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能美防災「シーリングミスト」は本当に濡れない?SET3.6℃低下の意味と価格・導入条件【がっちりマンデー!!で紹介】

企業・新技術
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工場の暑さを「風と霧」で変える

天井の巨大なファンから細かなミストを広げ、工場や倉庫の暑さをやわらげるのが、能美防災の「シーリングミスト®」です。

『がっちりマンデー!!(2026年7月12日放送)』では、「濡れないミスト」と大型扇風機を組み合わせた技術として紹介されます。

気になるのは、本当に濡れないのか、何℃涼しくなるのか、そして導入費用はいくらなのかという点です。公表された実証結果をもとに、数字の意味から設置条件まで整理します。

この記事でわかること

  • 「3.6℃低下」が示している本当の意味
  • ミストなのに濡れにくい仕組みと条件
  • 約1,100万円の設備内容と維持費
  • 後付けできる施設と導入前の注意点

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シーリングミストの3.6℃低下は室温ではなくSET

シーリングミスト®」がTBS「がっちりマンデー!!」で「酷暑テック」として紹介 | インフォメーション | 能美防災株式会社

(出典:「シーリングミスト®」がTBS「がっちりマンデー!!」で「酷暑テック」として紹介 | インフォメーション | 能美防災株式会社)

最初に結論をいうと、シーリングミストを使うと工場の室温が必ず3.6℃下がるわけではありません。

環境省の実証で確認された「3.6℃低下」は、気温ではなく、SET(標準新有効温度)という指標の変化です。

SETは、気温だけを見る数字ではありません。

気温、湿度、床や壁などから受ける熱、風速、服装、体の動きまで含めて、人が感じる暑さを総合的に表します。

工場で長袖・長ズボンを着用し、立った状態で安静にしている条件では、次の結果になりました。

使用状況 SET*
暑さ対策なし 33.7℃
シーリングファンのみ 30.6℃
シーリングミスト 30.1℃
対策なしとの差 3.6℃低下

つまり、3.6℃は「空気そのものが3.6℃冷えた」という数字ではなく、風とミストを含めた体感環境が改善した結果です。

たしかに「工場で3.6℃下がった」とだけ聞くと、強い冷房を入れたような印象を受けます。実際に導入を考えるなら、室温と体感指標を分けて理解することが大切です。

実際の気温とWBGTはどれくらい変わった?

工場試験で測定された気温や暑さ指数を見ると、シーリングミストの特徴がさらに分かりやすくなります。

測定項目 対策なし ファンのみ シーリングミスト 対策なしとの差
気温 31.5℃ 32.0℃ 30.9℃ 0.6℃低下
相対湿度 64.6% 62.9% 69.1% 4.5ポイント上昇
黒球温度 31.8℃ 32.0℃ 31.1℃ 0.7℃低下
WBGT 27.9℃ 28.0℃ 27.8℃ 0.1℃低下

実際の気温差は0.6℃、熱中症リスクを判断するWBGTの差は0.1℃でした。

一方、SETは3.6℃下がっています。この違いが生まれる大きな理由は、SETにはファンが生み出す風が反映されるためです。

試験では、対策なしの風速が平均0.1m/sだったのに対し、ファン稼働時は平均1.2m/sとして計算されています。室温を大きく下げなくても、体の周りに風が通ることで汗が蒸発しやすくなり、暑さがやわらぐわけです。

個人的には、この結果は「冷房の代わり」というより、空調が届きにくい大空間で働く人の負担を軽くする設備と考えると納得しやすいと感じます。

作業内容によって涼しさの数字は変わる

3.6℃という結果は、長袖・長ズボンを着て立ったまま安静にしている条件で算出されています。

同じ服装でも、体の動きが増えるとSET*の差は小さくなりました。

想定した動き 対策なし シーリングミスト
立ったまま安静 33.7℃ 30.1℃ 3.6℃低下
歩き回る作業 35.3℃ 33.0℃ 2.3℃低下
時速4.8kmで歩く 37.7℃ 36.8℃ 0.9℃低下

