腹痛や血便の原因を知る 大腸の病気を正しく理解する
腹痛や血便が続くと、不安になる人は多いものです。原因の一つとして知られるのが、加齢とともに増える大腸の「憩室」に炎症が起こる 憩室炎 です。また、似た症状が続く病気として、患者が増えている指定難病 潰瘍性大腸炎 もあります。
このページでは『チョイス@病気になったとき(腹痛・血便の原因 憩室炎?潰瘍性大腸炎?)(2026年3月15日)』の内容を分かりやすくまとめています。大腸の病気の特徴や最新治療、受診の目安について理解できるよう整理して紹介します。
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大腸憩室とは?日本人4人に1人にあると言われる腸の袋
大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外側に押し出されてできる袋状のくぼみのことです。大腸の内側から見ると小さな穴のように見え、外側には小さな袋が膨らんでいる状態になります。
日本では近年この憩室を持つ人が増えており、日本人の約4人に1人に見つかるとも言われています。特に40代以降から増え始め、60代以上ではさらに多くなる傾向があります。
多くの場合は症状がなく、人間ドックの大腸内視鏡検査やCT検査などで偶然見つかるケースがほとんどです。そのため、憩室があることを知らずに生活している人も少なくありません。
ただし、憩室の中に便が入り込んだり、壁にある血管が破れたりすると、腹痛や血便などの症状が起こることがあります。
また大きな特徴として、一度できた憩室は基本的に元に戻らないと言われています。そのため検査で憩室があると分かった場合は、腸の状態を意識しながら生活することが重要になります。
憩室はなぜできる?便秘や加齢が関係する理由
大腸憩室ができる原因として最も大きいのが、腸の中の圧力の上昇です。
便秘になると、大腸は便を押し出そうとして強く収縮します。その結果、腸の内側の圧力が高くなり、壁の弱い部分が外に押し出されて袋状の憩室ができると考えられています。
特に、血管が通っている部分は大腸の壁がやや弱くなっているため、そこから膨らみやすいと言われています。
また、加齢も大きな要因です。年齢を重ねると大腸の筋肉や組織が弱くなり、腸の壁が薄くなることで憩室ができやすくなります。
さらに最近は、食生活の欧米化も影響していると考えられています。
肉や脂質の多い食事が増え、食物繊維の摂取量が減ると便秘になりやすくなるため、腸内の圧力が高まり憩室ができやすくなります。
このように、憩室は生活習慣や年齢と深く関係している病気とされています。
激しい腹痛の原因「憩室炎」とは
憩室炎とは、憩室の中に便が入り込み、そこに細菌が増えることで炎症が起きた状態です。
憩室の中は袋状になっているため、便が入り込むと外に出にくく、細菌が増殖しやすい環境になります。その結果、炎症や感染が起こり、腹痛などの症状が現れます。
症状として多いのは下腹部の強い痛みです。特に日本人の場合は、右側の下腹部や左下腹部に痛みを感じることが多いと言われています。
炎症が強くなると、発熱、吐き気、食欲不振などの症状が出ることもあります。
憩室がある人のうち、約5〜10%が憩室炎を発症するとされています。
軽症の場合は、消化の良い食事をとりながら腸を休ませることで改善することがあります。
しかし炎症が強い場合は、入院して絶食し、抗菌薬の点滴で治療することもあります。
また憩室炎は一度治っても再発することがあり、10年で約22%が再発すると報告されています。
突然の血便「憩室出血」の特徴と治療
憩室出血は、憩室の壁を通っている血管が破れることで起こる出血です。
憩室の袋の部分には血管が走っているため、何らかのきっかけで血管が破れると、腸の中に出血します。
この病気の大きな特徴は、腹痛などの前触れがほとんどなく突然血便が出ることです。
トイレに行ったときに、便器の中が鮮血で真っ赤になるほどの出血に気づく人もいます。
多くの場合は自然に止血しますが、出血量が多い場合は入院が必要になります。
治療では、大腸内視鏡で出血している場所を確認し、クリップで血管を挟んで止血する処置が行われることがあります。
憩室出血は再発しやすい病気で、1年以内に20〜35%が再出血するとも言われています。
患者体験 憩室炎で入院した男性のケース
ある男性は、車を運転している最中に突然、おなかの奥がキリキリと痛む感覚を感じました。
