【100カメ】“世界タウン”新大久保のリアル!多国籍な暮らしと文化をカメラ100台で取材

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新大久保で広がるガチグルメとは?コリアンタウンから多国籍タウンへ変わる理由
新大久保と聞くと、まず思い浮かぶのはコリアンタウンです。韓国料理、韓国コスメ、K-POPグッズ、食べ歩きスイーツなど、若い人を中心に人気を集めてきました。
しかし、今の新大久保はそれだけではありません。駅の東側には韓国系の店が多く並び、西側の大久保・百人町エリアには、ネパール、ベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、台湾、インド系など、さまざまな国の料理店が増えています。
この流れの中で注目されているのが、いわゆるガチグルメです。
ガチグルメとは、日本人向けに味を大きく変えた料理ではなく、その国の人たちが日常的に食べている味や食べ方に近い料理のことです。見た目も香りも調味料も、少し驚くくらい本場寄り。だからこそ、食べた人に「旅行に行ったみたい」「知らない世界をのぞいた感じがする」という強い印象を残します。
『クローズアップ現代 “ガチグルメ”が続々!多国籍タウンから見るニッポン(2026年6月1日)』でも注目されたように、この変化は単なるグルメブームではありません。
背景には、街の空き店舗、外国人留学生の増加、飲食業の人手不足、外国人経営者の挑戦、日本社会の多国籍化があります。
新大久保が変わっている理由を簡単に言うと、次のようになります。
・韓国系の店だけでなく、南アジアや東南アジア系の住民や働き手が増えた
・古くからの店舗が高齢化やコロナ禍で閉店し、空き店舗が生まれた
・外国人経営者がその空き店舗を借り、母国の料理店を開いた
・日本人客も「本場っぽい料理」に興味を持つようになった
・SNSで珍しい料理が広まりやすくなった
つまり、新大久保のガチグルメは、街の変化がそのまま皿の上に現れたものと言えます。
ここで大事なのは、「外国料理が増えたから面白い」という話だけではないことです。そこには、日本で暮らす外国人が増え、働き、学び、店を持ち、地域の一部になっていく姿があります。
新大久保の多国籍グルメを歩いて見ることは、今の日本社会をかなり身近に感じられる体験でもあります。
ダルバート・パニプリ・モモ・バインミーが人気を集める背景
新大久保のガチグルメで特に目立つのが、ダルバート、パニプリ、モモ、バインミーといった料理です。
どれも日本ではまだ知らない人が多い一方で、一度ハマると「また食べたい」と思わせる強い個性があります。
ダルバートは、ネパールの定食のような料理です。豆のスープ、米、野菜のおかず、漬物、カレーなどを一皿にまとめて食べます。日本でいうと、味噌汁、ごはん、漬物、おかずが並ぶ定食に近い存在です。
人気の理由は、辛さや香りだけでなく、食べ進めるほど味が変わるところにあります。豆のやさしい味、スパイスの香り、野菜の酸味、漬物の刺激が混ざり合い、ひと口ごとに違う味になります。
パニプリは、南アジアで人気の屋台スナックです。丸くて薄い揚げ生地に穴を開け、じゃがいもや豆、スパイス、酸味のある水を入れて一口で食べます。
初めて食べる人は、口の中でパリッと割れて、酸っぱくて辛くて香りのある水が広がる感覚に驚きます。日本の食べ歩きグルメにはあまりない体験なので、SNSでも目を引きやすい料理です。
モモは、ネパールやチベット周辺で食べられる蒸し餃子のような料理です。日本人にもなじみやすい形ですが、スパイスの効いた肉だねや、トマトベースのタレで食べるところに違いがあります。
餃子に似ているので入口はやさしいけれど、食べるとしっかり異国の味がする。これがモモの強さです。
バインミーは、ベトナムのサンドイッチです。フランスパンのような軽いパンに、肉、野菜、なます、パクチー、ソースなどを挟みます。パンの香ばしさ、野菜の酸味、肉のうまみ、ハーブの香りが一度に楽しめるため、ランチや食べ歩きにも向いています。
これらの料理が人気を集める背景には、3つの理由があります。
1つ目は、本場感へのあこがれです。今は日本人向けに整えすぎた味よりも、「現地で食べられているような味」を求める人が増えています。
2つ目は、体験として面白いことです。パニプリのように食べ方そのものが珍しい料理は、ただ食べるだけでなく、友人に話したくなる楽しさがあります。
3つ目は、価格と満足感のバランスです。ダルバートのように野菜、豆、米、おかずが一度に食べられる料理は、しっかり食べたい人にも向いています。
新大久保の多国籍グルメは、珍しさだけでなく、きちんと日常の食事として成り立っているところが魅力です。だから一過性のブームで終わらず、地域に根づいていく力があります。
ネパール料理店が増えた理由と留学生30万人計画の関係
新大久保で特に目立つのが、ネパール料理店の増加です。
「なぜ新大久保にネパール料理が多いの?」と感じる人は多いはずです。理由は、料理の人気だけではありません。大きく関係しているのが、外国人留学生の増加です。
