神尾楓珠さんが挑んだ弓道の難しさ
動かない的を狙う弓道は、一見すると落ち着いて取り組めそうに見えます。しかし実際は、姿勢、呼吸、左右の手の動き、矢を離す瞬間までがつながった、とても繊細な競技です。
『ララLIFE(神尾楓珠、弓道強豪校に一日入部、果たして的中なるか?)(2026年7月17日)』では、神尾楓珠さんが足利大学附属高等学校弓道部で本格的な練習を体験しました。
わずか1日でどこまで進めたのか、そしてなぜ的中が難しかったのかを知ると、弓道の見え方が少し変わってきます。
この記事でわかること
- 神尾楓珠さんは的中できたのか
- 撮影場所となった弓道強豪校
- ゴム弓や巻藁で練習する理由
- 28m先の的を射る難しさ
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神尾楓珠さんは弓道の的に当たった?
神尾楓珠さんは、約5時間の練習を経て28m先の的を狙いましたが、惜しくも的中することはできませんでした。
ただし、結果だけを見て「失敗だった」と考えるのは少し違います。
一般的に弓道部へ入った初心者は、すぐに28m先の的を射るわけではありません。姿勢や安全な矢の離し方を身につけるため、ゴム弓や巻藁を使った基礎練習を重ねます。
今回、神尾さんは指導を受けながら短時間で段階を進み、最終的には部員と同じ射場から矢を放ちました。わずか1日で団体戦の並びに加われたこと自体が、大きな到達点だったといえます。
的には当たりませんでしたが、矢は大きく外れたわけではなく、的の近くまで飛んでいました。
たしかに、テレビで見ると「あと少しだったのに」と感じます。しかし初心者がその日のうちに28m先へ矢を飛ばすことを考えると、かなり難しい挑戦だったことがわかります。
さらに神尾さんは、矢を放った結果以上に、仲間と並んで射る団体戦の空気に魅力を感じたと話していました。
個人的には、この点がいちばん印象的です。弓道は1人で的と向き合う競技に見えますが、高校の部活動では、仲間と呼吸や動きをそろえることも大切だからです。
弓道を習った場所は足利大学附属高等学校
神尾楓珠さんが弓道を体験した場所は、栃木県足利市にある足利大学附属高等学校です。
同校の弓道部は、全国大会で優れた成績を残してきた強豪校として知られています。
学校が公表している活動実績では、全国私立学校弓道大会で3連覇を達成しています。また、女子団体はインターハイ初出場で初優勝を果たした実績もあります。
単に部員の人数が多い学校ではなく、全国の舞台で結果を出している弓道部です。
そのため、神尾さんが体験した練習も、矢をたくさん射って感覚をつかむだけの内容ではありませんでした。
まずは道具を安全に扱うこと、次に正しい形を覚えること、その後に実際の矢を射ることという順番で進んでいます。
初めて知ると少し驚きますが、弓道では的に当てることより前に、正しく安全に射るための動作を身につける必要があります。
強豪校だからこそ、初心者にも基礎を飛ばさず、段階を追って教えていたことがわかります。
指導した宮澤章啓監督はどんな先生?
神尾楓珠さんを指導したのは、足利大学附属高等学校弓道部の宮澤章啓監督です。
宮澤監督は、全国大会で結果を残す選手を育ててきた指導者として知られています。
指導では、気合いや練習量だけに頼るのではなく、選手の動きを細かく確認し、どこを直せば安定して的中しやすくなるのかを具体的に伝える方法が取られています。
弓道では、矢が外れた原因が1つとは限りません。
足の位置がずれている場合もあれば、肩に力が入っている場合、弓を持つ手の向きや矢を離すタイミングに問題がある場合もあります。
本人は同じように射っているつもりでも、わずかな動きの違いによって矢の方向が変わります。
宮澤監督の指導で興味深いのは、結果だけを見て「もっと狙いなさい」と伝えるのではなく、矢を放つまでの動作から原因を探す点です。
これは弓道を始めたい人にとっても大切な考え方です。
自分で練習する場合、矢が的に当たらないと、狙う方向だけを修正したくなります。しかし実際には、姿勢や手の動きが崩れたまま狙いだけを変えると、さらに安定しなくなることがあります。
実際に選ぶなら、体験教室や道場では、初心者の姿勢や道具の扱いを丁寧に見てくれる指導者がいるかを確認したいところです。
最初にゴム弓で練習するのはなぜ?
