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コンパクトテストハウスは7.5坪で暮らせる?間取りや建築費、夫婦2人に向くかを調査【住人十色で紹介】

暮らし・住まい

7.5坪の小さな家が問いかける新しい暮らし方

広い家ほど暮らしやすいとは限りません。掃除や修繕の負担、光熱費、老後の移動を考えると、必要な機能を小さな空間にまとめる選択にも魅力があります。コンパクトテストハウスは、延床面積約7.5坪の中で、快適性や災害への備え、将来の暮らし方を検証する実験住宅です。『住人十色~家の数だけある 家族のカタチ~(2026年8月8日)』でも取り上げられ、注目されています。

この記事でわかること

・コンパクトテストハウスの特徴
・7.5坪の広さと生活動線
・独立基礎や二重屋根の役割
・小さな家を建てる前の注意点

コンパクトテストハウスとは?7.5坪に込められた考え方

コンパクトテストハウスとは、愛知県丹羽郡大口町のミヤタ建築事務所が設計・施工した、延床面積約7.5坪の小さな木造平屋です。

単に床面積を小さくした住宅ではありません。

少子高齢化や気候変動、地震、洪水など、これからの住まいが抱える課題に対し、小さな木造住宅で何ができるのかを試すために計画されています。

基本情報は次のとおりです。

・名称:コンパクトテストハウス
・作品名:柔らかな間合い
・所在地:愛知県丹羽郡大口町
・設計・施工:ミヤタ建築事務所株式会社
・設計者:宮田智治さん
・用途:一戸建て住宅
・構造:木造
・階数:地上1階
・延床面積:約7.5坪、24.84平方メートル
・主な特徴:短尺材、RC独立基礎、二重屋根、床下開放、ツインカーボネート、セルロースファイバー
・受賞歴:すまいる愛知住宅賞、中部建築賞

7.5坪は、畳数に単純換算すると約15畳分です。ただし、実際の住宅では壁や設備スペースも必要になるため、15畳のワンルームをそのまま想像すると広く見積もりすぎてしまいます。

それでも、キッチンや水回りを含む生活空間として成立させている点は、初めて知ると少し驚きます。

この家で大切にされているのは、部屋数を増やすことではなく、限られた面積をどう使い切るかという考え方です。

また、コンパクトテストハウスを含む作品「柔らかな間合い」では、築100年を超える母屋を残しながら、その周囲に小さな住宅が配置されています。

家族構成や生活の変化に合わせ、建物同士の距離や使い方を調整できる余地を残していることも特徴です。完成した瞬間の便利さだけでなく、数十年後の変化まで考えた住宅といえます。

7.5坪の家には何がある?間取りと生活動線を確認

コンパクトテストハウスには、日常生活に必要な機能が小さな平屋の中にまとめられています。

ただし、公式に公開されている情報では、各部屋の広さや収納量、キッチン、浴室、トイレの正確な配置を読み取れる詳細な間取り図までは確認できません。

そのため、「1LDKである」「夫婦2人用に設計されている」などと断定することはできません。

公表されている写真や説明から分かるのは、細かく部屋を区切るのではなく、視線や光が室内を通りやすい、シンプルな一室空間を生かした住まいだということです。

小さな家では、廊下を長く設けると、それだけで生活に使える面積が減ってしまいます。

そこで重要になるのが、次のような設計です。

・移動するだけの廊下をできるだけ減らす
・キッチンや水回りを近づける
・家具に複数の役割を持たせる
・視線が奥まで抜けるようにする
・窓や天窓から光を取り込む
・扉や間仕切りを必要以上に増やさない

コンパクトテストハウスでは、高齢になっても暮らしやすいシンプルな動線も意識されています。

平屋なので階段の上り下りがなく、日常的な移動距離も短くできます。洗濯、料理、掃除などの動きが小さな範囲で完結すれば、体力が落ちてからも負担を抑えやすいでしょう。

個人的には、小さな家を見るときは、見た目の開放感よりも「毎日の動作が無理なく続けられるか」を重視したいと感じます。

写真では広く見えても、収納が不足して荷物が床にあふれれば、通路が狭くなり暮らしにくくなります。実際に同じような家を検討する場合は、間取りだけでなく、現在持っている家具や家電、衣類が収まるかまで確認することが大切です。

短尺材と小さな木造架構は何が違う?

