります。生家である重要文化財・杉本家住宅に伝わる昔ながらの知恵や、京都の家庭で大切にされてきた“おばんざい”の文化を守りながら、その魅力を現代の暮らしに合わせて伝える取り組みを続けています。無駄なく食材を使い切る工夫や、旬の野菜を使ったシンプルで味わい深い家庭料理は、多くの人に支持されています。テレビ出演などを通じて、四季の移ろいを感じながら毎日の料理を楽しむことの大切さを届けている点も特徴です。
代表作と受賞歴
代表作のひとつに、京都の家庭料理である“おばんざい”をまとめた『京町家・杉本家の味 京のおばんざいレシピ』があります。家庭でも作りやすいレシピとともに、京都の食文化や暮らしの背景が丁寧に紹介されており、読者が料理と文化の両方を味わえる内容です。さらに、地域の食文化への貢献が評価され、平成21年に京都府あけぼの賞を受賞しています。京都で育まれた食の知恵を未来へつなぐ、確かな実績を持つ料理研究家です。
代表作の紹介
杉本節子さんの代表作『京町家・杉本家の味 京のおばんざいレシピ』では、季節ごとのおばんざいが具体的な手順で紹介されており、京都の家庭の食卓をそのままのぞくような一冊です。食材の扱い方や味付けの考え方など、京都で受け継がれてきた知恵が詰まっていて、日々の料理に取り入れやすい内容になっています。
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