2008年、日本では2020年を目標に外国人留学生30万人の受け入れを目指す方針が示されました。これは、日本をより開かれた国にし、アジアや世界との人の行き来を増やす目的で進められたものです。
この方針の中で、日本語学校や専門学校などに通う外国人留学生が増えていきました。新宿区周辺には日本語学校や専門学校が多く、新大久保・大久保エリアは、留学生が通いやすく、働きやすく、住みやすい場所になっていきました。
2025年5月1日時点の外国人留学生数は408,069人で、前年度より71,361人増え、過去最大となっています。その中でもネパールからの留学生は100,239人で、中国に次ぐ規模になっています。
この数字を見ると、新大久保にネパール料理店が増えた理由が見えやすくなります。
留学生が増えると、まず必要になるのは生活の場です。住む場所、働く場所、母国語で話せる場所、そして母国の味を食べられる場所です。
ネパール料理店は、単に日本人観光客に料理を出す店ではありません。ネパール出身の人たちにとっては、食事の場であり、情報交換の場であり、仕事や人間関係がつながる場所でもあります。
たとえば、日本に来たばかりの人にとって、母国の言葉が通じる店はとても心強い存在です。アルバイトの相談、学校の話、住まいの情報、行政手続きの悩みなど、食事以外のつながりが生まれることもあります。
日本人客から見ると「珍しい本場料理の店」ですが、ネパールの人たちから見ると、そこは暮らしを支える場所でもあるのです。
ここが、一般的な流行グルメと大きく違うところです。
新大久保のネパール料理店は、観光地向けに突然できた店ではなく、地域に暮らす人たちの必要から増えていきました。その結果、日本人の食べ歩き客やグルメ好きにも知られるようになり、今のガチグルメ人気につながっています。
新大久保の空き店舗を埋めた外国人経営者と地域の変化
新大久保の多国籍化を考えるうえで、もう1つ大切なのが空き店舗です。
街はずっと同じ姿ではありません。昔から営業していた店の店主が高齢になったり、後継ぎがいなかったり、コロナ禍で売り上げが落ちたりすると、店を閉めるケースが出てきます。
特に飲食店や小売店は、家賃、人件費、材料費、光熱費の負担が大きく、続けるのが簡単ではありません。日本人経営者の店が撤退したあと、そこに外国人経営者が入ることで、街の空白が埋まっていきました。
以前は、外国人に店舗を貸すことに慎重な空気もありました。言葉の不安、契約の不安、文化の違いへの不安があったからです。
しかし、空き店舗が増えると、貸す側にも変化が生まれます。誰も借りないままでは家賃収入がなく、街のにぎわいも失われます。そこで、実際に商売をしたい外国人経営者に貸す動きが広がっていきました。
この変化は、地域にとっても大きな意味があります。
空き店舗が外国人の店に変わると、街には新しい人の流れが生まれます。母国の味を求める外国人、珍しい料理を食べたい日本人、SNSで知って訪れる若者、仕事帰りに寄る人。こうした人たちが集まることで、シャッターが閉まっていた場所に明かりが戻ります。
もちろん、良いことばかりではありません。
におい、騒音、ゴミ出し、看板の出し方、営業時間、言葉のすれ違いなど、地域で暮らすうえで調整が必要なこともあります。けれど、それは外国人だから起きる問題というより、違う文化や商習慣を持つ人たちが同じ地域で暮らすときに必要になるすり合わせです。
新大久保の変化は、「外国人の店が増えた」という表面的な話ではありません。
空き店舗をどう生かすか。
地域のにぎわいをどう守るか。
日本人住民と外国人住民がどう関係を作るか。
食をきっかけに、お互いの存在をどう知っていくか。
こうしたテーマが重なっています。
だからこそ、新大久保のガチグルメを食べるときは、料理だけでなく、店の背景にも目を向けると面白くなります。
「なぜこの場所にこの国の料理店があるのか」
「どんな人たちがこの店を支えているのか」
「この料理は誰の日常食なのか」
そう考えるだけで、1回の食事がただの外食ではなく、街を知る体験に変わります。
特定技能1号の外食業停止でガチグルメ店に広がる不安
新大久保のガチグルメ店にとって、今後大きな不安材料になっているのが、特定技能1号の外食業分野をめぐる動きです。
特定技能1号は、人手不足が深刻な分野で、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が働ける在留資格です。外食業もその対象に含まれてきました。
外食業界は、もともと人手不足が続いています。厨房、ホール、仕込み、清掃、配達対応、仕入れなど、飲食店の仕事は想像以上に多く、長時間になりやすい仕事です。日本人だけで人材を確保するのが難しい店も少なくありません。
そのため、外国人スタッフは多くの店にとって重要な働き手になっています。
しかし、2026年4月13日以降、外食業分野の特定技能1号について、在留資格認定証明書の交付などが一時的に停止される運用が始まりました。外食業分野の特定技能1号の在留者数が受け入れ見込数に近づいたためです。2026年2月末時点で外食業分野の在留者数は約46,000人となり、受け入れ見込数である50,000人を超える見通しとされていました。