作業量が増えると、体内で作られる熱も増えます。そのため、ファンやミストを使っていても、体を激しく動かす作業では負担が残ります。

「最大3.6℃下がる」と一律に考えず、どのような服装で、どれくらい動く職場なのかを確認する必要があります。

初めて知ると少し驚きますが、同じ工場内でも、検品作業と荷物を運ぶ作業では感じ方が違うということです。

巨大扇風機とドライミストを組み合わせる理由

シーリングミストは、天井に取り付ける大型のシーリングファンと、極めて細かな水滴を噴霧する**ドライミスト®**を組み合わせた設備です。

水が蒸発するときには、周囲から熱を奪う「気化熱」が発生します。

夏に水でぬらした地面が少し涼しく感じられるのも、同じ仕組みです。ただし、普通の水滴は大きいため、蒸発する前に床や人へ落ちてしまいます。

ドライミストは水を非常に細かな粒にし、空中で蒸発しやすくしています。

さらに大型ファンで空気を循環させることで、次の2つを同時に行います。

  • ミストで冷えた空気を広い範囲へ運ぶ
  • ミスト周辺にたまった湿った空気を移動させる

ミストだけを同じ場所で出し続けると、周辺の湿度が上がり、水が蒸発しにくくなります。シーリングファンは、その湿った空気を動かし、新しい空気と入れ替える役割も持っています。

能美防災は、この仕組みを大空間降温装置として特許取得済みとしています。

単に巨大な扇風機を回すのではなく、「ミストを蒸発させやすい空気の流れ」を作ることが、この設備の大きな特徴です。

シーリングファンだけでも涼しくなる?

環境省の工場試験では、シーリングファンだけを動かした場合でも、立位安静時のSET*は33.7℃から30.6℃へ下がっています。

シーリングミストを使った場合は30.1℃でした。

使用状況 SET* 対策なしとの差
対策なし 33.7℃
ファンのみ 30.6℃ 3.1℃低下
ファン+ミスト 30.1℃ 3.6℃低下

この条件では、ファンによる改善が3.1℃、ミストを加えた差がさらに0.5℃です。

数字だけを見ると、「ファンだけでも十分なのでは」と感じるかもしれません。たしかにこれは確認したいポイントです。

ただし、体表面温度や本人が感じる暑さの調査では、対策なし、ファンのみ、シーリングミストの順に負担が小さくなる傾向が確認されています。

また、ファンだけを回すと、天井付近にたまっていた熱い空気が作業場所へ下りて、一時的に地上付近の気温が上がる場合もありました。ミストは、その空気を気化熱で冷やしながら循環させる役目を担います。

ファンだけで十分かどうかは、天井付近の熱だまり、作業位置、換気状況などを調べて判断した方がよさそうです。

本当に人や設備が濡れない?

シーリングミストで使われる水滴は、メーカー情報ではザウター平均約16μmです。

1μmは1mmの1000分の1なので、肉眼では捉えにくいほど細かな粒です。

環境省の工場試験では、地上からミストはほとんど確認できず、測定機器への結露も発生しませんでした。

能美防災は、上水道の使用や、水が配管内に長期間滞留しない仕組みも標準で取り入れています。噴霧停止時に大きな水滴が落ちる「ボタ落ち」を防ぐ対策も行われています。

ただし、どのような環境でも絶対に濡れないわけではありません。

メーカーが推奨している使用範囲は、相対湿度75%以下です。

湿度が高くなるとミストが空中で蒸発しきれず、水滴のまま床や商品へ落ちる可能性があります。常に湿度が高い施設には向かないとされ、湿度に応じて運転を調整する自動制御はオプションです。

「濡れないミスト」という言葉は魅力的ですが、実際に選ぶなら、夏場の湿度と取り扱う製品の性質を確認したいところです。

紙製品や精密機器がある工場でも使える?

水分や湿度の影響を受けやすい商品を扱う場所では、慎重な確認が必要です。

たとえば、次のようなものです。

  • 紙や段ボール
  • 精密機器や電子部品
  • 湿気で品質が変わる食品
  • さびが問題になる金属部品
  • 水滴を避けたい印刷物や梱包材

シーリングミストは人や物品に水滴が付きにくいよう設計されていますが、湿度そのものは上がります。

工場試験でも、対策なしの相対湿度64.6%に対し、シーリングミスト使用時は69.1%でした。特定の試験条件で4.5ポイント上昇しています。

わずかな湿度変化が品質へ影響する製品では、設備会社だけでなく、品質管理の担当者も交えて検討した方が安心です。

参考価格約1,100万円には何が含まれる?