最初は軽い痛みでしたが、時間が経つにつれてどんどん強くなり、ついには動くことができないほどの痛みに変わりました。
虫垂炎ではないかと思いながら、なんとか家に帰った男性は、翌日病院を受診しました。
検査として大腸内視鏡検査が行われたところ、原因は憩室炎であることが分かりました。
炎症が強かったため入院となり、まずは腸を休ませるため3日間の絶食が行われました。
その後、抗菌薬の点滴治療が行われると腹痛は徐々に改善し、約6日で退院することができました。
しかし、その後数年たってから今度は憩室出血による血便が起こり、再び治療を受けることになりました。
このように憩室は、一度できると長い間付き合っていく必要がある病気です。
腹痛を起こすほかの病気(胃腸炎・虫垂炎など)
腹痛はさまざまな病気で起こるため、原因を見分けることが大切です。
例えば胃腸炎の場合は、腹痛に加えて下痢や嘔吐を伴うことが多く、突然発症するのが特徴です。
また、胃・十二指腸潰瘍ではみぞおちのあたりに痛みが出ることが多く、食後や空腹時に痛みが強くなることがあります。
急性すい炎や胆石症も上腹部の強い痛みとして現れることがあります。
一方、急性虫垂炎(盲腸)は若い人に多く、右下腹部の痛みが特徴です。
それに対して憩室炎は中高年に多い病気とされています。
ただし症状だけで判断するのは難しいため、腹痛が続く場合は医療機関で検査を受けることが重要です。
血便を起こすほかの病気(痔・虚血性大腸炎など)
血便の原因には、憩室出血以外にもさまざまな病気があります。
最も多いのは痔です。痔の場合は排便のときに鮮血が便の表面やトイレットペーパーに付くことが多く、便と血が混ざらないのが特徴です。
一方、虚血性大腸炎では腸の血流が一時的に悪くなることで炎症が起こり、腹痛の後に血便が出ることがあります。
また、感染性腸炎では細菌やウイルスによって腸に炎症が起こり、血便とともに下痢や発熱、嘔吐などが起こることがあります。
血便は重大な病気のサインであることもあるため、症状が出た場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
潰瘍性大腸炎とは?増え続ける指定難病
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が繰り返し起こる病気で、日本では国の指定難病に指定されています。
主な症状は、下痢、粘液便、血便です。
炎症が長く続くと、大腸の粘膜がただれたり潰瘍ができたりして、そこから出血が起こります。
原因は完全には解明されていませんが、免疫の異常が関係していると考えられています。
本来は体を守る免疫細胞が、誤って大腸の粘膜を攻撃してしまうことで炎症が起こると言われています。
日本の患者数は約31万人以上とされており、年々増加しています。
潰瘍性大腸炎の治療(5-ASA・生物学的製剤など)
潰瘍性大腸炎の治療の基本は、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)という薬です。
この薬は胃では溶けず、そのまま大腸まで届き、炎症を起こしている粘膜に直接作用します。
そのため、炎症を抑える塗り薬のような働きをすると説明されることもあります。
この薬だけで約6割の患者が症状改善するとされています。
効果が不十分な場合は、ステロイド薬、免疫調節薬、生物学的製剤などを使います。
特に生物学的製剤は、炎症に関係する物質をピンポイントで抑える治療法で、近年治療の選択肢として重要になっています。
新薬JAK阻害薬で改善した患者のケース
近年、潰瘍性大腸炎の治療では新しいタイプの薬が登場しています。
その一つがJAK阻害薬です。
この薬は、炎症を引き起こす信号を伝えるヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素の働きを止めることで、腸の炎症を抑えます。
従来の薬で改善しなかった患者でも、数日で症状が大きく改善するケースが報告されています。
実際にある患者は、この薬を服用してから2〜3日でトイレの回数が減り、血便もほとんど出なくなったといいます。
現在は薬を続けながら寛解状態を維持し、大学生活やスポーツなど、通常の生活を送ることができています。
潰瘍性大腸炎は完治が難しい病気とされていますが、治療法は年々進歩しており、自分に合った薬を見つけることで症状をコントロールできる可能性が高まっています。
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