コンパクトテストハウスでは、短尺材を活用した木造架構が採用されています。

短尺材とは、一般的には長さを抑えた木材のことです。長く大きな木材だけに頼らず、入手しやすい寸法の木材を組み合わせることで、施工や運搬の負担を抑えられる可能性があります。

中部建築賞の講評では、この住宅がBIM設計とプレカット加工を活用し、工数の削減と品質の均一化を目指した建物であることも紹介されています。

BIMは、建物の形や部材、設備などの情報をコンピューター上で立体的に管理する設計方法です。

施工前に部材同士の納まりを確認しやすく、必要な材料を整理できるため、小さな住宅との相性がよい方法と考えられます。

ただし、短尺材を使えば必ず安くなるわけではありません。

材料費を抑えられても、独自の構造設計、造作家具、特殊な納まりなどに手間がかかれば、工事費が増えることがあります。

材料が小さいことと、建築費が安いことは別の話として考える必要があります。

独立基礎と床下開放は地震や洪水に強いのか

コンパクトテストハウスでは、建物全体を連続した基礎で囲うのではなく、柱の下などに独立して設けるRC独立基礎が採用されています。

床下も閉じ込めず、外部へ開いた構成です。

この方法には、次のような狙いがあります。

・使用するコンクリート量を抑える
・建設時や解体時の環境負荷を減らす
・床下に水や湿気をためにくくする
・部材ごとの補修や解体をしやすくする
・建物を再構築できる余地を残す

洪水時には、住宅の床下を壁で囲っていると、流れ込んだ水や泥が内部にたまる場合があります。

床下を開放して水の通り道を確保し、居住床を地面から離す考え方は、浸水被害を軽減する方法の1つです。国の住宅水害対策でも、床を高くする方法や、水が通りやすい構造によって被害を減らす考え方が示されています。

ただし、床下が開いているから洪水に必ず耐えられるわけではありません

洪水では水深だけでなく、水流の速さ、漂流物の衝突、地盤の洗掘、建物にかかる浮力なども問題になります。想定浸水深を超えれば、床上や設備まで被害を受ける可能性があります。

地震に対しても同様です。

平屋は2階建てより建物の重心を低くしやすい一方、耐震性は階数だけで決まるものではありません。

・地盤の状態
・基礎の大きさと配置
・柱と基礎の固定方法
・壁の量と配置
・屋根や建物全体の重さ
・構造計算の内容

こうした条件を組み合わせて判断する必要があります。

独立基礎は優れた方法にもなりますが、一般的な木造住宅で多いベタ基礎や布基礎とは力の伝わり方が異なります。

実際に選ぶなら、設計者に「どのような構造計算を行ったのか」「地盤調査の結果をどう反映したのか」を確認したいところです。

また、平屋には2階への垂直避難ができないという面もあります。水害の可能性がある土地では、建物の工夫だけで判断せず、自治体のハザードマップ、想定浸水深、避難場所、避難経路も確認する必要があります。

二重屋根とツインカーボネートで暑さや寒さは防げる?

コンパクトテストハウスには、屋根を重ねるように設けた二重屋根が採用されています。

屋根は夏の日差しを直接受けるため、住宅の中でも熱くなりやすい場所です。

二重屋根は、外側の屋根と室内側の屋根との間に空間を設けることで、日射熱がそのまま室内へ伝わるのを抑える考え方です。屋根の間を空気が動く構造であれば、たまった熱を外へ逃がしやすくなります。

さらに、置き屋根の下に設けられたトップライトから反射光を取り込み、室内をやわらかく照らす工夫も評価されています。

直射日光を大きな窓から取り込むと、夏は室温が上がりやすくなります。反射させた光を使えば、明るさを確保しながら、まぶしさや熱の入り方を調整しやすくなります。

室内への採光には、ツインカーボネートと呼ばれる中空構造のポリカーボネート板も使われています。

ツインカーボネートの主な特徴は次のとおりです。

・一般的なガラスより軽い
・衝撃に強い
・光をやわらかく通す
・内部の空気層によって熱を伝えにくくする
・加工や施工が比較的しやすい

透明ガラスのように外の景色を鮮明に見せる素材ではありませんが、視線を抑えながら光を取り込めます。

近隣との距離が近い場所や、小さな敷地で明るさとプライバシーを両立させたい場合には、使い方次第で魅力的な素材です。

断熱材には、新聞古紙などを原料とするセルロースファイバーが採用されています。室内には遠赤外線床暖房も設けられています。

ただし、二重屋根やツインカーボネートを使っただけで、夏も冬も冷暖房なしで過ごせるとは限りません。

住宅の快適性を判断するには、断熱材の厚さ、窓の性能、気密性、日射の入り方、換気設備なども確認する必要があります。

コンパクトテストハウスは高気密・高断熱の住宅として紹介されていますが、断熱性能を示すUA値や気密性能を示すC値は、公開情報では確認できませんでした。

同じ考え方で家を建てる場合は、「高断熱です」という説明だけでなく、具体的な性能値や計算条件を聞くことが大切です。

夫婦2人や老後の住まいとして本当に暮らしやすい?