環境省の実証報告書に掲載された参考価格は、工事費込みで1式1,100万円です。

想定されている主な構成は次のとおりです。

項目 参考条件
シーリングファン 1基
ミスト設備 1式
ミストノズル 24個
設置工事 含む
電気・水道 建物側から供給できる前提
積算時期 2024年度

これは、実証した工場と同等の条件で算出された参考価格です。

配管の距離、自動制御の有無、設置する高さ、高所作業車を使えるかどうかなどにより、費用は大きく変わります。

そのため、「どの工場でも1,100万円で導入できる」という意味ではありません。現場調査を行い、必要なファン数やノズル数を決めた後の個別見積もりになります。

金額だけを見ると高く感じますが、家庭用の冷房機器ではなく、工場や倉庫の広い空間を対象にした法人向け設備です。比較するときは、空調機の導入費だけでなく、電気容量の増設や長期的な電気代も含める必要があります。

水道代と電気代はどれくらい?

実証報告書には、1日8時間、月20日運転した場合の参考費用も示されています。

項目 参考値
水の使用量 1時間72L
1日の水使用量 約0.576㎥
月の水道代 約722円
ファンとミストの消費電力 937W
月の電気代 約4,470円
点検・オイル交換 1回約15万円+交通費

水道代と電気代を合わせると、資料上の条件では月約5,192円です。

ただし、これは24ノズルを備えた試験相当設備の参考値です。

実際の費用は、ファンやノズルの数、運転時間、水道料金、電気料金、湿度制御の方法によって変わります。

個人的には、月々の光熱費だけを見るのではなく、初期費用、点検費用、部品交換まで含めた10年間の総額で比較することが大事だと感じます。

空調機より消費電力46.4%削減は実測の電気代ではない

環境省の報告書では、空調機と比較した場合の消費電力削減率が46.4%と算出されています。

ただし、この数字は実際の工場の年間電気料金を測定し、46.4%安くなったという結果ではありません。

工場の空間や熱量をモデル化し、同じ条件を空調機で冷やすと仮定した熱量計算上の比較です。

また、空調機とシーリングミストでは役割も異なります。

空調機は、空間の気温や湿度を一定に管理する設備です。一方、シーリングミストは風と気化熱を利用し、主に働く人が感じる暑さを軽くします。

「エアコンとまったく同じ効果で電気代が半分」と受け取らないよう注意が必要です。

既存の工場や倉庫にも後付けできる?

シーリングミストは、新築だけでなく既存の建物にも後施工可能です。

設置工事は、規模によりますが1週間前後が目安とされています。

すでにシーリングファンが設置されている施設では、ミスト設備だけを追加してシーリングミストとして使える場合もあります。ファンだけ、ミストだけの運転も可能です。

ただし、すべての建物に簡単に取り付けられるわけではありません。

導入前には、次の項目を確認する必要があります。

  • 天井がファンや配管の重さに耐えられるか
  • ファンの羽根を安全に回せる空間があるか
  • ミストが蒸発するための十分な高さがあるか
  • 上水道と電源を確保できるか
  • 高所作業車を工場内へ入れられるか
  • 配管を通せる経路があるか
  • 湿度上昇が製品や設備に影響しないか

実証された工場では、シーリングファンが約9m、ミストノズルが約8.5mの高さに設置されていました。

同じ高さが必須というわけではありませんが、天井が低い施設では、ミストが蒸発する前に床へ落ちる可能性を考える必要があります。

メンテナンスと製品寿命は?