この影響は、これから外国人スタッフを採用しようとしていた店にとってかなり大きいです。
たとえば、こんな問題が起きやすくなります。
・新しいスタッフを呼びにくくなる
・人手不足で営業時間を短くせざるを得ない
・人気店でも席数を十分に回せなくなる
・厨房を任せられる人材が不足する
・多店舗展開や新規出店を考えにくくなる
特にガチグルメ店の場合、ただ人手がいればよいわけではありません。母国の味を再現するには、料理の感覚、スパイスの使い方、仕込みの流れ、言葉の理解などが必要になります。
たとえば、ダルバートやモモを出す店なら、現地の味を知っているスタッフがいることは大きな強みです。バインミーの店でも、パン、具材、ソース、香草のバランスを知っている人がいるかどうかで、味の印象が変わります。
つまり、ガチグルメ店にとって外国人スタッフは、単なる労働力ではなく、店の味と文化を支える人材でもあります。
ここで読者が知っておきたいのは、制度の見直しが「外国人を減らしたい」という単純な話だけではないことです。
受け入れ人数の上限、国内の雇用環境、制度の適正な運用、不正利用を防ぐ仕組み、地域との共生など、さまざまな課題が絡んでいます。
ただし、現場の飲食店から見ると、急に人材確保の道が狭くなるように感じられることもあります。とくに小さな店ほど、1人のスタッフが抜けるだけで営業に大きな影響が出ます。
ガチグルメを楽しむ側としても、この問題は無関係ではありません。
もし人手不足が進めば、好きな店の営業時間が短くなるかもしれません。メニューが減るかもしれません。店主の負担が増え、味やサービスを保つのが難しくなるかもしれません。
だからこそ、気になる店を見つけたら、混雑時を避けて訪れる、食べ残しをしない、店のルールを守る、口コミで応援するなど、小さな行動が店の支えになります。
経営・管理ビザの資本金3000万円要件が外国人オーナーに与える影響
外国人が日本で店を経営する場合、もう1つ大きく関係するのが経営・管理ビザです。
これは、日本で会社を経営したり、事業を管理したりするための在留資格です。飲食店を開く外国人オーナーにとって、とても重要な制度です。
この経営・管理の在留資格をめぐって、資本金などの基準が大きく見直されました。新しい基準では、事業のために使われる財産の総額として3000万円が示されています。
以前の感覚で小さな飲食店を始めようとしていた外国人経営者にとって、これはかなり高いハードルです。
飲食店を開くには、もともと多くのお金がかかります。
物件取得費
内装工事
厨房設備
冷蔵庫や調理器具
看板
食器
仕入れ
人件費
広告費
家賃の先払い
行政手続き
小さな店でも、数百万円から1000万円近い費用がかかることがあります。新大久保のように人通りがあり、家賃も高くなりやすい地域では、さらに負担は大きくなります。
そこに3000万円規模の要件が重なると、すでに開業している人、これから店を開こうとしている人の不安は大きくなります。
特に厳しいのは、次のような人たちです。
・すでに内装や設備に大きなお金を使った人
・家族経営や小規模店舗で始めた人
・母国の料理を出す個人店を開いた人
・利益は出ていても大きな資本金を用意しにくい人
・制度変更前の条件で事業計画を立てていた人
もちろん、制度を厳しくする側にも理由があります。
形式だけ会社を作り、実際には安定した事業をしていないケースを防ぐ必要があります。事業の実体があるか、継続して経営できるか、日本での生活や雇用に責任を持てるかを確認することは大切です。
ただ、その一方で、本当に地域に根づいて店を続けている外国人オーナーまで苦しくなる可能性があります。
ここが難しいところです。
制度の適正化は必要です。
でも、地域のにぎわいを作ってきた小さな店まで続けにくくなると、街の多様性が失われるおそれもあります。
新大久保のガチグルメ店は、ただ料理を売っているだけではありません。
母国の味を届ける場所であり、外国人住民の居場所であり、日本人が別の文化にふれる入口であり、空き店舗を再び動かす力にもなっています。
そのため、経営・管理ビザの見直しは、外国人オーナーだけの問題ではなく、街の未来にも関わる問題です。
読者としてできることは、まず知ることです。
気になる料理を食べに行く。
店の背景を知る。
外国料理を「珍しいもの」として消費するだけでなく、そこで働く人や暮らす人の存在を想像する。
気に入った店は一度きりで終わらせず、また行く。
混雑時や文化の違いに出会っても、少し余裕を持って受け止める。
新大久保のガチグルメは、食べ歩きの楽しさと同時に、これからの日本がどう変わっていくのかを教えてくれます。
ダルバートを食べること。
パニプリに驚くこと。
モモを味わうこと。
バインミーを片手に街を歩くこと。
その一つひとつが、多国籍化する日本を身近に感じる入口になります。新大久保を訪れるなら、ただ有名店を回るだけでなく、「この料理はどんな人たちの日常から来たのか」と考えながら歩くと、街の見え方がぐっと深くなります。
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