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木の酒はどこで買える?市販されていない理由とスギ・シラカバの味の違い【ブレイクスルーで話題】

食品・飲料
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木そのものがお酒になる新技術

木の香りを移したお酒ではなく、木材そのものを発酵させると聞くと、にわかには信じにくいものです。

『ブレイクスルー(“食品ごみ”から酒造り!世界初“木の酒”にも挑戦)(2024年9月21日放送)』では、間伐材を新しい蒸留酒へ変える取り組みが紹介されました。

木の酒は何から造られ、なぜ普通のお店では買えないのでしょうか。味の違いから製造の仕組み、商品化の見通しまで、購入前に知っておきたい点を整理します。

この記事でわかること

  • 木の酒は本当に木が原料なのか
  • 現在購入できる場所と試飲方法
  • スギやシラカバなどの味の違い
  • 市販化までに残されている課題

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木の酒は本当に木から造られている

世界初となる “木の酒” の生産販売に挑戦「WoodSpirits」製造に向けて、新たな蒸留所の建設を発表 | エシカル・スピリッツ 株式会社のプレスリリース

(出典:世界初となる “木の酒” の生産販売に挑戦「WoodSpirits」製造に向けて、新たな蒸留所の建設を発表 | エシカル・スピリッツ株式会社のプレスリリース)

結論からいうと、木の酒は木材そのものを原料にして造られています

ウイスキーのように木の樽で熟成させたお酒でも、木の香りを後から加えたリキュールでもありません。細かく砕いた木材を糖化して発酵させ、最後に蒸留して造る新しいタイプのお酒です。

森林総合研究所が開発した技術によって、2017年に初めて試験製造されました。研究では、主に次のような樹木が使われています。

  • スギ
  • シラカバ
  • ソメイヨシノ
  • ヤマザクラ
  • ミズナラ
  • クロモジ

たしかに「木を飲む」と聞くと、木くずを液体に混ぜたような姿を想像してしまいます。

実際には、発酵後の液体を蒸留してアルコールや香りの成分を取り出すため、完成品に木の粉がそのまま残っているわけではありません。

スギを原料にアルコール度数35%の蒸留酒を造る場合、750mlのボトル1本に必要な木材は、乾燥重量でおよそ2kgとされています。樹齢50~60年ほどのスギ1本から、計算上は150本以上のボトルを造れる可能性があります。

木の酒は現在どこで買える?

2026年7月時点では、木の酒を一般的な商品として常時購入できる公式販売先は確認できません。

スーパーや酒販店、一般的な通販サイトで、スギ酒やシラカバ酒を通常商品として選んで注文できる段階ではありません。

民間での商品化を目指しているのが、WoodSpirits(ウッドスピリッツ)というプロジェクトです。

茨城県つくば市の旧作岡小学校を活用した「つくばねグリーンヒル蒸溜所」で、木の酒を製造する計画が進められています。ただし、運営会社の案内も「製造を行う予定」「製品化及び販売するプロジェクト」という表現にとどまっています。

そのため、現段階では通常販売品を買うというより、次の機会を確認する形になります。

  • 研究開発を目的とした試飲会
  • 展示会やイベントへの出展
  • WoodSpiritsの公式メールマガジン
  • 公式SNSによる試飲会や販売情報の告知

過去には一般向けの試飲会が開催され、大阪・関西万博にも出展しました。しかし、イベントで飲めたことと、いつでも商品を買えることは別です。

実際に選ぶなら、フリマサイトや出所の分からない通販情報ではなく、公式プロジェクトから発売日、製造者、原材料、アルコール度数、販売場所が発表されているかを確認したいところです。

市販されていないのはなぜ?