資料上の製品寿命は約10年が目安で、水質によって前後します。

必要なメンテナンスは原則年1回です。冬場にミストを使わない施設では、配管やポンプの凍結を防ぐため、シーズン終了時と使用再開時の年2回作業が必要になる場合があります。

主に確認するのは、次のような部分です。

  • ノズルから正常に噴霧されているか
  • 配管や接続部分から水漏れしていないか
  • ファンが安全に回転しているか
  • ポンプやフィルターに異常がないか
  • シーズン終了後に水抜きができているか
  • 羽根や高所設備に汚れがたまっていないか

工場設備は、設置した後の管理を続けてこそ安全に使えます。

初期費用を比較するときに、点検契約の内容、故障時の対応、交換部品の価格まで確認しておくと、後から想定外の出費になりにくいでしょう。

向いている工場と慎重に検討したい施設

シーリングミストは、建物全体を冷房するのが難しい大規模から中規模の屋内空間を主な対象としています。

向いている可能性が高い場所 慎重な確認が必要な場所
天井の高い工場 常に湿度75%を超える施設
出入口の多い倉庫 精密機器を多く扱う場所
冷気が外へ逃げやすい物流施設 紙や食品の品質が湿度に左右される場所
大型屋内スポーツ施設 天井が低い建物
既存ファンがある大空間 高所設備を取り付けられない建物
作業者が広い範囲を移動する職場 極端な高温状態が続く場所

体温より高い空気が送られるほど極端に暑い環境では、ミストで空気を多少冷やしても十分な負担軽減効果を発揮しにくいため、導入や運用を避けるべきとされています。

設備の性能だけでなく、建物の温度・湿度・天井高・作業内容との相性で判断することが重要です。

職場の熱中症対策は設備だけでは終わらない

2025年6月1日から、職場における熱中症対策が強化されました。

WBGT28℃以上または気温31℃以上の環境で、連続1時間以上、または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業では、事業者に次の対応が求められます。

  • 異変を報告する連絡体制を決める
  • 症状が出た場合の対応手順を作る
  • 作業者へ体制と手順を周知する

ただし、法律でシーリングミストの設置が義務付けられているわけではありません。義務化された中心部分は、熱中症の早期発見と重症化を防ぐための体制づくりです。

設備を導入しても、水分や塩分の補給、休憩場所の確保、作業時間の調整、体調確認は必要です。

個人的には、「設備を入れたから安心」と考えず、設備と職場の運用をセットで見直すことがいちばん重要だと感じます。

導入前に確認したい7つのこと

シーリングミストを検討するときは、問い合わせ前に次の点を整理しておくと話が進みやすくなります。

  • 夏場の工場内の気温と湿度
  • 時間帯ごとのWBGT
  • 天井の高さと面積
  • ファンを設置できる構造か
  • 水分や湿度を嫌う製品があるか
  • 作業者がいる場所と移動範囲
  • 現在の空調費と暑さ対策費

さらに、見積もりでは次の内容を確認したいところです。

  • ファンとノズルの数
  • 自動湿度制御を付けるか
  • 電気・水道工事の範囲
  • 設置工事中に操業を止める必要があるか
  • 年間の点検費用
  • 保証期間と故障時の対応
  • 補助金や助成制度の対象になるか

同じ広さの工場でも、天井高や設備配置、出入口の数によって必要な構成は変わります。カタログの数字だけで決めず、現地調査を受けて比較するのが安心です。

シーリングミストは大空間の体感的な暑さを軽くする設備

能美防災のシーリングミストは、約16μmのドライミストと大型シーリングファンを組み合わせ、工場や倉庫の広い範囲へ冷やした空気を循環させる設備です。

工場試験では、立位安静の条件でSET*が3.6℃低下しました。ただし、実際の気温差は0.6℃、WBGTの差は0.1℃であり、室温を大きく下げる冷房設備とは役割が異なります。

参考価格は、ファン1基と24ノズル、工事費を含めて約1,100万円です。既存建物への後付けも可能ですが、相対湿度75%以下が推奨され、天井高や水分を嫌う製品への影響も確認しなければなりません。

数字だけを見ると少し分かりにくい設備ですが、ポイントは、室温を下げるだけではなく、風とミストで働く人の暑熱負担をやわらげることです。

工場全体への空調設置が難しく、スポットクーラーでは作業者の移動をカバーできない場合には、比較候補の1つになりそうです。

参考リンク


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