弓道初心者の練習では、いきなり本物の弓に矢をつがえて的を狙うわけではありません。
神尾楓珠さんが最初に使ったのは、弓を引く動きを練習するためのゴム弓でした。
ゴム弓は、本物の弓よりも弱い力で引ける練習道具です。矢を飛ばさないため、周囲への危険を抑えながら、腕の動きや姿勢を繰り返し確認できます。
弓道の基本動作は「射法八節」と呼ばれ、次の8つの動きで構成されています。
- 足踏み
- 胴造り
- 弓構え
- 打起し
- 引分け
- 会
- 離れ
- 残心
それぞれが別々の動作ではなく、呼吸に合わせて1つの流れとして行うことが大切です。
初心者には聞き慣れない言葉が多いですが、簡単にいえば、立つ位置を決め、姿勢を整え、弓を構え、引き、矢を放った後まで形を保つ一連の動きです。
特に難しいのが、矢を放す「離れ」です。
自分から右手を開いて矢を放そうとすると、余計な力が加わり、矢の方向が乱れることがあります。
左右へ伸び続けた結果として、自然に弦が手から離れる形が理想とされています。
文章で読むだけでも繊細さが伝わりますが、実際に体を動かすと、手だけでなく肩や背中にも意識を向けなければなりません。
神尾さんがまずゴム弓で動きを確認したのは、矢を飛ばすことよりも先に、体へ正しい動きを覚えさせるためです。
弓を持つ左手が重要といわれる理由
弓道を初めて見る人は、弦を引く右手に注目しやすいのではないでしょうか。
しかし実際には、弓を持つ左手の使い方も矢の飛び方を大きく左右します。
和弓では、矢を弓の右側につがえます。そのため、ただ弦を離すだけでは、弦が弓を回り込む動きや矢への力の伝わり方によって、矢が狙った方向からずれることがあります。
そこで重要になるのが、左手で弓を押し開きながら、適切に働かせる「手の内」です。
神尾さんも、弓を持つ左手の動きを重点的に練習していました。
ただし、「弓を強くねじれば矢が真っすぐ飛ぶ」と単純に考えるのは危険です。
必要以上に手首だけを動かすと、弓の向きが安定しなくなったり、狙いがずれたりする可能性があります。
左手、肩、背中を連動させ、左右へ伸びる力の中で弓を支えることが大切です。
個人的にも、弓道は右手で弦を引く競技という印象がありました。左手の働きがそれほど重要だと知ると、矢を放つ姿の見方も変わります。
的中したかだけでなく、弓を持つ手がどのように動いているかを見ると、経験者と初心者の違いがわかりやすくなります。
巻藁練習では何を身につける?
ゴム弓で基本動作を覚えた後、神尾楓珠さんは巻藁に向かって実際の矢を放ちました。
巻藁とは、わらなどを円筒形にまとめて作られた、弓道の練習用の的です。
一般的な的よりも近い距離に置き、矢を安全に受け止めるために使われます。
距離が近いので、命中させる難しさを競う練習ではありません。
主な目的は、実際に矢をつがえた状態で、
- 姿勢が崩れていないか
- 正しく弓を引けているか
- 安全に矢を放せるか
- 矢を放した後も形を保てるか
を確かめることです。
ここで大切なのは、近くの巻藁に矢が刺さったからといって、すぐに遠くの的を狙えるわけではないことです。
巻藁では矢の飛ぶ方向や距離よりも、射る人の動作を確認します。
ある程度、安全に安定して射られるようになってから、初めて28m離れた的へ進みます。
神尾さんはゴム弓から巻藁へ進み、その後に的前へ立ちました。
かなり速い進み方に見えますが、経験豊富な指導者が近くで確認し、安全面を管理していたからこそ可能だった流れです。
弓道を体験してみたい人が、動画などを見ながら自己流で弓と矢を扱うのは避けるべきです。
矢が飛ぶ方向だけでなく、弦が腕や顔に当たるおそれもあります。初めは必ず、道場や体験会など、指導者がいる環境で取り組むことが重要です。
28m先にある36cmの的はどれくらい難しい?
高校弓道などで行われる近的競技では、射手から的までの距離は28mです。
使用される的の直径は36cmで、的に矢が当たった本数によって勝敗を競います。
28mという距離だけを聞いても、難しさを想像しにくいかもしれません。
学校の25mプールよりも少し長い距離の先に、直径36cmほどの的があると考えると、かなり小さく見えます。
しかも弓道では、照準器を使って狙うわけではありません。
立つ位置、姿勢、弓の角度、引く長さ、左右の力のバランスを毎回できるだけ同じにすることで、矢を安定させます。
風や体調、緊張によっても感覚は変わります。
的は動かないのに難しい理由は、的ではなく、射る側の体と心が毎回同じではないからです。
たしかにこれは気になります。止まっている的なら、何度か練習すれば簡単に当たりそうに見えるからです。
しかし実際には、少し肩が上がったり、矢を離す瞬間に力んだりするだけでも、28m先では大きなずれになります。
神尾さんが短時間で的の近くまで矢を飛ばした一方、的中には至らなかったことからも、最後の数十cmを合わせる難しさがわかります。
弓道とアーチェリーは何が違う?