木の酒がなかなか店頭に並ばないのは、単純に人気がないからではありません。

これまでに例のない原料を使ったお酒であるため、研究成果を商品へ変えるまでに、複数の課題を一つずつ解決する必要があります。

主な課題は次のとおりです。

確認が必要な点 内容
安全性 木に含まれる成分が飲用に適しているか
原料管理 樹種、産地、樹皮、傷み、汚れをどう管理するか
品質の安定 木の個体差による香りや味のばらつきを抑えられるか
量産設備 木を非常に細かく粉砕できる設備が必要
製造免許 酒類を製造・販売するための制度上の手続き
採算性 原料処理や蒸留にかかる費用を商品価格に収められるか

安全性については、スギ、シラカバ、ミズナラ、クロモジから造った試作品の基本的な試験で、問題となるデータは確認されなかったと公表されています。

ただし、試験で一定の安全性が確認されることと、多数の商品を継続的に製造し、消費者へ販売できる体制をつくることは同じではありません。

木材には、セルロースだけでなく、リグニンや樹脂、精油など、樹種によって異なる成分が含まれています。建築材として利用できる木でも、そのまま飲食物の原料にできるとは限りません。

腐敗した木、薬剤処理された木、塗装された廃材などを使えないのは当然です。食用原料として管理された木材を安定して確保する仕組みも必要になります。

個人的には、珍しさを優先して急いで発売するより、どこの木をどのように管理し、どの成分を確認したのかが分かる商品のほうが安心できます。木の酒では、味以上に原料の履歴が見えることが大切になりそうです。

スギやシラカバで味はどう変わる?

木の酒の大きな特徴は、使う樹種によって香りが大きく変わることです。

同じ木材でも、スギとシラカバでは含まれる香りの成分が異なります。その違いが、発酵や蒸留を経た後にも残ります。

樹種 感じられるとされる風味
スギ 樽酒を思わせる、スギらしい香り
シラカバ 白ワインや青リンゴを思わせるフルーティーさ
ミズナラ 甘く芳醇で、ウイスキーを連想させる香り
クロモジ 柑橘系の爽やかさと華やかな香り
ヤマザクラ 桜餅や吟醸香を思わせる華やかな印象
ソメイヨシノ 桜を連想させる甘く華やかな香り

スギは日本酒の樽酒に近い方向なので、比較的イメージしやすいかもしれません。

一方、シラカバから青リンゴや白ワインのような印象が生まれるというのは、初めて知ると少し驚きます。木材の見た目から味を想像するのが難しく、そこに木の酒ならではの面白さがあります。

ただし、これらは砂糖や果汁を加えてリンゴ味や柑橘味にしているという意味ではありません。木に含まれる香りの成分を、人が身近な食品や飲み物に例えて表現したものです。

また、同じ樹種でも次の条件によって違いが出る可能性があります。

  • 木が育った地域
  • 樹齢
  • 幹のどの部分を使うか
  • 伐採後の保管状態
  • 発酵条件
  • 蒸留方法
  • 蒸留後の熟成期間

ワインがブドウの品種や産地で変わるように、将来は「北海道のシラカバ」「奈良県のスギ」といった地域差を楽しむお酒になる可能性もあります。

個人的には、単に飲みやすいかどうかだけでなく、香りを比べながら少量ずつ味わう商品と相性がよさそうだと感じます。

木材からアルコールができる仕組み

木材からお酒を造る基本的な流れは、日本酒やビールと大きくかけ離れているわけではありません。

お酒を造るには、酵母が食べられるが必要です。酵母が糖を分解すると、アルコールと二酸化炭素が生まれます。

米にはデンプン、果物には糖が含まれています。一方、木材の中心的な成分はセルロースです。

セルロースも糖が多数つながった物質ですが、木の硬い細胞壁に閉じ込められています。そのまま酵素や酵母を加えても、簡単にはアルコールになりません。

木の酒では、次のような工程が用いられます。

  1. 木材の樹皮や汚れ、傷んだ部分を取り除く
  2. 木材をチップ状にする
  3. 木粉が0.5mm以下になるまで乾式粉砕する
  4. 水と一緒に数マイクロメートル以下まで細かく砕く
  5. セルロースを酵素でブドウ糖に分解する
  6. 酵母を加えてアルコール発酵させる
  7. 発酵液を蒸留して香りとアルコールを取り出す

重要なのが、湿式ミリングと呼ばれる粉砕技術です。

木粉に水を加え、装置の中でセラミック製の小さなビーズを激しく動かします。その力で木を細胞壁よりも細かい大きさまで砕き、クリーム状にします。

細胞壁の中に埋もれていたセルロースが表面に出ることで、セルラーゼという酵素が働きやすくなります。セルロースがブドウ糖へ変われば、後は酵母による発酵が可能です。

しかも、強い薬品や高温処理に頼らず粉砕するため、木が本来持っている香りを残しやすい点も特徴です。

木材を直接アルコールへ変えるというより、正確には、木のセルロースを糖に変え、その糖を発酵させていると考えると分かりやすくなります。

木の酒にはどのような意味がある?