7.5坪の住宅は、移動や掃除の負担を減らせる一方、暮らす人数や持ち物によって向き不向きが大きく分かれます。

老後の住まいとして考えた場合の利点は次のとおりです。

・階段を使わずに生活できる
・掃除する床面積が少ない
・冷暖房する空間を抑えられる
・キッチンやトイレまでの移動が短い
・外壁や屋根の修繕範囲を小さくできる可能性がある

小さな家は、家事を減らしたい人や、持ち物を少なく整えられる人には合理的です。

その一方で、夫婦2人が長時間同じ空間で過ごす場合は、距離の近さが負担になることもあります。

在宅勤務、就寝時間の違い、テレビや音楽の音、来客、体調不良時の隔離などを考えると、完全な一室空間では困る場面もあります。

たしかに「小さくても暮らせるか」は気になりますが、より大切なのは、2人が無理なく距離を取れるかという点です。

夫婦2人で検討するなら、次の場面を具体的に想像しておくと失敗を減らせます。

・どちらかが寝ている間に料理や洗濯ができるか
・1人で静かに過ごせる場所があるか
・介護ベッドを置く余地があるか
・車いすで方向転換できるか
・トイレや浴室に手すりを付けられるか
・家族が泊まれる場所を確保できるか
・季節用品や防災用品を収納できるか

バリアフリーを重視する場合、段差がないだけでは十分ではありません。

玄関、通路、トイレ、浴室の幅や、将来手すりを取り付けるための壁の下地も確認する必要があります。

個人的には、老後の小さな家では「今ちょうどよい広さ」より、「介助が必要になったときにも使える広さ」を基準にした方が安心だと感じます。

同じような小さな家を建てる場合の費用と注意点

コンパクトテストハウスの具体的な建築費は、確認できる公式情報では公表されていません。

そのため、「7.5坪なら何百万円で建てられる」といった金額を示すことはできません。

また、住宅は小さくすれば、面積に比例して安くなるわけではありません。

キッチン、浴室、トイレ、給湯器、電気設備などは、住宅が小さくても必要です。

設計費、確認申請費、地盤調査費、給排水の引き込み費なども、床面積が半分になったからといって半額になるとは限りません。

小さな住宅では、これらの費用を少ない床面積で負担するため、坪単価が高くなることがあります

見積もりでは、次の費用を分けて確認しましょう。

・建物本体工事
・基礎や地盤改良工事
・電気、給排水、ガス工事
・キッチン、浴室、トイレなどの設備
・造作家具や収納
・外構、駐車場、植栽
・設計、構造計算、確認申請
・土地の造成や既存建物の解体
・エアコン、照明、カーテン
・引っ越し後に必要な家具や家電

コンパクトテストハウスのように、独立基礎、二重屋根、造作家具、特殊な建材を採用する場合は、一般的な規格住宅と同じ価格基準では比べにくくなります。

費用を比較するときは、坪単価だけを見るのではなく、最終的に生活を始められる状態までの総額をそろえて比べることが大切です。

さらに注意したいのが、土地との相性です。

小さな家でも、土地の建ぺい率、容積率、接道条件、用途地域、防火規制などを満たす必要があります。

浸水対策を重視するなら、土地の価格や駅からの距離だけでなく、ハザードマップと過去の浸水履歴も確認しましょう。

コンパクトテストハウスが向いている人と向いていない人

コンパクトテストハウスの考え方が向いているのは、床面積の広さより、管理しやすさや将来の変化を重視する人です。

特に次のような人には参考になるでしょう。

・持ち物を少なく管理できる人
・夫婦2人や1人で暮らす予定の人
・掃除や修繕の負担を減らしたい人
・平屋で短い生活動線を望む人
・自然素材や省エネルギーに関心がある人
・建物を長く使いながら修理したい人
・一般的な間取りにこだわらない人

一方、次のような人は慎重に検討する必要があります。

・収納する物が多い人
・家族それぞれの個室が必要な人
・在宅勤務用の独立した部屋が欲しい人
・来客や宿泊が多い人
・将来家族が増える可能性がある人
・広い浴室やキッチンを希望する人
・一般的な住宅より売却しやすい家を求める人

小さな家には、広い家にはない合理性があります。

一方で、暮らし方を住宅に合わせなければならない場面も出てきます。

コンパクトテストハウスから学べるのは、「7.5坪あれば誰でも暮らせる」という答えではありません。

自分に本当に必要な空間や設備は何かを、いったんゼロから考え直すことに大きな意味があります。

実際に同じような住宅を検討するなら、現在の持ち物を測り、朝から就寝までの動きを書き出したうえで、実寸に近い空間を体験してから決めるのが安心です。

参考リンク

ミヤタ建築事務所「CBCテレビ『住人十色』でコンパクトテストハウスが紹介されます」

ミヤタ建築事務所「コンパクトテストハウス|次世代の環境配慮型住まいの提案」

中部建築賞「柔らかな間合い」

愛知県「第36回すまいる愛知住宅賞 受賞作品」

MBS毎日放送「住人十色~家の数だけある 家族のカタチ~」

国土交通省「浸水の予防・人命を守る家づくり」

国土交通省「住宅における浸水対策について」

AGC「ツインカーボ技術データ」


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