弓で矢を射る競技としては、弓道のほかにアーチェリーがあります。
見た目は似ていますが、道具や競技の考え方には違いがあります。
アーチェリーの弓には、照準器や矢を置く部品、弓の揺れを抑える部品などが取り付けられることがあります。
一方、弓道で使う和弓は、弓の中央より下を握る独特の形をしています。
競技ではどちらも的中や得点を競いますが、弓道では矢を放つまでの姿勢や動作、放った後の姿にも重きが置かれます。
弓道の基本では、矢が的へ向かって飛んでいる間だけでなく、矢を放った後の「残心」までが1回の射と考えられています。
つまり、的に当たりさえすれば、どのような射ち方でもよいわけではありません。
正しい動作を続けた結果として、安定した的中を目指します。
弓道をこれから始める人は、命中率だけを上達の基準にしない方がよいでしょう。
最初は、
- 安全に弓を扱える
- 同じ姿勢を作れる
- 力まずに弓を引ける
- 矢を放した後まで姿勢を保てる
といった変化も、大切な上達です。
弓道を体験するときに確認したいこと
神尾楓珠さんの挑戦を見て、弓道を体験してみたいと感じた人もいるかもしれません。
弓道は幅広い年代が取り組める競技で、体力に応じた強さの弓を使うことができます。
ただし、初めて参加するときは、いくつか確認しておきたい点があります。
まず、初心者向けの体験会なのか、経験者向けの通常練習なのかを確認しましょう。
初心者向けであれば、弓を持つ前に、道具の説明や立ち方、ゴム弓による練習が用意されていることがあります。
服装については、最初から弓道着を用意する必要がない体験会もあります。
その場合でも、体を動かしやすく、袖や裾が広がりすぎない服装が適しています。
アクセサリーや時計などは、弦や道具に引っかかる可能性があるため、外すよう案内されることがあります。
また、弓道では静かに動作を見守る時間が多くあります。
道場へ入る際の礼や、射っている人の前を横切らないといった決まりもあるため、初めに説明をよく聞くことが大切です。
実際に選ぶなら、次の点を確認すると安心です。
- 初心者も参加できるか
- 道具を借りられるか
- 服装の指定があるか
- 年齢や身長の条件があるか
- 見学だけでも可能か
- 事前予約が必要か
弓道は、力が強い人だけに向いた競技ではありません。
その人の体力に合った弓を選び、正しい姿勢を少しずつ身につけていきます。
ただし、無理に強い弓を使うと姿勢が崩れやすくなるため、最初から見栄を張らず、自分に合う強さを指導者に選んでもらうことが大切です。
「ツルネ」をきっかけに弓道を始めてもいい?
神尾楓珠さんが弓道に興味を持ったきっかけは、弓道を題材にしたアニメ**「ツルネ」**でした。
作品名にある「ツルネ」とは、矢を放した際に弦から生まれる音を表した言葉です。
弓道では、的中した瞬間だけでなく、弓を引く姿勢、道場の静けさ、弦の音、仲間との関係などにも魅力があります。
アニメや映画をきっかけに競技へ興味を持つことは、決して珍しいことではありません。
むしろ、最初のきっかけは「姿が格好いい」「音が印象的だった」「学校の部活動に憧れた」といった感覚でも十分です。
ただ、実際に始めてみると、作品で見る以上に地道な基礎練習が続きます。
すぐに矢を射てるとは限らず、しばらくは姿勢やゴム弓の練習が中心になる場合もあります。
ここで理想と現実の差を感じる人もいるでしょう。
それでも、1つの動きを少しずつ整え、以前より安定して矢を放てるようになる過程には、的中とは別の面白さがあります。
個人的には、憧れだけで始めても問題はなく、その後に基礎練習を楽しめるかどうかが続ける分かれ目になると感じます。
まずは見学や体験会へ参加し、道場の雰囲気や練習の進み方を確かめてみると、自分に合うか判断しやすくなります。
的中できなくても挑戦に意味がある理由
神尾楓珠さんは、最終的に的へ矢を当てることはできませんでした。
しかし、その結果によって弓道体験の価値が失われたわけではありません。
短時間の中で、
ゴム弓で動きを覚える
巻藁へ矢を放つ
28m先の的前へ立つ
団体戦の並びで仲間と射る
という段階を経験しています。
弓道は、的中したかどうかが数字ではっきり出る競技です。
そのため、外れたときは自分の失敗が目に見えます。
一方で、なぜ外れたのかを姿勢や動作から振り返り、次の一射で修正できる点に面白さがあります。
部活動であれば、個人の技術だけでなく、仲間の射を見守ることや、団体として気持ちをそろえる経験も得られます。
神尾さんが団体戦の形で矢を放ち、チームの良さを感じたのは、弓道が単なる的当てではないことを表しています。
的に当たる瞬間はわかりやすい成果ですが、そこへ至るまでの姿勢、集中、仲間との時間も含めて弓道の魅力です。
結果だけを見ると「的中ならず」の一言で終わってしまいます。
しかし、約4カ月かけて基礎を身につける部員もいる中で、1日の体験で実際の射場まで進んだことを考えると、十分に意味のある挑戦だったといえるでしょう。
参考リンク
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