木の酒は、珍しい飲み物を増やすだけの研究ではありません。

日本では、木を植えた後に間引く間伐が必要です。間伐をしなければ森の中に光が届きにくくなり、残す木も十分に成長しにくくなります。

しかし、細い木や形の悪い木は建築材として使いにくく、運び出す費用に見合わないことがあります。利用先が少ない木材に、お酒の原料という新しい価値を与えられれば、森林整備を続けるための収入につながる可能性があります。

木の酒に期待されているのは、主に次のような役割です。

  • 間伐材や未利用材の有効活用
  • 国産材の新しい需要づくり
  • 山村地域での蒸留所や観光事業の創出
  • 樹種や産地を生かした地域ブランドづくり
  • 森林管理に必要な資金の循環

ただし、木をお酒にすれば自動的に森が守られるわけではありません。

どの山から、どのような目的で伐採された木を使うのかが重要です。貴重な天然林を酒のために伐採するようでは、本来の目的と逆になってしまいます。

個人的には、「木からお酒ができる」という驚きより、使い道のなかった間伐材を高い価値の商品へ変えられる点に、より大きな意味があると感じます。

将来購入する際は、珍しさだけでなく、原料の産地、森林管理の方法、地域への還元まで確認すると、商品を選ぶ理由が見えやすくなります。

今後販売される可能性はある?

木の酒が今後販売される可能性はあります。

すでに民間企業が森林総合研究所と共同研究契約や特許実施許諾契約を結び、製品化と販売を目的としたプロジェクトを進めています。

試飲会や展示会も行われているため、研究室の中だけで終わる技術ではなく、消費者へ届けることを前提に開発が進んでいると考えられます。

ただし、2026年7月時点で、通常販売の開始日、価格、販売数量、商品ラインアップは公式に確認できません。

今後発表される際には、次の情報に注目したいところです。

  • 商品名と使用樹種
  • 木材の産地
  • アルコール度数
  • 内容量と価格
  • 販売本数
  • 販売店と通販の有無
  • 原材料表示
  • 飲み方や割り方
  • 安全性や品質管理の説明

最初から全国のスーパーに並ぶ商品になるというより、限定ボトル、蒸留所での販売、予約販売、飲食店向けの提供など、小規模な形から始まる可能性が高そうです。

また、スギやシラカバを一括して「木の酒」として売るのではなく、樹種や産地ごとに商品を分ける展開も考えられます。

販売を待つ人は、公式サイトやメールマガジンで情報を確認するのが確実です。試飲会に参加する場合も、販売会なのか研究目的のアンケート付き試飲なのか、事前に内容を確かめておきましょう。

木の酒を買う前に確認したいこと

木の酒が発売されたら、まず試してみたいと感じる人も多いでしょう。

その一方で、世界でも新しい種類のお酒だからこそ、一般的なウイスキーや焼酎以上に商品情報をよく確認する必要があります。

特に見ておきたいのは、次の点です。

  • 木材を直接発酵させた商品か
  • 木の香りを加えただけの商品ではないか
  • 使用樹種と原産地が明記されているか
  • 正規の酒類製造者と販売者が記載されているか
  • 開栓後の保存方法が示されているか
  • アルコール度数が自分に合っているか

「木の酒」という言葉には、木の樽で熟成したお酒や、樹木の香りを使った商品も含まれることがあります。

森林総合研究所が開発した技術による木の酒を探す場合は、木材のセルロースを糖化・発酵し、蒸留したものかを確認することが大切です。

木から酒ができる仕組みは、突飛な魔法ではありません。木の中にあるセルロースを取り出して糖へ変え、酵母の力でアルコールにする技術です。

スギ、シラカバ、ミズナラなど、樹種ごとに異なる香りを楽しめるだけでなく、間伐材に新しい価値を与える可能性もあります。

まだ気軽に購入できる商品ではありませんが、製造体制や販売準備は進められています。発売時には味や価格だけでなく、その1本がどこの森から生まれ、森林の循環にどう役立つのかにも注目したいところです。

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